- 【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】
280 : ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:45:20 ID:KJskPUmS - 投下します。
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281 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:46:20 ID:KJskPUmS - 広い縁側を歩く初芽。
通路には一定間隔で小型の監視カメラが設置されている。 (困ったことになりましたねぇ) バフ課に興味を持った藤林の追求をのらりくらりと躱していたら、気がつけば夕方になってしまっていた。 携帯電話に表示される圏外の文字。 (明日までのレポートどうしましょう) 沈む夕日が日本庭園のような庭を照らす。 庭には大きな川が流れ、鯛や平目といった魚や、高級そうな鯉がたくさん泳いでいる。 これからどう撤収しようかと一人黄昏ていると、不意に人の気配を感じ真剣な顔つきになる初芽。 ただの気配ではない……、それは強い殺意……。 初芽はそしらぬ顔で足音を殺しながら、廊下をゆっくりと歩き出す。 殺意の主もそれに気がついたのか、行動を開始したようである。 (それにしても、この距離まで気がつかないとは私としたことが……、 殿方に誘われたのが嬉しくて油断するなんて、まだだ修行がたりないです) 縁側をゆっくりと足音を立てないように、しかし無駄なく最小の動きで行動する初芽。 殺意の主はランダムに間隔を開け、ゆっくりジワジワと初芽に近づいてくる。 額から落ちる汗。 初芽がようやく通路の曲がり角にたどり着く。 時間にして30秒程度だが、初芽の掌は汗でビショビショに濡れていた。 「敵が何者かわからない以上、背後は取られないようにしないといけませんね」 壁を背にして構えを取る初芽。 距離が近づくにつれ、どんどん殺気が大きくなっていく。
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282 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:47:31 ID:KJskPUmS - 「藤林家に降りかかる災いの目は、我々がいかなる手段を講じてでも排除致します」
機械的な春恵の声と同時に振り向く初芽。 「よく止まられましたね……」 クスクスと笑う春恵。 首筋に突きつけられていたクナイが初芽の首筋を斬る。 ツーと一筋の血が首筋をつたって床に落ちる。 「一体どこから?」 「この屋敷はその昔、戦国時代の城をモチーフにして造られておりますから、 主君の脱出用の隠し通路など、多くのカラクリも再現しております」 赤く染まった地面。 「あと1ミリでも動いてたら、首が飛んでましたよ?」 「バフ課1班 甲賀初芽殿!私怨はありませぬがその首頂戴致します!」 初芽が後ろへ飛ぶとほぼ同時に、春恵の鋭い振りがビュンと風を切る。 勢い余って穴が開いた壁。 「何故そのことを?」 「この敷地内にはゲートは勿論のこと、至る所に超小型高性能監視カメラが設置されており、 その一つにでも映れば、その瞬間に顔写真から人物の名前を特定し、 世界中の銀行にアクセスし、口座の金の流れや携帯電話の発信履歴等を調べることが出来るシステムになっています」 「そんなこと許されると思ってるんですか?」 「我らは藤林家の影にして御庭番、法律等関係ございませんこと」 「開き直られても困るんですけど……」 飛んでくる手裏剣。 身を翻す初芽。 般若の面をした黒い忍装束を着た痩せ形で猫背の男と、 ひょっとこの面をした紺の忍び装束を着た大柄な男が現れる。 「藤林君が呼んだんですけど?」 「段蔵様には先に帰られたと伝えておくです」 (ていうか?何で私はこんな目にあってるんでしょうか?) 壁に向かってダッシュし、強く蹴り上げ包囲網を突破する初芽。 「そんなことはバフ課だからで充分でしょうに」 眉間に皺を寄せる初芽。 (洗脳でもされてるんでしょうか?) 初芽が廊下を走っていると、部屋が4つある十字路に出る。 「しまった!」 「我らは自分の意思でここにおるです」 飛び蹴りを繰り出す般若の面の男。
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283 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:48:51 ID:KJskPUmS - 左に避けると、襖を破って鬼の面をした茶色い忍び装束を着た小柄な女が飛び出してくる。
「無駄です。我らには貴女の考えていることがわかるのですから」 チェっと舌打ちした初芽は 女のタックルが直撃し、襖を突き破り大広間までぶっ飛ばされる。 床の間に飾られている木彫りの熊の置物と、高そうな鞘に納められた日本刀が三本。 後頭部をガードした初芽が畳をゴロゴロと転がる。 「危ないですねぇ〜」 迫ってくる足。 慌てて立ち上がる初芽。 先程タックルしてきた女は、胸を抑えて地面に膝をついて初芽を睨んでいる。 胸を抑えゼエゼエと呼吸の荒い様子の女。 (とりあえず一人っと……、姐さんに拳法習っといて良かったぁ〜) 「油断するからそういうことになるです。下がってるです」 「面目ない……」 男二人と春恵が前に出る。 口を尖らせ、顔を真っ赤にする初芽。 「ちょっとずるくないですか?」 「バフ課の1班といえば、我々の世界では一騎当千の戦闘集団との呼び声が高いので、 念には念を入れさせていただきました」 不意に体の力が抜ける初芽。 「ようやく効いてきたようですね……」 春恵が血のついたクナイを畳に放り投げる。 「奥様が捕縛用に発明された痺れ薬だから、よ〜く効くです」 忍刀を構える三人。 後ずさりする初芽の踵が床の間の段差に当たる。 日本刀に気がつく初芽。
