トップページ > 創作発表 > 2010年11月12日 > 9LHP/RvW

書き込み順位&時間帯一覧

18 位/182 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000000000000426



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
国防省 ◆Oppai.FF16
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】

書き込みレス一覧

【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
551 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 22:53:55 ID:9LHP/RvW
>>532の続き

「あ、失礼しました。それでお手数お掛けして恐縮なんですが」
「いやぁねえ、なに畏まってるのよ」
 村役場の電話番号を調べてもらった。
丁寧にお礼を言って電話を切る。最後まで不審がられた。
奥方とはいえ専務。取引先にこういう不信感を持たれてはいけないんだが。

「土地の所有者は法務局へお問い合わせ下さい。電話番号は――」
「お越し頂ければ登記簿謄本の閲覧は可能ですが、電話では出来ません」
 まあ、そうなるわな。
人の少ない村だから、ちょちょっと融通してくれるかとも思ったが。
「え、犬の死骸ですか。それなら保険所の方へ。電話番号は――」
「飼い犬の死亡届をご提出下さい。死骸の処理は役場の環境業務課へ。電話番号は――」
 またたらい回しかよ、とウンザリしつつ、村役場へ三度目の電話をかける。
「ダンボールに詰めて持ち込んで下さい」
「いや、大きさ的に無理っぽいんですが」
「ああ、困りましたね。因みに、猟師さんが山中で大きな猪をしとめた時は、その場で血
抜きをして、更に解体してから下ろすそうです」
「!! バラして持ってこいと?」
「猟師さんは、売れる部分しか下ろさないそうです」
「では、残りは?」
「つまり、そういう事です。近くに山があるのでしょう?」
「そういう事ですか。了解しましたが、真っ白い動物ってのは、あまり邪険な扱いをした
くないんですがね。しかも秋田犬っぽいし」
 忠犬ハチ公の。
「真っ白で大きな秋田犬、ですか……あっ」
 なんだ? 受話器が落ちたような?
「お電話代わりました。秋田犬ですか、一応国の天然記念物なんですがねえ」
「因みに、あきたけん、ではなく、あきたいぬ、が正しい読み方です」
 そうなのか? 知らなかった。
「いや、こちらも通りがかりみたいなものなんで」
上司っぽい感じだな。話が通りやすそうだと思い、簡単に経緯を説明する。
「ははぁ、そういう事ですか。ではとりあえず首輪をご確認下さい」
「首輪、ですか。確か無かった様ですが」
「え……」
 ? 電話の向こうが何やら色めき立ったような?
「それは確かですか? それに類する様なもの全て?」
「は、はい。首輪やその他人工物は何も無かったかと」
「そうですか……」
 なんだ、この緊迫感? 首輪が無い事の方がまるで重要だという様な?
「分かりました。では、そちらを何時頃にご出立のご予定でしょうか?」
 うわ、なんか急にバカ丁寧になったな。
「今ちょっと取り込み中なんで、それが片付けばすぐにでも。しかし何故?」
「え? ああ、それは当然、こちらがそちらへ向かう都合があるからです」
「途中の獣道で車が鉢合わせになったら、すれ違えないでしょう?」
 ああ、なるほど。よく考えてくれてるな。……って?
「それでは、引取りに来てくれると?」
「ええ勿論ですとも。なんせ天然記念物ですから」
「……死んでますが」
「ああ、それと」
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
552 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 22:54:39 ID:9LHP/RvW
 ここで如何にも大切な事を言うぞ、という感じで溜めを作ってきた。
「その村にはですね、出るんですよ、とても怖い鬼がね」
 鬼? ……ああ、そう言えばあの少女も鬼か。まるで怖くなかったが。
「ですから、日が沈む前にそこから下りた方が良いですよ」
 いや、あんたの物言いの方がよほど怖い。
「出来るだけ努力はしてみますが、どうも泊まりになりそうです」
今、そう決めた。
「そうですか……とりあえず、忠告はしましたよ?」
念押しか。ご丁寧に痛み入る。
「確かに、承りました」
その後、謝辞を述べて電話を切った。電話機のバッテリー残量がギリギリだった。

