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◆UcWYhusQhw
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ラノロワ・オルタレイション part11

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ラノロワ・オルタレイション part11
168 : ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:38:56 ID:tcEMK0hT
大変お待たせしました。
投下開始します。
ラノロワ・オルタレイション part11
169 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:40:12 ID:tcEMK0hT

これは物語を更に彩る為の小さな小さな断片。
ちょっとした小話の中で、色々な動きを見せる登場人物。

そんな次の関係へ繋ぐ、三つの断片の物語を紐解こう。






【 scene 1 私は私の道を行く 〜川嶋亜美〜】




「うん、解ったから大丈夫だよ。だから亜美ちゃん、独りでいたいんだよ」
「ちょっと……」

がちゃんと勢いよく扉を閉める。
そのまま、鍵を閉めて、これであたしは独りきりだ。
未だにかなめの大きな声が扉越しに聞こえるけど、気にしない。
凄く悪い気がするけど、今は独りで居たいんだもん。

何処にでもある旅館の和室が今あたしがいる場所。
此処には誰も居ない。誰も入ってこれない。
扉にも窓にも鍵が閉まってるし。
まぁマスターキーとかあったら普通に入ってこれるんだけど。
というか絶対あるし。
これで、あたしが死んだらマスターキー持っている人が疑われるだろうね。
襲われたらひとたまりもないかな。亜美ちゃん美人だし。

…………はぁ。
そんな事考えたって仕方ないのかなぁ。
溜息を吐きながらあたしは押入れから布団を引っ張り出し、無造作に畳に置いた。
敷くんじゃなくて、置く。
色々滅茶苦茶だったけど、気にしない。
そんな事、気にするのも変だし。
こんな状況なんだしね。
畳みに置かれた布団にあたしは飛び込んだ。

うつ伏せになりながら、枕に顔を埋める。
制服が皺くちゃになっちゃうな。
どうでもいいか。
もう結構汚れてるんだし。
やっぱり、気分は最悪だった。

言うまでもなくさっきの出来事だった。
……お腹の調子もそんなによくないけど。
結局あたし一人が全力で空気を読まなかったって感じなんだよね。
亜美ちゃん超唯我独尊。

ラノロワ・オルタレイション part11
172 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:41:10 ID:tcEMK0hT
でも、どっちの判断が正しいか悪いかなんて、あの場では言えないよね。
我侭かもしれないけどあたしは彼女の言っていることが本当とは思いたくない。
だから、あたしは彼女を信頼できない。
そして、受け容れたくもないし許したくもない。
皆は受け容れていたけど、あたしは無理。

だってさぁ……

もし、もしもだよ。

自分の大切な人を殺したと言う人が現れたら。

その人を許せるの?
その人を受け容れるの?

あたしは……無理。

あの女の子が祐作を殺していないという確証すらないんだから。
何も真実を知らないまま、受け容れる事なんてできないもん。

高須君も祐作も櫛枝さんも。
誰かに殺されたんだ。
そんな殺した人と一緒に居るなんて無理。
何もかも壊していった者をあたしはきっと許せない。

ねぇ、皆は違うのかな?

かなめは……きっとまだ失っていないのかな。
でも、かなめはきっと強く虚勢を張るのかな。
解らないけど、何となくそんな気がする。

トーマは……失っても変わらないよ、あいつは。
ただ、強い奴だ。
何でもかんでも破壊していくだけ。
強い『だけ』、破壊する『だけ』
多分、きっと、そう。

ハルヒは……よくわかんない。
会ったばっかりだし。
でも何だか……溜め込んでいる気がするな。

いっくんは…………『やばい』
ただの直感。
普通そうに見えて一番変だと思う。
失うとか失わないとかそういう以前の問題だ。
こわっ


ラノロワ・オルタレイション part11
174 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:42:20 ID:tcEMK0hT


…………ああ、なんだ。

結局、まだ誰も強い喪失を味わってないんじゃん。
それじゃ、解る訳ないよ。
特にトーマは解る訳がない。


うつ伏せになりながら、一房の黒い髪を見つめる。

ねぇ、高須君。
高須君はどうしてあんなにバラバラになったの?
お人好しすぎるあんたはどうやって死んだの?
そして、誰に殺されたの?

