- コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ45
84 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:34:11 ID:qqeLSnaz - こんばんは、次レスから投下します。
作者:余暇 タイトル:素朴な疑問 (設定) ・特派編スザクEND後の話です。 ・リーライナとマリーカの性格とかは、結構自分の中でのイメージが入ってます。
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85 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:35:00 ID:qqeLSnaz - 『素朴な疑問』
特区が成立して数ヶ月後、僕はシュナイゼル殿下の命により、EU戦線に参加していた。とは言っても、ここ数日は小康状態が続いており、今日もアヴァロン内で待機である。 (まあ本来であれば、戦闘がこれ以上続かずに平和的に終わってくれた方が、一番いいんだろうけどな。でもそれでは、ブラッドリー卿が収まらないだろうなあ) 休憩室のソファに腰掛け、同じく今回の作戦に参加しているナイトオブテンことルキアーノ・ブラッドリー卿の顔を思い浮かべながら、僕はため息をついた。 あの人はあまりにも好戦的過ぎて、どうも苦手である。そしてついでに言えば、僕にはどうしても理解できないことがあった。 (アレのデザインは、一体誰が考えたんだ) 僕が言う「アレ」とは、ブラッドリー卿直属の親衛隊・ヴァルキリエ隊が着用する、あのとんでもないパイロットスーツのことである。 アレを着た彼女たちの姿を初めて見た時、ハッキリ言って僕は、カルチャーショックに近い衝撃を受けた。 (やっぱりアレは、露出が大き過ぎると思うんだ。胸の辺りもそうだが、下の方は色々な意味でまずいだろう。いまだに恥ずかしくて、アレを着た彼女たちを直視できないんだぞ。 それにあんなのを着せられて、彼女たちは恥ずかしくないんだろうか。もしブラッドリー卿が考えたものだとしたら、一体何のために?) そんなどうでもいいようなことが、どうしても気になってしまう僕は、一人でずっと考え込んでいた。 念のため言っておくが、彼女たちをいやらしい意味で見ているわけではない。ただ単に、興味本位で気になってしまうだけである……多分だが。 (って、そろそろやめよう。彼女たちの姿が脳裏にチラついて、だんだん恥ずかしくなってきた) 小さく頭を振って僕が思考回路をリセットしようとすると、休憩室のドアが開いて、二人の女性が入ってきた。その二人は、さっきまで頭の中にいた当事者たちであった。 「あら、ライ卿じゃないですか。お疲れ様です」 「お疲れ様です」 「あ、ああ。お疲れ様」 ヴァルキリエ隊所属のリーライナとマリーカにあいさつされ、僕は若干動揺しつつも、あいさつを返した。間が悪いというか、タイミングが良過ぎる。
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86 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:35:57 ID:qqeLSnaz - 「ライ卿も休憩中ですか?」
向かい側のソファに腰掛け、リーライナが僕に尋ねてきた。彼女の隣に座ったマリーカとの二人分の視線を浴びながら、僕は頷く。 「ああ、そんな所だ。君たちもか?」 「ええ、そうです。さっきまでは、シミュレーターでフォーメーションの確認をしていたんですけど、一通り終わったので休憩です。ねっ、マリーカ?」 「はい。でも…今日は何だかルキアーノ様のご機嫌が優れないみたいで、いつもより怖かったです」 「あー、仕方ないわよ。最近は出撃回数がめっきり減ってきているから、きっとフラストレーションが溜まっていらっしゃるのよ。一回出撃すれば収まるから、気にしないで」 「そ、そうですか」 (何だか、微妙にブラッドリー卿の扱いが……) 二人の会話を聞きながら、僕は何とも言えない気持ちになっていた。ラウンズの親衛隊ってくらいだから、もっとお堅いイメージを持っていたんだが、意外に年相応っぽい。 リーライナに至っては、「本当にブラッドリー卿を尊敬しているのか」と思いたくなるようなことを、平気で言っている。 すると、そんな僕の思考を読み取ったのか、リーライナが微笑んだ。 「ふふっ、意外でしたか?ラウンズの親衛隊といっても、やっぱり人間ですから色々と思う所はあるんですよ。でも、決してルキアーノ様をお慕いしていないわけではないので、勘違いしないで下さいね。 それと、今のはオフレコとして聞き流していただけると、助かります。オンとオフの切り替えはしていきたいですけど、たまーにご本人に聞かれたくない話なんかも出ちゃうので」 「あ…ああ、わかった。