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◆cNVX6DYRQU
悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜

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剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
119 : ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 06:48:15 ID:nFJTi66V
すいません、>>117の予約に抜けがあったので
あらためて、柳生十兵衛、志村新八、オボロ、新免無二斎、佐々木只三郎、富士原なえかで予約し直します。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
120 : ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 06:49:22 ID:nFJTi66V
上記六名で投下します。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
121 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 06:53:27 ID:nFJTi66V
柳生十兵衛、志村新八、オボロの三人は、北からやって来た男と向き合っていた。
殺気はないが、その強烈な存在感を隠す事もせずに堂々と街道を歩いて来た男。
いつ誰に襲われるかわからないこの殺し合いの場では、ある意味、隠れ潜みながら近付いて来るよりも剣呑な態度と言えよう。
ただ一つ安心材料は、男が持つのが通常の剣術には向かない大剣で、男もそれを少々持て余しているように見える事か。
「失礼だが、御尊名を伺いたい」
「新免無二斎と申す」
十兵衛の問いにあっさりと返す無二斎だが、その名乗りは、十兵衛にとって十分に衝撃的なものであった。
「ほう、それは……それが真なら、お会いできて光栄」
「あの、知ってる人ですか?」
「知らぬか?新免無二斎殿と言えば、かの宮本武蔵殿の父御だ」
ひそひそと聞いて来る新八に囁き返す十兵衛。
「み、宮本武蔵って、どう考えても年代が合わないじゃないですか。ま、まさか、幽霊?」
そう、問題はそこだ。
十兵衛とて無二斎の生没年まで知っている訳ではないが、彼の認識によれば、息子の武蔵ですら既に老人に近い。
まして、足利義昭が将軍として京にいた頃に、その御前で戦ったという話が事実であれば、存命だとしても相当に高齢の筈。
なのに目の前の男は、老人どころかまだ青年と言って良い年齢に見える。
とするとこの男は新八の言うように幽霊か、より現実的に考えれば騙り者という事になるが……
だが、十兵衛には目の前の男の存在感が亡霊のものとは思えなかったし、すぐばれる嘘をつくような底の浅い男にも見えない。
そういう訳で対応を決めかねていると、太鼓と鐘の音がこの場にも鳴り響いたのだった。

刻を告げる音と同時に響いて来た声によって告げられる二十三名もの死者。
数刻前に立ち合った強敵を含むその名前を、特に感慨も見せる事もなく聞き流して行く無二斎。
新八とオボロは、知り合いの名が呼ばれなかった事にほっとしつつ、多すぎる死者に怒りを……新八は怖れも……露わにする。
対して、十兵衛は、呼ばれた名の内の幾つかに注目していた。
師岡一羽・斎藤伝鬼坊・佐々木小次郎……いずれも、とうに死没した筈の剣豪達だ。
ここまで続くと、目の前の無二斎も本物、つまり、この御前試合には死んだ筈の剣客が何人も参加していると考えるべきか。
異常な事態ではあるが、異常と言うなら、あの父が……柳生但馬守がこんな事に加担している事がそもそも異常。
だが、主催者に死者を蘇らせるような尋常でない術者がいるなら、或いは父を動かす事も可能かもしれない。
そう結論し、無二斎に、そしてこれから死んだ筈の剣豪を名乗る者に出会った場合も、本物として接する事にした十兵衛。
「無二斎殿。我等はこの御前試合なるものを叩き潰す為に動いている。宜しければ同行して下さらぬか?」
十兵衛も無二斎の人格までは知らないし、噂に聞く武蔵の容赦のない行いを考えても、新八を預けるには不安が残る。
しかし、三人を前にしてのこの態度を見ても、あんな脅しに乗せられて諾々と主催者に従うような者でないのは明らか。
主催者に父以外にも油断ならない者がいるとわかった以上、一人でその全てを相手するのは難しいだろうし。
そのような思惑で十兵衛は無二斎を誘ったのだが……
「『我等』か。その中には、そこに隠れている者も含まれているのか?」
無二斎の視線に誘われ、その場にいる全員が一箇所に目を遣ると、それを合図としたように、木陰からその男が襲って来た。

