- 【ひぐらし】こちらスネーク 雛見沢村に潜入した6
17 :本編 ◆/PADlWx/sE [sage]:2010/10/11(月) 18:20:53 ID:AbAfcXSf - 私達は、研究区と呼ばれる場所に侵入した。
ジョニーの報告からして、ここら辺にスネークがいる可能性が高い。 手分けして、今まで以上に慎重に探さなければいけない。 もう一回、戦力が均等になるようにくじを引いて、二手に分かれて探すことにした。 今度は、富竹と入江も一緒にくじを引いてもらった。 二人の用事はもう済んだらしく、入江たちが襲われたこともあったので、合流することになった。 「はいはーい! くじは引けたかな? それじゃチームごとに別れよう!」 魅音の号令で、今度は三チームに分かれる。 “みんみんぜみ”は、レナ、羽入、ジョニー。 “つくつくぼうし”は、圭一、沙都子、入江、赤坂。 “ひぐらし”は、魅音、私、富竹という構成になった。 さっきまであった“あぶらぜみ”の名前はなぜか使われなかった。 そういえば、先ほどチーム決めをする時、赤坂と魅音が何か話していた。 ……“あぶらぜみ”に何かあったのかもしれない。ゲン担ぎ、ということでその名前を避けたのかもしれない。 兵士と山狗の警護については、以前と同じだ。 何名かは負傷してしまって戦えないけれど、さっきよりまとまって行動しているので、戦力には問題がないと思う。 ……結構上手に分かれたな、と思う。 “みんみんぜみ”は足りない戦力を、地の利があって知識が豊富なジョニーが補っている。そしてこのチームには兵士達が一番多くついていた。 “つくつくぼうし”は赤坂が道を切り開き、沙都子が後方を守る。圭一は敵の説得も出来るし、入江は怪我の治療が可能だ。 “ひぐらし”は本隊だし、何せ魅音がいる。富竹はああ見えて銃の扱いに長けているから、しっかり守ってくれるだろう。 これはくじの運が良かったからこうなったのか、それともゲーム大会の時のように魅音が自分で割り振ったのか。 まぁ、どっちでもいいか。頼もしい仲間に恵まれた、と思っておこう。 ……仲間、か。 向こうがこっちをどの程度信用しているか分からないけど、スネークは私達のとって大切な仲間だ。 近くにいるだろうから、早く合流して、彼の力になってあげたい。 ――この時の私は、彼の“敵”の事をよく知らなかったから、そんな事を思っていた。
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18 :本編 ◆/PADlWx/sE [sage]:2010/10/11(月) 18:21:41 ID:AbAfcXSf -
「……ん? ここはひょっとして……」 チームに分かれてしばらくした後。 魅音が、ある部屋の前で立ち止まる。既に周りの敵は殲滅していた。 「魅ぃ、どうしたのですか?」 「ここ、敵さんが使ってる通信施設っぽくてね。何か頂戴できるものは無いかなー、と」 「……僕も行くよ」 魅音がドアノブを捻り、慎重に扉を開ける。中には誰もいなかった。 彼女が言った通り、中には通信設備らしきものがあった。複雑そうで、よく仕組みが分からない。 富竹も慎重に辺りを見渡していた。……ひょっとしたら、番犬と連絡を取ろうとしているのかもしれない。 魅音がつかつかと設備に近づく。そして、おもむろに装置を弄り始めた。 「使えそうなのですか?」 「多分ね。なにかいい情報が手に入るかもしれないから、ちょっと調べてみるかねぇ」 そう言いつつも、何せ複雑な機械だから、扱いが難しそうだった。 どこかの無線を傍受したり、モニターにどこぞの監視カメラの映像が映ったり消えたりと、せわしない変化が続いていた。 しかし、どれも有力な情報では無かった。 魅音は額にしわを寄せて頑張っていたが、埒があかないと思ったのか、突然叫び始めた。 「……あーもう! なんでこんなややこしいのさ――――あれ?」 ぷつん。全てのモニターが、唐突に消えた。 同じく唐突に、「通信中」を示すランプがつき、またどこかと無線が繋がった。 通信相手が、声を発する。 『……誰だ?』 ――その声は、ここにいる誰もが探している人の声だった。 私より早く、魅音が無線機に飛びついて応答する。 「スネーク!? スネークだよね?」 『その声……魅音か!? どうして無線が――』 「ああ良かった! やっと見つかった! おじさん達、ず〜〜〜っとスネークのこと探してたんだよ! 部活メンバーは勿論、監督に富竹さんに赤坂さんって人も、みんなでここに来たんだからさ!」 『どうして来――』 「そうそう、今はちょっと別行動している人もいるけど、梨花ちゃんはここにいるから変わるね」 魅音はスネークに喋る隙を一切与えず、一方的にまくし立てて、無線機を私に押しつけた。 いったい何が起こってこうなったのかよく分からなかったけど、私はとりあえず無線機を受け取った。
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19 :本編 ◆/PADlWx/sE [sage]:2010/10/11(月) 18:23:14 ID:AbAfcXSf - 「……スネーク、なのですか?」
『……そうだ』 確かに、私達がずっと探していた彼だった。 「無事で何よりなのです」 『そっちも平気か?』 「圭一が山狗や兵士をこっちに引き込んだので、戦力は何とかなっていますです」 『山狗……敵を味方にしたのか……』 彼は驚きを隠せない様子だった。圭一の戦い方に舌を巻いたらしい。 ……私だって、こういう戦い方があったんだ、と初めて知って驚いている。 「それと、スネークが知っている人は皆無事です」 勿論、沙都子も助けました。と言った。 『……そうか、良かった』 心から安心した、と分かるような声だった。 もっと話したいこともあるけど、それは会ってからにしよう。 そう思ったので、魅音に無線機を渡した。 「今どこにいるの?」 『地下に向かう階段だ。敵はいないが、長くなりそうだ』 「って事は……研究区かな。どの辺りに向かってる?」 『中層だ。今は――』 「それならちょうどいいや。おじさん達も、研究区に来たばかりだから、たぶん追いつけるね! なら中層で会おう! 居住区入り口と同じように、広間があるらしいからさ、そこで合流しよう。 あ、あとこっちも無線機を持って行くから、また連絡するね。いきなり圭ちゃんとかから、無線が来ても驚かないでよー」 『おい、こっちの話も――』 「善は急げ、って言うでしょ。エレベーターで特急で向かうから大丈夫だって!」 『待て、エレベーターは』 「じゃあ、研究区中層の広間でね!」 ぶつり。魅音が無線のスイッチを切った。 それと同時に、先ほど消えたモニターなどが再び付き、この部屋に来た時と同じ状態に戻った。 魅音が振り返り、得意げな笑みを浮かべた。 「よーし、スネークを発見したことだし、目的地決定! 各チームに連絡して、研究区中層広間でスネークと一緒に集まろう!」 「それにしても魅音ちゃん、凄いね。スネークさんと無線を繋げちゃうなんて」 「あ、あはははは! おおおじさんの手にかかれば、何だって出来るからねぇ!」 「……ボクには偶然、スネークに繋がったように思えたのです」 魅音の様子からして、そうとしか思えなかった。 どっちにせよ、さっきの声は本人だ。目的地も決まった事だし、これでようやくスネークと会える。 彼の目的がここで果たせられれば、私の歪んだ運命も打破出来る。 ようやく、先に進む希望の光が見えた。 魅音が他のチームに連絡し、富竹が通信設備を弄り始めているのを見ながら、私は心強さのようなものを感じていた。
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- 【ひぐらし】こちらスネーク 雛見沢村に潜入した6
20 :本編 ◆/PADlWx/sE [sage]:2010/10/11(月) 18:26:12 ID:AbAfcXSf - 以上です。
今週中(ぐらい)に私がもう一度投下しますが、 来週の投下は◆k7GDmgD5wQ氏に一任することになると思います。ノシ
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