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河野玲子
うちのじいちゃんはスゴイ人

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うちのじいちゃんはスゴイ人
1 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:21:28 ID:04/aKP+/
うちのじいちゃんは御歳百歳。明治、大正、昭和、平成を生きて来
た人。今でもボケてもおらず、かくしゃくとして書や絵に親しむ日
々。飄々としてちょっとトボけたところは往年の森繁久弥に良く似
てる。今は孫子に囲まれて平和に楽しく暮らしているじいちゃんの
豪傑でソーゼツな半生を、いつの日か何かで書きたいと思いながら
、何年も過ぎた。というわけで、今日思いたったからここに残して
おきたい。
うちのじいちゃんはスゴイ人
2 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:28:28 ID:04/aKP+/
うちのじいちゃんの名前は河野武政。明治末年、大正元年に6人兄弟
の末っ子として生を受けた。熊本の、貧しい家の子だった。
うちのじいちゃんはスゴイ人
3 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:42:30 ID:04/aKP+/
あ。一旦、じいちゃんの両親のことについても記しておきたい。
じいちゃんの父親、明生は文才があり、芸術眼のすぐれたところがあった
らしいが、働くのが大嫌いな怠け者。現代だったら、楽しくニートして
たかもしれないよーな人。だけど明治の時代に貧困な家に生まれると、
そーはいかなかったらしく、四国から日雇い労働で流れ流れて熊本まで
やってきた。山で木の伐採の仕事に付いていた時、飯炊き屋の若い女、
タエに惚れた。美しくはないが素直で従順なタエに、明生は猛烈アタッ
ク。迷惑顔の末に振られると、逆切れして「お前が結婚してくれんかっ
たら殺してやる!」と、目を目を?き刃物を持って遅い掛ったそうな。
自分の思い通りにならないことが許せなかったんだろうな。
うちのじいちゃんはスゴイ人
4 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:44:29 ID:04/aKP+/
あ。一旦、じいちゃんの両親のことについても記しておきたい。
じいちゃんの父親、明生は文才があり、芸術眼のすぐれたところがあった
らしいが、働くのが大嫌いな怠け者。現代だったら、楽しくニートして
たかもしれないよーな人。だけど明治の時代に貧困な家に生まれると、
そーはいかなかったらしく、四国から日雇い労働で流れ流れて熊本まで
やってきた。山で木の伐採の仕事に付いていた時、飯炊き屋の若い女、
タエに惚れた。美しくはないが素直で従順なタエに、明生は猛烈アタッ
ク。迷惑顔の末に振られると、逆切れして「お前が結婚してくれんかっ
たら殺してやる!」と、目を目を?き刃物を持って遅い掛ったそうな。
自分の思い通りにならないことが許せなかったんだろうな。
うちのじいちゃんはスゴイ人
5 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:52:57 ID:04/aKP+/
脅されて怖くなったタエは、渋々明生と結婚した。が、もともと素直で
従順な性格。そして時は明治。洒落者で、おとこぎのある明生に、タエ
は次第に本気で惚れていく。とはいうものの、明生は働くのが嫌いだか
ら、家は絶えず火の車。子供だけが、次つぎと増えてゆく…。
うちのじいちゃんはスゴイ人
6 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 02:59:34 ID:04/aKP+/
明生は、馬を一匹買い、それを使って荷物を運ぶ仕事をして駄賃をもら
い、生計を立てた。たまには山に入って木を切った。しかし、飴の日は
これ幸いと、絶対に働こうとしなかった。従順なタエは、明生を無理矢
理働かせようとはしなかった。むしろ、雨の日には愛する夫が家にいる
ことを嬉しいと思ったようだ。そういう日に、何をしていたかというと、
読書好きの明生は、貸本屋から本を借りて来て、タエに朗読して聞かせ
た。タエは無学で、字が読めなかったのだ。
じいちゃんに聞くと、『里見八犬伝』とか、桃太郎ナントカとかいう、
当時流行っていた本らしい。
うちのじいちゃんはスゴイ人
7 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:02:17 ID:04/aKP+/
本を読むのに飽きた明生が、「今日はここまで」と言うと、タエは「い
やいや。もうちょっとだけ。もうちょっとだけ読んで」と明生の袖に
すがって、駄々をこねた。当時6歳のじいちゃんの記憶の中の両親だ。
スバラシイ…。
うちのじいちゃんはスゴイ人
8 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:05:46 ID:04/aKP+/
家計もそっちのけで、自分達の娯楽に明け暮れる両親…。
素晴らしくないか?あまりに自分勝手で。
当然、河野家の暮らしぶりは、日に日に悪くなってゆく。
長女のムラは、あまりの貧困っぷりで働かざるを得ず、小学校にも通わ
せてもらえなかっ
た。
うちのじいちゃんはスゴイ人
9 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:11:49 ID:04/aKP+/
また脱線して、ムラのことを記しておく。ムラばあちゃんは、うちのじ
いちゃんの一番上の姉で、私が中学2年の時に死んだ。独身で、いつも
しかめっ面をしているばあちゃんだった。幼少時代、母にムラばあちゃ
んに挨拶するように促されてこわごわ近くによると、笑顔一つ返さず
私の顔を睨んで、「子供のくせに、鼻毛が生えとる」と文句を言われた。
ムラばあちゃんに、そう言われて、子供のくせに鼻毛が生えている自分
がものすごく恥ずかしく感じた。
子供のくせに、鼻毛を生やしてごめんなさい…。
心の中で、何度も謝った。しかし、今ふと思ったのは、子供は鼻毛
が生えないものなのだろうか?鼻毛は果たして何歳くらいで生えるもの
なのだろうか???
うちのじいちゃんはスゴイ人
10 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:16:52 ID:04/aKP+/
鼻毛のことは置いとくにしても、アルバムの中のムラばあちゃんは、
いつも同じ顔をしている。眉間にしわを寄せたしかめっ面。笑顔の
写真は、一つもない。美しくない。不細工の典型のようなばあさんだ。
しかし…。
うちのじいちゃんは、「ムラばあちゃんは可愛かった」と回想する。
嘘だろうと思うけど。
うちのじいちゃんはスゴイ人
11 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:22:08 ID:04/aKP+/
ムラは、小学校に通わせて貰えず、小さい弟妹の子守をして暮らして
いた。だが、おしんと同じで、やはり学びたかった。子供を背負った
ままフラリと小学校に行って、窓からこっそり授業風景を窺ったりし
た。そしてまた、そんなムラを不憫に思った教師から、子守をしながら
授業を受けさせてもらえるようになった。
学べる…!ムラ、人生で一番の幸せの瞬間…。
うちのじいちゃんはスゴイ人
12 :河野玲子[]:2010/10/11(月) 03:44:54 ID:04/aKP+/
だが…。幸せの時は長くは続かず。
ある日、ムラが学校から家に帰ると知らないおっさんがいて、そのまま拉致
された。両親が、ムラを有無を言わさず福岡へ奉公へ出したのだ。それほど
河野家は、経済的に困っていたのだった。
ムラには、一晩も両親と別れを惜しむ時間を与えられなかった。何も分からない
まま、背中に背負った武政を下し、男に連れられて奉公先へ向かったのだ。
奉公先は、『おしん』そのまんまだったというが、私はドラマよりもヒドか
ったんじゃないかと思う。自慢じゃないが、うちの一族は器量よしだ。
ムラがあんな不細工な老人になるには、並はずれた苦労があったに違いない。


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