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284 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:50:13 ID:KJskPUmS - 左に避けると、襖を破って鬼の面をした茶色い忍び装束を着た小柄な女が飛び出してくる。
「無駄です。我らには貴女の考えていることがわかるのですから」 チェっと舌打ちした初芽は 女のタックルが直撃し、襖を突き破り大広間までぶっ飛ばされる。 床の間に飾られている木彫りの熊の置物と、高そうな鞘に納められた日本刀が三本。 後頭部をガードした初芽が畳をゴロゴロと転がる。 「危ないですねぇ〜」 迫ってくる足。 慌てて立ち上がる初芽。 先程タックルしてきた女は、胸を抑えて地面に膝をついて初芽を睨んでいる。 胸を抑えゼエゼエと呼吸の荒い様子の女。 (とりあえず一人っと……、姐さんに拳法習っといて良かったぁ〜) 「油断するからそういうことになるです。下がってるです」 「面目ない……」 男二人と春恵が前に出る。 口を尖らせ、顔を真っ赤にする初芽。 「ちょっとずるくないですか?」 「バフ課の1班といえば、我々の世界では一騎当千の戦闘集団との呼び声が高いので、 念には念を入れさせていただきました」 不意に体の力が抜ける初芽。 「ようやく効いてきたようですね……」 春恵が血のついたクナイを畳に放り投げる。 「奥様が捕縛用に発明された痺れ薬だから、よ〜く効くです」 忍刀を構える三人。 後ずさりする初芽の踵が床の間の段差に当たる。 日本刀に気がつく初芽。
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285 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:51:32 ID:KJskPUmS - 「久しぶりだけど、やってみましょうかねぇ」
初芽が刀の1本を抜き、鞘を畳に投げる。 キラリと光刀身。 「これは……」 「飾り太刀ですが何か?」 「私、ショックです」 目をすわらせる初芽。 ビクッと体を震わせる大男。 「狼狽えないです。筋肉の付き方から剣の使い手ではないことは明白です!」 ゴクっという喉の音。 硬直する四人。 鹿威しのカタンという音。 大男が忍刀を振り下ろすが、途中で動作を止め畳に倒れる。 「別に刀身が使えなければ、別の部分を急所に当てれば良いだけなんですよ?」 泡を吹いて崩れ落ちように倒れる大男。 それを踏みつけ、軽快に飛び越える初芽。 「剣では一番には慣れないから……、私は鎌に生きる事を選んだのですよ」 不気味に笑う初芽。
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286 :弟子入り ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 20:53:28 ID:KJskPUmS - 「ちなみに刀なので、こんな事も出来たりします」
初芽が残像で般若の男と、春恵を取り囲む。 「さて誰が本物でしょうか?」 「小癪な!」 手裏剣を四方八方に投げる男。 残像が消える。 「藤林君とは良いお友達になれそうだったのですが……、 バフ課に牙を剥く者を私は許しません…… 地獄の炎に焼かれながら後悔してください 烈火の剣を発動させる初芽。 畳を斬ると、斬った箇所からみるみるウチに炎が出現する。 「いかん!段蔵様に早く知らせねばです!!!」 姿を消す般若の男。 「もう私に構わないでください……、 藤林君に免じて今日はこの辺にしておきますけど……」 体をフラつかせる初芽。 「その体で逃げ切れるとでも?」 「プライベートで何が有ろうと、任務は絶対ですから」 愕然とする春恵。 「プライベート?まさか奥様や旦那様の調査のために段蔵様に近づいたのではないのか???」 「そんなわけないでしょう。私、今日初めて知ったんですよ?」 「しかし1班の任務は潜入捜査や内偵と聞く……」 「仕事は仕事、プライベートはプライベートですよ」 初芽はハァァと大きく肩でため息をつき炎の中へと消えていく。 続く
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287 : ◆PLwTfHN2Ao [sage]:2010/10/04(月) 21:08:24 ID:KJskPUmS - 設定
藤林家御庭番…藤林道純が幼少の頃に発生した誘拐事件を期に叔父が組織した部隊。 普段はお手伝いさんと屋敷内に目を光らせている。 裏工作を専門とする部隊と、警備を担当する部隊がある。 (藤林家繁栄の邪魔者を消したり) グレていたときの段蔵が、洒落にならない相手と揉めたとき こっそり闇から闇に処理したのも彼ら。(内緒) 装備は藤林志野比が最新の物をモニターさせている。 藤崎春恵と宮本宗次以外は、最新型戦闘用アンドロイド。 名前は出来れば重なるのは避けて欲しいけど、まぁ投下されちゃったら仕方ないよね。 (俺の書き方が3人称視点のため) >>272 ちなみにパって読んだとき 「鴻上弥生」がドグマに潜入中の「雪白弥生」の偽名とかだったら、 面白いシェアになっていたような気がする。 もしあれだったら、そうして貰っても良いですよ。 遅くなりましたが収録の方、ありがとうございました!
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