- 続・怪物を作りたいんですが
33 :「赤い鳥とんだ」[sage]:2010/10/12(火) 23:40:16 ID:0yLiVcEL - 「いやあ、ビックリしましたよ。朝子だけだと思って迎えに行ったら、もうひと方いらっしゃったんで…」
駅前で見知らぬ女性に声をかけられてから十数分後、朝子と佑、そして件の女性は、三人で佑の父がやっているラーメン屋のカウンターに並んで腰を降ろしていた。 暖簾は引っ込めて準備中の札を下げたので、不意の来客に邪魔されることもない。 「……昼少しすぎに電話があってな。オレに会いたいと。それでココに呼んだんだ」 カウンターの向こうで、鼻の横を掻きながら佑の父は言った。 「ほんと、無理言ってすみません。でも相談できるのはもう少佐しかいらっしゃらなくて…」 「少佐ってのはよしてくれ。もう10年以上も昔の話だ」 三人の「キャスト」が言葉を交わすのを、朝子はまるで映画の観客になったような気分でただ見つめていた。 佑の姓が「結城」だというのは知っていたが、名前が晃だとは知らなかった。 結城晃。 元Gフォース所属の少佐。 モゲラに搭乗し、福岡でスペースゴジラと対決した男だ。 そして駅前で合った女性は…。 見覚えがあったのも道理だった。 三枝未希。 やはりGフォース所属のエスパー。 そして、子供のころからの朝子のアイドルといっていい女性だった。 「…でオレに相談したいことってなぁ、いったい何だ?」 「実は……私の娘が……あ、申し遅れましたが私、Gフォースを辞めてから…」 「おお!結婚したのか!そりゃそうだな。オマエみたいな別嬪を世間の男どもが放っとくわけがねえや」 恥ずかしげに一瞬俯くと、未希は持っていた手提げ鞄の中から一冊のクリアファイルを取り出した。 「娘が……今年で4歳になるんですが……ひどく魘されるんです。それがみんなゴジラの襲撃があった夜ばかりで」 「うなされる?」 晃の眉がわずかに吊り上がった。 「娘さんもしかして……」 「そうです。かつて私がもっていた力を受け継いでいるようなんです。それが今日の昼、幼稚園から急の呼び出しがあって……」
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