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創る名無しに見る名無し
国防省 ◆Oppai.FF16
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】

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【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
487 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/09(火) 13:05:55 ID:VUcf+x5y
>>486
乙です。
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
488 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/09(火) 16:04:42 ID:VUcf+x5y
「ルクセンブルクのサーバーを経由して、そこから漏れた、とか」
「日本の、公安当局の資料が」
「かなり重要な内容もあった模様」
「模様、どころか此方でもとっくに入手している」
「ふむ、当然だろうな」
「分析は?」
「太平洋軍司令部に丸投げだ」
「オアフ島がまた煩く言ってきそうだな」
「俺たちの仕事は情報の収集だ」
「中国漁船と日本の沿岸警備艇の接触事件は?」
「あのビデオの漏えいも先週だったな」
「あれは確信犯か、若しくは単なる愉快犯の仕業だろう」
「あんなものを重要視する意味が分からないな」
「あんなもの、とは、つまりそのビデオも?」
「9月の時点で入手済みだ。三隻から撮った延べ十時間分、全てな」
「無論、オフ・リージョンだ」
「しかし最近緩いな」
「ああ、それも日本を中心として」
「日本は昔から緩いだろう? 何を今更」
「先週は特に酷かった。まあそれで、うちらも大忙しだったわけだが」
「日本にいま何が?」
「それはネット上のシステム的な問題なのか?」
「さてな。ケンはどう見てる?」
「…………」
「おい、ケン!?」
(コールさん、ケネス・コールさんっ)
隣に座っている、情報システム局の女性に揺り起こされる。
「ふぇ、ふぁい?」
女性の顔を見る。若い。銀髪・緑眼の端正な顔立ちが困惑の色。
起こしておいてこちらを見るな、か? どういう事だ?
「どこ見てる、こっちだ、ケン」
ボスが会議机の向こうから怒鳴る。
マズい、週初のミーティングの途中だった。五十名ほどの局員たちの視線が集中してる!
所定のテーマが消化され、雑談に移ったところで気を抜いたのが拙かったか。
「お早う、ケン。まさか夕べは二人でお楽しみだったのか?」
出向元の、情報システム局の局長の嫌味に漏れる失笑。五十人分だ。
その中で隣席の女性が赤面し俯く。おいおい、それじゃまるで……
「そのような事実は存在しません」
「システム的な問題では無いと?」
「え……?」
(先週の騒動について尋ねられています)
隣の女性からフォロー。
「あ、えっと、私見ながら今週のAPECに向けてのセキュリティ改善の隙を突かれたと
考えます」
「広義に於いては、システム上の問題と言えなくも無いかと。無論日本の、ですが」
「なるほど。では先週の、中国からのサイバーテロ騒ぎは?」
情報システム局の局長、ズバリ国名を。流石に歯に衣を着せない。
「あれは、その」
ボスを見る。しかめ面を作った。黙ってろという事か。
「強烈なトラフィックでした。外部からの更なるアクセスすら弾くほどに」
「故に時間を稼げ、その間に対応するコードを作成・入力出来ました」
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
489 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/09(火) 16:06:13 ID:VUcf+x5y
「ほう、あの短時間でか」
局長の目が光る。
「何かスペシャルな出来事もあったんじゃないか?」
「い、いいえ、他には何も」
「まあ、そのくらいにしてやって下さい」
ボスの助け舟。
「それに、情報局の局内機密というものもありますので」
「ミスターアフレック、彼は元々、我が情報システム局の人間なのだが」
「彼の出向期間は30歳まで。あと22ヶ月残っている。問題無い」
情報局の局長。
つっけんどんな物言いに場が白け、ミーティングはそのまま解散となった。

ミーティングルームを出て廊下へ。
各々の仕事場へ向かうちょっとしたトラフィックの中で、先ほどの女性に声をかける。
「さっきはありがとう、ミス……」
「ユリア・イェンテと申します。今年度の新規採用で入局致しました」
「あ、私は」
って、もう知ってるのか。しかし何故?
「存じ上げております。うちの部署では有名ですよ。日本通であるとか、有能なソフト
ウェアエンジニアで仕事が速いとか」(He is quite a fast worker)
「女に手が早い、も追加だな!」(with women!)
システム局の局員が、通り過ぎざまに囃して行く。
「違いますよお〜」
局員を追おうと体の向きを変えるが、顔はこちらに再度向けて。
「また今度、コールさん」
「ケンで良いよ」
「じゃあ私もユリアと呼んで下さいね、ケン」
少し照れた顔で。そして今度こそ廊下の向こうへ歩き出していく。
「ユリア、仕事頑張れよ!」(Break a leg!)
俺も行くか、と体の向きを変えたところで、正面に人の体があった。
「寝てんじゃないぞ」
「うわ」
避けようとして不自然な足運びとなり、足首を捻ってコケそうになった。
「大丈夫か? そんなに夕べは激しかったのか?」
ボスだ。ベン・アフレック45歳。別名下ネタキング。俺の肩を掴んで支えてくれた。
同じ局の人間は数ヤード向こうに去りつつあり、傍からは、上司が部下に親父ギャグを注
入してる構図に見えるだろう。
「いいえ、そんな事は」
「夕べ泊まったのは、ホテルカリフォルニアなんだろ?」
「だから何をいきなり」
それは隠語で、スパイ活動の意味も有る。……まさかユリアがシステム局のスパイだと?
しかし、ボスは趣旨が伝わっていないのかと言う表情で、こう続けた。
「ああ、聞いたところによると、彼女の実家はラングレーだそうな」
今度はズバリだ。つまり彼女は某諜報機関からの回し者だと。
「……じゃあ下手に手を出すと、彼女の父親から撃たれそうですね」
「そういう事だ。とりあえず注意しておけ」(keep your eyes open)
こう言っては何だが驚いた。ボスも普通のジョークを使う事が有るのだと。
それは実に鮮烈な――