 瓢箪から駒、か。
まさか犬に追っ手がかかっていたとは。何でも聞いてみるもんだな。
屋敷の裏門から納屋に戻る。妖二人はまだ犬の傍らに佇んでいた。
その二人の目が少し輝く。
「これで弔ってやってくれないか」
 裏山から採ってきた山花を犬の周りに置く。ツワブキやコスモス、さざんか、その他名
も知れない草花。かなりの量だ。
どうだ? と二人を見ると、服が巫女のそれに変わっていた。
「便利だなおい」
 そして、ブルゾンのポケットに挿していた榊(サカキ)を犬の前に置く様に促される。
そうだと思って多めに採ってきた。というか、生えてて良かった。
二人は犬の前に正座し、何やら祝詞のようなものを奏上し始めた。聞こえないが。
そして、その真剣な横顔の向こう、納屋の奥に鍬やツルハシが有るのが見えた。
錆びてるが、まだ充分使えそうだ。

 屋敷の裏門と山の間が、ちょっとした空き地になっており、その山側の端に幾つかの大
きな岩が置いてある。恐らく、農作業用の家畜をここに埋葬していたのだろう。
その横に深く穴を掘り、近くの谷川から適当な大きさの石を持ってきた。
これを墓石にしよう。
 納屋に戻る。
二人はまだ犬の傍に居たが、既に式は済んだようだ。
犬の前に座り、残しておいた最後の榊を、先が自分の方を向くようにして犬の前に置く。
「向きはこれで良かったか?」
少女がうなずく。
そして二礼二拍手一拝(一礼なのかもしれんが)を、忍び手(音を立てない)で行う。
それでこの場の空気が緩んだ様な気がした。一通り終わったようだ。
「さて、埋葬だな」
どうも役場の上司の言った事は胡散臭すぎた。その前の、担当者の言い分に従うのが良い
のだろう。……それは犬にとっても。
見回すと、納屋の奥に木の棒とムシロで出来た、担架の様なものがあった。
持ってきて犬の横に置く。
さて犬を乗せるか、と思ったところで、首の長い毛の奥に赤い紐があるのが見えた。
「なんだこれ?」
引っ張ると回り、首の下から銀色の何か大きなものが出て来た。
それは、銃弾を模した大きなペンダントだった。
先端がネジ式の蓋になっている。開けてみたところ、中からUSBメモリが出て来た。
(それは確かですか? それに類する様なもの全て?)
役場の上司の言葉を思い出す。
「なるほど、コレか……」
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
553 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 22:55:30 ID:9LHP/RvW
犬の満足そうな顔を見る。
「オマエのご主人様は、これをオマエに託したんだな?」
無論、返事は無かった。

 犬を乗せた担架の様なものを引き摺り、裏の穴の前に着いた。マジ重かった。
「火葬にしてやれなくてスマンな」
犬を穴に入れようとしたところで、少女がそれを遮る。
「なんだ?」
何かまだやる事が残っていたのか? しかし彼女は、俺の予想とは違った行動をとった。
犬のペンダントを、紐を解いて取り去ったのだ。
そして、紐を抜き取り、それを宙に浮かせて火を点けた。
彼女らが現実の物に干渉するのを初めて見た。
燃えた灰は犬の体に降りかかった。なるほど、火葬の真似事なのか。
横を見ると、幼女が少女の着物の裾にしがみついていた。半透明になって。
それで彼女らの力の使い方が分かった様な気がした。
少女がペンダントを差し出してくる。口を一文字に結んで。
そういう風に集中していないと、物に干渉できないのだろう。
実は今も辛かったのかもしれない。ペンダントが手をすり抜ける。
「おっと」
すんでのところでキャッチ。
「俺に持っていろと?」
首肯。
こういうものは一緒に埋めるべきだと思っていたから、戸惑ってしまう。
が、まあこの程度のモノなら後で埋めても良いか、と思い直した。
「分かったよ」
緊張していた妖二人の表情が明るくなった。やはり女の子は笑顔でなければな。
 その後、犬を埋めてその上に石と山花を置いた。
夕やけに赤く染まる、名も知らない白い犬の墓。
安らかに眠ってくれ。
…………
……

