- 【からくりメイデン】〜La Pucelle de Karakuri〜
170 :【第17幕】[sage]:2010/11/01(月) 08:40:06 ID:X3P/HmOr - からくり〜道化のフウ〜
フウ「皆様しばらくぶりです。どうやらご心配をお掛けしてしまったようで誠に申し訳ございません」 フウ「私が何をしていたか気になっているでしょうか?そんな事よりもこちらの人形劇をご覧頂きたい」 フウ「彼ら彼女らが町にいた時、別の彼ら彼女らは何をしていたのか。そして『敵』の正体とは……」 フウ「大きな2つの歯車は…もう、すぐそこまで近づいているのです……『からくり』編最終幕の始まり、始まり……」
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171 :【第17幕】[sage]:2010/11/01(月) 08:44:39 ID:X3P/HmOr - 勝「ここがフウさんの会社かぁ……」
雛苺「とってもおっきいの〜」 ギイ「フウは世界の財産の30%を持っているからな」 金糸雀「30%!?それはスッゴいかしら!!こうなったらカナが楽してズルして……って、置いてかないで欲しいかしらぁぁぁ」 雛苺「中はもっとスゴいの〜」 勝「高そうな置物がいっぱいあるね」 使用人「お待ちしておりました。フウ総帥があちらでお待ちです」 金糸雀「おかしいかしらっ!カナ達が来る事はフウって人に言ってないはずなのにっ!!」 ギイ「会えばわかるさ」ガチャッ フウ「日本からよく来てくれたね。私はフウ・クロード・ボワローだ。フウと呼んでくれ。勝君、雛苺さん、金糸雀さん、そして……ギイ君」 勝「何で雛苺達の名前を!?」 勝「それに、どうしてギイさんが生きている事を知ってるの!?」 フウ「あたしは何でも知りたがり……そして何でも知っているんだ」にや…
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172 :【第17幕】[sage]:2010/11/01(月) 09:01:50 ID:X3P/HmOr - フウ「証拠だって、こんなにある」パラ…
雛苺「わああ〜〜この写真、ぜぇ〜んぶヒナたちしか写ってないの」 金糸雀「カナとギイさんの写真の方が多いかしら〜〜」 勝(ますますおかしい!!この写真はブロム・ブロム・ローと戦った……ついさっきまでのぼく達の写真じゃないか!!) 勝「いつ、どうやって撮ったんだ……」 フウ「タネあかしの時間だ」パチン フアア…… 勝「何だ、この光る煙は!?」 ギイ「『蟲目(アイセクト)』と言う小さな虫型の自動人形がある。そいつにはカメラとマイクと発信システムが付いているんだ」 勝「まさか、あなたはそれを使って!?」 フウ「ああ、そうさ。蘇った3人の『しろがね』や自動人形の動きに付いて……後は他の薔薇乙女についても知っているねぇ」 全員「なっ!!」 勝「蘇った『しろがね』ってギイさん以外に誰がいるの!?」バッ!! 雛苺「ねぇねぇ、真紅は翠星石は蒼星石はぁぁ!?」ズイッ!! 金糸雀「しろがねって何かしらぁぁぁ!!」ギョワッ!! ギイ「みんな落ち着くんだ」 フウ「流石ギイ君。どんな時でも冷静だな。さて、まずは蘇った『しろがね』について話そうか」 フウ「最初はアイセクトの故障かと思ったよ。何せ一瞬眩しくなったと思ったら、そこには死んだはずの人間がいたんだからね」 フウ「まず1人目はギイ君、君さ。発見場所は日本で半月ほど前だったかな。次に蘇ったのはルシールさ」 ギイ「ルシールだと!?」 雛苺「マサル〜誰なの?」 勝「ごめん、ぼくも分かんないや」 ギイ「以前いっしょに旅をしていた仲間さ。死んでしまったがね」 金糸雀「その人も……」 フウ「だが、生き返った。話を続けさせて貰うよ。ルシールは一週間前に中東で確認した。そして、つい一昨日に復活を確認したのが『フェイスレス』さ」 勝・ギイ「「な…ッ!?」」
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173 :【第17幕】[sage]:2010/11/01(月) 09:05:16 ID:X3P/HmOr - 勝「フェイスレスまで!?一体どうして!?」
