- 【からくりメイデン】〜La Pucelle de Karakuri〜
133 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 21:56:22 ID:tPd95C1t - しろがね「ルシール先生こんな所に居たのですか。いったい何をしていたんですか?」
ルシール「何でもない。ただの気まぐれさ」 しろがね「そうですか。先生が何か思いつめたような顔をしていたので……」 ルシール「大丈夫、心配ないよ」 しろがね「あの、これからナルミや真紅たちと壊れた町をどうにかしようと考えているのですが、もしよろしければルシール先生もどうでしょうか」 ルシール「ああ、良いね。それじゃ、さっさとこの町を綺麗にしようかね」 しろがね「ハイ!!」 ルシール(心配ない、か……)
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134 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 22:30:36 ID:tPd95C1t - しろがね「だいぶボロボロになりましたから時間がかかりそうですね」
真紅「それは問題ないわ」スッ ふわ…… 鳴海「な、瓦礫が浮いただと?」 蒼星石「僕も手伝う真紅よ」スッ 翠星石「しゃあねぇから翠星石もやってやるですよ」スッ ふわ、ふわ…… ス ウ … ッ 鳴海「瓦礫が元の形に戻っていってる…」 しろがね「夢のようですね…」 翠星石「イヒヒヒ、バカ面全開です」 水銀燈(そう、この子たちはみんな馬鹿よ) 水銀燈(こんな名前も知らない連中のために働いて、必死になって……) 水銀燈(おまけに敵である私に背中なんか向けて、緊張感のカケラもない本当のおばかさん達) 水銀燈(なのに何故この連中たちはこうも強い?アリスになろうとしている私が、お父様のことだけを考えている私が、何故強くない!?)ギリッ!! ルシール「……」
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136 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 22:43:54 ID:tPd95C1t - 〜一時間後〜
蒼星石「ふうっ。やっと町が元通りになったね」 ルシール「ああ。みんな良くやったよ」 翠星石「……って、オババと水銀燈は見てただけじゃねぇですか!!」 ルシール「おやおや、年寄りに力仕事をさせる気かえ?」 翠星石「ぐぬぬぬぬ……」 しろがね「そ、それよりも建物を元通りに出来るなんて真紅たちは素晴らしい力を持っていますね」 真紅「時間のゼンマイを巻き戻しただけよ」 鳴海「なんか良く分からねぇけど、お前らローゼンメイデンが不思議な力を持ってるのは分かったよ」 翠星石「ふふっ。なら今すぐ翠星石と蒼星石を崇めやがれですぅ!!」 蒼星石「ぼ、僕は良いよ……」 鳴海「蒼星石は良いがお前はゼッテェ崇めたりしねぇよ」 蒼星石(ぼ、僕は良いの……!?) 翠星石「この……っチョンマゲイノシシっ!」ズビシ 鳴海「ぐはぁっ!!」 真紅「見事両目にヒットね」 鳴海「な、な、何すんだよ。この性悪暴力ちんちくりん人形〜〜!!」 翠星石「うっせーですバーカ!バーカバーカバぁぁぁぁカ!!!!!もひとつおまけにバ〜〜〜〜〜〜カ!!ですぅ」 真紅「面白いわ、もっと続けなさい」 しろがね「止めてください!!」 水銀燈(また、馴れ合い…………)ムカッ
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139 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 22:49:33 ID:tPd95C1t - しろがね「しかし錬金術の力でこんな事も出来るとは……」
ルシール「ああ。だからこそ私や自動人形は蘇る事が出来たんだ」 全員「……」 鳴海「第7ドール雪華結晶……そいつは何が目的なんだ」 真紅「分からないわ。ただあの子はローゼンメイデンとしては異質な存在……」 蒼星石「ですねぇ、実体を持たないから別の世界にしかいられないはずなのに」 しろがね「別の世界とは?」 翠星石「しゃあねぇから翠星石が教えてやるです!『Nのフィールド』って言うのがあってですね〜」 水銀燈(生命の水を飲んだ人間『しろがね』……しろがねと契約できれば私も格段に強くなれるはず) 水銀燈(けれど今、どのドールとも契約していないのは……)ちらっ ルシール「何だい、私の顔が珍しいのかえ?」 水銀燈「何でもないわよ……」 水銀燈(力が欲しい……アリスになるために……私がローゼンメイデンであるために、力が……) 鳴海「おい水銀燈。お前この前の戦いから変だぞ」 しろがね「よろしければこの辺りで休んでいきましょうか?」 水銀燈「そんな事しなくて良いわよ!さっさと貴女のマリオネットの部品を買いに行くわよ!!」 真紅「ちょっと貴女っ!しろがねは貴女の事を思って……」 しろがね「良いんです、真紅。先の戦いであるるかんの部品を傷つけてしまった私が悪いんですから」 蒼星石「でもあれは町の人を守る為に仕方なくあるるかんを盾にしたんじゃないか!!」 水銀燈「そうね、強い貴女達は町の人を守る余裕があるものね!!」 翠星石「はぁ!?おまえは何を言ってるんですか?」