……こんなのに聞いたって解る訳ないか。


あーあ。
本当、よく解らないや。
誰もが正しいと思っている事やろうとしているだけなのにね。
なのに、こんなにも交差して複雑に絡まっちゃう。

たった一つの冴えたやり方なんて存在しない。
でも、皆信じているままの行動をして。
なのに、それは上手くいかなくて。

まるで、あの時みたいだよ。
終わってしまった恋の物語の時みたいだ。


でも、それでもね。

あたしは、亜美ちゃんは。

あたしが信じた道を、考えを貫くしかないんだよ。
その結果が貧乏くじをひいても、救われない結果でも。
進んだ道が、川嶋亜美なんだから。

だから、あたしは、姫路瑞希は信じない。

あたしが大切にしていた人達の為にも。


空気読めない?
我侭?

そんなの知らないよ。


これが、川嶋亜美なんだから。


あたしはあたしの道を行く。
ラノロワ・オルタレイション part11
175 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:43:05 ID:tcEMK0hT


それで……いいんだよね。


いいんだよねぇ……高須君。


あは……応える事なんて無いのに。
何期待してるんだか。

馬鹿だよ……本当……


本当……馬鹿。


可笑しくて、笑いそうになって。
なのに、何故か泣きそうになって。

そんな自分自身を見たくないから枕に顔を埋める。


たった独りの部屋で。


あたしはあたしの道を歩んでいた。



【E-3/温泉/一日目・夕方(放送直前)】

【川嶋亜美@とらドラ!】
[状態]:満腹、不安、疲労
[装備]:グロック26(10+1/10)
[道具]:デイパック、支給品一式x2、高須棒x10@とらドラ!、バブルルート@灼眼のシャナ、
      『大陸とイクストーヴァ王国の歴史』、包丁@現地調達、高須竜児の遺髪
[思考]
 基本:高須竜児の遺髪を彼の母親に届ける。(別に自分の手で渡すことには拘らない)
 0:あたしはあたしの道を行く
 1:祐作のことはどうしようか?












ラノロワ・オルタレイション part11
177 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:44:05 ID:tcEMK0hT
【 scene 2 見つけて Happy Life 〜涼宮ハルヒ〜】






「よっし……これでいいかな。姫路さんいいわよー」

和室に快活そうな少女の声が響く。
その少女――千鳥かなめは、手をはたきながら、上々な出来の自分がこなした仕事に満足していた。
彼女の前には三組の布団が綺麗に敷かれている。
それが彼女のこなした仕事だった。
少し微熱な気味な姫路瑞希を休ませる目的でかなめが自ら分担した作業が布団敷きである。

「うん、こっちもオッケーよ。似合う似合う」

別の仕事をしていた涼宮ハルヒがあげた言葉と共に、浴衣に着替えた姫路がその姿をかなめに見せた。、。
微熱のせいか、それとも羞恥のせいか、顔を真っ赤に染めていた。、
かなめは感心しながら

「お、可愛い可愛い……しっかし、でかいわねー」
「ちょっとおっさん臭い事いわないでよ、っていうかあんたに言われたくないわ」

まるでおっさんのような事を口にする。
尚更、真っ赤になる姫路さんを見ながら、少し不機嫌そうにハルヒは文句を口にした。
彼女の手は自分の胸元に置かれながら、姫路とかなめの胸元を一瞬見つめた。
自分も小さくは無いはずなのだが、これは霞んでしまう。

ちなみに、ハルヒも姫路のを直接見ている。
彼女の仕事は熱によってかいた汗を拭いて、着替えを手伝う事だったからだ。
みくるちゃん以上あるんじゃないかしらと一瞬思って、思った瞬間哀しくなったのは内緒の事である。
そんな素振りを見せず、ハルヒは熱のせいかぼーっとしていた姫路を布団まで連れて行く。

「ゆっくり休みなさいよ。休んだ後は色々動き回るんだから」
「ええ。準備とかはあたし達がやるからね。安心して休んでなさい。」

二人の活発な少女達は、労いの言葉を姫路にかけて微笑む。
姫路は無償の優しさが、何故だか嬉しかった。
嬉しくて、安心して。
布団に入りながら、会話用のメモとペンを取り出す。
丸っこい女の子の文字で書かれていく言葉。

