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148 : ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:50:05 ID:LXQmIS0O - 今から投下します
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149 :COUNT DOWN(上) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:51:44 ID:LXQmIS0O -
「あ ァ ぁあ 」 渇く。渇く。渇く。渇く。 それだけではない。空腹も感じてきた。 生理的な欲求のみがアタマを埋め尽くす。 水を飲んでも根本的な渇きが収まらない。 食べたい。飲みたい。あの赤い血に貪りつきたい。 理性を食欲が支配する。さっきからそれだけしか考えていない。 無いものは無い。どうしようもない。でも、もう耐えらr あ。 「アあああアアアアア嗚ああアAAアアあアあアアAあアアアッッ!!!!!!」 自分の耳が劈くほどの金切り声を上げ、無意識のうちにスタンドを出現させた。 何を攻撃するわけでもない。目的はただ目の前のものを破壊するだけ。 前にあった壁をやたらめったら殴りつけ、大体10秒くらい経っただろうか。 意識がはっきりしたときには眼前の壁は完全に粉々になっており、部屋の中が容易に覗ける程だった。 「ああッ!!…………ハァ………ハァ……はぁ」 最後に自分の拳で直接壁を叩き、ゆっくりと息を落ち着ける。 これで3度目だ。振り返れば他にも二箇所、同じようになっているからそれが分かる。 吸血衝動を破壊衝動に代えて何とか凌いできたが、暴走する感覚が短くなってきた。 おそらく次は1時間と持つまい。いや、それすら楽観的かもしれない。 乱れていた思考を整える。ともかく、このままでは拙い。 「仕方…ないわね……」 外に、出る。 それは危険だと本能が感じていたが、このまま此処にいてもドナルド等以外の誰かがやってくるとは考えにくい。 正確には、来たとしてもそれまでに理性が残っているかどうか怪しいというのが本当だ。 思考能力が失われている状態でそうなったとしてもむしろ返り討ちにあう可能性は高い。 自分を失ったままで『食事』というのは情けない結末に終わる気がしていた。 ならば少なくとも、理性の残っているうちに探しにいかねばならない。 外を見る。 曇天で一面灰色を呈した空は、日の光をかなりシャットアウトしていた。 しかしこのままではいけない。もう少し日光を遮断する工夫をせねばならない。 そう思い、私は静かに素早く歩き出した。
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150 :COUNT DOWN(上) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:54:36 ID:LXQmIS0O - 20分くらいで用意は出来た。
包帯を肌の露出部分に丁寧に、二重、三重に巻きつけて身体を覆う。 手袋をはめて、マスクをつけ、帽子を被り、さらにその上からシーツを引き裂いたものを継ぎ接ぎして 外套のようなものを作り、それを着た。これで駄目ならカーテンに包まって行くしかない。 その姿を想像して、思わず笑ってしまった。砂漠じゃあるまいし。 しかし現実の環境は自分にとって砂漠以上に厳しいものだ。もし生き残っても一生このままかと思うと気が重い。 月の頭脳に頼めば薬を作ってくれるだろうか。出来なかったらその二つ名に(笑)をつけてやる。 まあ、何はともあれ出てみるしかない。武器になりそうなものも揃えたし。 そう思い玄関に向かったとき、 「第六回放送の時間です。 禁止エリアは十四時からA-5、十六時から―― いけない。すっかり忘れていた。 しかしいつもどおり大した内容ではないだろう。 適当に把握して聞き流し…… ――最後の放送は六時間後となります」 「……冗談きつくない?」 馬鹿みたいな放送を流すのは確か右上とかいう奴ではなかったか。 しかしながら真面目腐って平坦な女の声は、間違いなく真面目に内容を伝えていた。 (この馬鹿みたいに広いフィールドで? 残り12時間? ふざけんじゃないわよ……もはやどうやって殺すかより どうやって見つけ出すかの方が至難じゃない!) それにしてもいきなり何故? 人数の減りが少ない? 残り人数が少なくなった? 知ったことか。 それなら禁止エリアをドバッと増やしてルートを限定、殺し合いをせざるを得ない状況に持ち込んだほうが まだまだ効率が高い。こっちの苦労は度外視的な手法なのか、それとももはや結果はどうでもいいのか。 結果がどうでも良くなるような状況に、追い込まれているのか。 もの凄くやる気を殺ぐ内容の放送だったが、文句など言ってはいられない。 詮索は無意味だし、そうなったからには優勝しか道は残されていない。 しかし問題はこれからだ。参加者全員が放送を聞いているのは間違いない。それは当然ドナルドも含まれているわけで。 (協力関係は…無理そうね。だからと言って直接一対一は望むところじゃない。ドナルドを何とかすることをまずは 考えないと。それとべジータの事もあるし) 前途多難過ぎて話にならない。 それにドナルドに対しては一つ不安があったりする。 ドナルドの魔力を受け取ってパワーアップしたものの(吸血衝動が余計強まったが)その魔力に何か細工をされていたならば 不利に働くのは間違いない。万が一、最悪の事態も考えられる。 どうしようか、と思いながらも意を決して外に出てみた。 一歩。光の届く場所へ。足を出してみる。 「…………」 反応は、無し。 手術着も着込んでいるから皮膚に届く光は多分遮断されているだろう。 さらに目にはゴーグルも装着している。これで駄目ならばさっき言ったとおりにするしかない。
