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『能面』 ◆BY8IRunOLE
『能面』
◆BY8IRunOLE
創る名無しに見る名無し
和風な創作スレ 弐
都道府県擬人化スレ
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ23

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和風な創作スレ 弐
29 :『能面』 ◆BY8IRunOLE [sage]:2010/11/07(日) 13:15:15 ID:pprZmUC1
【第三幕】

『黒場会』は、諸国の仕置き人の連合である。
牟島源堂は、その中にあって若頭という職を占めていた。

いわゆる「粗にして野だが卑ではない」若者で、普段は蕎麦打ちの職人として働いている。
彼は鉞(まさかり)や鉈などの扱いに長けており、何より喧嘩がめっぽう強かった。

牟島は蕎麦粉を仕入れに水郷まで出掛けていた。
今日中には戻る予定であったが、雨が降ってきたために旅籠で遣り過ごすことにした。


寛いで座敷の格子窓から外を眺めていると、表が何やら騒がしい。
見れば、数人のやくざ風の輩が、町人風の若者を取り囲んでいる。
若者の側には、菅笠を被った童がいる。

「子延、覚悟を決めろ。てめぇはもう終わりだ」

しとしとと雨が降っており、昼間だというのに薄暗い。
場末の宿場には、彼ら以外誰も居ないようだった。

「あの店を手放すんだ。そうすりゃ、命だきゃあ助けてやってもいい」

そんな借金取りの声が聞こえないように、慎太郎はやくざを見渡すと、

「これはまた趣向を凝らしたな。あんたの熱心さには恐れ入る」
と言い呆れたように笑った。


唐傘をさしている慎太郎に寄り添うように、彩華は立っていた。
目深にかぶった菅笠の奥で、やくざどもを確かめる。

「ふざけた野郎だ……だが、その減らず口も今日までだ」
やくざどもはめいめい刀を抜いて、二人を完全に取り囲んだ。

彩華は着込んだ蓑の下で脇差の鯉口を切って、機に備えた。

和風な創作スレ 弐
30 :『能面』[sage]:2010/11/07(日) 13:17:58 ID:pprZmUC1

怒号とともに、三人のやくざが同時に斬りかかってきた。
彩華は慎太郎の前に出ると蓑と笠を脱ぎ払い、その陰から飛び出した。

抜きざまに一人、斬った。

返す刀で、もう一人を薙ぐように斬った。

脇差を逆手に持ちかえる。

振り向きざまに、背後から斬りかかる一人を斬った。


あっという間の出来事だった。

斬られた三人は斃れて血溜まりをつくっている。
脇差を青眼につけ、彩華は残るやくざたちと対峙する。

一対一での立ち合いでないにも関わらず、彩華は鮮やかにやくざを斬り伏せていった。


牟島は、目の前で繰り広げられる立ち回りを、信じられない気持ちで眺めていた。
まるで殺陣か何かのような気すらした。

年端もいかない少女が、大勢のやくざ相手に互角以上に闘っている。

鮮やかな黄色の髪は、女郎花を思わせる。
彼女の手には、ひと振りの美しい脇差が握られている。

六人のやくざを打ち倒し、あとには借金取りが残った。
これまたいつものごとく、何やら捨て台詞を吐いて逃げていった。

ちょうどその時、雷鳴とともに雨がひどくなり、二人は茶屋の軒先に走って行った。


〆 〆 〆

和風な創作スレ 弐
31 :『能面』[sage]:2010/11/07(日) 13:20:10 ID:pprZmUC1

牟島は、『休み処 子延』の前に立っていた。
意を決して暖簾をくぐると、店内には誰も居ない。

薄暗く埃っぽく、しばらくこのような状態が続いていたのであろうと思わせる寂れようだった。

「御免」

奥へ向かって声を掛けるも、反応は無い。
更に大きな声を出そうと息を吸った時、奥から痩せた男がのそりと出てきた。

――間違いない。あの時見た、唐傘の男だ。

牟島は男をじっと見つめる。

「……何か御用ですか」
言いながら、男は牟島を値踏みするように見た。

「おっと、すまねぇな。俺は牟島 源堂というものだ。子延 慎太郎どのと見受けるが」
「……だとしたら、何とする」
慎太郎は牟島をじっと見つめ、それ以上は何も言わなかった。