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140 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 22:51:48 ID:tPd95C1t - 水銀燈「五月蝿いわっ!!たまたま生命の水を飲んで…たまたま強い人と契約して…たまたま強い仲間が守ってくれて…貴女達を見てるとイライラするのよっ!!」
鳴海「これって俺らが悪いのか?」 しろがね「わかりません。水銀燈、私が気に入らないなら謝ります」 水銀燈「だから違うわよっ!!」 翠星石「しろがねに対して何て態度ですかっ!」ダッ!! 鳴海「落ち着けって翠星石」ガシッ! ぽろっ… 蒼星石「マスター何か落ちたよ。これはマスク!?」 ルシール(あれは……) 水銀燈「あはは!何よこのヘンテコなマスクは!!真紅ぅ貴女のマスターの趣味はイカれてるみたいねぇ」にや… 鳴海「……」 蒼星石「マスターを…笑ったな……?」 真紅「水銀燈、、貴女いい加減にしなさい!」 しろがね「け、喧嘩はやめましょう」オロオロ… ルシール「やれやれ……」
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141 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 22:55:05 ID:tPd95C1t - ルシール「ナルミ、エレオノール。マリオネットの部品はあんたらだけで買いにお行き」
鳴海「おい、自動人形がお前らの方に来たらどうすんだよ!?」 しろがね「そうですよ先生。前の戦いだって真紅がいなければ……一緒に行動するのが得策なはずです」 ルシール「私は急な用事を思い出してね。それに不安なら真紅達をこっちに置いて行けば良いじゃないか」 真紅「私は別に構わないけれど」 鳴海「ちっ、すまねぇが蒼星石も残ってくれないか?」 蒼星石「マスターがそう言うのなら」 翠星石「じゃあ翠星石も残るですぅ」 鳴海「オレとしろがねは行くが本当に良いんだな?」 ルシール「ああ良いさ。だいたい2日ってところかね。向こうに着いたら連絡をおくれ」 しろがね「でもやはりみんなでいた方が……」 蒼星石「安心してよ、しろがねさん。貴女と契約した真紅がいるんだ」 翠星石「そうですよ!それに蒼星石も強いですし、一応だけど水銀燈もいますし」 水銀燈「フン……っ」 ルシール「ほら、さっさとお行き!2人きりの旅を楽しんでおいで」 鳴海「な、何言ってやがる!」 しろがね「そ、そ、そ、そうですよ!!」カアア…… 真紅(あまりにも青臭くて微笑ましいわね)クスッ
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145 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:11:18 ID:tPd95C1t - ルシール「ほらほら、いつまで見せ付ける気だい。それとも私がいないとさびしいのかね」
鳴海「けっ、言ってろ。んじゃあ、行くか。しろがね」 しろがね「はい、部品を買ったらすぐに帰って来ますね」 蒼星石「急がなくてもゆっくりで良いよ、しろがねさん」 翠星石「せいぜい2人でイチャイチャしてきやがれです」 鳴海「な…っ!!おいこら!」 翠星石「真紅〜助けて下さい〜」 真紅「ダメだわ。しろがねを冷やかすのは私を冷やかすのと同じ事よ」 翠星石「そ、そんなぁ〜!!」 ルシール「そろそろ行っておいで。この調子じゃ日が暮れちまうよ」 しろがね「それでは皆さん、また後で」 真紅「ええ。しろがね、ナルミいってらっしゃい」 ルシール「さて…私らも行こうかね」 蒼星石「どこへ行くんですか?」 ルシール「ゾナハ病治療施設<レイ疫病研究所小児病棟>あたしら……いや、ナルミの強さが隠されている場所さ」 水銀燈(病棟!?そこにあいつの強さが……) ルシール「行く前にひとつだけ言っておく、あそこは……地獄さ」 水銀燈「地獄が何よ、さっさと行くわよ」 翠星石「もう元気になりやがって、ほんっと〜〜に自分勝手な奴です!」 ルシール「……」