何だか意外な裏側を知ってしまった気分だが、君たちを困らせるのは本意じゃないからな」 「理解していただけたようで、感謝します」 リーライナがウインクしながら、僕に礼を言った。初対面の時からそうだが、結構フランクな人である。 そしてリーライナの横では、マリーカがオロオロしながら、困ったような表情を浮かべていた。 「あ…あの、先輩。いくらオフレコだからって、ルキアーノ様のことをそんな風に言うのはどうかと……」 「そんなに心配しなくても大丈夫だってば、あまり過激なことは言わないから」 「そっ、そういう問題じゃありませんよぉ」 (楽しそうだな、きっとすごく仲がいいんだろう) そんな風に言い合う二人を眺めながら、僕は微笑ましく思っていた。だが彼女たちを見ているうちに、いったん心の中にしまっていた疑問が、再び湧き上がってくる。 (うーん、どうも気になるな。リーライナはともかく、マリーカはこの様子を見る限り、あのパイロットスーツは恥ずかしくて着られそうにないんだがな。 もし仮にそうだとすれば、彼女はかなり無理をして着ていることになる。実戦なら集中しているから大丈夫だろうが、シミュレーターだと、少しモチベーションに影響しないだろうか) そんなことを考えていると、やがて目の前にいる軍服姿の二人が、次第に例のパイロットスーツ姿に見えてきた。そして僕の思考回路は、ますますヒートアップしていく。 (いや、もしかするとシミュレーターによる訓練そのものが、パイロットスーツに対する羞恥心を取り除くプログラムなのかもしれない。 もしそこまで考えているなら、そこまでしてあのスーツを着せたい、あるいは着たいということになるが、一体何のため…に……) ふと我に返ると、僕はマリーカとリーライナから視線を向けられているのに気がついた。マリーカは何やら戸惑っているような、リーライナは少し面白げな表情にも見える。 しまった、夢中になり過ぎた。
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87 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:37:18 ID:qqeLSnaz - 「あっ、いや、その…すまない。少しボーっとしていた」
僕があわてて謝ると、リーライナが笑みを浮かべながら言った。 「いいえ、お気になさらず。でもどうしちゃったんですか、随分と真剣に私たちを見ていらっしゃいましたけど」 「そ、そんなに僕は君たちを見ていたのか?」 「は、はい。その…すごく……」 僕の問いかけに対し、マリーカが小さく頷く。どうやら僕は、自分の世界に入り込み過ぎて、彼女たちを困らせてしまっていたようだ。 「いや、本当に重ね重ねすまなかった」 「あ、いえ…大丈夫です。ですから、謝らないで下さい」 「ええ、マリーカの言う通りですよ。ところで……」 不意にリーライナが身を乗り出し、興味深そうに僕に尋ねる。 「一体、何を考えていらしたんです?こっそり教えて下さいよ」 「えぇっ?そ、それは……」 「あ、あの先輩。そんな無理に聞かなくても」 返答に窮する僕を見かねて、マリーカがリーライナをたしなめる。だがリーライナは「心配無用」とばかりに、手をヒラヒラさせながら言った。 「大丈夫ですよ、ここでの話は全部オフレコにしますから。さっき私たちの方もオフレコにしてもらったし、お互い様ですよ」 「えっ…あれ?私ってさっき、オフレコにしないといけないような発言しましたっけ?」 「一蓮托生、連帯責任よ」 「えぇーっ!?そんなぁ……」 マリーカは抗議するも、あっさりとリーライナにあしらわれ、しょげてしまった。頑張れ、マリーカ。 「で、どうなんですか?もし言いにくかったら、お隣まで移動して、小声でお話しできるようにしますけど」 「えーと、話しにくいと言えば話しにくいのは確かだが……」 「じゃあ、決まりですね。マリーカ、移動するわよ」 「えっ、ちょ…ちょっと先輩!?」 リーライナはソファから立ち上がると、マリーカの腕を引っ張りながら、僕の前まで来た。そしてマリーカを僕の隣に座らせると、僕を両側から挟むように、その反対側に腰掛ける。 二人の少女に密着されて僕が戸惑っていると、リーライナが僕の服の袖を引っ張った。 「さあ、これで大丈夫ですよ。どうぞ話して下さい」 「し、仕方がないな。じゃあ話すが、その…二人ともこの話を聞いたら、怒る…かもしれないぞ」 「あら、私たちを怒らせるような、いかがわしいことでも考えていたんですか?」 「うっ…み、見方によってはそうかもしれない」 「ラ、ライ卿が私に関する…いかがわしい想像を……」 頭の中で何をイメージしたのか、マリーカが顔を真っ赤にした。多分…だが、僕の考えていたことは、そこまで過激じゃないような気がする。もっとも、自分の中の基準でしかないが。 