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創る名無しに見る名無し
見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2
testスレッド2
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】

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testスレッド2
323 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/10/16(土) 18:30:09 ID:xnasX7Sc
test
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
328 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/10/16(土) 19:28:43 ID:xnasX7Sc
気づけば久しく規制が来てないなあ。実に喜ばしい
さて投下します。>>228-232の続きとなります
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
329 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:29:58 ID:xnasX7Sc
 朝のひと悶着が落ち着いた後、一晩中めそめそと泣き腫らしたまぶたの熱が冷めるのを待って、俺は
人生で初めての遅刻登校をするべく家を出た。ちゃんと母さんが連絡してくれてるとは言っても、やっ
ぱりなんか緊張するっつーか、気まずいっつーか、後ろめたいっつーか。電車の中でも人の視線がどう
にも気になったし。「君、なんでこんな時間に電車乗ってるの?」とか言われそうな、居心地わるーい感じで。

 駅から学校までの道もまた朝と違って全然人いねーし。ちょっとヒネた奴だったらここで「他の奴ら
と違う時間に登校してる俺ってワルだぜ! ワルい俺かっけー!」なんつー、端からみたら残念な奴とし
か思えない感慨を持ったりしちゃうのかもしれんが、俺的には落ち着かないっていう感想しか湧いてこない。

 そんでまた校舎に入ったら入ったで下足室がシーンとしてんのシーンと。シーンって音が聞こえてき
そうなくらいにシーンとしてんの。朝だったらここは毎日友達同士で飛び交うおはよーやら、ガサツな
女子がロッカーを乱暴に閉める音やらで、たぶん校内でも指折りの騒音スポットのはずなのに。
 今ここにある音と言えば、俺がスリッパを床に置く音、静かすぎて気まずい俺がいつも以上にロッカー
をそっと閉める音くらいのもんだ。

 ……なんだこのそこはかとなく湧きあがる寂寥感は。やばい。なんかまるで俺一人だけ違う世界に迷い込
んだみたいでやばい。そんでまたこんな厨二っぽい台詞をさらっと言わされてしまうこの場の空気がやばい。

「結論。遅刻とかするもんじゃない」
 どうせ周りにゃ誰もいないんだしってことで、ちょっとでかめの声で教訓めいたことを口走りつつ、
クラスの教室に向かって歩き出し……てから数歩。正確には九歩目で、俺の孤独感からの解放の歩みは
無下に阻まれることになった。

「何だこれ? 落し物か?」
 踏み出した右足で謎の物体をおもむろに踏んづけてしまったのだ。それなりの大きさはあるもので、な
んでこんなのが落ちてることに気付かなかったんだと思いつつ、拾い上げて一応パタパタとはたいてやる。

 それは一般的に言うところの巾着袋ってやつだった。弁当とか入れたりするのによく使うあれだ。だ
が今俺が持ってるこれについては、少なくとも弁当入れじゃないことは間違いない。それにしちゃ明らか
にでかいし、そもそも中身がふにふに柔らかい。

「どこぞの女子の落し物って感じだなこりゃ」
 これが女子の持ち物だと思う、というより断定できるのにはふたつの理由がある。
 ひとつめ。袋のデザインが乙女チック全力全開。巾着袋っていう呼称から漂う年寄り臭さ(偏見です)を
まるで感じさせない上品な乙女臭さがぷんぷん漂っとる。こんなに洗練された巾着袋に初めて出会ったよ。
こんな巾着袋抱えて登校する男子が万が一いたら、そんときゃもう校舎の屋上から飛び蹴りかましてやるわ。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
330 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:30:45 ID:xnasX7Sc
 そんでふたつめ。これが決定的なんだけど。なんかいい匂いがするんだよこの袋。なんつーのこれ、あろま?
まとにかくそんな感じの、俺の乏しい日本語力ではお伝えしようのない甘い匂いがするんだわ。たぶんこ
れこそが、女の子の匂いってやつなんだぜ。ん? 嗅いだ事あんのかって? ああねえよ。想像だよ。悪いかよ。

「中身、なんだろ……っていやいや待て待て! それはダメだ! 落ち着け俺!」
 ヤローの持ち物だったらまだ許される(逆に興味ないけど)かもだが、これが女子の持ち物である以上、
中身を検閲するという蛮行はそれそのまま人としての最底辺への転落を意味する。そもそも俺は健全な一
小市民的高校生男子、このような反社会的行為に手を染めるはずもないのだ。この袋から漂う女の子の香
りに少しばかり心を狂わされただけなのだ。まったく恐ろしやおなごのかほり。