フウ「残念ながら、このあたしにも分からないね。ちなみにアイセクトはすぐに破壊されたよ。全く抜け目のない奴さ」 ギイ「まさか奴も蘇るとはな……」ギリッ! 金糸雀(今のギイさんとっても……怖いかしら) 雛苺「『ふぇいすれす』って人はマサルのお友達なの?」 勝「フェイスレスは……自動人形を生み出した人間で、ぼくを自分の器にしようとした奴なんだ……」 雛苺・金糸雀「えっ!?」 ギイ「狂っている奴さ。惚れた女と結ばれる為にマサルを……いや、世界中を巻き込んだんだ」 勝「そいつの計画では自分の人格をぼくに『転送』して、ぼくを乗っ取るつもりだったんだ」 ギイ「だがその計画は防がれた。そして自分の思い通りにならないと分かると、奴は自動人形を使って世界を滅ぼそうとしたんだ」 フウ「まあ、あたしらが頑張ってどうにかしたがね」 雛苺「自動人形を作った人…」 金糸雀(カ…カナはあんまり関わりたくない人かしら…) ギイ「あいつが蘇ったとなると世界とエレオノールが危ないな」 勝(でもフェイスレスは最後にぼくらを助けてくれたんだ……)
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174 :【第17幕】[sage]:2010/11/01(月) 09:07:16 ID:X3P/HmOr - フウ「さて話を急ごう。雛苺、金糸雀。君達の姉妹である薔薇乙女は次の人達と契約をしている。真紅はエレオノールと、蒼星石はカトウナルミと。後は翠星石、水銀燈の2体は共に契約をしていない。彼女らにルシールを加えたメンバーで今は旅をしている」
勝「鳴海兄ちゃん達も!?」 ギイ「向こうにもドールが来ているのか。何か不思議な巡り合わせを感じるな」 金糸雀「真紅も翠星石も蒼星石もみんないるかしら〜」 雛苺「す…水銀燈もいるのね……」 フウ「彼らは今アメリカに」 ビーッビーッ! 「緊急事態です。緊急事態です」 勝「いったい何が!?」 雛苺「サイレン怖いの……」 使用人「失礼します、フウ様。侵入者が現れました!恐らく自動人形と思われます」 フウ「そうか、分かったよ」 金糸雀「カナとギイさんが退治してくるかしら!」 フウ「いや、いいよ。あんたら……特にギイ君と勝君は最近の戦いで消耗しているはずだ。あたしに任せておきな」 ギイ「そうか。では休ませて貰おうか」 フウ「さて、この機会にひとつ『自動人形の弱点』を教えてあげよう」にいッ 〜からくりメイデン〜
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175 :【第18幕】[sage]:2010/11/01(月) 09:09:56 ID:X3P/HmOr -
からくり〜弱点〜 雛苺「し、し、侵入者って誰なの〜!?」 勝「安心して雛苺。ここはフウさんに任せて」 フウ「そうさ。あたしにお任せ。ついでに『しろがね』と呼ばれる者についても教えてあげ… ド ガ シ ャ ァ ァ ァ ン !! 雛苺・金糸雀「きゃあっ!!」 フラーヴィオ「邪魔するぜぇぇ!!」ズンッッッ!! 勝「この自動人形も強そうだよっ!!」 フウ「話の途中に来るとは…バカのフラーヴィオか、あたしゃツイているねぇ」 フラーヴィオ「テメェッ!!」ドガァッ!! ボキ…ッ! フウ「ぐぐぅ……っ」プシャァ… 雛苺「フウさん、腕があっ!」 フウ「いたた…。見ていて…ごらん…これが…『しろがね』の回復力さ」ピキ… ピキピキ… 金糸雀「傷がもう治ったかしら!」 フラーヴィオ「余裕見せてんじゃねぇよ!」ズン…ズンッ!! フウ「…引っかかったね」パチッ フラーヴィオ「はあぁ!?」 使用人「…」パカッ… ドシュアッ!! 勝「使用人の人形の口から鎖がっ!!」 金糸雀「お手伝いさんも人形だったかしら〜!?」 ジャララララ……ガシイン!! フラーヴィオ「何だよコレ!?動けねぇっ!!」 ギイ「上手いな。奴の可動できる部分のみを狙っている」
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176 :【第18幕】[sage]:2010/11/01(月) 09:12:27 ID:X3P/HmOr - フウ「ギイ君。すまないがオリンピアを借りるよ」
ギイ「手荒な使い方はしないでおくれ」 フウ「ありがとう。傷を付けないよう気を付けようかね」ガチャ… スチャッ!! オリンピア「…」キリキリ… フラーヴィオ「な…何をするつもりだ!?」 フウ「なあに、“抱きしめる”だけさ」キュ… フウ「オリンピア<聖母の包容>!」キュキィッ ! オリンピア「…」パキュン!! 金糸雀「オリンピアの指が注射器に!?」 雛苺「い…痛そうなの〜」 オリンピア「…」ザシュシュシュ!! ブジュウゥウゥウ!! フラーヴィオ「うおおおお!体液が吸われるぅぅ!?」 フウ「こいつら自動人形は『疑似体液』というもので命を吹き込まれたのさ」 ギイ「疑似体液とは、ゾナハ病を引き起こす『病原体』の塊だ」 勝「けど、その病原体は世界から消えたはずなんだ!」 雛苺「じゃあ、この自動人形は何で動いているの?」 フウ「それをこの実験で確かめるんだ!」キュウッ!!