「マリーカが何を想像したのかは知らないけど、ライ卿も思い切って打ち明けて下さいな。怒ったりなんかしませんから。ねっ、マリーカ?」 「あっ、は、はい。ライ卿が何を考えていらしたのか、気になります。だから、私たちに教えて欲しいです」 「ま…まあ、そこまで言うなら」 僕は軽く咳払いすると、二人の顔色をうかがいつつ話し始める。 「実は前から気になっていたんだが、その…ヴァルキリエ隊のパイロットスーツは、かなり派手というか過激過ぎないか? あっ、け…決して変な意味ではなく、『アレを着せられて恥ずかしくないのか』とか、『誰がああいうデザインにしようと思ったのか』とか、色々気になってしまうんだ。 本当に単純な興味本位の疑問なんだが、その…そんな感じのことを考えて…いました……」 ためらう前に一気にまくし立てた僕であったが、次第に二人の反応が気になり、最後の方は何故か丁寧口調になってしまった。そして、恐る恐る二人の顔を見てみる。 「へぇ〜、なるほどねぇ。ライ卿がアレに興味を持っていらっしゃるなんて、いいこと聞いちゃったかも」 「はぅぅ、ライ卿が私のあんな格好を、そんなに観察していらっしゃったなんて……」 僕の話を聞いた二人の反応はというと、リーライナは何やら楽しそうな表情をしており、マリーカは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしてうつむいてしまっていた。 「もしかしたらこれは言わない方が良かったのかもしれない」と、僕は今さらながらに後悔するのであった。
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88 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:38:50 ID:qqeLSnaz - 「でも意外ですね。ライ卿は真面目な方って印象があるから、こういう少しエッチなことには興味をお持ちにならないと思っていたんですけど」
「いや、だからそういう意味じゃなくて」 僕を見てニヤニヤするリーライナの言葉を、僕は必死に否定する。まあ内容が内容だけに、簡単に納得してもらえるかは自信がないけど。 「ふふっ、冗談ですよ。でも少し安心しました、変な目で見られていなくて。そうでしょ、マリーカ?」 「は、はい。興味を持たれたこと自体は恥ずかしいですけど、変な意味じゃないなら……」 「そ、それはどうも」 どうやら、納得してもらえたらしい。 「それで、実際にはどうなんだ?あの格好に抵抗ないのか?」 僕がそう尋ねると、リーライナが人差し指を顎の辺りに当てながら答える。 「うーん。確かに初めの頃は、ちょっと恥ずかしかったですね。何しろ胸が見えちゃうし、下の食い込みもすごいですから」 「く、食い込みって……。だがその言い方からすると、リーライナは慣れてきたのか?」 「ええ、最初の頃に比べれば。でもマリーカの方は、相変わらず恥ずかしがっていますけどね」 「せ、先輩は早く慣れ過ぎなんですよぉ……」 リーライナにからかわれ、マリーカが頬を染めた。 「何となく予想はできていたが、やっぱりマリーカは恥ずかしいのか?」 僕が尋ねると、マリーカはコクリと頷く。 「当然ですよぉ。最初にアレを見せられた時、本気で抵抗したんですから。結局逆らえなくて、着ることになりましたけど。 戦闘中や訓練中は、まだそっちに集中できるから気にならないんですけど、そうじゃない時は、いまだに恥ずかしくてたまらないんです」 「なるほどな。こういう時何て言えばいいかわからないが、その…大変なんだな。早くあの格好に慣れる…というより、いつでも平常心を保てるようになるといいな」 「そ…そうですね、ありがとうございます」 マリーカが頷きながら、笑みを見せる。そして疑問の一つを解決させた僕は、もう一つの疑問を投げかけた。 「それじゃあ、もう一つ聞きたい。あのパイロットスーツは、誰が言い出してああなったんだ?二人の様子から察するに君たちではないのだろうが、その辺はブラッドリー卿から何か聞いているか?」 そう言って僕がマリーカの方を見ると、彼女は首を横に振った。 「いいえ。入隊してから今まで、ルキアーノ様からは何も聞かされていないです」 「ふむ、ブラッドリー卿からの説明はなしか。このことについて疑問に思ったり、尋ねようと考えたことは?」 僕がさらにマリーカに尋ねると、途端に彼女の顔が青ざめた。 「そっ、そんなことルキアーノ様に聞けませんよぉ!確かに『何でだろう』とは思いますけど、ただでさえ話しかけるのが怖いのに、そんな質問なんか余計にできません!」 「あー……。ま、まあそうだろうなぁ」 マリーカの怖がり方を見て、僕は納得した。確かにこんなくだらない質問をしようものなら、ブラッドリー卿にどんな反応をされるかわかったものじゃないし、彼女にとっては命がけの冒険になってしまうだろう。 