「がっ!」
いきなり飛来した鞘に直撃され、あっさりと気絶する新八。
それを追うように飛び出してきた男の剣を辛うじて止め、突き放す十兵衛。
(この刀は……)
十兵衛自身の愛刀とよく似た三池典太独特の作風、太刀と呼ぶには短い刀身と、恐ろしいほどに研ぎ澄まされた刃。
(まさか、権現様の……!?)
久能山に祀られている筈の宝刀をこの島に持ち込んだのだとすれば、やはり主催者は只者ではないという事か。
(いや、それよりも今は……)
十兵衛は気を取り直して目の前の相手と向き合う。
実際、この男は相当の遣い手。間合いの点で不利な筈の短い刀の弱点を、逆に強みに変えられるだけの腕があるようだ。
未だ見ぬ主催者に気を取られて注意を逸らせば、あっさりと懐に入り込まれて切り刻まれかねない。
顔色の悪さは精神の憔悴を表してはいるが、心を蝕む悪夢が剣士を進歩させる事は、十兵衛自身が身を以って知っている事。
心の中で己を叱咤すると、十兵衛は目前の相手に気合を向け直す。

剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
122 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 06:55:32 ID:nFJTi66V
「貴様も、死人なのか?」
「さて、どうかな。そうかもしれぬ」
睨み合いの中、佐々木只三郎が思わず発した問いに、はっきりしない答えを返す隻眼の男。
からかわれているのかと歯噛みしつつ、相手の片目による死角へと回り込む只三郎。
その情勢を見て頬被の男が前に出ようとするが……
「オボロ、俺よりも新八を頼む!」
気配でその動きを察したらしい隻眼の男がそれを止める。
新八というのは最初に倒した眼鏡の少年だろうが、隻眼の男は、その少年を誰から守ろうとしているのだろうか。
もし只三郎だけを警戒しているのならば、二人で掛かってしまえば、只三郎も倒れた者に止めを刺す暇などあるまい。
只三郎が手裏剣でも持っていれば話は別だが、それなら最初に鞘などを投げる必要がなかった事は容易にわかる筈。
とすると、隻眼の男が警戒しているのはもう一人の、大剣の男。
距離があったのと、妖術師の声が重なっていたせいで彼等の会話は聞き取れなかったが、信頼関係がある訳ではなさそうだ。
現に、眼鏡の少年が倒され、只三郎と隻眼の男が睨み合っている今でも、大剣の男は動こうともしないし……
(うっ)
ふと大剣の男に目を遣った只三郎は、男と目が合い、強烈な警戒感を掻き立てられる。
こちらを見詰める男の目は、冷徹そのもの。
戦う只三郎と隻眼の男の剣の全てを見切り、弱点を見出そうとする勝負師の目だ。
只三郎としては、ここで全員と闘うつもりではなく、奇襲の勢いで一人斃すか手負わせれば充分と思っていたが、甘かったか。
隻眼の男との戦いで剣を見せすぎれば、後で参加者を一人減らしたのとでは割に合わない不利を蒙る事になるかもしれない。
只三郎は僅かに位置を変え、大剣の男から見て隻眼の男の影になる位置に入ろうとするが……

