- 【蔑称ではない】鬼子SSスレ【萌なのだ】
448 :GoGo! ひのもとさん1/2[sage]:2010/11/07(日) 01:09:31 ID:MuEMRaYL - 冴え渡る空の下、日本鬼子さんは息を切らして長い長い石段を駆け登っていた。
賽銭箱の鈴がガラゴロと地味な音を立てると、障子を透過して白髭の神さまがひょっこり顔をのぞかせた。 「神さま、どうかお願いします……」 鬼子さんは柏手をぱんっ、ぱんっと二回打ち鳴らし、なにやら心を込めて祈っている。 いったいどんな祈りの内容なのか、名の知れた神さまも年季の入った額を垂れて困った様子。 祈り終わると、鬼子さんはくるりと背中を向け、袖からもみじを散らし、下駄をからころ鳴らして去っていく。 これをかれこれ五十回は繰り返している。 そんな古式ゆかしい鬼子さんの様子を、落ち葉の積もった境内の脇からひょっこり見守る二匹のストーカーがいた。 どちらも激しく萌えているらしく、はぁはぁ息を荒げている。 エロい鳥の方はニヤニヤと小悪魔的に笑い、揺れる胸しか見ていないし、 エロい魚の方はいかにも辛そうで過呼吸に陥っているようにしか見えない。 「なぁ、ヒワイドリ。俺そろそろ水に入らないとヤバいんだけど?」 ヤイカガシは心なしかやつれて、息も絶え絶えに言った。 「踏ん張れヤイカガシ、お百度参りだからもう折り返し地点だ、あと五十回は拝めるぜ」 「五十回もか、いくら好きなアニメでも五十回見たら萎えるわ」 「へっへーん、俺は揺れる乳がそこにあれば千回は平気で再生してる男だぜー」 「そう、たしかあれは今年の夏――くそう、お前のせいでエンドレス・エイトの悲劇を思い出したじゃないかーどうしてくれる」 などと退屈極まりないじゃれあいをしていた。 くそっ、パンツ分だ、足りないのはパンツ分なんだ……などとぶつぶつ呟くヤイカガシに、ヒワイドリは得意げな笑みを向ける。 「ちなみに姐御が一体なにをお祈りしているか、知ってるか?」
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449 :GoGo! ひのもとさん2/2[sage]:2010/11/07(日) 01:11:21 ID:MuEMRaYL - 「ん? そりゃ姐御が祈ることと言ったらいつも決まってるだろ。
世界が平和になりますようにとかー、ひとりでもいいから友達が欲しいとかー、わんこそば食べたいとかー……」 ヒワイドリはがっくりと肩を落とすと、はぁーあとため息。 羽を人差し指に見立てて左右に振った。 「ちっ、ちちっちっ、おっぱーい♪」 「ウゼー、それこんど使ってもいい?」 「一回百円な。あのなぁヤイカガシ、ここは出雲大社。縁結びで有名な神社だぜ?」 二人は大きな神社を見上げた。 八百万の神さまの総本山である出雲大社は、鬼子の大好きな「わんこそば」で有名なだけではなく、縁結びの神さまとしても有名な場所だったのだ。 「そうか、なるほどつまり姐御は――」 ――もっともっとおっぱいが大きくなって―― 「――思う相手と結ばれいんだ。バッカだなお前、俺の発言に変な思念を挟みこむなよ、このスーパー・オッパイストめ」 「一回百円な。けど姐御が気になりそうな肉食系の男なんて結局いなかった気がするなぁ」 「バッカだなお前、お前の目はおっぱいか。 あれだろ例の『酒呑童子さま』にお近づきになりたいんだよ。 昨日も猛アタックして全然無視されてたからな」 「へーっ、だから必死なんだ…… えっ、でもあれ……」 「だよな……」 「ガンダム……だよな」 「……それ以上言うなよ……」 ふたたび鬼子さんがカラコロとやって来るのを、二匹は神妙な面持ちで見守っていた。 その健気な様子に肩を震わせ、思わず涙さえ流しそうだ。 「姐御ぉ、寒そうでヤスけど、嬉しそうでヤス……」 「……それ以上言うなよ……バッカだな、お前……」 相手は二次元の住民だったなんて、とても教えられる状況ではない。
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450 :GoGo! ひのもとさん[sage]:2010/11/07(日) 01:44:56 ID:MuEMRaYL - わんこそばは岩手県だった……orz
