- 自動作成されるキャラクターで短編小説2
83 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:04:06 ID:q9La0IhM - ↑アフェリエイトで何を買った。婚約指輪か?
誤爆スレ用のレスをまじで誤爆ったぽいが、せっかくだしネタにしちゃおう。 【特徴】 人の秘密をすぐ喋る、 趣味はショッピング、 表情が変な事がある 35レス投下します。
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84 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:04:55 ID:q9La0IhM -
「ねえねえ知ってる? E組の紀子って二股してるらしいよ?」 「えー、紀子ってあの委員長タイプの? B組の武君と付き合ってんでしょ?」 「それがさあ、A組の靖男に告られたみたいでさあ、彼氏に内緒で付き合ってんだって」 「げーまじサイテー。あいつムカつくんだよねー。いつもいつもあたしらのことバカにしててさー」 「『あなた達、少しは勉強したら? 学生として恥ずかしくないの?』とかねー。何様?ってかんじ」 「ぎゃはははは! 似てる似てる。二股とか、自分が一番恥ずかしいじゃん」 「武君まじかわいそー」 教室に女の子特有の甲高い声がうるさく響いていた。 その声は、窓際の机の周りに集まっている4人の女学生から発せられていた。 女三人寄れば姦しいというぐらいである。4人もいればそれはもう非常にやかましいわけだが、 彼女たちの声はことさらに耳障りだった。 乱れた言葉づかい、下品な笑い声、そしてなにより、話している内容が他人のゴシップをあげつらったもので、 当の本人はもとより、赤の他人が聞いても不愉快なことばかりを話している。 そんなに嫌なら聞かなければいいと言われそうだが、そもそも聞くなという方が無理な話だ。 彼女たちのだみ声は本当にうるさく、もはや騒音というレベルだ。 そのため、いつも騒ぎが始まると、教室の中は人もまばらになるのだった。
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85 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:05:56 ID:q9La0IhM -
「ところでさー。いつも光恵ってそういう話どこで聞いてくんの?」 「え? なにが?」 「だからさー、今日の紀子の話もそうだけど、よく人の秘密知ってんじゃん。どこで聞いてくんのよ」 「あーねー、怖いぐらいよく知ってるよねー。いっつも、あたしらの知らない話もってくるもんねー」 「えー? 別にただの噂よ。ほんとかどうかなんてあたしも知らないし、他のクラスに行ったときたまたま聞いただけよ」 「だけど光恵って他のクラスに友達いたっけ? そんな秘密ペラペラしゃべってくれる友達ほかにいるの?」 「あーひっどー、まるであたしが友達少ないみたいじゃん。そんなことないですー、こう見えて顔は広いんですー」 「ぎゃははは、うけるー」 彼女たちの中心に、一人だけ机の椅子に座って話をする女生徒がいる。 光恵と呼ばれた彼女が、どうやらこういったゴシップを彼女たちに提供する供給源のようだ。 友達が少ないといわれ、口を尖らして光恵が反論する。 その様子を見て、一人が大声で笑い出した。
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86 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:07:02 ID:q9La0IhM -
「ちょっと何笑ってんのよ」 「だって光恵の顔おもしれーんだもん。なにそれ、ちょー変な顔、ぎゃはははは」 「高子やめなってー、光恵怒ってるよー」 「……別に怒ってないよ。それよりそろそろ帰ろ、あたしおなかすいちゃった」 「ぎゃはははははは」 「ちょっと高子ー、あんたばかみたいよ?」 高子と呼ばれた女生徒の笑い声を残し、彼女たちが去っていく。 教室のドアが閉まり、廊下の奥のほうへ彼女たちの騒がしい声が消え去っていった。 教室に、再び静寂が訪れる。
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87 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:08:21 ID:q9La0IhM -
夜。 自宅に戻った光恵は、自室のパソコンを起動し、とあるサイトにアクセスしていた。 『秘密の掲示板』 そう題されたホームページを食い入るように見つめ、彼女はぶつぶつと独り言をいいながら 熱心に何かを探していた。 「さーて、今日はだれの秘密を買おうかしら。それにしても便利なホームページよね。ここに 秘密を知りたい人の名前を書き込んでしばらくすると、秘密を書いたレスがつくんだから」 光恵が他人の秘密をよく知っている原因。それは、このホームページだった。 いったい、このホームページとは何なのか。 それを知るために、まずは光恵がこのホームページを見つけた時に遡る。