「名前……はさすがに書いてねえか。うわー面倒なもん拾っちまったなこれ。ま、とりあえず持ってくか」
 こんなでかい落し物を華麗に見ないふりできるほどには、困り人スルースキルが身についてない俺。ま、
別に本人を探さなくても、落し物預かり所にでも持ってきゃいいんだしと、そう思ったんだけど。

「……あれ? 落し物預かり所どこだっけ?」
 普段用のない場所なんて覚えてるはずもない。落し物をしたこともなきゃ、落し物を拾ったのも今回が
初めてなんだからそりゃ当然だ。

 ううん、どうするか。そう思ったところで、ちょうどチャイムが鳴った。三時間目終了のチャイムだ。
ちょうどいい。さっさと教室に行って、夏海にでも聞こう。あいつは注意力散漫だしそそっかしいから
しょっちゅう落し物してそうだしな。

 ……あ、そうだ。あいつに俺の能力のこと、話さないとな。あいつは俺と目を合わせて喋ってくれる数
少ない存在の一人なんだから。
 ……あ、でもそうか。もう無理なんだ。俺の目つきが阿修羅様気味だとかそんな問題じゃなく、本当に
命に関わる問題で。

 さすがにあいつでも怖がるだろうな。目を合わせるだけで砂になるんだから。そうなったらやっぱりあ
いつだって、他の人と同じように俺を避けるのかな…………うわああんもう! ダメだダメだ! 昨夜一
晩中しくしく泣き明かしたってのにまた泣きそうだ! まるで俺泣き虫坊やみたいじゃないか! くそ、
枯れろ! 涙なんてもう枯れてしまえ!

 とにかく、今は感傷に浸るべき時じゃない。この面倒なブツをさっさとどうにかしないと。夏海への説
明はその後昼休みにでもゆっくりしよう。にわかに再燃した自分の能力への不安を振り切るように、俺は
教室への廊下をダッシュする。途中古典の早坂先生に注意されかけたけど、軽く一睨みして黙らせておいた。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
331 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:32:14 ID:xnasX7Sc
「あ、ゴウキーおはよー。珍しいねー遅刻なんて。なんかあったの?」
 教室にたどり着くなり、聞き慣れたでかい声に呼びとめられた。肩ぐらいまでのショートヘアをさらさ
ら揺らして、そいつは俺の方へと寄ってくる。

「ん、ああまあちょっとしたトラブルでな。それより夏海、ちょっと聞きたいことがあんだけど」
「お、なになに? いいよー、夏海さんになんでも聞きなさい。わかることなら答えてあげちゃうよ」
「落し物預かり所ってどこ?」って質問を、夏海に会ったら何を置いてもまず真っ先にしなければ。さっ
きまではそう思ってた。少なくとも下足室からこの教室へのダッシュを開始した時点ではそれが一番にあった。
だが今、下足室からここにたどり着くまでの間に、気になることがひとつ増えちゃっていた。

「なんか事件でもあったのか? 廊下がやけに騒がしかったんだけど」
 休み時間だから騒がしくて当然だと思われるかもしれないけど、そういう和気あいあいとした騒がしさ
とは別種のもっとピリピリとした騒がしさを、この教室に来る途中の廊下で俺は感じた。
 この学校にもまあヤンキーみたいな奴はいるっちゃいるが、これまで目立った騒ぎが起きたこともなく、
ああいう雰囲気を感じたのはたぶん今日が初めてのことだ。だから余計に気になる。

「ああ、あれね。四組の”あの”お嬢様いるでしょ? あの子の持ち物がなくなったらしいよ」
『あの』を妙に強調した夏海。たぶんこいつはこの強調構文で俺もピンとくると思ってるんだろうが残
念、他クラスの奴で顔と名前と属性が一致する人間は自慢じゃないが一人もいないのだ俺。まそんな程度
のことだとわかればもはやどうでもよい。興が失せたわ。

「ふーん、それだけであんな騒ぎになってんのか。よっぽどなお嬢様なんだなそりゃ。ところで夏海、落
し物預かり所ってどこか知ってるか? どうせお前、しょっちゅうお世話になってるだろ?」
「しょ、しょっちゅうお世話になんかなってないし! 人をうっかり者みたいに言わないで!」
 おお、期待通りの反応。そしてこの反応をするってことは実際こいつはしょっちゅう世話になってるっ
てことだ。こいつは実にわかりやすい。ある意味素直。

「はいはいそうだねー。で場所知ってる? 物知りで博学、定期テストはいつも平均点ギリギリラインをキー
プしてる夏海さん、教えてください」
「もー、馬鹿にするのかおだてるのかどっちかにしてよね。職員室の隣りに『落し物係』って看板があるか
ら、そこに行ったらいいと思うよ」

