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鳥たちは土の中で飛ぶ
【評価】創作物の批評依頼所【批判】

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【評価】創作物の批評依頼所【批判】
10 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 21:37:58 ID:BSQmsN3b
学校から帰ってきたら、庭で飼っていたニワトリが食われていたなんて話は、よくある話だ。

T 子供たちが屠殺ごっこをした話

通学路の途中にある養鶏所。匂いがきつくてたまらない。アホみたいな顔をしたニワトリがこっちを見ている。
何考えてんだ。鳥頭だから何も考えてないか。
しかしまぁ、こんなに臭くて狭くてあっつい場所に押し込められて。

「にがしてやろうか」

「だめだよ、そんなことしちゃ。養鶏所のおじさん困っちゃうよ」
 
いつも、家まで迎えに来る少年Aがわたしの赤いランドセルを引っ張ってくる。
オマエが迎えに来なければわたしは学校に行かなくていいのに。残念。

「冗談に決まってんだろ」

「……よかった。もう、早く行こうよ。遅刻する」

わたしは、まぁ、とぼとぼと少年Aの後ろについて行く。乾燥した土の感触。
もう一年近くアスファルトの上を歩いてない。ここはド田舎だ。見渡す限りの水田。まばらに見える民家。
雲ひとつない青空に蝉がミンミン泣いている。死ぬのがこわいのか。

「あんさぁ、オマエ唐揚げすき?」

「好きだけど?あ、そういえば今日の給食唐揚げだよね。え、あげないよ」

「昔、学校から帰ってきたら飼ってたニワトリ爺ちゃんに食われてたんだ」

「へえ……それは残念だね」

「突然いなくなってからびっくりしたよ。まぁ、オスだったからあんま旨くなかったんだと。
オスの肉は旨くねぇから、ふつう、雛の時点でバケツの中で踏みつぶされて殺されるんだって。
まぁメスだって最終的に人間に食われて死んじゃうんだけど。オマエならどっちがいい?」

「……何でそんな気持ちの悪いこと言うの。もうボク唐揚げ食べられなくなっちゃったじゃないか」

少年Aが真っ青な顔でこっちを見つめてくる。
じゃあオマエはなんで毎回こんな気持ちのわるいことしか話してこないわたしをかまうんだ。
それが、おかしくてならないよ。

「じゃあ、わたしが食ってやるよ。よかったな」

「やっぱりとるつもりだったんじゃないか!もう!」

そんなことを言いながら、行きたくもない学校に行ったのだった。
 
転入してからここ一年、まともにノートをとったことが無い。正直学校に来ている意味はないと思う。
けれど、あいつは来た方がいいと言う。転入してから、しばらく来なかったわたしを毎日迎えに来るようになった。
そして、聞いてもつまらないだろうわたしの話をせがんでくる。何なんだ。
ほんとうは、家から近いくせに。なにやってんだ。
わたしはオマエのことがよくわからない。
【評価】創作物の批評依頼所【批判】
11 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 21:41:23 ID:BSQmsN3b
U 銀貨

夜、むきだしの電球一個が天井から我が家を頼りなさげに灯している。
床の間の障子は開きっぱなしにしているから、夜風が涼しい。 蝉と鈴虫がわたしのために演奏してくれている。
何の手入もしていない草がぼうぼうの庭は、彼らにとってさぞかし楽園であろう。 明日、全部刈ってやろう。 そうしよう。

「また卵かけご飯かよ」

かつて父と呼んでいた現在虫以下の肉の塊が襖を開けてやってきた。 わたしと似た顔のわたしと似たような体格の人間。もう四十がくるというのに子供のようだ。 何もしないから、きっとこの男の手の方がきれいであろう。
何もしないくせに腹だけは空くんですね。     実におもしろいです。

「働かねぇくせに文句言うなよ。これが一番栄養とれんだ」

眉間に皺が寄っている。 本当のことなのに。 無視してわたしは箸をすすめる。
口の中にねっとりとしたゾル状の物質が広がるのがわかる。 正直、食べ過ぎて味がしない。
いや、何を食べてもそんなに何も感じないけれど。 父と呼んでいたものが私の前に座って、無言で食べ始める。
泣きそうな顔すんなよ。 かわいいなあ。

