- 百合・レズ創作総合スレ
33 :1/2[sage]:2010/11/11(木) 22:54:16 ID:tyAuLFaJ - 「暑い……」
夏休みの宿題がちっともはかどらない。さっきまで氷が浮いてたコップももう汗でびっしょりだ。再び水を入れてこようと立ち上がった瞬間。大きな音。窓の外に目をやると遠くに花火が上がっていた。 「そっか、今日お祭りなんだ……」 私はしばらく眺めていた。眺めているうちに何かが花火の合間の闇にゆらゆらと浮かび上がってきた。それは古い記憶だった。くすぐったい思い出。だけど、大切な思い出。初めての美貴との出会い。 あれは確か小学校二年の夏祭り。その時私は母親と一緒に来ていたのだが初めての祭りに浮かれてしまった私はつい母親の側を離れ夜店の一つの、ひよこ売りのひよこに心を奪われてしまった。しばらくして気付いた時にはもう遅く辺りに母親の姿は見当たらなくなっていた。 後で母に聞いた話だとすぐ側で近所の友達と話していたそうだが、当時の私はそんな事知る由もなく散々探し回った挙げ句とうとう賑やかな場所から離れた石段で途方に暮れて大声をあげて泣いてしまった。 それまで楽しそうだった夜店や人々の群れが急によそよそしくなり私は世界で一人ぼっちになった気がした。 そこに綿飴を持った一人の女の子が現れた。それが美貴だった。
|