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151 :COUNT DOWN(上) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:56:40 ID:LXQmIS0O -
また、一歩。 晴れていれば完全に阿鼻叫喚の地獄絵図間違いなし。 だけど天候と防備が相俟って日光はほぼ完全に遮断できているようだ。 但し戦闘になった場合服を傷つけられるとそれはもう保障できない。 出来れば夜になるまで戦闘は避けたいものだ。 その時、ポツ、ポツという音を立てて服に水滴が落ちた。 やがてそれは連続となり、シトシトと周囲に音を響かせていく。 雨が降ってきたのだ。 (この空間に気象学の常識が通用するのかは分からないけれど……見た感じ長引きそうね) 全天が分厚い雲で覆われている。 この分なら日没まで晴れることは無さそうだ。 (さて、どっちに向かえばいいのかしら) もし集団行動をされていたら見つけるのも襲撃するのも難しい。 ドナルドならば簡単にあの膨大な魔力での索敵を行うだろうが、状況的に出遭いたくはない。 (手がかりがないというのも考え物……ん?) 何か妙な感覚が働いた。 胸がざわつくような感触。これは最近に感じたものだ。 何となく、西側を向いてみる。 「…成程ね」 ドナルドが魔力を発しているのだ。 しかもかなり好戦的な雰囲気が読み取れる。 かなり距離が離れているようだが、感じ取れるのはドナルドの魔力を送り込まれた影響だろう。 おそらく『敵』を発見し、戦っているのかも。 しばらく考え、そのドナルドがいるだろう方向に走り出した。 幸い無理に近づかなくともスタンドのおかげで遠距離からの監視は行える。 そこで何が起こっているのか確認し、どうするか決めよう。 (戦闘はなるべくしたくないけれどドナルドを殺すって事も視野に入れないと……ああ、本当に面倒だわ) 身体能力もかなり向上している。 疲労度を考えてペースを抑えても10分もあれば『視える』領域には入るだろう。 近いうちに暴走してしまうのが気がかりだが、別に突発的なものではないし、やばいと感じたら下がることにしよう。 ◆◆◆
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152 :COUNT DOWN(上) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:57:55 ID:LXQmIS0O -
咲夜にはわからなかった事が2つある。 一つは新ルールの理由。これに関しては述べるまでもない。 わかったところでどうにも出来ない類のものであるのは間違いないからだ。 二つ目は、自身の吸血衝動…自分の身体についてだ。 吸血衝動がだんだん酷くなっていると彼女は思ったが、実際は違う。 そもそもそれが増加したのはドナルドの魔力が流入してからだ。その影響が、ドナルドの魔力が残っているために 残留し続けているに過ぎない。ここで重要なのは、ドナルドの魔力の効果は永続的ではないということだ。 パラメータが格段に上昇するのは一時的。彼が行ったのはいわゆるドーピングに過ぎない。 結果的にはその刺激により数割程度力の上昇が認められるが、恐ろしく強くなるのはほんの少しの間だけ。 無論ドナルドはそれを分かった上でやっていた。 吸血鬼だということは後で聞いたので吸血衝動の増幅について意図してなかったが。 (というよりアレはドナルドの魔力の性質によるもので、吸血鬼としての能力を増強しているわけではない) そのピークが、ちょうどさっきの暴走の時だったのだ。 さらに吸血鬼としての能力は全般的に不完全なものだった。 そもそもDIOの血を死者にかけても吸血鬼として蘇らないのは既に確認されている(現在生き残っているものは誰も知らないが)。 あれは首輪を介しての能力制限によるものだったが、生者の肉体に対してはその制限が緩くなっているらしい。 その事は咲夜が吸血鬼になってしまったことで明らかだ。しかし制限を受けているのは間違いなく、その血が入り吸血鬼となった 咲夜に対しても影響はある。吸血鬼としての能力は通常より半減しており、それは弱点に対しても例外ではない。 尤も吸血鬼の弱点など今更書き並べるまでもないが、太陽の影響が弱まっているのは確定的だ。 もちろん直射日光を受ければひとたまりも無いが、現在の天候――曇りや雨の時ならばその効果は格段に薄れる。 やや過剰とも言える咲夜の防備だが、これならば影響は皆無と言っていい。 だが何にせよ日没までは6時間も無い。 彼女が万全を期せる時間帯は、近づいているのだ。
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153 :COUNT DOWN(上) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:59:03 ID:LXQmIS0O -