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88 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:09:32 ID:q9La0IhM -
ある日、光恵はネットショッピングのページを見て回っていた。すると突然、画面に ポップアップウィンドウが表示された。 『あなたに秘密売ります』 ただ一言、そう書いてあるだけだった。 最初は、クリック詐欺かウイルスの類だと思った。 これをクリックすると、ありもしない代金を請求されるか、ウイルスに感染するかのどちらかだと 思ったのだが、なぜかそのポップアップを消す気になれず、しばらく彼女はその文字を じーっと眺め続けていた。 しばらくして光恵は、意を決したようにその文字をクリックした。 リンク先に現れたページのタイトルには、こう書かれていた。 『秘密の掲示板』 そのホームページのルールはこうだった。
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89 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:10:23 ID:q9La0IhM -
1.この掲示板に秘密を知りたい人の情報を書き込んでください。秘密を書いた『秘密のレス』が帰ってきます。 2.秘密を知りたい人の情報は、なるべく詳しく書いてください。より早く『秘密のレス』が帰ってきます。 3.秘密を見て満足したら、このホームページのアフェリエイトから何か商品を買ってください。 4.このホームページは、あなたが購入したアフェリエイトからの報酬によって運営されています。
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90 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:11:12 ID:q9La0IhM -
最初、このホームページを訪れてこの文面を読んだとき、光恵は、何をバカなと全く信じていなかった。 どうせ適当なレスが帰ってくるだけで、本当の目的はここに書き込まれる個人情報なのだろうと。 そう思いつつも、他人の秘密を除くというのは非常に興味をそそられるものがあり、 とりあえず、手近なレスをいくつか読んでいった。 レスを読んでいると、光恵はある有名な女性芸能人のことについて書かれているものを見つけた。 そのレスには、交際中の男性の子供を妊娠しており、もうすぐ結婚記者会見があると書いてあった。 「そういえば……」 光恵はニュースサイトを開き、芸能情報のリンクを開いた。 リンクを開いた先では、最近妊娠と結婚の発表を行った女性芸能人の話題が大半を占めていた。 「この人の名前と、このレスの名前、同じだ……」
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91 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:12:13 ID:q9La0IhM -
ニュースサイトにのっていた女性芸能人と名前と、秘密のレスに書いてあった女性芸能人の 名前が一緒だった。つまり、このレスの内容は正しいということだ。 そして、そのレスがあった日時は、記者会見が行われた日の1週間前だった。 これを見た光恵は、それでもまだ半信半疑だった。どうせその芸能人の所属事務所かマスコミの 中のやつが事前に情報を漏らしただけだろうと。 ほかのレスは、自分も知らないようなただの一般人の名前がずらずら並んでおり、 読んでも本当かどうかわからない内容ばかりだった。 しかし、それでも光恵は疑いきることができなかった。 どのレスを読んでも、必ずそのあとに『ありがとうございます』というレスがついていた。 すなわち、秘密に満足したから、感謝の印にアフェリエイトで購入したということだ。 なにより、女性芸能人の秘密は当たっていた。しかも、事実がわかる1週間前にレスは書き込まれていた。 「ためしに何か、書き込んでみようかな……」 とりあえずレスを書くだけならタダだ。もし秘密のレスがついても、アフェリエイトの購入は 強制ではない。満足しなければ、何も買わなくてもいいのだ。 半信半疑ではあったが、他人の秘密を知るという魅力に抗うことはできなかった。 光恵は、前々から気に入らないと思っていたある女生徒の名前を、その掲示板に書き込んだ。
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92 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 02:12:58 ID:q9La0IhM -
3日ほどのち、再びそのホームページを訪れた光恵は、自分のレスに返信があることに気付いた。 レスには、書き込まれた女生徒の父が経営していた会社が倒産し、もうすぐ一家が夜逃げすると書かれていた。 「はあ? なにこれ……」 光恵はがっかりした。なんだこれは。こんな非常識なことがそうそう起こるとはとても思えない。 やっぱり、この掲示板は誰かが適当に書いているだけなのだ。この前の女性芸能人のことも、 たまたま当たっただけに違いないと。 急に興味を失った光恵は、サイトを閉じ、ネットショッピングのページに戻っていった。 数日後、ホームルームで彼女は驚愕した。 あのサイトに書き込んだ女生徒が、転校したという話だった。 急なことだった。普通なら、事前に転校するという話があり、皆でお別れ会なりなんなりをするはずなのに、 そういった噂もないうちに、ひっそりといなくなっていた。 まさかと思い、転校した女生徒と仲の良かった友達にそれとなく聞いてみると、はたして、彼女の父が 経営していた会社が倒産したという話を聞かされた。 あの秘密のレスと同じだった。 あのレスに書いてあったことは、本当のことだった。