(!!こいつ……)
隻眼の男は、只三郎が位置を変えたのに応じて自身も僅かに体勢を変える。
但し、只三郎が大剣の男から隠れるのを妨げようと言うのではなく、只三郎を自身の隻眼の死角に入れたのだ。
この分だと、先程、只三郎が隻眼の死角を取れたのも、この男がそう誘導しての事という事か。
つまり、この男は、隻眼の剣士と闘う時にはその死角に入るべし、という定石を逆手に取った剣を使うらしい。
確かに、剣客同士の勝負では多彩な状況が有り得、その全てに対応する技を編み出すのは至難の業。
彼我の位置関係だけでも特定でき、その状況に限定して技を磨けば、その条件を満たす間の技の冴えは相当のものになろう。
それこそ、視覚で直接的を捉えられない事による不利など、簡単に取り返せる程に。
相手の狙いがわかったからには位置関係を変えてしまいたい所だが、敵に死角があればそこを衝くのが、いわば剣の正道。
前から訓練していたならともかく、付け焼刃で無理に正道を外せば、どうしても剣に歪みが生まれる。
つまり、どちらにせよ不利なのは変わらないという事か。
だが、不利な点が何処かさえわかっていれば、やりようはいくらもある。
何しろ、只三郎には徳川の加護がついているのだから。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
123 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:00:04 ID:nFJTi66V
ソハヤノツルギの横薙ぎを十兵衛が外し、反撃の突きを只三郎は回転してかわす。
その勢いで剣を振り下ろす只三郎だが、僅かに軌道が甘い。
すかさず十兵衛も真っ向から振り下ろし、只三郎の剣を切り落とすと同時にその拳を削らんとする。
だが、十兵衛の剣は只三郎の拳に触れる前に止められた。
剣を止めたのは、只三郎が持っていたエペの柄。
その、葵の紋が入った護拳を手の中に握り込み、柄の部分で剣を止めたのだ。
只三郎の振り下ろしがぶれたのも、こんな物を握って剣の握りが緩くなった事による、いわば作られた隙。
エペの柄は剣を受ける事を想定したものではないが、元々拳を削るのに大した威力は必要ないし、
太刀の間合いの内側に潜り込まれない為に身を引きながらの一撃であったせいで、どうしても剣勢が弱くなる。
エペの柄という隠し球、そして、僅かな応酬で十兵衛が柳生新陰流だと見抜いた知識を最大限に活用した秘策だ。
そうして上手く十兵衛の剣を止めた只三郎は、一瞬の内に素早く間合いを詰めた。
小太刀の距離で只三郎と渡り合う愚を悟っている十兵衛は、何とか只三郎を止め、突き放そうと苦闘する。
剣を絡ませたまま横に走り、半回転し、後ずさり、やっと只三郎を突き放した時、十兵衛は目の前に無二斎が居る事に気付く。
無論、これは只三郎が仕向けた事。二人は今、無二斎を挟んで向かい合っていた。
無二斎の目的があくまで自分達の剣を見る事であって、十兵衛の助太刀に回る事はないと見切った上での行動だ。
案の定、無二斎は目の前を通る十兵衛を見詰めるだけで、背後を駆け抜ける只三郎に攻撃する気配はない。
加えて、さすがに剣を向けられれば無二斎も黙って居ないだろうから、互いに対して構える事も不可能。
二人は素早く無二斎の陰から出て、それから剣を構えるが、構えて攻撃する素早さなら、大刀より小太刀の方が絶対に有利。
エペの柄をしまった只三郎は、十兵衛よりも一瞬早く、一撃を放った。