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177 :【第18幕】[sage]:2010/11/01(月) 15:39:55 ID:X3P/HmOr - オリンピア「……」ギュァァァァァッッ!!
フラーヴィオ「ぐおおおおぁぁぁ!!!!」ドプ……ッ ブ シ ャ シ ャ − ッ !! ビチャチャ… 金糸雀「うう…部屋中が銀色の液体で……おえっぷ」 雛苺(この液体…アレに似ているの!!) オリンピア「……」ズボオッ!! フラーヴィオ「ちくしょうっ!クソ!!クソ!!クソオオォォォォ!!!!!なめやがって!!お前らの血をよこせぇぇ!!」 金糸雀「まだ生きてるかしら!?」 ギイ「なかなかタフだな」 フウ「やれやれ…お前さんにはこれをやるよ」ヒュン…ザクッ 勝「ナイフ!?」 フウ「ただし、あたしの血がべっとりと付いているがね」にいっ フラーヴィオ「何だと!?このォ、テメェ…ご、ごえぁぁぁあ!!」びしゃしゃ…バタッ! 金糸雀「え!?え…!?」 ギイ「『しろがね』の血が体内に入ると自動人形は体の内側から破壊される。つまりは奴らにとっては猛毒という事さ」 ギイ「だが、しろがねの回復力を見せるためとは言え、わざわざ奴の攻撃を貰わなくても良くなかったかい?見たところ腕を複雑骨折したようだが…」 フウ「あたしは科学者でも技術者でもあったんでね……実証しないと気が済まないのさ」 勝(この光景は雛苺達にあんまり見せたくなかったなァ)ちらっ 雛苺「大丈夫よマサル…」じっ…
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178 :【第18幕】[sage]:2010/11/01(月) 15:47:11 ID:X3P/HmOr - フラーヴィオ「う……ぐがあ……………」
フウ「さて、この体液を調べるとするかね。なあに、この機械を使えば1分もかからないさ」 金糸雀(いかにもな機械かしら) ガシャッ…ウイーン…ギュルル……………………プシューー!! フウ「これは……」 ギイ「何が分かった!?」 フウ「いや、何も。このあたしが少しも理解出来ないなんて…」 勝「そんな……」 雛苺「ローザミスティカ……」 全員「えっ!?」 雛苺「あのどろ〜ってしたのはローザミスティカに似ているの」 金糸雀「確かに少し似ているかしら」 フウ「ローザミスティカとは何かな?」 勝「雛苺たち薔薇乙女に命を与えているものなんだ」 ギイ「……まさか!?」 フウ「なるほど……」 勝「そうか……!」 金糸雀「何のことかしら?」 勝「雛苺たちはローザミスティカで動いているね?」 雛苺「うゆ、そうなのよ」 ギイ「自動人形は疑似体液で動いていた」 金糸雀「でも、今の人形は疑似体液で動いてなかったかしら」 フウ「そうだね。だが重要なのは疑似体液もローザミスティカも人形に命を吹き込めるということさ」 金糸雀「それって…!?」 フウ「そう…自動人形に命を与えたのはローザミスティカを持つ者…つまりローゼンメイデンの内の誰かである可能性が高い。誰か心当たりはあるかい?」 雛苺「…雪華結晶……」 金糸雀「……」
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179 :【第18幕】[sage]:2010/11/01(月) 15:50:32 ID:X3P/HmOr - フウ「その人形について…詳しく話して貰えるかい?」
雛苺「…うい……」 勝「雛苺、ぼくも付いて行くよ」 雛苺「大丈夫。ちょっとだけお話をして来るわ、マサル…」にこ 金糸雀「雛苺……」 ギイ「やれやれ」 ギイ「フウよ、道化なら少しは僕らを楽しませてくれても良いんじゃないかい?」 フウ「そうだねぇ。じゃあ良いニュースを2つほど」 フウ「まずはこれ」ガチャ… 勝「これは!!」 ジャコ「……」バンッッッ!!!!! フウ「平馬くんからジャック・オー・ランターンを預かっていた。ギミックも増やし、すぐにでも動かせるようにしてあるらしい」 金糸雀「もう!?あの子に預けたのは、ほんの数日前だったかしら!?」 フウ「2日徹夜したと言っていたが、さすが人形繰りの村の子だよ。そして2つ目…」 フウ「カトウナルミ達が君達と合流をする」ニヤっ 勝「え!?」 ギイ「な!?」 全員「 え え ぇ 〜 !? 」 からくりメイデン〜一時閉幕〜