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147 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:14:20 ID:tPd95C1t -
〜レイ疫病研究所〜 ヘレン「あ…あなたは…!お久しぶりです」ペコ ルシール「ええ、久しぶり…突然の訪問で悪いね」 ヘレン「いいえ…ところでこの子達は?」 ルシール「人形だよ」 ヘレン「えっ!?」 ルシール「安心しな、人間には危害を加えないと保証するよ。ところであんた少し痩せたかい?」 ヘレン「やはり…わかりますか?」 ルシール「ああ…理由は『ゾナハ病』だろ?」 ヘレン「どうしてそれを!?」 ルシール「私らの前に自動人形が現れたのさ。自動人形はゾナハ病をばらまく…そして私はついさっきゾナハ病のような症状にかかった人間を見たんだ。そのことを確かめたくてね」 ヘレン「あの…ナルミは来てないんですか?」 ルシール「あの男にまた重荷を背負わすのは気が引けるから置いてきたよ」 ヘレン「そうですか…では中へ…」 ガチャ…ッ 蒼星石「お邪魔します」 子供達「うわ〜」 子供達「きゃ〜」 真紅「なかなか大きい建物ね」 翠星石「チビがいっぱいいるですぅ!!」 子供達「うわ〜何だあれ〜」 水銀燈「フン。くだらない」 子供「わぁ〜キレイなお人形」とてて… ???「近づいてはダメよ!!」ガシッ ???「あいつらは人を殺すの!!私はこの目で見たんだから!!人形なんて…人形なんてみんな壊れれば良いのよっ
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149 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:17:57 ID:tPd95C1t - 翠星石「お…おにばばが出やがりましたよ」
真紅「どうやら私達は招かざれる客のようね」 ヘレン「すみません。でもあの方を許してあげて下さいね」 ヘレン「あの方の夫であるバンハート博士は自動人形に殺されかかった事があるんです。それにあの方自身も…」 蒼星石「そんな事が…」 バンハート婦人「人形が…人形がここにぃぃぃぃ!!」 看護婦「落ち着いて下さい!あの子達は危険ではないんです!!」 バンハート婦人「人形なんて…だいっキライよォオ!!!!」 ヘレン「それに彼女の息子もゾナハ病にかかって…」 翠星石「『ゾナハ病』!?」 ルシール「自動人形がバラまく最低な病気さ。私ゃ今からその事について博士達と話をしてくるよ」 真紅「私達も話に加われば良いのかしら?」 ルシール「お前さん達はここの子供と遊んで貰おうかね」 〜三時間後〜 バンハート博士「貴重なお話ありがとうございました」 ルシール「いや、私の話なんて全くさ。それよりも奥さん…大変だねぇ」 バンハート博士「はい…人形に対して異常なほどの拒否反応が…」 ルシール「いずれ良くなるさ。ちょいと小さなお人形達の様子を見てくるよ」
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150 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:19:00 ID:tPd95C1t - ベス「おいしい!真紅の淹れてくれた紅茶とってもおいしいよ」にこ…
真紅「お口に合って何よりね」 トム「この花は何て言うの?」 翠星石「これはですね〜って、聞いといてどっか行くなです!チビチビ!」 トム「ねぇ、君を抱っこしても良い?」 蒼星石「ぼ…僕を!?」 翠星石「ちょっと待った〜!その前に翠星石の花のウンチクを20分ほど聞かせてやるですぅ!!」 真紅「それは聞きごたえがあるわね」 ベス「私に聞かせて〜」 「あはは。うふふふ。はははは」 ルシール「ほう…なかなか上手くやっているじゃないかい」 水銀燈(なによ、この子達。めぐは…めったに笑わないのよ!) トム「そうだ。ナルミは!?ナルミはいないの?」 真紅「残念ながらナルミは今お出かけ中よ」 トム「そっかぁ…」しゅん 翠星石「しゅんとするなですぅ!あんなイノシシよりも翠星石達の方がすげぇんですよ」 ベス「でも、ナルミがいないと寂しいな」 蒼星石「マスターはここで人気者なんだね」 水銀燈「あはは!子供に人気があるなんて、貴女のマスターは中身が子供並みのようね。蒼星石ぃぃ!」 蒼星石「この…っ!」 真紅「怒ってはダメよ!ルシールがここの子供は病気で、緊張するとその発作が起きると言っていたわ!!」 蒼星石「ゴメン…軽率だったね…ありがとう真紅」 翠星石「けど、ぱっと見は普通のチビチビですよねぇ」