 そう、鮮烈な風景だった。
山深いところに在る廃村。その中の最奥の一軒。大きな屋敷。
三十数年使われていないと説明された其処は、しかし予想した廃墟とは全く違っていた。
それはあたかも、つい今しがたまで誰かが居た様な。
待てよ、これじゃまるで……
【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
490 :国防省 ◆Oppai.FF16 [sage]:2010/11/09(火) 16:07:48 ID:VUcf+x5y
 左に谷川、右に山の細い道を登る。自慢のワンボックス車の幅ギリギリだ。
舗装はもうだいぶ前に途切れた。今は轍すらない砂利道だ。
この山の手前の里、その一番山側の民家で確認したので間違い無い筈だが、それでも少し
不安になる。それほどに山深いところへ向かっている。もしこれで間違いだったら?
しかしそれは杞憂と分かった。上り道が下りに変わってすぐに、茅葺き屋根の数軒が木々
の間に見えたからだ。
 俺はハウスキーパーだ。
所謂ところのメイド長ではなく、主に別荘の保守や修繕などを行う、不動産屋の外注だ。
そして今回は、以前暮らしていた山里の家の確認を依頼されたのだ。
 停車し、渡されていた村の大雑把な手描きの地図を見る。
確かに此処だ。谷川や囲むようにある山、その他の家の数・配置などが一致する。
道は、その村に向かって緩やかに下っていた。
 嘗ては田畑だったであろう荒地を両脇に見つつ、最奥の大きな屋敷に到着。
車を降り、低い土塀で囲われた屋敷の門をくぐる。門に鍵は無かった。
広い庭を通り、玄関に辿り着く。表札を確認。古い板に墨書されたそれは、年月でかなり
滲み翳んでいたが、確かに依頼主のそれと同じ『緋ノ元』と読めた。
 巨大な家だ。この母屋だけでも幅20mは有る。大きな茅葺きの屋根は、高さが三階建
てのアパートに匹敵した。
左には二階建ての高さの蔵、右にも同じ高さの納屋が有り、さらにその右には風呂場らし
いものが見えた。
更に驚いたのは、此処には廃墟に有りがちな荒れた雰囲気が全く無い事だ。

 違和感の原因はすぐに分かった。
雨戸が無いのだ。黒光りする広い縁側と障子、それが少し開いた奥まで見えている。
「ごめんくださーい!」
障子の奥に向かって呼びかけてみる。
返事は沈黙。
三度同じ事を繰り返したが、結果は同じだった。ただ、お昼頃の穏やかな秋の日差しと、
空から鳶の呑気な鳴き声が聞こえた。
 ポケットからデジカメを取り出し、とりあえず周囲を撮影しておく。
塀や家の壁は殆ど傷んでおらず、庭の砂にはたった今付けられたかのような箒の後まで。
 意を決し、玄関を開けてみる。
ガラスが嵌められた木の引き戸は、或る意味予想通りに軽く開いた。
中は薄暗かった。
目が慣れてくると、玄関の内側は広い土間で、それをL字型に板の間が囲んでいた。
その奥にも八畳ほどの板の間が。
もう一度奥に向かって声をかけ、その板の間に上がってみた。
 そこには、床と同じ黒光りする板で出来た大きな水屋と大きな食卓、そして驚くべき事
に、その上に料理とご飯が盛られた幾つかの漆器が並べられていたのだ。
しかもそれらは湯気さえ立てていた。
「待てよ、これじゃまるで……」
 そう、これではまるでマヨヒガじゃないか。この21世紀に!
そして不意に気配を感じ、目線を上げた。
そこには黒い水屋と、その板面に背後の景色と赤い着物を着た少女の影が映っていた。
その少女の頭には、二本の小さなツノがあった……

(すみません、続かせて下さい)


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