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180 :【番宣】[]:2010/11/01(月) 23:30:34 ID:X3P/HmOr -
ブカブカ ドンドン 。 さてさて皆様。一度終わり、そしてもう一度演じられました【からくりメイデン】も月日は流れ、もはや20幕目に入ろうとしております。 薔薇の乙女との不思議な出会い… 蘇ったかつての仲間と憎むべき病気… 再び動き出した自動人形… そして…それらを操る者、雪華結晶… 様々な演目を演じましたが今回の演目はこの人形劇の大きな節目となることでしょう。 今宵演じられますは果たして…… 超熱血骨董人形活劇、因縁と対決の第19幕であります。
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181 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:33:13 ID:X3P/HmOr -
メイデン〜結婚式〜 ラプラスの魔「やあやあ皆様お元気そうで何よりですな。おや…嬉しそうなそのお顔は探し人が見つかった顔だ…」 ラプラスの魔「先ほど演じられた『からくり』編が最終幕という事で、これで『メイデン』編も終幕となります。しかし、この人形劇はもう暫く続くのでご安心を…」 ラプラスの魔「さて、前回の『メイデン』編では恐ろしきゾナハ病を扱いました。そして『からくり』編では『メイデン』編の面々が集結頂くことが分かりました」 ラプラスの魔「次第に明らかになっていく敵の正体…集う仲間達。順調に物語の歯車は廻っております」 ラプラスの魔「くくく…そう…不気味なくらいに順調だ」 ラプラスの魔「それでは『メイデン』編最終幕の始まり、始まり……」
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182 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:34:02 ID:X3P/HmOr - しろがね「やっと待ち合わせの町に着きましたね」
鳴海「おう。なあ、ここにサーカス団が来てるみたいなんだがちょっと見に行かないか?」 しろがね「もう!今は集合を優先させるべきです」 鳴海「ちぇっ。まあ、おっかねぇばあちゃんに雷落とされるよかマシか。走るぜしろがね!」ぎゅっ しろがね「あっ…」ドキッ しろがね(ああ。やはり私はナルミが大好きだ)にこっ 〜ホテル〜 ルシール「わかったよ…」 水銀燈「ねぇ、ルシール」 ルシール「ちょっとうるさいのが来たからお話はここまでさ」ガチャン 水銀燈「電話は良かったの?」 ルシール「ああ、ところで何だい?」 水銀燈「ルシール、左手を出しなさい」
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183 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:35:29 ID:X3P/HmOr - ルシール「契約の指輪か…。良いのかい?こんなおばあちゃんじゃあ力はそんなに貰えないよ」ニヤ
水銀燈「契約者は体だけじゃなくて心の力も大切なのよ」 水銀燈(それに…もう力なんて…) ルシール「そうかい。なら尚更およし。なにせ私のこころは闇の色をしているんだ」 水銀燈「良いからやるわよ!!」 ルシール「やれやれ…」 バサッ… ルシール「シーツ?何だいこれは…」 水銀燈「雰囲気作りよ」 ルシール(ふ、まるで結婚式だね…) 水銀燈「さあ、始めましょう」 水銀燈「病める時も健やかなる時も…」 ルシール「私ゃ病みっぱなしだったけどね」 水銀燈(あの子と同じことを…)ふっ 水銀燈「死が二人を別つまで…?」 ルシール「いいえ」 水銀燈・ルシール「「 死 ん で も 一 緒 だ わ 」」 パアアアア…