「母さんから手紙が来たよ」

「……僕には関係ない」

「わたしにこっちにこないかだって。再婚して今東京にいるって。幸せなんだって」

「かってにすれば」

そう言いながら、剥げ散らかした畳をむしるその手は何なのか。
この一日中眠っている男は、わたしがいなくなったら確実に死に至るだろう。 ふあんなの?わかりやすいね。

「わたしがいなくなったらこまるくせに」

「……」

こどもみたいに。にらむなよ。 ああ、手ぇ怪我したじゃないか。 かわいそうに。

「わたしがいなくなってもいいのか?ちゃんと言わないとわからないよ」

「……」

「……」

「…… いやだ」

かすれた、ちいさな声。 ずっと声も出してないもんなあ。

「嫌なんだ?」

「……いやだ」

男はしくしく泣きはじめた。 こうして毎日毎日この男を追い詰めるのが、楽しすぎて泣けてくる。
手をひっぱって、ろくすっぽ洗ってない煎餅布団に連れて行った。
そういえば、身長があまりかわらなくなったなあと思う。女は成長期が来るのが早いらしい。
わたしも来年は中学生だ。いつまでこの男をみてあげられるのだろう。
頭をなでてあげると、気持ち良さそうにすやすや眠りについた。 わたしも早く寝なければ。
わたしにはやらなければならないことがあるのだ。いきるために。
床の間を片付けた後、ひきっぱなしの自分の布団にごろんと横になる。
何もせず死んでいく鳥と食べられる運命の鳥と考えすぎて何もできなくなってしまった大人。
だれがいちばんかわいそうだろうか。
【評価】創作物の批評依頼所【批判】
12 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 21:42:08 ID:BSQmsN3b
V 疫病

 早朝、まだ真っ暗な、夜のおわりごろにわたしは自転車で新聞配達に行く。
 誰もいない道を、ブレーキすらかからないほど速く、速く、抜けるのは最高だ。
 いつもの通学路に差し掛かり、養鶏所の前へ。ひとの気配がした。
 ひとが、こわれた螺子巻き式のおもちゃみたいに、なんども、なんども、同じ場所を歩いている。
 いつも卵をわけてくれる養鶏所のおじさんだった。

「どうしたんですか?」

「―― ああ、先生の家の子か。先生の病状はどうだい?」

「父は相変わらずです。でも、空気のいい自然のいっぱいあるこの村に来れてだいぶ良くなっていると思います」

「そうかい。君はえらいね。今日も卵をわけてあげたいんだけどねえ……」

「……」

「昨日ねえ、役場の人が来てねえ、この鳥たち、みんな病気でころさなきゃいけないんだって」

「……かなしいんですか」

「へんな話をしてしまってごめんね。誰かに話したくってねえ。悔しくて……惜しくて……でも涙が出なくて……実感がまだないんだよ」

「どうやってころすんですか」

「土の中に埋めるんだよ。今日は穴を掘らないといけないなあ」

 そう言って、また無言で歩き始める。
 養鶏所のおじさんの顔がスーパーで売られている安い鶏肉みたいに、かたく、つめたくなっていた。

 朝、学校に行くと飼育小屋に黄色いテープが張られていた。『近づかないように!』と書かれたダンボールが付いている。
 ニワトリたちは相変わらず、アホみたいな顔して何も考えれないみたいだった。

「なにこれ」

「ああ、病気らしいよ。近くの養鶏所の鳥と一緒にころすんだって」

 さも興味が無いように少年Aは目を手元の本に戻した。
 ちょっと冷たいところがあるよなコイツ。

「ふーん」

 なにかをするために生まれてきたのに。
 なにもしないまま死んでしまうのか。
 どうでもいいけど。
【評価】創作物の批評依頼所【批判】
13 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 21:49:13 ID:BSQmsN3b
W 紅い林檎