「子延どの。単刀直入に言う。ここに、黄色の髪をした娘が居るはずだ」
「彩華のことか」

牟島は、金髪の少女剣士を『黒場会』に参加させようとやってきたのだった。
そのことを話すと慎太郎は、
「それは出来ない相談だ。彩華はうちの奉公人。あいつを引き抜かれたら店が成り立たない」

いくらか説得を試みたが、弁の立つ慎太郎相手では分が悪すぎた。
牟島は、口より先に拳が出るような男なのだ。

また来る、と言い残し、貨幣を数枚置いて牟島は去って行った。

和風な創作スレ 弐
32 :『能面』[sage]:2010/11/07(日) 13:23:43 ID:pprZmUC1

さて、慎太郎はそう言うものの、彩華が奉公人らしき仕事をこなした例は無い。
店は御覧の通り、閑古鳥が鳴いている有様である。
家のことは、慎太郎一人で事足りている。

彩華は日中、剣の稽古をしたり、川沿いを走りこんだりしているのだった。
よく怪我をつくっては、慎太郎に薬草を塗ってもらっている。

「彩華、お前は何の為に稽古をしているのだ」
ある時、慎太郎は興味本位で訊いてみた。

「?」
彩華はきょとんとしている。

「例えばな、武士は何のために剣の腕を磨くのか。戦の時、敵を倒すためであろうな。
お前は、誰か倒したい輩がいるのか」

「倒したい奴がいないと、稽古しちゃいけないか?」

質問を質問で返され、慎太郎は苦笑する。
「いけないことは無いが……」

そして、さらに問う。

「では、職人や芸人が腕を磨くのは、なぜだ? 彼らは、誰かを倒したりするわけじゃない」
「……?」
彩華は首を傾げる。

「職人は、自らの創るものに誇りを持っている。より素晴らしいものを生み出そうと、日々努力している」

慎太郎は、幼いころから職人や芸人たちを見てきた。
蕎麦を打つもの、庖丁を研ぐもの、三味線を弾くもの、版画を彫るもの……。

彼らは、「創ること」に自分の全存在を懸けているような独特の雰囲気を持っていた。

――彩華、お前の剣はそういうものか? 
そう訊こうとして顔を上げると、かすかな寝息とあどけない寝顔が目に入った。

和風な創作スレ 弐
33 :『能面』[sage]:2010/11/07(日) 13:25:54 ID:pprZmUC1

「ふ、やはり肝心なことは訊けぬか」

剣の腕は立つが、彩華はまだ子供なのだ。
床に寝かせ、薄掛けをかけてやると、慎太郎は牟島源堂のことを思い出した。


『黒場会』のことは、慎太郎も聞き及んでいた。
牟島は、先日の水郷での立ち合いを見ていたと言った。

たしかに、彩華の剣の腕は目を瞠るものがある。
そこら辺の、師範代と言われる者たちと比べても、なんら遜色は無い。

喧嘩集団が、彩華を欲しがるのも無理は無い。その点に関しては慎太郎も納得していた。

あの立ち合いの後、彩華は得意気に慎太郎に言った。

「わたしが居て、役に立っただろう」

それは、紛れもない事実ではある。
彩華が居たおかげで慎太郎の身が保たれてきたといっても過言ではないのだ。

かといって、結果的に年端もいかない少女を用心棒のように使ってしまっている自分を、
慎太郎は後ろめたく思ってもいた。


和風な創作スレ 弐
34 : ◆BY8IRunOLE [sage]:2010/11/07(日) 13:27:26 ID:pprZmUC1
↑ここまでっす

レス下さった方々、ありがとうございます!
都道府県擬人化スレ
138 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/11/07(日) 18:03:09 ID:pprZmUC1
なんと!? 
職人さん働きすぎだろwwww
【雑談】 スレを立てるまでもない相談・雑談スレ23
946 :創る名無しに見る名無し[]:2010/11/07(日) 23:01:02 ID:pprZmUC1
ラジオだぁー!
ラジオやってる!

            ∩_
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           〈⊃  }
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ごめん、嬉しくて……


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