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ロボット物総合SSスレ 42号機

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ロボット物総合SSスレ 42号機
263 :廻るセカイ-Die andere Zukunft- Episode15 12/15[]:2010/10/20(水) 06:10:17 ID:RBdb7H/O
……こいつにしては妙案なんじゃないだろうか。この間までオレたちだけしかいない状況だったから忘れていたが、オレたちにはエーヴィヒカイトがいるのだった。

「オレたちには保守派のリーダーがついている。そいつに話せば、お前たちだって保守派に移ってこれるはずだ」

「保守派の、リーダーが……?」

「ああ。今は深手を負って戦闘には参加できない状態だが、お前たちを迎える手続きくらいはできるはずだ」

エーヴィヒカイトもおそらく反対はしないだろう。前に聞いた話では保守派は戦力不足らしいし、むしろ歓迎してくれるはずだ。

「仮に私たちがアンタたちの話を受けて、それでアンタたちは私を信用できるって言うわけ?昨日まで敵だった私たちを?」

「味方になった以上信用はするさ。というか、信用できない相手だったら味方になんか誘わねぇよ」

少なくとともナハトとかその辺だったら絶対誘わなかった。いや、その前にナハトだったら絶対見殺しにしているが。むしろ止めを刺してやりたいくらいだ。

「でも、私たちはっ……」

「じゃあこうしろ。お前たちだって革命派の中に戦いたくない相手とか、信頼できる相手だっていただろ。そう言った奴らに対して、脅されて無理矢理協力させられたってことにしていいからさ。だから、仲間になってくれ」

「裏切るかもしれないわよ?」

性格なのか、なんか人を信用しないというか、疑り深いヤツだなぁ。オレの気持ちはシュタムファータァがこいつ等を仲間に誘ったときから変わらないって言うのに。

「言ったろうが。仲間なら信用する。裏切るなんてしっあことか。信用してんだからそんなの関係ねぇよ」

オレがそうシュヴァルツの目を真っ直ぐ見据えて言うと、彼女は目を逸らして、一言だけつぶやくようにオレたちに対して言った。

「一日だけ、考えさせてよ。シロと二人だけで話したいからさ」

「わかったよ。なら、今日はオレたちは帰るな」

「いい返事であることを祈ってます」

そうしてオレとシュタムファータァはヴァイスを残し、シュヴァルツの病室を後にする。

「お前にしては、マシな案だったな」

「むしろ私は、ヤスっちさんが初めっからこのつもりで助けたのかと思ってましたよ」

そんなつもりはなかった。あのときは正直目の前の状況に対してテンパってたからそんな冷静なことは考えられなかった。椎名がいなかったら結果的にシュヴァルツを助けられなかったかもしれないし。

ロボット物総合SSスレ 42号機
264 :廻るセカイ-Die andere Zukunft- Episode15 13/15[sage]:2010/10/20(水) 06:12:27 ID:RBdb7H/O
「……アイツら、仲間になってくれるといいな」

「そうしたら、今回の一件でかなり仲間が増えたことになりますね」

今までオレたち二人だけだったのに、なんか変な感じだ。ゴール地点が全く見えなかったこの戦いだが、なんとなく先が見えてきたような気がする。

「とりあえず、エーヴィヒカイトが完全に回復するまでは全力でオレたちが頑張らなくちゃな」

「はい、頑張りましょう!」

二人で病院を出る。今日は休日だし、用件は終わったから特にこれからなにをするかは決まっていなかった。

「そうだ。シュタムファータァ、一つ気になったことがあったんだが」

「なんですか?」

「昨日のナハト、あいつ人の姿で剣を持ってたが……あれはなんなんだ?」

黒塗りの刃を持つ漆黒の西洋剣。あんな代物、堂々と持ち歩いているわけでもないだろう。予想はできるが、シュタムファータァの口から答えを聞きたかった。

「あれですか。おそらくナハトの人間状態用の固有兵装でしょう。人の姿でも固有兵装は出せるので、おそらく人間サイズに作成したんだと思います」

「人の姿でもそんなことできんのかよ」

「リーゼ状態ってのはあくまで副産物です。リーゼンゲシュレヒトはセカイを操り、変換できる人間のことを指す言葉ですから」

そういえばハーゼも同じようなことを行っていた気がする。ということは、シュヴァルツのときみたいにナハトに肉弾戦を持ち込んだら瞬殺されるってことか。
……まぁ、オレはシュヴァルツにも勝てなかったが。