それは


ラノロワ・オルタレイション part11
179 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:45:10 ID:tcEMK0hT
『――――ありがとう』


心からの感謝の言葉で。
こんなにも優しくしてくれる少女の気遣いがただ、嬉しかった。
少し涙混じりの笑みをハルヒ達に彼女は向ける。

「これぐらい、大した事無いって。ねぇハルヒ?」
「うん、当たり前じゃない」

少しくすぐったそうに笑みを浮かべる二人。
だけど、それだけじゃなかった。
姫路が伝えたい事はもっと大切な事だ。
不安だった。凄く不安だった。
疑うならば、いくらでも疑える状況で。
彼女達は


『――――信じてくれてありがとう』


信じてくれたのだ。
殺人者である自分を。
受け入れ、助けてくれると。
その事が、本当に嬉しかった。
ただ、ただ、嬉しかった。

「当然。だから、いつでもあたし達を頼ってね?」
「そうよ。あたし達は、仲間なんだからっ」

手を差し伸べながら、頼ってもいいというかなめと。
ウィンクをして、仲間と言ってくれたハルヒ。
その気遣いが本当に良かった。
助かった気持ちになって。
姫路も優しい笑みを浮かべた。

喜びと安堵から出た、自然で可愛らしい彼女の笑みだった。


そして、安心したように彼女は目を瞑る。


本当に久々に味わう優しさを感じながら。


心地よい眠りに姫路は落ちていったのだった。











◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ラノロワ・オルタレイション part11
183 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:46:09 ID:tcEMK0hT
「あー疲れた」
「それは解るけど、もうちょっとしゃんとしなさいよ」

姫路を寝付かした後、かなめは力の抜けた様にテーブルに突っ伏していた。
色々と疲れがどっと出た感じだった。
思えばこの十八時間ずっと薄氷の上を歩いてたような気がする。
かなり危なかったとも言えたのかもしれない。
そう思うと、かなめは改めて大きな溜息をつくしかなかった。

「ほら、何か食べる?」
「んーじゃあこれとこれとこれ」

やれやれと言いたげそうなハルヒが差し出した沢山のドーナツ。
かなめはエンゼルショコラ、オールドファッション、ハニーディップの三つを選んで早速もふもふし始める。
まだそんなに食べるんだというハルヒの呟きはあえて無視した。

「はい、お茶」
「ドーナツにお茶って……あわないなぁ」
「これしかないんだから仕方ないじゃん」
「……まあいいけど。ありがと」

エンゼルショコラをもふもふしながら、かなめはお茶を淹れ、ハルヒに手渡した。
コーヒーがいいだけど、と内心ハルヒは思うも、無いものねだりしても仕方ないかと素直にそれを受け取る。
そのままお茶を一啜して、お茶の苦さとドーナツの甘さが合わないことに顔を顰めつつも、ハルヒはかなめに話しかけた。

「千鳥さんは……」
「かなめでいいよ、同い年みたいだし」
「じゃあ、かなめは元はどんな所に居た? 聞かせてよ」

ハルヒが興味を示したのはかなめの元の居た世界の事だった。
傭兵とかテロリストとかがかなめを護ったり攫おうとする世界。
そんな話、ハルヒはテレビのニュースでしか聞いた事が無い。
傭兵が集まっている組織なんて初めて知った。
だから、今すぐにでも彼女の話を聞いてみたい。
ハルヒはそんな気持ちで揚々とかなめを見つめる。

「世界っつーてもねぇ……」

エンゼルショコラを早々食べ終わったかなめは対照的に醒めた様に宙を見つめる。
世界自体はなんてことない世界だ。
ちょっと未だに紛争とかが多いぐらいで。
むしろ、最近変わってきたのは身の回り。
あの馬鹿な戦争馬鹿が自分を巻き込んで学園生活を壮絶なものにしている。
生徒会の事とか、クラスでの出来事とかもだ。
主にあの馬鹿から発展して些細な事が大事になってしまう。
そう考え始めたら頭が痛くなってきた。
最も自分も大事にしている事には、当然本人も気付いていなかった。