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93 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:02:07 ID:q9La0IhM -
「秘密の掲示板……、秘密のレス……」 自宅に帰った光恵は、ここしばらくアクセスしていなかったあのホームページを開いていた。 「ここに書いてあったことはほんとだった……」 ホームページを開いてまず彼女が行ったのは、そのページにあるアフェリエイトから 商品を購入することだった。 もともとネットショッピングをしていたから、とくに何の不都合もなく、 適当なショップから適当なアクセサリーを一つ買った。 このホームページのルール 『秘密を見て満足したら、このホームページのアフェリエイトから何か商品を買ってください』 秘密のレスは本物だった。どこのだれが運営しているのかはわからないが、 何か空恐ろしいものを感じていた。 もし、このルールに逆らったらどうなるか。光恵は、試してみようという気すら起こらなかった。
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94 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:04:23 ID:q9La0IhM -
そして、時間は現在に戻る。特にほしい情報もなかったので、今日は早々に掲示板を引き上げ、 いつもどおりネットショップのサイトを回っていた。 すると、あの時と同じように、突然画面にポップアップウィンドウが現れた。 「また? もうあたし知ってるんだけど……」 光恵がそのポップアップウィンドウを消そうとしたとき、 そこに書いてある文字に違和感を覚えた。 そのポップアップには、こう書かれていた。 『あなたの秘密買います』 秘密を買う。その言葉に興味を持った光恵は、ポップアップをクリックした。 すると、表示されたのはいつもと同じ、『秘密の掲示板』だった。
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95 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:05:35 ID:q9La0IhM -
「なーんだ。やっぱり同じじゃん」 掲示板の内容を読んでみても、さっきまで自分が読んでいた内容と同じだった。 たぶん、ポップアップの文字が間違っていたんだろうと思い、何気なくホームページの一番上にページを戻すと、 「あれ?」 ホームページのルールが、さっきまでと変わっていた。
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96 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:06:51 ID:q9La0IhM -
1.この掲示板に書かれているレスに、『秘密のレス』を返してあげてください。報酬をお支払いします。 2.レスの内容はなるべく詳しく書いて下さい。詳細な内容であるほど、より多くの報酬をお支払いします。 3.書き込みには誠実に対応してください。もしあなたの書き込みで問題が発生した場合、厳しく対処します。 4.このホームページは、あなたが書いた秘密によって運営されています。
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97 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:07:54 ID:q9La0IhM -
今まで見たこともないルールだった。 ルールを読むと、秘密を書けば報酬を払うと書いてある。 つまり、本当に自分の秘密を買ってくれるというわけだ。 光恵は、ブックマークに登録してあるいつもの掲示板を開いてみた。 すると、そこのルールはいつも通りの『秘密を売る』という内容だった。 あわててブラウザの戻るボタンを押して先ほどのページに戻った彼女は、今見ている『秘密を買う』ページも ブックマークすることにした。 「でも、私が知っている秘密を聞きたがっている人っているのかな?」 今まで、この掲示板でいろんな秘密を買ってきたが、 自分が知りたい秘密がすでに書き込まれているということは一度もなかった。 つまり、自分の友人や知人の秘密を知りたいという人は、今まで一人もいなかったのだ。
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98 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:08:51 ID:q9La0IhM -