夜、母親から電話を受け取ると、それは、ボクがいつも迎えに行っている女の子からだった。
普段めったに電話なんか掛けてこないのでうれしい。今度はどんなおもしろいことを言うのだろうか。
『いまヒマ?』「ひまだけど、なに?」
『いまから、ガムテープと懐中電灯持って学校に来い』「ええ?今から?」
『八時に集合。じゃあな』
――ガチャッ!――ツーツー……
彼女はいつも独善的で自分勝手だ。全部自分が正しいとでも思っているのだろうか。
そういうところがおもしろすぎてたまらない。さぁ、どうやって家を抜けようか。楽しくなってきた。
寝るふりをして、布団の中に服をいっぱい入れて、それを身代りに、ボクは堂々と玄関から家を出た。
玄関の前の磨りガラスの戸から両親がテレビドラマを見ているのがわかる。一時間は余裕がありそうだ。
布団の中の服を戻すのが面倒だが、これから起こるであろうこと考えると、どうでもよくなる。はやく彼女に会いたい。
彼女の家に寄らなければ、ボクの家から学校までは五分とかからないので、あっというまに校門の前へ着いた。
おおきな麻袋を持った少女が、街頭の下にぽつんと立っていた。

「手伝え」
それだけ言って、校門をよじのぼり、中へどんどん進んでいく。校門は一メートルも無いので正直意味が無い。
ボクも彼女にならってそれを越えた。夜の校舎はやたら暗くおおきく見えて、こわい。
去年村の公民館で『学校の怪談』という映画が上映されて以来、ボクは怖いものが苦手になった。
中に進むと、彼女は飼育小屋の前でじっとしゃがんでニワトリを見つめている。
「なに?どうするの」「……」
最近、彼女は養鶏所の前のニワトリを見つめていたり、どうしようもない仕方ないことを言ったり、何かあったのだろうか。
「にがしてやるんだ」
そう言って、飼育小屋の安っぽい錠前の留め具の穴に近くにあった箒の柄をつっこみ、梃子の原理で引き抜いた。
「この袋にニワトリを入れろ、全部だ」 「むっ無理!無理だよ」
「男だろ、ニワトリくらいで何びびってんだよ」 「だって、こいつら近所の赤ちゃんの目ぇ突いたってウワサ聞いたし」
「……じゃあいい、オマエはこの袋持ってろ。放すなよ」
動きまわるニワトリがこわくて、ボクは見ているだけで、結局、彼女ひとりで全部捕まえた。
もごもご動いている麻袋がこわい。くるしそうだ。でも、彼女はきっと自分が正しいと信じている。
「ねぇ、袋持ってよ。これ、動き回って気持ち悪いんだけど」
「行くぞ」
そう言うと、彼女はボクの手から袋を奪って校舎の方へどんどん進んでいく。
「ええ?校舎に入るの?良くないよ」 「ガムテープ持ってきたか?」
「持ってきたけど……」
はい、と彼女に渡すと、彼女はおもむろに窓ガラスに張り付け、箒の柄でゴン!と殴り割った。
音はそれほど響いていない。ねぇキミ、どこでそんなこと覚えてきたの。
時折見受けられる彼女の不可解な行動にボクは驚かされてばかりだ。
「これでオマエも共犯者だ。あきらめろ」 「ええー」
「うるせえなあ。早く行くぞ」
怪我しないように開けた穴に腕を突っ込み鍵をあけ、堂々と侵入成功。真っ暗で何か出そう。もう嫌だ。
でも、わくわくしている自分がいる。
「懐中電灯は?」 「あ、忘れた」
「このばか」
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14 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 21:51:38 ID:BSQmsN3b
ぽかりと殴られた。痛い。でもキミだって麻袋しか持ってきてないじゃんか。
真っ暗な廊下を月明かりだけを頼りに、ふたりで歩いた。職員室の前まで来ると、麻袋を押しつけられる。
彼女はひとり職員室の中へ。
ボクは生き物が嫌いだ。生温かくて、気持ちが悪い。もごもご動く麻袋から生きていると実感できて吐きそうだ。
早く戻ってきてよ。
「ねぇまだー?なにやってるの?」 「うっせえなあ、静かにしろ。もう終わったよ」
手元にカギを持って彼女は戻ってきた。
「それどこのカギ?」 「屋上」
「?」 「行くぞ」