「!?」
只三郎は目を瞠る。遅れて放たれた十兵衛の剣が只三郎の剣を打ち落とし、その腕を襲ったのだ。
剣の間合いの差がここでは只三郎に味方し、指や拳を傷付けられる事はなかったが、それでも軽い傷ではない。
「くっ!」
今度は横薙ぎで攻める只三郎だが、結果は同じ。
「ほう……」
無二斎が思わず感嘆の声を上げる程に、十兵衛の剣は、先程よりも明らかに鋭さを増していた。
ここに来ての、いきなりの十兵衛の進歩、これは実は、無二斎を盾として使うという、只三郎の戦術が生んだと言える。
と言っても、無二斎が十兵衛の手助けをしたという訳ではない。
十兵衛を助けたのは剣。破邪の剣である源氏の重宝村雨が、奇瑞を示したのだ。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
124 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:04:26 ID:nFJTi66V
先程、只三郎に死人かと問われた時、十兵衛は否定しなかったが、それは必ずしも韜晦ではない。
十兵衛は、日頃から常に死人に囲まれて生きて来たのだから。
何時の頃からだったか、十兵衛の身辺に地獄の鬼や亡者が跳梁するようになったのは。
初めの内は十兵衛も現れる鬼達を一々斬り捨てたものだが、際限のなさに諦め、彼等に囲まれる生活を受け入れた。
地獄の住人に苛まれ続ける中、時に、自分も気付かないだけで既に死んで亡者の仲間に入っているのでは、と思う事もある。
一方で、常に地獄の光景に苛まれる生活が心の鍛錬となり、十兵衛の新陰流が独自の境地を開く助けとなった一面もあろう。
だが、真剣勝負の場においては、彼等は十兵衛の集中を掻き乱し剣を鈍くする邪魔者でしかない。
そこで、妖怪に対して絶大な威力を発揮する神剣村雨が十兵衛の助けになった、という訳だ。

鬼も亡者も六道の一つ地獄道の正規の住人な訳で、それを妖怪と呼んで良いのかは疑問が残るところだが、
地獄に居る筈の者が地上に現れればそれは妖であり、妖が怪異を為して人を悩ませば、まあ妖怪と言っても良かろう。
それにそもそも、十兵衛の周りで踊り狂っていた者達が本当に地獄の住民なのか、という問題もある。
参加者の中には妖怪や術者の知る辺が居る者や、神の加護を受ける者も居るが、それらの存在もこの島に手出し出来ずにいる。
なのに、十兵衛を苛む者達だけが容易く十兵衛と共にこの島に入り込める、などという事が有り得るのか。
まあ、地獄の住人は、天人の一生ですら須臾に思える程の悠久の時を刻む世界で、永劫に近い生を過ごす者達。
しかも、その時間を、人間界の修行者よりも遥かに高次な苦行を積みながら過ごしているという見方も出来る訳で、
亡者が神を遥かに上回る通力を持っているという事も、有り得なくはないかもしれない。
だがその場合、それ程の存在が侵入して来て、島を覆う妖気と何の角逐もないというのは余りに不自然。
とすると、導かれる結論は実に単純。即ち、この鬼や亡者は十兵衛の心が生んだ幻影ではないかというものだ。
もしそうなら、人の心が生み出し、人を苦しめる存在……それは正に、真の意味での妖怪と言えよう。
それだからか、単に神剣の力が悪しき者全てに有効だったからか、村雨は十兵衛に憑いた者達を容易く切り裂いた。
十兵衛が無二斎の前を横切り、無二斎の傍で敵と対峙しているだけで、踊り回る亡者達は勝手に村雨に触れ、滅して行く。
そして十兵衛は、亡者達に悩まされる事で得た剣技を、万全な状態で振るえる機会を、遂に得る。