岩手県民の皆さん、すみませんでした。 出雲で有名なのは、そば、ですね。 モエチリさんGJです。
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461 :GoGo! ひのもとさん1/2[sage]:2010/11/07(日) 16:55:58 ID:MuEMRaYL - 前回のあらすじ――静岡県のガンダムに恋して島根県でお百度参りをする鬼子さんの恋する桃太郎電鉄。
鬼子さんは少しでも思いを込めようと、まぶたにきゅっと力をこめて祈っていた。 ――神さま、お願いします。 ――どうか、酒呑童子さま↓が http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1289093351/ ――たった一度でもいいから、わたくしの事を見てくださいますようにっ! お百度参りも終盤、ついに九十九回目を迎えようとしていた。 まさに鬼気迫る思いの鬼子さんが鈴をがらごろ打ち鳴らした、その時であった。 ぶつっ――。 鬼子「あっ」 ヒガシ「「あっ」」 ストーカーたちも思わず声をあげた衝撃。 切れるはずのないぶっとい綱が切れ、賽銭箱の上に鈴が落ちてきた。 ぐわららぁーん。 神さま逃げた。 鬼子さんは綱を握ったままぺたりと座り込んで、神さまが置いていったへしゃげた鈴をぼんやりと見ていた。 「あ……姐御……」 くるりと振り向くと、そこにはテンションがいつもの十分の一くらいに下がったヒワイドリとヤイカガシがいた。 「二人とも、なんでここに居るの?」 「そりゃまぁ……あっしらは、おっぱいのある所……どこにでも、駆けつけヤス、から……はは……」 自分のセリフのあまりの空々しさに胸がつぶれそうになるヒワイドリだった。 「……そんなに好きだったんでヤスね? 酒呑童子さまの事を……」 ヤイカガシの不要な一言に、鬼子さんはぼっと顔を赤らめた。
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462 :GoGo! ひのもとさん2/2[sage]:2010/11/07(日) 17:01:37 ID:MuEMRaYL - じわっ、じわっと涙腺から温かい液体が染み出てきて、慌てて顔を隠す。
「ちっ……違いますっ、だって、違いますもの、どうせ叶いませんもの……わたくしなんか、どうせこれっぽっちも見向きもされませんから、だから、これは……ひっ、うくっ、そうじゃ、ないんです……えふぅ……」 泣き虫の鬼子が泣きそうになるのはいつもの事だったが、このときばかりはどうにもならない無力感が彼らの心を束縛していた。 ヒワイドリとヤイカガシは、なんか声かけろと互いに肘でつつきあっていた。 (ヤバいっ、姐御を泣かせてしまったっス!) (お前が先に言えよ、もうこれ以上は限界だっ) (うぁぁっ! は、般若の目が赤黒く光ってるっ!) (早くっ! 姐御の暗黒面が暴走する前にっ!) 促されて、ヤイカガシがぼそりと口を開いた。 「あ、姐御は、あの酒呑童子さまを見て、なにか変わった事にお気づきにならなかったでゲスか?」 黒い瞳を瓶に落ちた碁石のようにゆらゆらさせて首を傾げる鬼子さん。 「変わった、事……?」 ヒワイドリとヤイカガシは頷き交わし、交互に言った。 「ほら、例えば何かこう、全体的にカクカクしてるとか……」 「あるいはずっとあそこに立ってて全然動かないとか」 「あと、なんか違う人っぽい感じがするとか……」 「そうそう、例えば作り物っぽ……」 彼らがついに核心に触れようとした瞬間。 空から鈴を転がしたような声が降ってきた。 「まつでしゅーっ!」
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463 :GoGo! ひのもとさん[sage]:2010/11/07(日) 17:04:48 ID:MuEMRaYL - ゆるゆる書いてきます
>>459ノシ
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