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152 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:20:46 ID:tPd95C1t - 子供「あっ!」とてとて…
メグ「あなた、スイギントーって言うんでしょ?あたしはメグ。よろしくね」にこっ 水銀燈「メグ…!?」ピクッ ルシール「…」 メグ「ねぇ、スイギントー。あなたの羽とってもキレイね」 水銀燈「…」プイッ 翠星石「見ましたか真紅!?水銀燈のやつ、病気のチビ達にもあんな態度を!!」 真紅「ええ…けど、ここで怒っては駄目。子供達が怖がってしまうわ…」 翠星石「でも…」 蒼星石「仕方ないよ。もともと水銀燈には無理矢理付いてきてもらっただけだから…ねぇメグちゃん僕らと一緒に遊ぼう」 メグ「イヤっ!!あたしはスイギントーと遊びたいの!」 真紅「どうやら貴女をご指名のようよ」 水銀燈「いやぁよ…」 翠星石「意地っ張りもここまできたらたいしたもんです!」 蒼星石「ねぇ…どうして水銀燈が良いの?」 メグ「だってね、スイギントーはキレイで羽が生えてて…まるで天使みたいだから」にこっ 水銀燈「っ!!」 『貴女は天使よ』『私の命を使ってよ』『ねえ水銀燈?』 水銀燈「くっ!」ズキッ… 水銀燈「メグ…良い事を教えてあげるわ…私、病気の人は大嫌いなの!だからあなたとなんか話したくないのよっ!!」 メグ「…」 翠星石「お前っ!何て事を!!」 真紅「止めないで蒼星石…こんなに腹が立ったのは久しぶりかしら…」ぶるぶる… 蒼星石「止める?まさか!加勢するよ…」ジャキッ! 水銀燈「あらぁ?3対1ってワケぇ…暴れたい気分だし、まあ良いわ…行くわよっ!」バサァッ!! メグ「…なさい…」ポタポタ… メグ「ごめんなさい…スイギントー…」ダッ 水銀燈「ちょっとっ……」
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156 :【第15幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:28:04 ID:tPd95C1t - 真紅「メグ!」
翠星石「水銀燈…おまえぇぇ!!」 水銀燈「…」 水銀燈「…もうやる気なくなっちゃったぁ」サッ 蒼星石「逃げるのかい!?」 水銀燈「何とでも言いなさい」 ルシール「…」 翠星石「まったく、水銀燈のヤツ…」 真紅「でも最近あの子やけに不機嫌よね」 蒼星石「うん。けど今はこんな時間だ。この件は明日にしよう」 翠星石「なあっ!9時になるじゃないですか!?真紅、蒼星石、オババ、おやすみです!」タタタ… 真紅「ええ、おやすみなさい。私も眠ろうかしら」 蒼星石「じゃあ僕もそろそろ」 真紅「ルシール、貴女は?」 ルシール「私が寝るにはまだまだ早いね。それに今日はやることが出来たんでね…」 水銀燈「……」 水銀燈(流石に少し、言い過ぎたわね……) 水銀燈(あの子…めぐと同じ名前を…そして同じ事を言っていた…私は天使じゃないのに…) 水銀燈(私は今、何の為にここにいるの?強力な契約者を見つける為!?真紅達を倒してローザミスティカを手に入れる為!?) 水銀燈(わからない…人を傷つけることしかできない私はここにいて良いの!? 明日になったら、この旅から外れたほうが良いのかもしれないわね) 水銀燈(そうだ、明日メグに羽を見せてあげようかしら。あの子のことだから、きっと大騒ぎして喜ぶわね) 水銀燈(そう、明日になったら……) 夜が更ける…… 〜からくりメイデン〜
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158 :【第16幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:30:49 ID:tPd95C1t -
メイデン〜水銀燈のやったこと カチ…コチ…カチ…コチ… 水銀燈(眠れないわね…) …コツ… 水銀燈「っ!!」 コツ…コツ…コツ…コツ… 水銀燈(誰か近づいて来てる!) コツ…コツ…ピタッ 水銀燈(私の鞄の前にいる!?) ガチャッ! 水銀燈「…ルシール…?」 ルシール「体をお越し…水銀燈」 水銀燈「こんな時間に何よ…」 ルシール「世間を知らないひよっこに見せてあげようと思ってね」 ルシール「ゾナハ病にかかった子供達の真実を…この世の地獄を……」
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159 :【第16幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:31:45 ID:tPd95C1t -