上で述べたような事情は只三郎には知る由もないが、十兵衛の技量が飛躍的に上昇したのはわかっている。
だが、只三郎はそう簡単に退く訳にはいかない。
鞘を失い、剣を見せ、手傷を負い……それで戦果もなく逃げる体たらくでは、優勝など到底不可能。
目の前の相手だけでも倒さんと、無二斎の事もオボロや新八の事も忘れ去り、十兵衛に全神経を集中させる。
或いは、亡者を喪った事で、十兵衛が技の冴えと共に人がましい心まで僅かに取り戻してしまった事を直感的に悟ったのか。
技ではなく、決死の覚悟をぶつける事にのみ勝機があると読んだ只三郎は、防御を捨てた全力の突きを繰り出す。
その突きを叩き落そうとする十兵衛だが、必死の想いに支えられた剣を逸らすのは、今の十兵衛にとっても困難。
二人の力が拮抗し……
「気を付けろ!」
オボロの警告の声が辺りに響いた。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
125 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:10:49 ID:nFJTi66V
富士原なえかは、未だ悪夢の中から脱する事が出来ずに居る。
蝦蟇に苛まれ、重荷を背負いつつさ迷い歩くなえか。
家族、友人、それにこの島で出会った清河八郎……亀裂の向こう側には、次々となえかの記憶にある者が現れ続けていた。
しかし、彼等はなえかを哀れむように、蔑むように見詰めるだけで、苦しむ彼女を助けてはくれない。
だが、ふらふらと歩く内に、遠く……亀裂の向こうの更に先に微かな光が見え、それに感応するが如く、懐中に温かみが宿る。
遠くの光と身体に感じられる熱は、何かを訴えかけて来るようで、なえかは一瞬、使命感のようなものを感じ取った。
それはただの錯覚。だが、それでなえかは、己に足りないものに本能的に気付く。
彼女が憧れる戦国武将、剣豪、志士……その多くが一人どころでない命を手に掛けた人殺し。
しかし、彼等は罪悪感に押し潰され掛けているなえかとは違う。彼等は、なえかが持っていない物を持っているから。
それは信念、信条、自信。己の行為が、殺人という禁忌を犯すに足る理由を持つと信じられる心だ。
国の為、剣の為、思想の為、野心の為、欲望の為……その目的が絶対の物だと思えるからこそ、彼等は殺人を怖れない。
なえかも、それが欲しいと思った。
戦う理由、その為なら倫理を踏み躙っても構わないと信じられ、人殺しである自分を許せるような理由が。
だが、なえかにそんな物が持ち得るのか。
何の前触れもなく連れて来られ、清河八郎が死んで知り合いの一人すら居なくなったこの島で。
島に来た当初は、強い剣士と闘ってみたいなどと思っていたが、その程度の理由で殺人を肯定できる程、彼女は強くない。
理由を見つけられないまま、無意識に光を求めて歩みを進めるなえか。
と、記憶にある顔が入れ代わり立ち代り現れていた彼岸に、なえかは二度と見たくなかった顔を見付ける。
清河を襲撃し、おそらくは殺害したのであろうあの男。
なえかが男を忌み嫌う気持ちとは裏腹に、身体は男に近付く事を求め、更に足を早めた。
命の恩人である清河の仇討ち……確かに、これならなえかが戦う理由になるかもしれない。
しかし、人殺しという点では男もなえかも同じだし、正当防衛気味に一人を殺しただけで打ちのめされているなえかに、
積極的にあの男を探し出して討つ、などという真似が果たして出来るかどうか……
少なくとも、そんな事をすれば、男と並んでなえかを見ている家族や友人と、元の関係には二度と戻れなくなるだろう。
だから、あの男の存在がなえかの救いになるかは微妙なのだが、それでもなえか一縷の希望に縋るように近付こうとした。
無論、亀裂で隔てられた先にいる男に歩いて近付ける筈もなく、なえかが進む分だけ男は遠ざかって行く。
但し、なえかが歩き続けている事は、実は無駄にはなっていない。
彼岸には近付けずとも、その更に先にいる光は、彼岸の者達のように逃げる事なく、なえかが進むにつれて近付いて来る。
そして遂に、光がなえかを照らした時、なえかの世界は劇的に変化を遂げた。
重荷となってなえかを苛んでいた蝦蟇、哀しげに人殺しとなったなえかを見詰めていた人々、彼女の行く手を遮っていた亀裂。
その全てが、光に照らされた途端に消え去ったのだ。
残ったのは、なえかを叱咤するかのように剣の形を取った光、なえかを鼓舞するかのように懐中で熱く光る珠、
光が剣を象るのを見て漸くその存在を思い出した手の中の剣、そして、全ての人々が消える中で何故か一人だけ残ったあの男。
この全てを認識した瞬間、なえかの身体は自然と動いていた。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
126 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:13:00 ID:nFJTi66V
「気を付けろ!」
オボロの声が響くが、全力で只三郎の刺突に抗している最中の十兵衛は、容易には動けないし、
十兵衛に全神経を集中しきった只三郎には、オボロの声も、近づいて来る者の存在も認識すら出来ない。
只三郎も十兵衛も反応できぬままに、飛び込んで来た人影と決闘の場が交錯した瞬間、只三郎の身体が両断された。
「見事!」
思わず、十兵衛が呟く。
飛び込んで来た少女の、殺気も作為も感じさせないままに只三郎を両断して見せた剣は十兵衛から見ても相当のもの。
父宗矩も一目を置く剣豪小野次郎右衛門が、かつて語ってくれた一刀流夢想剣を思い起こさせる程だ。
しかし、この高名な剣客の折角の褒め言葉も、今の少女……富士原なえかには届かない。
夢遊の内に剣を振るって清河の仇を討ったなえかは、それで満足したのか、再び眠りの世界へ舞い戻ったのだから。