「主に時代錯誤の戦争馬鹿があたしの平穏な学園生活をハチャメチャにしたくらいよ……」

かなめは額を右手で抑えて、お茶を啜った。
もし帰れても、平穏は無いんじゃないかとおもうと頭が痛い。
まあ、それも何となくはいいかと思ってはいるけれども。
でも、それを口にする事は何となく癪だった。

「へー……それもいいじゃない。平穏なんかよりもずっとずっとマシよ」

それでも、ハルヒにとって、かなめの生活はとても刺激的に聞こえた。
平穏しかない生活なんてそれはそれでつまらないから。
だから、ハルヒはかなめの生活はとても楽しそうに思えたのだ。
ラノロワ・オルタレイション part11
186 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:47:34 ID:tcEMK0hT

「じゃあ、逆にハルヒの方はどうなの?」

そのまま、かなめは逆にハルヒに問う。
ハルヒの生活は平穏な世界のだろうか。
それともハチャメチャな破天荒な世界の中過ごしているのだろうかと。

「別に……宇宙人も未来人も異世界人も超能力者もいないフツーの世界よ」
「いや、それは当たり前だけどさ」

実の所、ハルヒの周りにはそれらが溢れているのだが。
勿論ハルヒ自身がそれに気づいている事は無いけれども。
でも、だからこそ、非日常を求めてしまう。
かなめは少し逡巡しながらも、疑問を口にする。

「でも、ハルヒの周りや生活はどうだったの?」

例え、普通の世界だとしても。
かなめみたいにハチャメチャ生活はおくれるだろう。
それなりに楽しい生活は自分で行動を起こせばおくれるのだから。

「そりゃあ……」

不意の質問にハルヒは面を食らう。
つまらないと一瞬言いかけるがそれは違う。
平穏だったかというと……それはきっと違うと思う。
真っ先に脳裏に浮かぶのはあのつまらなそうなやる気の無さそうな少年の顔。

「あたしはね、SOS団の団長なのよ」
「SOS団?」
「そ、世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団の略」
「それまた凄い名前だこと……」

かなめは呆れたようにハルヒを見つめる。
そんな、かなめを気にせずハルヒは思う。
そういえばあのバカはどうしているのだろう。
全く話を聞かない。
何処にいるのすら解らない。

「そのメンバーと一緒に……まあ楽しくやってわよ」
「へーそうなんだ」

そう、楽しかったと思う。
色々あったけど、あの中学時代よりはよっぽど。
五人で一緒に。

「でも……もうそれもきっと無理ね」
「なんで?」
「……なんでもよ」

かなめは哀しそうなハルヒに何となくだが察してしまう。
この島には知り合いごと巻き込まれてる人たちばかりだ。
ハルヒ自体、知り合いがいると公言している。
きっと、もう死んでしまったのだろう。
かなめはそう思って、

「ふわ……ごめん食べたら、少し眠くなった」
「え?」
「だから、あたしは少し眠る。ご飯できたら起こしてねー」
「ちょ、ちょっと!」
ラノロワ・オルタレイション part11
191 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:49:33 ID:tcEMK0hT
わざとらしく欠伸をして、そのまま自分で敷いた布団に潜り込んでいく。
ハルヒの戸惑いの声が聞こえたが、気にせず頭から布団を被る。
そして、眠れるように努力する。
それなりには疲れているから眠れるだろう。

何故こんな事をしたかなんて、理由は簡単。
彼女をひとまず、一人にしたいからだ。

それは『あたし』と自称する三人の女の子の共通項。
もしかしたら、女の子の共通項かもしれない。

虚勢を張って、強がって。
どんなに元気で明るくいようとしても。

誰にだって哀しい時がある。
誰にだって辛い時がある。

そういう時は、誰だって膝を抱えて泣きたくなるんだ。
それは弱さじゃなくて、哀しみに耐える儀式みたいなもの。

だから、今は一人で居ればいい。
大切な人達を思っていればいい。

きっと、そういう時間が必要なのだから。


そう思いながら、自分もそういうときが来るのかなとかなめは考えて。
何故か頭に馬鹿な男が浮かんで。
なんでと思いながら、かなめはゆっくりと目を閉じた。











◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








ラノロワ・オルタレイション part11
193 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:50:49 ID:tcEMK0hT
「何よ、何なのよ……それ」