【C-4 病院前/2日目・日中】 【十六夜咲夜@東方project】 [状態]吸血鬼化[装備]時計型麻酔銃@名探偵コナン[道具]支給品一式(水抜き)、 ライトセイバー@外人が想像したとてつもない日本が出てくるゲーム(RedAlart3)、、 痛PSP@現実、マスクザ斉藤のマスク@ニコニコRPG [装備] 日光遮断のための服装、メス50本 [思考・状況]基本思考:優勝し、死亡者含め全ての参加者を元の所に戻すと主催に望む 1:ドナルドに気づかれない程度の距離まで近づき、同対処するか考える。 2:今の天候の内に参加者を見つける。 3:鏡音リンは頃合を見て始末。 【備考】※ときちくは姿しか知りません。 ※時間操作は4秒が限度です。停止した後に使用するには数秒のブランクが必要です。 ※飛行が可能かどうかはわかりません。 ※主催者側が参加者を施設を中心として割り振ったと推理しました。 ※高い能力を持つ参加者は多くが妖怪と考えています。 ※やる夫のデイパックは列車内に放置してあります。 ※サムネホイホイ(出だしはパンツレスリングだが、その後別の映像は不明)は、A-5の平原に投げ捨てられました ※カミーユ・ビダンの死体を確認。首輪を解除しようとしてる人がいると推測しました ※一度幻想の法則から外れた者ももう一度幻想の法則の中にもどせば幻想の法則が適用されると推理しました。 ※ヤバいDISCがINしました。スタープラチナの真の能力にも気づきました。 ※吸血鬼化しましたが、本家吸血鬼と比べると回復やパワーアップが小さいです。 ※基本支給品と計量匙、及びフジキがC-4からD-4にかけて散らばっています。 ※DIOの支給品を回収しました。 ※塚モールで火事が発生しています。 ※第四放送を聞き逃しましたが、べジータから聞きました。 ※スタープラチナのDISCから承太郎の記憶の断片を読み取ったようです。 ※べジータと情報交換をしました。しかし自分が吸血鬼であること、美希やDIOを殺害したことは伏せています。 ※阿倍さんのツナギ@くそみそテクニック、便座カバー@現実はDIOのデイバッグと一緒に病院の奥の部屋にあります。 ※コンバット越前とKAITOの死体は病院の奥の部屋にあります。 ※病院の入り口が綺麗になっています。 ※激しい吸血衝動に襲われ自我と本能がせめぎあっています。しかしドナルドの魔力が消え次第半減します。 ※日光を遮断するための服装を整えました。現状の天候では問題ないようです。 ※ドナルドの気配を遠距離からでも感じ取れるようです(方角のみ)。 ※会場の所々で雨が降り始めました。夜まで止む気配はありません。
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154 :COUNT DOWN(下) ◆WWhm8QVzK6 [sage]:2010/10/20(水) 23:59:55 ID:LXQmIS0O - ◆◆◆
一度慣れてしまえば速いものだ。 既に首輪の改造は終了。後は全員が戻ってくるのを待てばいいだけだった。 現状の問題はほぼ解決した。ただ、言葉に関することを除けばだが。 現状を簡潔に言えば、ときちくはかなり迷っていた。 実際言葉を殺すとしても直接手を下すのはときちくだ。 提案したのはタケモトだと言っても、提案と実行では責任には大きな差が出てくる。 殺害した場合に弁解することは出来るが、その責任は減るだけで無くなるわけではない。 その重さは時間が経つにつれ圧し掛かってくるだろう。そうなった場合、選択が制限されるのは間違いない。 殺さないまでも足を折るなどの措置も考えたが、結果的にときちくは手を出すことがよくない、と判断した。 当然彼自身の決定である。タケモトの意見には同意するところもあったが総合的に見れば損をするのは彼であることに揺るぎは無い。 そう思ったものの、ただ一つ心配なのはその選択が正しいのかということだ。 (言葉を生かしたことで俺に災難が降りかかるのは一番厄介だ。恨みなんかは持たれてない筈だがこの場合 方向性は関係ないな。もういい加減ヤンデレにもこりごりだしなぁ) ときちくはうっかり油断してヤンデレ娘に背中を刺された経緯がある。 不幸はいつだって唐突で、誰に降りかかるかは分からない。だからこそ常に慎重になるべきなのだが…。 (少し気が抜けてるかな…。命の危険は確かに少しばかり減っているが懸念材料はたっぷりだし困ったもんだ) この安定した状況はときちくに気の緩みを生み出していた。 それは先だってのユベルへの警戒心の薄れにも顕れていたのは間違いない。 ここに来て自身の緩みを自覚したが過去の事にまでは気は回らず、思考を占めるのは今と未来のことだけ。 既にグラハムとチルノは戦闘機を回収している。早ければ放送後間もなく戻ってくることだろう。 未だに敵性存在はここにたどり着くために必要な橋すら渡っていない。 探知機で見る限りドナルドら他2名はループの存在を把握していないので、デパートに来るならば そこを通ることになるのは当然と言える。 決断の時は迫っている。 しかし殺す事は避けたい。 (適当な理由はないか…?言葉を騙してここに残らせるって手もあるんだが上手くいくとは限らないし 何よりタケモトが許しそうにないな…。別に許諾をとる事でもないが) 時計の針を見つめる。 長針がもう12に近づいている。放送は近い。 その時、タケモトが何かを渡してきた。 首輪と…タオルほどの大きさの布だ。 「何だこれは」 「布だ」 「そういうのはいいから」 「…装着後に首に巻けば見えなくて済むだろ」
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