「私が知ってる秘密を売りたくても売れないないんじゃ、しょうがないなー」 まあ、もし秘密が売れなくてもそれはそれでしょうがないと半ばあきらめかけていると、 掲示板に新着レスが書き込まれた。 そのレスには、こう書いてあった。 『野崎高校2年D組 山原高子の秘密を教えてください』 そのレスをみて、光恵は息をのんだ。 「え、山原高子って、私の友達のあの高子? うそ……」
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99 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:11:29 ID:q9La0IhM -
今日、彼女の顔を見て馬鹿笑いをしていたあの女生徒の秘密をしりたいというレスだった。 友達の秘密を売る。さすがの光恵といえども、さすがにそれはできないかな、と思った。 しかし、あまりにもタイミングの良いレスだった。 自分が、秘密を売りたくても売れないと思った矢先のレスで、しかも、 「……でも、あいつ今日あたしのこと笑ったよね。むかつくから、書き込んでやろうかな」 光恵は、高子に腹を立てていた。 怒ってないとは言ったが、もちろん自分の顔を笑われて怒っていたのだ。
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100 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:12:25 ID:q9La0IhM -
「高子がはいているパンツは、高校生なのに、くまちゃんマークのお子様パンツですっと」 カタカタとキーボードを操作し、光恵は『秘密のレス』を書き込んだ。 以前、体育の着替えでいつも周りから離れて着替えていた高子のほうを見たとき、 たまたま目にしたことを思い出しながら。 隠れながら着替えているぐらいだから、たぶん本人も恥ずかしいのだろう。 秘密というには少し弱いかもしれないが、周りに隠しているという意味では、おそらく秘密になる。 それに、これくらいの秘密だったら、あまり気に病むことなく書き込むことができる。 掲示板を再読み込みし、自分の書き込みが反映されたことを確認すると、光恵はドキドキし始めた。 いつもは自分が秘密を買っていたのに、今日初めて他人の秘密を売った。 報酬がいくらかはわからないが、なにか達成感と優越感を味わっていた。 「なんだろうこれ。なんか、ぞわぞわする」 興奮冷めやらぬ様子の光恵は、とりあえず今日はすることはないと、 顔を紅潮させたまま布団に入るのだった。
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101 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:13:44 ID:q9La0IhM -
次の日。 光恵は学校に着いたとたん、いつもおしゃべりをしている友達から話しかけられた。 「ねえねえ知ってるー? 高子って、まだくまちゃんパンツ履いてんだってー」 「え……、うそ……」 「ちょっとーなにまじでビビッてんの? 確かに恥ずかしいけどーそんなに驚くことなくねー」 「あ……、ううん、なんでもないなんでもない、言ってる意味が分からなくて、理解するのに時間かかっただけ」 「あーそれひどーい。なんかあたしの言うことっていつも意味不明ってかんじじゃん?」 「ごめんごめん、そんなことないって、ほら教室いこいこ」 言葉では否定したが、光恵は心底驚愕していた。 昨日の今日にもかかわらず、自分の書き込みがすでに友達に知られていた。 いくらなんでも早すぎないか。そんな疑問が頭をよぎる。 ん? もしかしたら……
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102 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 06:15:00 ID:q9La0IhM -
「ところでさ。その話って誰から聞いたの?」 「え? だれだっけかなー、そうそう、隣のクラスの――」 どうやら、彼女があの掲示板に秘密を知りたいと書き込んだ張本人ではないらしい。 いつも抜けたような物言いをしているが、嘘は決してついたことがない。 言っていることは、たぶん本当のことだろう。 ということは、いったい誰がこの秘密を買ったのか? 考えても分かるわけのない疑問を、光恵はいつまでもぐるぐると考えていた。
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103 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:07:50 ID:q9La0IhM -
その日の夜。 自宅に帰りパソコンの電源をいれ、昨日秘密を売った掲示板に光恵は早速アクセスした。 するとパソコンの画面に、『ありがとうございます』とポップアップウィンドウが現れた。 「わ。やっぱり、あたしが書いた秘密が買われたんだ……」 ありがとうございますと書かれたポップアップをクリックすると、 パソコンの画面が切り替わり、『あなたの口座に報酬を入金しました』という文字が表示された。 「え……、まじ?」 急いで自分の銀行口座をオンラインでチェックすると、わずかな金額ではあったが、 本当に『秘密の掲示板』名義からの入金があった。
