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「赤い鳥とんだ」
続・怪物を作りたいんですが

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続・怪物を作りたいんですが
42 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/10/18(月) 00:26:32 ID:fBfgwpfl
「……下がってください」
森田に声をかけると、黒木は野戦服の下に手を突っ込んで黒い自動拳銃を引き出した。
「あんた帯銃してたのか!?」
驚く森田。当然だ。自衛隊員といえども、作戦行動区域外での帯銃には特別な許可が要る。
「下がれ!」
もう一度繰り返すと、黒木は、白い手の主が盾にしているストレッチャーを拳銃でポイントしながら、自らもじりじりと下がり始めた。
真っ赤な爪の手も、それまでとは逆の指づかいでスルスルとストレッチャーのうしろへと下がっていく。
「森田さん!ドアまではあとどれくらいありますか?」
ストレッチャーを睨み据えながら黒木が尋ねる。
「5メートルぐらいですか?しかし…」
…そのとき!
ストレッチャーに載せられた死体が、ぐるりと回転してストレッチャーの向こう側に落ちたかと思うと、次の瞬間、黒木と森田めがけ、大きな物体がもの凄い勢いで吹っ飛んできた!
とっさに床に転げてかわす黒木!しかし森田は直撃を受け、もんどりうって転がった!
背後を素早く一瞥すると、すっとんできたのはストレッチャーに載っていた死体だ。
(ヤツじゃない!それでは!)
ガシャン!
音に反応し、黒木は素早く視界を前へと戻すと、ストレッチャーの上に飛び上がっていたモノが黒木めがけて飛びかかる!
正確に狙っている余裕はない!
バ!バ!バン!
音が繋がって一つに聞える三連射!
45口径の弾量がものを言った!
黒木まで僅かに届かず、白衣を纏った人体が床へと落下!
すかさず踏み込むと、黒木は躊躇なく相手の胸部に残弾5発を叩きこんだ!
遊底が後退したまま止まり、激しく痙攣して人体が動かなくなった。



続・怪物を作りたいんですが
43 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/10/18(月) 00:29:50 ID:fBfgwpfl
遊底が後退したまま止まり、激しく痙攣して人体が動かなくなった。
倒れているのは土井とかいう女医に違いない。
右肩側に大きく傾いた顔が着弾の苦悶によって大きく歪み、胸は全く上下していない。
死んだと見てとった黒木は、背後に転がったまま動かない森田のもとに駆け寄った。
「森田さん!森田さん!!」
……呼びかけに応えるように、警官の口から呼気が漏れた。
「大丈夫ですか森田さん?立てますか?」
言葉の代わりに、起き上ろうとする仕草で森田が応えた。
「………なにがあったんですか?黒木一佐??」
「説明はあとで……それより早くここを出ましょう」
森田に肩を貸して立ち上がらせると、黒木は例の鉄製ドアに向かって歩きだした。
一歩……二歩……
三歩めを踏み出そうとしたとき、背後からカチカチカチという音がするのに黒木は気がついた。

 カチカチカチカチ…カスタネットを連打するような乾いた音が響き渡った。
音は、死んだと思った女医の口から鳴り響いている。
「ま、まだ生きているのか!」
予備弾倉までは持っておらず、森田も完全には回復していないという状況では勝負にならない。
「森田さん!急ぎます!!」
視界の隅で、弾痕の広がる女医の上体がむっくり起き上がるのが見えた。
同時に女医の口がバックリと、耳までどころか肩口まで裂け、その中に匕首を並べたように牙が突出。
白衣の裂け目から、棘だらけの触手が数本、奔流となって吹きだした。
「バケモノめ!」
飛び跳ねるように残りの距離をクリアすると、森田をドアから放り出した。
背後では甘い香りが再び勢いを増し、のたくるものが床を叩く音が迫る!
蔓のようなものが背中に触れるのを感じながら、間一髪黒木はドアの隙間から廊下に滑りだすと、入れ替わりにフルーツ缶のような形状の物体を室内に放り込んだ!
「くたばれ!」
スチールのドアが耐えられるか否か?
それは全くの賭けだ!
一瞬の後、ドアの隙間から閃光が迸って激しい震動が建物全体を襲った!



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