かなめは頭から布団を被って眠ってしまった。
いびきが聞こえてきた気がするが、乙女の名誉として気付いていない事にする。
そして、ハルヒは一人で頬杖突ながら、思う。

「バカキョン……死んじゃったわよ、みくるちゃん」

あのバカは、いつもみくるの事を見て鼻の下を伸ばしていた。
そのだらしない顔がなんかいつもむかついた。
突っかかったりもした。
でも、もうそういう事も無いんだなと思う。
あのバカはみくるが死んでどう思っているのかなと思う。
哀しんでいるのだろうか。

「もう、三人しかいないじゃない……萌えキャラ全滅よ……男二人しか残ってないなんて最悪」

長門有希も死んだ。
朝比奈みくるも死んだ。
マスコットキャラも無口な文学少女も、もう居ない。
五人が三人に。
その事がとても、寂しかった。

みくるは最後に幸せだったのだろうか。
幸せな生活をおくれていたと思えたのだろうか。
そうであって、欲しかった。
有希もそうであって、欲しかった。

幸せな生活を見つけられたと思って欲しかった。

だってそれは自分自身も――――


「バカキョン……何やってんのよ」

あのバカは本当何をしているんだろう。
団長放っておいて、なにやってるんだ。
腹が立つ。とても腹が立つ。
苛々が募っていく。
だから、さっさと顔を見せろ。
あのやる気の無い顔を。

強くなきゃと思う。
だから、虚勢を張っている。
虚勢でもかまわない。
それがある意味、盾なのだから。

だから、早く顔をみせろ。


ラノロワ・オルタレイション part11
194 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:51:36 ID:tcEMK0hT


苛々が募って、お茶を啜る。
全然不味かった。
美味しさの欠片も無い。
明らかに適当に入れているお茶だ。

いつも、美味しいお茶を飲んでいるからわかる。
あの子はいつも、美味しいお茶を入れてくれたからだ。
どんな時でも、皆に。
でも、もうそれもないのだろう。

「まずい」

本当にお茶が不味かった。

そう思ったら、涙が一雫だけ。

一雫だけ、零れた。


口の中に、苦々しさだけが残った。


思うのは、あの幸せだった日々の事だった。



だから、早く、あたしを見つけて欲しかった。




ラノロワ・オルタレイション part11
197 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:52:33 ID:tcEMK0hT
【E-3/温泉/一日目・夕方(放送直前)】


【千鳥かなめ@フルメタル・パニック!】
[状態]:健康、睡眠中、まだ喰えるけど?
[装備]:とらドラの制服@とらドラ!、ワルサーTPH@現実
[道具]:デイパック、基本支給品x2、御崎高校の体操服(女物)@灼眼のシャナ、黒桐幹也の上着
      客間の鍵(マスター)、客間の鍵(女部屋)、客間の鍵(その他全部)
      血に染まったデイパック、ボイスレコーダー(記録媒体付属)@現実、不明支給品x1-2
[思考・状況]
 基本:脱出を目指す。殺しはしない。
 0:ぐがー
 1:亜美を説得。
 2:施設を回り、怪しいモノの調査。
 └まずは学校の魔方陣(?)。その次に教会地下の墓所の予定。その次は図書館?
 3:知り合いを探して合流する。
[備考]
 登場時期は、長編シリーズ2巻、3巻の間らへん。




【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:健康
[装備]:弦之介の忍者刀@甲賀忍法帖
[道具]:デイパック、基本支給品、大量のドーナツ@ミスタードーナツ
[思考・状況]
 基本:この世界よりの生還。
 0:????????????
 1:休憩しながら晩御飯を待つ。
 2:その後、出発までに温泉に入る。
 3:施設を回り、怪しいモノの調査。
 └まずは学校の魔方陣(?)。その次に教会地下の墓所の予定。その次は図書館?
 4:朝倉涼子に会ったら事情を説明してもらう。
[備考]
 登場時期は、一学期終了以降。