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104 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:08:58 ID:q9La0IhM -
「うわーなにこれ、ちょードキドキするんですけど」 光恵はいいしれない嬉しさと期待に満ちていた。 自分が書いた秘密が買われた。 それだけの事実で、彼女は舞い上がっていた。 そして、彼女の眼はホームページのルールの、ある一文に行きつく。 『レスの内容はなるべく詳しく書いて下さい。詳細な内容であるほど、より多くの報酬をお支払いします』 生唾を飲みこみ、喉が鳴った。 光恵は思う。もし、もっと過激でだれもが喜ぶような秘密を書き込んだら、いったい幾らもらえるのだろう。 最初に見たあの女性芸能人の秘密を書き込んだ人は、いったい幾らもらえたのだろう。 こうなるともう止まらなかった。 光恵は、自分が知っているありとあらゆる他人の秘密を掲示板に書き込んでいった。 なぜか、彼女が秘密を書きたいと思うと、その秘密を知りたいという書き込みが掲示板に新着していた。 普通に考えればタイミングが良すぎておかしいと思うはずだが、 舞い上がっている彼女はそんなことを気にも留めなかった。 知る限りの秘密を書き込み、その報酬を受け取り、彼女は『秘密の掲示板』に完全にのめりこんでいた。
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105 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:09:50 ID:q9La0IhM -
あれから数週間たった。 とうとう、彼女が知る秘密が底をついた。 「あー! もう書き込めることがないよ!! どーすればいいのよー!!!」 すでに目的と手段が入れ替わっていた。 光恵は、報酬目当てではなく、ただ他人の秘密を暴露するという快感に取りつかれ、 次々と『秘密のレス』を掲示板に書き込んでいた。 そして、その快感を得るための秘密がとうとうなくなったのだ。 一種の禁断症状とも言える不快な気分が、今、彼女に襲いかかっていた。 「どーしよう、なんかもうイライラしてたまんない。あーもうどーすればいいの」 あたまをかきむしりながら、光恵はどうすればいいどうすればいいとつぶやいていた。 もう、書き込むための秘密はない。新しい秘密を、どこかから見つけてこなくてはいけない。 しかし今、光恵に秘密をくれるような友人も、秘密を見つけられそうな場所のあてもなかった。
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106 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:10:53 ID:q9La0IhM -
「もう、こうなったら、これしか……」 そしてついに、光恵は禁断の方法に手をつけた。 すなわち、秘密のねつ造だった。 「どうせ、わかりゃしないわよ。あたしだって、今までこの秘密が正しいって分かったのほとんどないもの……」 そう。確かに、ここに書き込まれる秘密のレスの内容は、確かめようのないものがほとんどだった。 転校していった女生徒のように、後から本当だと分かるケースもないことはなかったが、 ほとんどのレスの内容は、いまだに真偽不明のものばかりだった。 それでも、その秘密を友達に話すと、だれもがその話に身を乗り出してきた。 皆が自分の話を興味を持って聞いてくれる。そのことがとても楽しく、また、えも言われぬ充足感を光恵に 与えてくれたため、今まで光恵は、秘密の真偽など気にしたことはなかった。
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107 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:11:48 ID:q9La0IhM -
「あたしが気にしないんだから、ほかのみんなだって気にするわけないでしょ。だから、きっと大丈夫……」 危険な思考だった。自分が気にしないから他人だって気にしない。 本当にそうであろうか。自分は気にしなくても、他の人は気にするかもしれない。 普通ならそう思うだろう。しかし、光恵はすでに正常な思考ができなかった。 秘密を暴露する快楽に取りつかれ、暴露する秘密がなくなり禁断症状に陥っている彼女は、 根拠のない自分と他人の同一視に身を任せ、踏み出してはならない道に踏み出していた。 光恵が掲示板の更新ボタンをクリックする。 すると、新着レスが書き込まれていた。
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108 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:12:34 ID:q9La0IhM -