 そんでまた文句垂れながらも結局こうやって親切に教えてくれるんだこいつは。今の俺の発言をどう解
釈したらおだてたように聞こえるのかは永遠に謎のままだが、とりあえずへりくだっておいたのが効いた
のかもしれない。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
332 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:33:20 ID:xnasX7Sc
「ほーそっかなるほど。ありがと夏海、助かった。じゃちょっくら行ってくる」
 礼もそこそこにして、俺は明らかになった目的地へ向かうべく夏海に背を向ける。歩き出そうとした瞬
間、また夏海の声が聞こえた。

「あ、ゴウキ。目、どうかしたの?」
 それはまったく予想しなかった問いかけだった。目の腫れはほぼすっかりひいたのを確認してから家を
出たつもりだったのに。俺の顔を見慣れてるっていう、特別天然記念物級に珍しい人間の一人であるこい
つには、本人でさえ気付かないようなちょっとした違いさえわかっちゃったりするんだろうか。それって
なんかちょっと嬉しいような恥ずかしいような。と、とにかくここは、無難な返しでいこう。

「ん? いや別になんもないけど。なんでだ?」
「あ、うん。何もないなら別にあたしも何もないんだけどさ。あ、さっさと行ったら? 四時間目始まっちゃうよ?」
 この言葉を発する夏海の声は、前半と後半でまるで雰囲気が違っていた、ような気がした。それは単なる
俺の思い込みでしかないかもしれない。でもそれは昨日までの俺だったら、はっきりわかったことかもしれない。
そして逆に昨日までと同じ俺だったら、夏海がした質問の真の意味はわからなかっただろう。

 俺はもう、あいつの目を見て話すことはできなくなってしまったんだ。あいつがどんな顔で俺の話を聞
いてくれるのか、俺にからかわれてどんな顔で怒ってるのか。もう俺にはわからない。見られない。

 わかってたことだ。わかってたことだけど。
 実際に突きつけられたその事実は、もうすぐ俺の手元を離れることになる面倒な落し物よりもはるかな
重みを伴って、俺の両肩に遠慮なくのしかかってきた。



 相変わらずどことなく棘のある喧騒漂う廊下を部外者然とした顔で華麗にスルーして、俺は二年の教室
の二階下にある職員室に足を向ける。そこで夏海が言ってた通り、『落し物係』の掛け看板を難なく発見。
さすがは落し物常習犯寿々代夏海。頼りにしたのは正解だったな。

 しっかし俺てっきり落し物が廊下の棚にでも陳列されてて、落し物したことに気付いた奴はそっから勝
手に持って帰る方式だと思い込んでたんだけど、どうやらこれ、わざわざ部屋の中に入らなきゃダメっぽい。
 なんかやだろこれ。絶対中でいかつい生活指導とかが待ち構えてて、「落し物をするなど心がたるんど
る証拠である!」とか理不尽なことぬかしながら喝入れられたりしそうだもん。
 
 ま、落し物しなきゃいい話だけどね。今日ここに来たのだって落し物届けるためなんだし。俺が引け目
を感じる理由なんてまるでないわけだ。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
333 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:34:22 ID:xnasX7Sc
 そういうことならもうさっさと乗り込んでさっさと落し物預けてさっさとお暇するがいいさ。無意味に
気が大きくなった俺は、不要に力を込めて落し物係の引き戸を開けて、そのまま勢いよくその敷居を跨い
だ。戸を開けるのと、部屋に足を踏み入れるのがほぼ同時ぐらいの勢い。当然戸の向こうのことなんて確
認したはずがない。

「きゃふっ」
 上半身に感じる衝撃とともに、そんなかよわくも情けない悲鳴が聞こえた。ちょうど戸のすぐ向こう側
に女の子がいたらしい。俺は見事に体当たりをかましてしまった格好だ。

「うわっ、ごめん! だ、大丈夫?」
「痛たたた……。あ、いえ、大丈夫です。すみません。ボーッとしていましたので」
 女の子は派手に尻もちをついていた。それなりに身長は高い俺の、勢いの乗った体当たりを喰らってし
まったんだからそりゃそうなる。

「いやいや、俺がアホみたいに勢いつけて飛びこまなきゃこんなことには……。あ、立てる?」
 俺こんな時、どんな風にふるまえばいいのか、わからないの……。とりあえず俺は、女の子に手を差し
出した。それはよくよく考えればとんでもなく恥ずかしいことなんだが、かといってそれが一番自然な
行動だって気もする。

 ありがとうございます。そう言って女の子は、その右手を差し出した俺の手にそっと重ねてくる。まあ
薄々なりとも濃々なりとも気付いてる思うが、俺は女子の手を握った経験なんぞ持ち合わせてない。当然
の如く心臓はもう爆走暴走のオーバーヒートでメルトダウンがカミングスーンな勢いだ。