コツ…コツ… 水銀燈「ねぇ、どこに向かっているの?」 ルシール「『ゾナハ病』には3段階の症状がある」 水銀燈「ねぇ、ちょっとぉ?」 ルシール「『第1段階』呼吸困難と全身の痛み。しばらくそれがけいれんを伴い意識不明も引き起こす」 水銀燈「無視ってワケ…」 ルシール「症状を抑える方法は『他人を笑わせること』」 水銀燈「なによそれぇ。全然簡単じゃないの」 ルシール「『第2段階』は第1段階によって体が弱り、免疫力が低くなった患者を別の病気が襲う。ウイルスの感染…ホルモンの異常…内臓の機能障害…実際これで多くの患者が死んだのさ…」 水銀燈「な、何よ!私だって死んだ人間を見たことはあるわ!!」 ルシール「そしてここが『第3段階』の子供達がいる部屋さ…」ギイィ… ぜひ…ぜひ…ぜひ…ぜひ… 水銀燈(何よこの音…!?) ルシール「不運にも生き延びた者は…死ねなくなるんだ…」 水銀燈「っ!!」 子供達「ぜひ…ぜひ…」 ルシール「考えてごらんよ。本当なら友達や親と遊んでいるような歳の子供達…しかし与えられたものは痛み…苦しみ…そして絶望…この子達は死ぬ程の目にあっても…」 ルシール「死ねないんだ!」 子供「ぜひっ!ぜひっ!ぜひっ!!」 水銀燈(何よこれ!?何なのよ…この子達は…この子達は…) 水銀燈「…めぐより…ヒドいじゃない…」
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161 :【第16幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:32:33 ID:tPd95C1t - 子供「ぜひ…ぜひ…」ガシッ
水銀燈「きゃっ!」 子供「…ろ…し…て…」 水銀燈「え!?」 子供「こ…ろ…し…て…」 水銀燈「っ!!」 水銀燈「こんな…ことって…」ペタン… ルシール「どうだい?ひよっこ。ナルミはこんな子達を助けるために…子供の笑顔のためだけに『そんな理由』であそこまで強くなったのさ」 ルシール「辛すぎる現実から心を隠すためにあんなふざけたマスクをかぶってね…」 水銀燈「…っ!!メグは!?今日わたしに話しかけたあの子は!?」 ルシール「夜中頃、第2段階にはいったよ。診察ではあの子、もう少し持ったはずなんだけどねぇ…。きっと『誰か』の言葉があの子から『何か』を奪ったんだ」 水銀燈(そんな…私あの子に何て……) 水銀燈「っ!!」 『私、病気の人は大嫌いなの!だからあなたと話したくないのよっ!!』 水銀燈(私は…あの子に…あの子にあんな事をッ!!) 水銀燈「メグは!?メグはどこに!?」 ルシール「あそこさ…もしかしたら第3段階に入るかもしれない。早くお行き」
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166 :【第16幕】[sage]:2010/10/31(日) 23:41:49 ID:tPd95C1t - 水銀燈「メグッッ!!」
メグ「スイ…ギントー…?」ぜひ…ぜひ… 水銀燈「ええ、そうよ私よ!!」 メグ「来て…くれたん…だ…」ぜひっぜひっ! 水銀燈「ええ、来たわ!さっきの事は謝るわっ!」 メグ「良い…の…」にこっ 水銀燈「っ!!」 メグ「あのね…代わりに…お願いが…あるの…」 水銀燈「何よ!?何だってやってあげるわ!!」 メグ「あの…ね…羽を…触らせて…」 水銀燈「ほら、羽なら何度だって触って良いから…だから…こんな病気さっさと治しなさいよっ!」バサ… メグ「やった…ァ…。うふふ…柔らかくて…キレイで…まるで天使…みたい…」ガクッ 水銀燈「メグ!?ねぇ、メグッ!?」 メグ「ぜひっ!ぜひっ…」 ルシール「『しろがね』になる者はみんなゾナハ病だったんだ。この苦しみや辛さを知ってるから『しろがね』の連中は強いのさ…なんだ、聴こえてないかい…」 水銀燈「…………」 「明日になったら、羽でも見せてあげようかしら」 水銀燈(メグには明日なんて……なかった) 「 こ こ は 地 獄 さ 」 水銀燈(明日なんて……無かった!!!!) 「あなたは天使よスイギントー」 水銀燈「私は…天使なんかじゃ…ないわよ…」 ルシール「……」ぎゅっ! 水銀燈「な、何するのよ!?」 ルシール「なぁに、たまには泣くのも良いもんさ」 水銀燈「…誰が……泣くもんで…すか……」 水銀燈「……」ぎゅうっ! ルシール「やれやれ……」ぽん ルシール「やっぱりアンタはひよっこじゃないか」 からくりメイデン〜一時閉幕〜
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169 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/10/31(日) 23:45:35 ID:tPd95C1t - 今日はここまで、しばらく投下してなくてすみません。
遅れを取り戻すため明日もたぶん投下します。
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