『野崎高校2年E組 青木紀子の秘密を教えてください』 以前光恵が買った、二股をかけているという秘密の帳本人のことが書かれていた。 光恵は息をのむ。 「ちょうどいいじゃない。この女、前から気に食わなかったし。どうせなら、とんでもないこと書き込んじゃお」 そもそも、彼女の秘密を知りたいと思った理由が、ムカつく女だからというものだった。 ガリ勉委員長のくせに彼氏持ちで、しかも自分たちをバカにしてくる。 そんな女が二股をかけていると知った時は、飛び跳ねて喜んだものだった。 そして今、光恵は彼女の秘密を書き込む立場にいた。
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109 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 07:13:36 ID:q9La0IhM -
「ひっひっひ。そうよ、どうせなら、二度と立ち直れないぐらいひどい秘密を書き込んでやればいいのよ」 光恵が紀子の秘密を買い、それをクラスの友達に話して以降、紀子の様子は目に見えて落ち込んでいた。 どうやら、自分が話した二股の噂が周囲に広まり、それが彼氏の耳に入ったようだった。 光恵はざまあ見ろと鼻で笑っていた。 いつも自分たちをバカにしていた報いだ。自業自得だ。お前みたいなひどい女は、 そうやって落ち込んで黙っているのがお似合いだ。 あの秘密を知った後、光恵は、いつもより高額な商品をそのホームページの アフェリエイトから買っていた。 「実は紀子は男好きで、彼氏と付き合う前から援助交際をしていた。しかも今、彼氏に冷たくされて余計にさみしいから、 学校の体育教師と浮気をして、彼氏に見せつけるようにいちゃいちゃしているっと」 根も葉もない話だった。 あまりにも幼稚で、愚にもつかない内容だった。 光恵はキーボードをたたき、自分の自己満足のためだけに、掲示板にとんでもないでたらめを書き込んだ。 そしてそれに満足し、レスが反映されたことを確認すると、早々に布団に入り、満足げな笑顔で眠りにつくのだった。
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110 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:07:11 ID:q9La0IhM -
次の日、晴れ晴れとした笑顔で登校した彼女は、教室の様子がおかしいことに気付いた。 ざわざわしているのはいつもと変わらないが、みな、一様に暗い顔をして話をしている。 いったいどうしたのだろうか。多少は気になったものの、昨日のことで非常に気分のよかった光恵は、 「ま、どうでもいっか」 と、我関せずいった風で自分の席に座った。 光恵が席に着いたとたん、いつも彼女とおしゃべりをしている友達が、彼女の周りに寄ってきた。 そして、口々にこう言った。
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111 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:08:12 ID:q9La0IhM -
「ねえ知ってる? E組の紀子が、自殺したらしいよ」 一瞬、言っている意味が分からなかった。 「はあ? 自殺? 誰が?」 光恵は、半笑いを浮かべたまま、ただ、そう聞き返すことしかできなかった。 「だからー、あの二股かけてた紀子が死んじゃったんだってー」 「なんでも、エンコーしてるとか、ガッコのセンセーと浮気してるとか噂流されて、ひどく落ち込んでたらしいよ」 「自分はそんなことしていないとか必死で否定してたらしいけどー、二股してたやつがいうセリフじゃないよねー」 「ぎゃはははは。わりーけど、なんかちょーうけるし」 「まーねー。で、それが原因で、ガッコの屋上から飛び降りたんだってさ」 「…………」
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112 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:09:14 ID:q9La0IhM -
光恵は言葉を失った。 紀子が自殺をした。いくらムカつく女だったとはいえ、自分の知り合いが死んだということはそれなりにショックだった。 しかし、それ以上に彼女を混乱させたのは、紀子が自殺した理由が、昨日自分が掲示板に書き込んだ 嘘の秘密と同じだったからだ。 「うそ……、だって私が書いた秘密はでたらめで、しかも書いたのは昨日で、それがなんで……」 光恵の視線は、宙を漂っていた。 明らかに狼狽し始めた光恵を見て、友達は不審に思いながらも、とりあえず彼女を気にかける言葉を口にした。 「ねえちょっと、大丈夫?」 「調子悪いんだったら、帰ったほーがいいんじゃない?」 「う、うん。ありがと、ごめん、今日私早退する……」 登校したばかりで早退もないだろうが、手早く帰り支度をした光恵は、 何かを探るような友達の視線に見送られ、教室を後にした。
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113 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:10:07 ID:q9La0IhM -