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184 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:39:13 ID:X3P/HmOr -
コソコソ…… 翠星石「み、見ましたか!?『ふっ』って笑いやがったですよ!!あの水銀燈がっ!!」 蒼星石「ゾナハ病棟から帰って来てから丸くなったよね」 真紅「ええ、あの子が他人にあんなに心を開くをなんて……」 翠星石「あっ!こっちに来るですぅ!!」ひゅん 真紅「退散ね」ひゅん 蒼星石「あっ!!ちょっと」 ルシール「結婚式なんて意外とロマンチックだねぇ」 水銀燈「別に良いでしょ」クスッ ルシール「ところで水銀燈。あんたにとって”めぐ“とは何だい?」 水銀燈「な…!!どうしてそれを!?」 ルシール「ゾナハ病棟でその名前を聞いた時にお前さんの様子が変わったから気になってね」 水銀燈「……」 水銀燈「こっちの世界にも偶然おなじ名前の子がいるみたいだけど、私の前の世界のマスターよ…心臓だかの病気にかかっていて、死ぬのは怖くないだの、自分は“壊れた子”だのってウルサいイカレてる子よ」 水銀燈「しかも、私を天使なんかって言って……こっちの『メグ』もあっちの『めぐ』もとんだおばかさんよ…」 蒼星石(マズい事聞いちゃったかな……) ルシール「……」 ルシール「その子、大切にしておやりよ」 水銀燈「それどういう意味… 「お〜い、どの部屋にいるんだルシール!」 「大声は他のお客様の迷惑になりますよナルミ!!」 「やべっ!!」 水銀燈「どうやら帰って来たみたいね」 ルシール「ふう、全くあの子らは」 ルシール(結婚式か……) ルシール「ねえ、水銀燈。お前さんに本当の結婚式を見せてあげるよ」 水銀燈「え?」
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185 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:40:13 ID:X3P/HmOr - ルシール「突然だが私達は明日イギリスに行く事になった。どうやら向こうでも薔薇乙女が発見されたみたいでね」
真紅「ということは金糸雀と雛苺ね」 蒼星石「2人とも目覚めたのかな?」 翠星石「そうらしいですよ」 水銀燈(全てのドールが目覚めたのね。私は今、この子達と戦えるの……?) ルシール「そして今日、ナルミとエレオノールの結婚式を開こうと思うんだが、どうかえ?」 鳴海「結婚式だとぉ!?」 ルシール「ああ、私が命を助けた事がある男が、今はこの街の町長になっているみたいでね」 翠星石「教会を貸し切りにするっていう話ですよ」 しろがね「ぜひとも!!ありがとうございます先生!!」キラキラ ルシール「いや、良いさ。何せ特別な結婚式だからね」 蒼星石「何が特別なんですか?」 しろがね「しろがね同士で結婚したのは私達以外にたった一組だけなのです」 真紅「それは特別ね」 しろがね「はい!!その女性、『アンジェリーナ』さんは何とルシール先生の娘さんなのです!!」 水銀燈(へえ、あの人間に娘が……)
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186 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:57:00 ID:X3P/HmOr - ルシール「それ以上のおしゃべりはおよしエレオノール」