【姫路瑞希@バカとテストと召喚獣】
[状態]:失声症、睡眠中、左中指と薬指の爪剥離、微熱
[装備]:ウサギの髪留め@バカとテストと召喚獣
[道具]:
[思考・状況]
 基本:上条当麻と共に生き続ける。未だ辛いことも多いけれど、それでも生き続ける。
 0:すぅすぅ
 1:このみんなとなら一緒にいれそう。
 2:信じてくれてありがとう

※御崎高校の体操服から元々自分が着ていた制服に着替えました。今は睡眠をとる為に浴衣に着替えています。







ラノロワ・オルタレイション part11
199 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:53:24 ID:tcEMK0hT
【 scene 3 果たせなかった約束(みさかみこと) 〜上条当麻〜】






――――上条当麻はヒーローだった。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「いっくん、そこの包丁とってくれ」

上条当麻は今現在、厨房で戯言遣いと共に食事を作っている。
普段とは比べ物ならないぐらい大きな厨房であったが、慣れたら、自宅の台所よりよっぽど楽だった。
材料も冷蔵庫などに充分あるし、六人分の食事は簡単に作れるだろう。
そう、『六人』分だ。
例え、亜美と喧嘩のようなものをしても、きっと解り合える。
そう、上条は一寸の曇りもなく信じている。
そして、皆で夕飯を食べれば打ち解けると思っているからだ。

「はい、包丁」
「お、さんきゅ」

渡された包丁を手に、料理作りを再開する。
だから、今は出来るだけ美味いものを作ろうと上条は思う。
それが、上条が今尽せるベストな事だった。

「ねえ、上条くん、ちょっと気になったんだけど」
「ん? ああ」

上条と戯言遣いは食事を作りながら、話に興じていた。
理由は相互理解という名を借りた間作りと暇潰し。
お互い淡々と食事を作るのは気まずかったし、それに暇でもあった。
それならばと、どちらかともなく話始めていた。
話の内容は無駄話と言える事から、互いの元の世界の話から何でもだった。
とはいえ、上条も自分の話を話すのに、若干戸惑った部分もある。
それは、インデックスとの出会いの事だった。

ラノロワ・オルタレイション part11
200 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:54:11 ID:tcEMK0hT
妙に戯言遣いの探し人との共通点があったせいか、彼が出会いの事を聞いてきたからだ。
とはいっても、上条当麻は『一度』記憶を失っている。
ある意味一度死んだようなものだ。
だから、彼女との出会いの時、どう感じたか、どうであったかなんて正直実感なんて無い。
まるで作り物を感じているような感覚だった。
だから、凄く誤魔化しながら話した。
最も、戯言遣いも誤魔化されていると気付いていたが。

何か悪い事をした気分になりながら、上条は戯言遣いの言葉の続きを待つ。

「きみは元の世界でも……宿題を作っていったのかい?」
「……宿題?」
「ああ、いや……姫路さんみたいに元の世界でも誰か助けていったのかい?」

戯言遣いが言った言葉は確認のように響いていた。
彼自身も上条当麻が沢山の人を助けていったのだろうという確信している。
けれど、改めて彼の口から、聞きたかったのだ。
その期待通り、上条当麻は戯言遣いの期待していた言葉を紡ぐ。


「ああ、当たり前じゃねーか。困った人がいるなら、助ける。これまでも、今も、そしてこれからもだ」


それが上条当麻であると言うように。
それは、例え記憶を失っただとしても、上条当麻の本質なのだから。

「うん、成程ね」
「ああ、そういう事だ」
「そういえば、此処にきみが助けた人は……?」

続けて、当麻に放たれた質問。
思い浮かぶ顔はやはり沢山居た。
その中でも、接点が多い少女が居た。

「ああ、いるぜ。ビリビリ……いや、御坂美琴というんだけど……」

常盤台のレベル5。
そして、いつも上条に突っかかる少女。
一方通行との戦いを経て、彼女を救い、そして、

「ある男と約束したんだ」
「……約束?」

ある男と結んだ約束。
御坂美琴に恋し、彼女と彼女の世界を護りたかった男。
その男と結んだ、大切な約束。

ラノロワ・オルタレイション part11
204 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:55:41 ID:tcEMK0hT
それは、