息を切らし、学校から走って家に帰ってきた光恵は、部屋に飛び込むと同時にパソコンの電源を入れ、 『秘密の掲示板』にアクセスした。 頭は混乱の極致にあった。いったいなぜ、昨日の書き込みがすでに皆に知れ渡っていたのか。 しかも、書き込んだ秘密の帳本人が自殺してしまった。 自殺の理由は、明らかに自分が書き込んだでたらめな秘密のせいだった。 わけがわからなかった。自分が、何に巻き込まれているか全く分からなかった。 とにかく、掲示板だ。もしかしたら、そこに何か答えが書いてあるかもしれない。 光恵は、わずかな希望にすがりつくかのように、真偽の分からぬはずだった掲示板を開いた。 画面に掲示板が表示された。すると、それと同時にポップアップウィンドウが目の前に現れた。
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114 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:11:15 ID:q9La0IhM -
「やっぱり」 なにがやっぱりなのか、光恵自身にも分かっていなかったが、 いつもと違う変化が掲示板に表れているのをみて、なぜか安心感を覚え、思わず言葉を口にしていた。 しかし、その安心感は、ポップアップの文字を呼んですぐに吹き飛んでしまった。 『あなたは、当掲示板において重大な違反を犯しました。したがって、ルールに則り、あなたを厳罰に処します』 もう、なにがなんだか分からなかった。 なぜ、自分が罰せられるのか。そもそも、自分が書き込んだ秘密のせいで、本当に紀子は自殺をしたのか。 だって、おかしいじゃないか、自分が書き込んですぐに自殺するなんてありえない。 どうして、どうして。 光恵の考えは支離滅裂だった。論理も何もあったものではなかった。 すでに思考からくさびが外れていたが、次に表れたポップアップを見て、 彼女の思考は完全に現実から滑り落ちた。
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115 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:12:16 ID:q9La0IhM -
『あなたの秘密売ります』 あなたの秘密を売る? 買うじゃなくて? あなたに売るでもなくて? 意味が分からない。なにこれ。なにこれ。なにこれ。 ポップアップが消えた。そのとたん、猛烈な勢いで掲示板に新着レスが書き込まれ始めた。 自分の秘密を売るという文字の意味を考える間もなく、次々に掲示板に新しいレスが現れる。 所在なくそのレスを眺めると、そこには、信じられないことが書いてあった。
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116 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:13:19 ID:q9La0IhM -
『光恵の家庭は最悪。親父はDVで母親は麻薬中毒。光恵自身も頭が狂ってるんだって』 『2年D組のみーんな光恵のことが嫌いです。だって、私もあいつ嫌いだから無視してるし』
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117 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:14:27 ID:q9La0IhM -
表れるレス全てが、光恵のことについて書かれているレスだった。 しかも、その内容は明らかに嘘だった。 自分自身のことだ。それが本当か嘘か分からないはずがない。 もう、どうすればいいか分からなかった。なぜ、こんな事態になったのか、考えもつかなかった。 「なんでーーー!!! どうしてーーー!!! 私が何をしたっていうのーーー!!!!!」 光恵の大声が、家中に鳴り響いた。 常人では出せない奇声で叫ぶ光恵の声は、いつまでもいつまでも家中をコダマしていた。
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- 自動作成されるキャラクターで短編小説2
118 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:15:38 ID:q9La0IhM -
「ねえ、知ってる? D組の光恵って子、なんか頭狂って入院しちゃったんだって」 「あー知ってる知ってる。なんか、自殺した子の原因に関係してたって噂もあるよ」 「なんかキモいよねー。むしろ、入院してくれてありがとうって感じじゃない?」 「そうかもそうかも。そうだ、ところでさー、C組のあの子のうわさ、知ってる? なんか――――」
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- 自動作成されるキャラクターで短編小説2
119 : ◆31cZ/2c.Zk []:2010/10/20(水) 21:17:01 ID:q9La0IhM - 軽くネタにするつもりがとんでもないことに……。
世にも奇妙な物語は、SMAP特別編が割と好き。 またね。
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