しろがね「す、すみません。つい舞い上がってしまって……」 ルシール「別に良いさ」 ルシール「……」 ルシール「ねえ、エレオノール……」 しろがね「ハイ?」 ルシール「おまえたちは、これから神の前で互いを愛することを誓う」 ルシール「だが、おまえ達は『しろがね』だ。普通の人間よりもはるかに長い人生を送ることになる」 ルシール「おまえは、その永劫の時を愛することに使えるかい?」 しろがね「……」 しろがね「はい……!!」 ルシール「……自分だけの道を…歩いてお行き……」 しろがね「先生……?」 ルシール「深く考えるんじゃないよ、私なりのお祝いさ。どれ、ちょいと休ませて貰うよ。それと結婚式は夜9時に始まる。ナルミとエレオノールはその前には準備を終えときな。くれぐれも遅刻するんでないよ」 翠星石「9時ですか。こうなりゃ今日は徹夜ですよ!」 蒼星石「え!?う…うん」 真紅「たまには良いかもしれないわね。もちろん貴女もよね?」 水銀燈「ええ……」 バタ……ン ルシール「ふう……」 〜数時間前〜 −コンコン− ホテルマン『ルシール・ベルヌイユ様。お電話が入っております』 ルシール『私にかい?ありがとうよ』 フウ『やあ、ルシールお久しぶり』 ルシール『ふん、お前さんには私が蘇った事もお見通しかい』 フウ『なあに、あたしゃ何でも知ってるのさ。早速だがルシール。お前さん達にはあたしの屋敷に来てもらうよ。こっちにもローゼンメイデンがいるのでね。迎えはそうだねぇ…明日にでも着くかな』
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187 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:57:54 ID:X3P/HmOr - ルシール『そっちにも人形が来ていたのかい』
フウ『そして、言って良い事か悪い事かは分からないが…お前さんに言いたい事がある』 ルシール『何だね?さっさと言いなさいな』 フウ『エレオノールはアンジェリーナが生んだんだ。つまりエレオノールはアンジェリーナの子供なんだよ』 ルシール『…』 ルシール『そうかえ…』 フウ『お前さんはやっぱりそれだ。良いかい?余計な事かもしれないが、昔なじみからのお節介だ。せっかく生き返る事が出来たんだ。陰ながらでも良い、ずっと一緒に居てやってアンジェリーナの分まであの子を大切にしておやりよ』 ルシール『どうだろうね…』 フウ『そうか…最後にもうひとつだけ。自動人形がそっちへ向かっている。今夜の9時にお前さん達のいる街に着くハズだよ。その人形はドットーレだ…』 ルシール『あいつが…!』 フウ『だが鳴海君やドールズ全員で戦えばきっと勝てる。絶対に1人で戦おうとするんじゃないよ。良いね?』 ルシール『ああ。分かったよ…』 フウ『おい、本当にわかったのかい!?』 水銀燈『ねえ、ルシール』 ルシール『ちょっとうるさいのが来たからお話はここまでさ』 フウ『おい、ルシール!!ルシール!!』 −ガチャン− ルシール「ふっ、結婚式を開くなんて私らしくないかもしれないねぇ……」ガチャ 水銀燈「何処へ行くのよルシール?」
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188 :【第19幕】[sage]:2010/11/01(月) 23:59:20 ID:X3P/HmOr - ルシール「ちょっと外へお出かけさ」
水銀燈「これから結婚式が始まるっていうのに?当ててあげるわ。自動人形が来るんでしょう?」 ルシール「だったらどうするかね?」 水銀燈「ナルミやしろがねを呼ぶわ。気に入らないけど真紅達も…」 ルシール「それはおよし」 水銀燈「何でよ!?まさか1人で戦いに行く気!?」 ルシール「自動人形は…闇色の血を流すんだ…」 水銀燈「は?何を言いたいのよ」 ルシール「昔々、ある村に少女がいた。その少女は恐ろしい病気にかけられ、呪われた運命を背負わされ、バケモノ達と戦わなければならなくなった…」 ルシール「その少女の母はその子にバケモノ達をおびき寄せるエサになれと言い、そして少女を追い出したんだ」 ルシール「その少女の名はアンジェリーナと言った…」 水銀燈「な…ッッ!!」 ルシール「アンジェリーナは私に似て美人で、私に似ずよく笑う子だった…」 ルシール「そして、お前さんとおんなじ色の髪をしていたよ…」スッ 水銀燈「…」 ルシール「どうやらエレオノールはそのアンジェリーナの子供らしいのさ…」 水銀燈「なんですって!?」 水銀燈「じゃあ貴女…尚更この結婚式を見届けなきゃいけないじゃない!!!!」
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