「俺は御坂美琴を守る。いつでも、どこでも、誰からも、何度でも。俺は都合の良いヒーローのように駆けつけてあいつを守るって約束したんだ」


あの男の望みと夢。
願いつつも決して叶えられない望みと本当は自分がやりたかった夢。
御坂美琴と彼女の世界を守るという望みと夢を、重みと共に受け取ったのだ。
約束したのだから。
だから、上条当麻は守ると誓っているのだ。

戯言使いは少し、驚いたように、上条当麻を見つめ


「それは、この殺し合いでも?」
「変わらない。俺は守ってみせる」

戯言遣いは上条当麻の宣誓とも思える強い言葉を受け取る。

だけど、戯言使いは心の中で思う。



――――守りたいのは、『御坂美琴』? それともただの『約束』だけ?




そして――――人の死を告げる、放送が流れ始めた。









◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇









ラノロワ・オルタレイション part11
206 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:56:25 ID:tcEMK0hT
――――上条当麻はヒーローだった。


御坂美琴が信じたヒーローであった。
彼女が信頼し続けて、そして、恋をした最高のヒーローだった。

上条当麻もヒーローであろうとした。
御坂美琴のヒーローとして居続けようとした。
それは、彼の本質からか、それとも感情からか。
それは、彼自身にしかわからないけれども。


だけどもう――――ヒーローではいられない。


あの男の望みと夢の塊である約束は、守れない。



何故ならば――――御坂美琴は死んだのだから。


最後に、上条当麻への恋心を綴りながら。


上条当麻を、御坂美琴のヒーローだけを想いながら、逝った。


その事実を、もう直ぐ、上条当麻は知る事になる。



その時、上条当麻は――――?





ラノロワ・オルタレイション part11
208 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:57:22 ID:tcEMK0hT
【E-3/温泉/一日目・夕方(放送直前)】



【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:全身に打撲(軽)
[装備]:上条当麻の学校の制服@とある魔術の禁書目録
[道具]:デイパック、支給品一式、吉井明久の答案用紙数枚@バカとテストと召喚獣、不明支給品x0-1
      七天七刀@とある魔術の禁書目録、御崎高校の体操服(男物)@灼眼のシャナ
[思考・状況]
 基本:このふざけた世界から全員で脱出する。殺しはしない。
 0:約束を守る
 1:姫路を守る。
 2:千鳥や一緒にいるみんなを守る。
 3:出発前に温泉にある遺体を安置したい。
 4:施設を回り、怪しいモノの調査。
 ├まずは学校の魔方陣(?)。その次に教会地下の墓所の予定。その次は図書館?
 └特に教会の地下は怪しく感じている。
 5:その最中に知り合いや行方知れずのシャナを探して合流する。



【いーちゃん@戯言シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:森の人(10/10発)@キノの旅、バタフライナイフ@現実、クロスボウ@現実
[道具]:デイパックx2、基本支給品x2、大量のフレンチクルーラー@ミスタードーナツ
      ブッチャーナイフ@現実、22LR弾x20発、クロスボウの矢x20本、トレイズのサイドカー@リリアとトレイズ
[思考・状況]
 基本:玖渚友の生存を最優先。いざとなれば……?
 0:??????????????
 1:当面はハルヒの行動指針に付き合う。
 2:↑の中で、いくつかの事柄を考え方針を定める。
 ├涼宮ハルヒの能力をどのように活用できるか観察し、考える。
 └玖渚友を探し出す方法を具体的に考える。
 3:施設を回り、怪しいモノの調査。
 └まずは学校の魔方陣(?)。その次に教会地下の墓所の予定。その次は図書館?
 4:零崎人識との『縁』が残っていないかどうか探してみる。
[備考]
 登場時期は、「ネコソギラジカル(下) 第二十三幕――物語の終わり」より後。









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ラノロワ・オルタレイション part11
211 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:58:03 ID:tcEMK0hT









そして、日は沈む



断片が示した次の関係を踏まえ




『物語』は次の段階へ――――――









ラノロワ・オルタレイション part11
215 :Next Relation ◆UcWYhusQhw [sage]:2010/10/24(日) 02:58:52 ID:tcEMK0hT
投下終了しました。
沢山の支援ありがとうございます。
此度は期限を大きくオーバーしてしまい大変申し訳ありませんでした。
何かありましたら、指摘をよろしくお願いします。


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