電灯の着いていない階段をボクたちは用心深くあがった。結局、麻袋はボクが持ち続けることになったのだけれど。
不思議なことにニワトリたちは騒がなかった。今からおこることにじっと待ちかまえているのだろうか。
これから何が起こるのか。そして、どうなるのか。ボクは楽しくてしかたない。彼女が屋上のカギを開け、扉の向こうへ。
村で一番月に近い場所。普通なら、ボクたち学生は一度もここには来ることができない。屋上は立ち入り禁にされている。
「うわあ、きれいだねえ。星がいっぱい!」 「流石田舎だな」
ボクが天上一面の星々にみとれているあいだに、彼女は麻袋の紐をとき、一羽のニワトリを抱えた。
彼女がさすってあげると、ニワトリは気持ちが良さそうにアタマをこすりつけていた。
柵のない屋上の端まで来ると、ばっと、ニワトリをその手から放し。
 ニワトリは、
  ばさばさと、
   力いっぱい羽を動かし、
    図画工作の教科書で見た、
     木版画みたいに、
   彫刻刀で削り出された荒い月と、
 墨のような生温い夜に、
滲んで消えた。
ひどい惨状だった。肉と骨が潰れる音を初めて聞いた。さすがに地面をみる勇気はない。
でも、ニワトリたちは飛ぶことをやめなかった。ボクはとめなかった。彼女はそれを見ていた。
帰り道、ふと、彼女に聞いてみた。
「何であんなことしたの」
「どうせ死んじまうんなら、すきなことしたほうがいいだろ。なにかするために生まれてきたんなら」
彼女は変わらない。いつも。いつまでも。わからないけど。誰かはおかしいと言うかもしれない。
でも、彼女はそれでいいんじゃないかとボクは思う。彼女は後悔とかしないと思うから。たぶん。
そうして、ボクたちは真っ赤な地面と真っ黒な空のあいだを家路に着いたのだった。

翌朝、登校すると、校庭は血のあとひとつも見つからないくらいにきれいになっていた。
彼女が何かしら反応するのかと期待していたが、いつもの通りだった。飼育小屋には、もうニワトリはいない。
でも皆そのことに何も言わない。
それらが連れて行かれることはすでに決まっていたことだし、そもそも初めから、ニワトリはそんなに人気がない。
飼育小屋の主役はいつだって、あのふわふわでかわいいウサギだった。そうやって、忘れてしまうものなんだろうか。
なにもかも。
昼休み、彼女は教室の一番後ろの席で眠っている。
学校は寝るか、昼ごはんを食べられるところであるとしか認識してないみたい。ボクは話しかけてみた。
「ねぇ、昨日食べたもの覚えてる?」
「朝は卵かけマヨネーズご飯。昼は鯖の煮込みとご飯と大根の入りのみそ汁と林檎のサラダ。夜はお茶漬けとたくわん」
「ねぇ、その前の日は?」 「おぼえてるよ」
「ねぇ、じゃあそのずっと前の日は?」 「おぼえてる、ぜんぶおぼえてるよ」
ボクは、みんなと同じで、きっと忘れるだろうけれど。彼女は、ほんとうに全部覚えているのだろう。
彼女のそういうところがボクは気に入っている。
それにしても、あの鳥たちは飛べたのだろうか。じぶんのやりたかったことをできたのだろうか。
end
【評価】創作物の批評依頼所【批判】
15 :鳥たちは土の中で飛ぶ[sage]:2010/11/03(水) 22:03:40 ID:BSQmsN3b
少女小説に投稿したんですが、駄目でした。
文章が読みにくいのでしょうか?批評よろしくお願いします。


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