 宵闇の中、蝋燭の明かりに浮かぶ縁側。
「やはりこういう事だったのか」
ノートPCの画面、差し込んだUSBメモリの中を表示している。
その総データ量は220GB余り。その中にフォルダが二つ。
一つは幾つかのテキストファイルが入っているもの、もう一つは220GB程のサイズで
名前とパスワードを入力しないと開けないもの。
「寝ちまったのは失敗だったな」
 あの後、持ってきていたコンビニのおにぎりを食った。それで疲れが出たのか、母屋の
縁側で寝てしまったのだ。妖二人は何やら騒いでいたようだったが。
その後、幼女が俺の首に何かを掛けようとしてる、そのくすぐったさで目覚めた。
何かと思えば、新たに赤い紐を付けた例のペンダントだった。
(なるほど、金属でなければ軽いものは持てるのか)
寝るのを諦め、ペンダントを首に掛けてみせる。
喜ぶ幼女。
世の中の、娘を持つ父親の気持ちが少し分かった様な気分になった。
そして妙な気分を振り払いつつ、車からノートPCを持ち出してきて今に至ると。
 少女は、門の外に出て何やら彼方を凝視している。
服装は、紅葉をあしらった赤い着物で安定しているようだ。
 幼女の方は、相変わらず外観がくるくる変わっていたが、気に入ったのか巫女服のアレ
ンジ的な感じのものが多かった。
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
554 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 22:56:34 ID:9LHP/RvW
そして何が面白いのか、PCの画面を興味深そうに見つめて、偶に画面を切り替えると、
画面と俺の顔を交互に見比べては笑っている(声は聞こえないのだが)。
世の中の、娘を持つ父親(略) こうしては居られない。
車から持ってきていた衛星電話一式をセットする。バッテリーは、時間が経った事で僅か
ながら回復している。
(さて、これからどうする?)

 @ 幼女と戯れた後、寝る
 A 少女と戯れた後、寝る
 B 二人と戯れた後、寝る
 C メモリは見てないと言い張る事にして、寝る
 D メモリは明日来るであろう役場の人間に渡してお終いで良いじゃん、で寝る
 E 渡すが、今のうちに中身を見る
 F 渡すが、中身をHDDにコピーしておく
 G 渡すが、中身を他所にコピー転送しておく

 ……@〜Bは論外だな。多分に魅力的だが。
CDは、結局のところ、俺の車から持ち物から全て調べまくられて、更にPCは没収され
るだろう。おれが相手ならそうする。そうなると、骨折り損のくたびれ儲けになるので、
これもボツ。
Eは、名前やパスワードが不明なので無理。
いや、ヒントは探そうとしたんだ、テキストファイルの方を片っ端から開いて。
しかしそれらは、何か良く分からないプログラム用語の羅列が殆どだった。
(中に一つ、英文ながら明らかに詩と思われるものがあったが、全くの意味不明)
で、断念すべきだろう。
Fは、CDと同じ理由でボツ。だいいち俺のPCの空きスペースそんなに無い。
結局、最後の発案であるGがベストとの結論に至った。
それなら、身の安全の保証になるかも知れんしな。
だがしかし、220GBもの大容量をどうやって?
…………
 幼女は、衛星電話の電話機を玩んでいる。
「ほらほら、お兄ちゃんは今お仕事中ですからね、それ触っちゃダメですよ〜」
渋るかと思ったが、意外と素直にそれを止め、再びPCの画面凝視に戻った。
素直な良い子だ。
……今ちょっと違和感を感じたが、ま、それはさておき。
 誰かに相談するか。だが、誰に?
仕事絡みの人間はダメだ、迷惑がかかる。身内は以ての外。
そこで頼りになるのが学生時代の友人。その中から出来るだけソフト関係に有能で、且つ
お堅い仕事に就いていて、その上で日本から出来るだけ離れたところにいる奴、と。
 脳内検索の結果、そんな無茶な条件に合致する奴が一人だけ居た。

 ヒューウヒュルル ヒュルルルヒュウウウー……
ブツッ
「……well」
「ハ、ハロウ、ディスイズタケシ・ヤマトスピーキン、メイアイ……」
「タケ! マジか!? 久しぶりだな!」
「おおう、朝早くにスマンな、ケン!」

(汗顔の至りで、続く)
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
556 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 23:56:10 ID:9LHP/RvW
本スレの空気を悪くしてるので、>>534の続き含め今後の投下は止めます。
今までのスレ汚し、誠に申し訳ございません。

これからも鬼子関連の、益々のご発展を陰ながらお祈りしております。
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
558 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/12(金) 23:58:31 ID:9LHP/RvW
>>556のアンカーは>>554の間違いでした。
お詫びの上訂正申し上げます。重ね重ね済みません。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。