【佐々木只三郎@史実 死亡】
【残り四十八名】

【にノ参 街道脇/一日目/朝】

【柳生十兵衛@史実】
【状態】健康、潰れた右目に掠り傷
【装備】打刀
【所持品】支給品一式
【思考】
基本:柳生宗矩を斬る
一:できれば無二斎に同行してもらう
二:信頼できる人物に新八の護衛を依頼する
三:城下町に行く
【備考】
※オボロを天竺人だと思っています。
※五百子、毛野が危険人物との情報を入手しましたが、
 少し疑問に思っています。

【志村新八@銀魂】
【状態】気絶
【装備】木刀(少なくとも銀時のものではない)
【所持品】支給品一式
【思考】基本:銀時や土方、沖田達と合流し、ここから脱出する
一:銀時を見つけて主催者を殺さなくていい解決法を考えてもらう
二:十兵衛と自分の知っている柳生家の関係が気になる
三:「不射之射」か…
四:天人まで?
【備考】※土方、沖田を共に銀魂世界の二人と勘違いしています
※人別帖はすべては目を通していません
※主催の黒幕に天人が絡んでいるのではないか、と推測しています
※五百子、毛野が危険人物との情報を入手しましたが、
 疑問に思っています。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
127 :悪夢の終わり ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:14:25 ID:nFJTi66V
【オボロ@うたわれるもの】
【状態】:左手に刀傷(治療済み)、煤、埃などの汚れ、顔を覆うホッカムリ
【装備】:打刀
【所持品】:支給品一式
【思考】
基本:男(宗矩)たちを討って、ハクオロの元に帰る。試合には乗らない
一:城下町に行く。
二:五百子、毛野を警戒。
三:トウカを探し出す。
四:刀をもう一本入手したい。
五:頬被りスタイルに不満
※ゲーム版からの参戦。
※クンネカムン戦・クーヤとの対決の直後からの参戦です。
※会場が未知の異国で、ハクオロの過去と関係があるのではと考えています。

【新免無二斎@史実】
【状態】健康
【装備】十手@史実、村雨@里見☆八犬伝
【所持品】支給品一式
【思考】:兵法勝負に勝つ
一:柳生十兵衛・オボロ・富士原なえかの剣を観察する
二:隙を見せる者が居たらとりあえず斬っておく
三:もう少し小さな刀が欲しい

【富士原なえか@仮面のメイドガイ】
【状態】足に打撲、両の掌に軽傷、睡眠中、罪悪感
【装備】壺切御剣@史実
【所持品】支給品一式、「信」の霊珠
【思考】
基本:戦う目的か大義が欲しい。
剣客バトルロワイアル〜第六幕〜
128 : ◆cNVX6DYRQU [sage]:2010/11/03(水) 07:15:48 ID:nFJTi66V
投下終了です。


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