「当たり前の話、ヒトの姿の方がリーゼ状態よりは遙かに脆弱です。だから、自分の身を守るための手段として人間サイズ用の固有兵装も持ってるのが一般的なんですよ」

「……なるほどな」

ため息をついて、空を見上げる。空の色は、澄み渡るように美しい、雲一つない空。

「ナハト……アイツが攻めてきたとき、本当にオレたちは勝てるのか……」

正直今の状態では、いかに策を使おうとも勝率は0だろう。実際に戦ったことはないが、それがわかってしまうほどの圧倒的な存在感。不安で仕方がないが……今それを考えても仕方ない。
とりあえず今は、ヴァイスとシュヴァルツの一件が片づいたことを喜び、休むことにしよう。
もうすぐ、修学旅行という日常が待っているのだから。
ロボット物総合SSスレ 42号機
265 :廻るセカイ-Die andere Zukunft- Episode15 14/14[sage]:2010/10/20(水) 06:17:02 ID:RBdb7H/O



白い病室。部屋の真ん中にあるベッドに上体だけ起こしている少女と、ベッドに腰掛ける少女。その二人の髪の色も、病室と同じ白色。
今までずっと二人で生きてきたわけではない彼女たち。だからこそ、先程の誘いにはすぐ答えることはできなかった。

「……この話、シロはどう思ってる?」

「正直、メリットの方が圧倒的に多いと思います。……でも、お姉様が」

「わかってる。ヴィオ姉は革命派だし、保守派になるってのは……」

今までか弱い立場の自分たちを圧倒的な力で守ってくれていたリーゼンゲシュレヒト・ヴィオツィーレン。彼女たちの保護者にして、家族である人。
姉と呼び慕い、ヴィオツィーレンも彼女たちを妹として、家族として接してくれていた人物だ。
そんなヴィオツィーレンはセカイの意志の中でかなりの有名人であり、実力者であり……エーヴィヒカイトと敵対する、革命派のリーゼだ。
万が一、ヴィオツィーレンと戦うことになれば彼女たちに勝ち目などないし、そんな状況は、死んでも嫌だった。

「でも、お姉様ならナハトのことを話せばわかってくれると思います。別に、ディスに共感して革命派にいるわけではないでしょうし」

「私もシロと同じ風に思うわ。でも、でも……万が一、わかってくれなかったらと思うと、怖い……」

「……じゃあ、革命派に戻りますか?」

革命派に戻る。それはヴィオツィーレンのいる場所に帰るということ。だがそれと同時に。シュヴァルツのことを刺したナハトの所に帰るということでもあるのだ。
自分を殺そうとした人間のいる組織なんかに帰れるわけがない。それはシュヴァルツ自身もわかってはいた。

「選択肢はない、わね……」

「私は、お姉様を信じてみようと思います。きっとお姉様なら大丈夫ですよ、クロ。だって」

「私たちは家族……だもんね」

そうだ。私たちは家族。いつまでも怯えていても仕方が無い。こうなってしまった以上、腹をくくるしかない。
ヴィオツィーレンとシュヴァルツは姉妹であると同時に、シュヴァルツはヴァイスの姉なのだ。姉の自分がいつまでも怯えていてどうする。
姉というものは、妹を安心させるべきだろう。妹を支えてやる存在なのだから。

「よし!ヴィオ姉のことだからきっと話せばわかってくれる! 私たちはアイツ等の話を受ける!それで決定!」

「昨日の敵は今日の友、ですね」

ヴァイスがようやく柔らかな笑顔を見せてくれる。妹に心配され、諭されているようじゃ姉としてまだまだだ。
一度こう、と決めると段々と元気と活力が戻っていく。そうだ、別に私たちは元々革命派のやることに賛同していたわけではない。
ただ、ヴィオツィーレンがいたからそこにいただけ。ヴィオツィーレンは彼女たちを守るために革命派にいただけ。ただそれだけのこと。

「はぁ……本当、まさかこんな大変な事態になるとは思いませんでした」

「私もよ。最終的にこんな結果になるなんて、予想できるはずないじゃない」

病室の窓から空を見上げる。空の色は都会のそれとは違う、真っ青な澄空。
何故か、それが今はたまらなく綺麗に思えた。この空を、私は消そうとしていたのに。

「……明日、二人で言おうね」

「……はい、クロ……」

ロボット物総合SSスレ 42号機
266 :DaZの人inサブPC[sage]:2010/10/20(水) 06:21:09 ID:RBdb7H/O
以上、廻るセカイ-Die andere Znkunft- Episode15でした。
ロボが出ない話の方が長くなるという……とりあえずこれでうさぎさん編は終了です。
次からは彼女らの姉、一度だけ出てきたリーゼ、ヴィオツィーレン編になります。
話にロボ分が少なかったからシュタムファータァとイェーガーの全身画像でも投下しようと予定してたのですが、
規制されてしまったのでそれも叶わず……。今日の午後から夜の間にでも投下したいと思います。

ちなみにこれはサブPCの方で投下しました。ノーパソなのでセッティングまでが面倒だったので今まで使いませんでしたが、
前みたいにモタモタして午後になるを2度も繰り返したくなかったので。
最後に。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!


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