- 続・怪物を作りたいんですが
43 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/10/18(月) 00:29:50 ID:fBfgwpfl - 遊底が後退したまま止まり、激しく痙攣して人体が動かなくなった。
倒れているのは土井とかいう女医に違いない。 右肩側に大きく傾いた顔が着弾の苦悶によって大きく歪み、胸は全く上下していない。 死んだと見てとった黒木は、背後に転がったまま動かない森田のもとに駆け寄った。 「森田さん!森田さん!!」 ……呼びかけに応えるように、警官の口から呼気が漏れた。 「大丈夫ですか森田さん?立てますか?」 言葉の代わりに、起き上ろうとする仕草で森田が応えた。 「………なにがあったんですか?黒木一佐??」 「説明はあとで……それより早くここを出ましょう」 森田に肩を貸して立ち上がらせると、黒木は例の鉄製ドアに向かって歩きだした。 一歩……二歩…… 三歩めを踏み出そうとしたとき、背後からカチカチカチという音がするのに黒木は気がついた。 カチカチカチカチ…カスタネットを連打するような乾いた音が響き渡った。 音は、死んだと思った女医の口から鳴り響いている。 「ま、まだ生きているのか!」 予備弾倉までは持っておらず、森田も完全には回復していないという状況では勝負にならない。 「森田さん!急ぎます!!」 視界の隅で、弾痕の広がる女医の上体がむっくり起き上がるのが見えた。 同時に女医の口がバックリと、耳までどころか肩口まで裂け、その中に匕首を並べたように牙が突出。 白衣の裂け目から、棘だらけの触手が数本、奔流となって吹きだした。 「バケモノめ!」 飛び跳ねるように残りの距離をクリアすると、森田をドアから放り出した。 背後では甘い香りが再び勢いを増し、のたくるものが床を叩く音が迫る! 蔓のようなものが背中に触れるのを感じながら、間一髪黒木はドアの隙間から廊下に滑りだすと、入れ替わりにフルーツ缶のような形状の物体を室内に放り込んだ! 「くたばれ!」 スチールのドアが耐えられるか否か? それは全くの賭けだ! 一瞬の後、ドアの隙間から閃光が迸って激しい震動が建物全体を襲った!
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