 いやー柔らかいのね女の子の手って。すべすべしてるし。やましい気持ちを抱きつつ抑えつつ、右手を
ぐっと引く。んしょっ、とか可愛らしい掛け声を上げつつ、女の子はすっくと立ち上がる。

「ふう。ありがとうございます」
 ぺこりとお辞儀をしながら再度のお礼をくれる。そしてこの時俺は、自分に芽生えたはた迷惑な能力の
ことを一瞬忘れかけた。意識的に見ないようにしていた彼女の顔を、つい油断して見てしまった。
 
 その上品な微笑があまりに綺麗で。その居住まいが恐ろしく可憐で。正直に言うと今まで「綺麗」とか
「可憐」なんて言葉を使った記憶さえないが、今目の前にいるこの女の子は、逆にそんな夢マボロシみた
いな単語でしか形容できない存在だった。

 そしてまた何より。彼女はしっかりと”俺の目を見ていた”。悪鬼羅刹のご親戚的に扱われて恐れられ
る俺の目を、星でも散らしたようにきらきら光る大きな目で、穏やかな微笑のオマケつきで。

 だから俺は、それはもう凄い勢いで目を逸らした。たぶんこの時の瞳の移動速度は音速に匹敵しただろ
うと確信する。見つめ合ってしまえば最後、この子は手足から砂になってしまう。いきなり目を逸らして
怪訝に思われようと、わけもわからないまま砂にされる恐怖を味わわせるよりずっといい。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
334 :見つめ合うと砂になるからお喋りできない ◆EHFtm42Ck2 [sage]:2010/10/16(土) 19:35:23 ID:xnasX7Sc
「あの。すみません」
「……あ! ご、ごめん! ぼけっと突っ立ってちゃ邪魔だよな。いやいや俺って気が利かなくて――」
「あ、そうではなくて。その手にお持ちのそれなのですが」

 気のせいか少しだけさっきより高いトーンで言いながら、俺の左手あたりを指さす。さて、俺の左手に
あるものって言えば。

「ん? ああこの巾着袋。そうそう、これ届けにここまで来たんだ……って、もしかして。これ、君の?」
「あ、はい! そうです! それ間違いなくわたしのものです! それを探してここに来たんです! 今
日いつの間にか無くなっていて……あの。どこにあったのですか?」
「下足室に落っこちてたよ」

 巾着袋を渡してあげると、彼女はそれを大事そうにきゅっと抱えた。心底安心したようなその表情は、
さっきより少し子どもっぽく感じた。「わたしったら、またやらかしちゃって。ダメね」とか聞こえてき
たけど、その意味はわからないので聞かなかったことにしておく。

 そしてこの時不意に、俺の中でひとつの推測が浮かんだ。いや本当なら夏海に話を聞いた時点で気付け
ることだった気もするんだが、まあ過ぎた時のことを悔やんでもしかたない。

「あのさ、二年の教室の階がやけに騒がしいのって、もしかしてそれ絡みなのか?」
「ううっ。お恥ずかしい限りです。なんだかわたしも知らないうちに随分大事になってしまって。盗まれ
たんじゃないかという話にまでなっていまして。わたし自身はどこかで落としたんだと思っていたのです
けどね」

 やっぱりか。夏海が言う”あの”お嬢様。目の前にした今なら確かに納得だ。思い出せば一年の時から、
同じ学年にあらゆる意味で桁外れのお嬢様がいるらしい噂を聞いたことはあった気がする。名前はなんつっ
たか? あー、確か朝……朝なんとか。わからんっ。

「あ。もう四時間目が始まってしまいますね。次は体育なんです。これが見つからなかったらわたし、理
由もなく見学になるところでした……ってああっ! あの、この袋の中身、ご覧になっていませんよね……?」
「見てない! 断じて見てない! 誓って見てない!」
 ほんとに見ちゃいないけどな、今の君の発言でその袋の中身はもうわかっちゃったよ。うわー見ときゃ
よかった。人として最底辺まで転落してもいいから見ときゃよかった。

「ほっ、よかったぁ。あ、そろそろほんとに間に合わないかも。これ、本当にありがとうございました。
もう落とさないように気をつけますね」
 それでは失礼します。そう言って彼女は、小走りで去っていく。今から着がえてちゃ間に合わないと思
うけど、まあそれは言わないほうがいいんだろう。

 俺はしばらくの間そこで、走り去る彼女の長い黒髪揺れる後ろ姿をぼけっと眺めていた。彼女が残して
いったかすかな匂い、まさしくあの巾着袋からしたのと同じその香りを感じながら。
【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
335 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/10/16(土) 19:36:15 ID:xnasX7Sc
投下終わりです
今回は妙に長くなったな


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