そんなことを考えつつ、僕は次にリーライナの方を見た。 「じゃあ、リーライナはどうだ?」 「うーん。確かに気にはなりますけど、あえて聞こうとは思いませんね。聞きづらいのもありますけど、色々想像した方が楽しいし」 「想像?それはどういう意味だ?」 僕が聞き返すと、リーライナは言葉を続けた。 「ふふっ。例えばですね、『ルキアーノ様は女性にああいうキワドイ格好をさせる趣味をお持ちなのかな』とか、『お年頃のヴァインベルグ卿を困らせるためのいたずらかしら』とか、そりゃもう色々と」 「想像とはいえ直属の上司、それもラウンズのブラッドリー卿に、そんなコメントに困る趣味を持たせるのはどうかと思うぞ。あと、ヴァインベルグ卿まで想像のネタにするな」 僕は一応、リーライナに注意しておいた。別に頭の中だけで想像して楽しむのは自由だが、さすがに怖いもの知らずにも程があると思ったのだ。
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89 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:40:13 ID:qqeLSnaz - 「ふふっ、ライ卿って真面目だけど意外に楽しい方なんですね」
「かっ、からかうな。とにかく二人の話をまとめると、『二人ともパイロットスーツに対して何かしらの疑問を持っているが、色々あって聞きにくい』ってことだな?」 「そしてライ卿も興味がある、と」 「そういうことになるな」 リーライナの言葉に僕が頷くと、彼女がニッコリ笑って続けた。 「じゃあ、もう決まりですね。この疑問を解決するには、ライ卿がルキアーノ様に質問すればいいんですよ」 「えっ…いや、それはちょっと待て。僕だって、こんな質問をブラッドリー卿にするのは恥ずかしいし、反応が怖いんだが」 ただでさえ話しかけにくいのに、「ヴァルキリエ隊のパイロットスーツは何故あんなにキワドイんですか」なんて尋ねようものなら、ブラッドリー卿に変な誤解を持たれてしまう。 それに下手をすれば、もしこの話題が彼の前ではタブーだった場合、死活問題になりかねない。 「ふふっ、大丈夫ですよ。ルキアーノ様はああ見えて、意外とお優しい方なんです。 ライ卿の質問がお気に召さなかったとしても、『ナイフでジワジワ責める』、『銃で楽にする』、『ナイトメアで苦痛もなく一瞬で』、この三つの選択肢から自由に選ばせて下さいますよ」 「制裁前提!?ていうか、それのどこが優しいのか、さっぱりわからないぞ!」 「同じ死ぬのでも、苦痛があるのとないのでは、かなり違うじゃないですか。その辺の相手の心情を優先なさるのが、ルキアーノ様の『せめてもの』優しさです」 「ああ、そういうことか…って納得できるか!こんな質問のために、何故命を危険にさらす必要があるんだ!」 戦場で騎士として散るならまだしも、こんなトリビア級の疑問を解決するためだけに、命を投げ出す真似はできない。まだやりたいことは、たくさんあるのに。 「オホン…と、とりあえず真正面から質問をぶつけるのはやめよう。少し無謀過ぎる」 「じゃあ、それとなく聞き出してみます?色々と質問してみて、そこから推察するとか」 「で…でも、そもそもこの疑問って、そこまでして解決しないといけないものなんでしょうか。 だって、ヴァルキリエ隊のパイロットスーツがああいうデザインなのは事実ですし、別に疑問を解決しても、日々の生活に特に影響もないのでは……」 するとマリーカの言葉に反応したリーライナが、人差し指を「チッチッチ」と振りながら答える。 「それを言っちゃあおしまいよ、マリーカ。私たちがこの疑問を解決したい理由は、損得勘定でも何でもないの。ただ、真相を知りたいだけなの。 ほら、疑問が解決した瞬間の快感を味わうのって、気持ちいいでしょ?その疑問が今回は、偶然パイロットスーツだっただけのこと。だから難しく考えないで、楽しんじゃえばいいのよ」 「な…なるほど、そういうものなんですね。私はやっぱり、まだまだ視野が狭いです。ありがとうございました先輩、勉強になります」 妙に熱い調子で、納得できたらしいマリーカが頷いた。この変に生真面目な所は、あの兄譲りなんだろうか。 「だがリーライナ、今の僕には、とてもじゃないがこんな質問はブラッドリー卿にできない。戦い方や今までの経験談を聞くならともかく、こんな話題はよほど親しい間柄でないと、切り出すのすら難しい。 それに、僕は大した階級もないただの軍人だが、向こうはあのナイトオブラウンズだぞ。親しいか否か以前に、僕があの人にこんな質問をするのは、失礼過ぎると思う」 「あ…た、確かにそうですよね。直属の親衛隊である私たちでもためらうような質問なのに、ライ卿にとってはもっと大変なお話ですよね」 僕の問題提起に納得したマリーカが、表情を曇らせる。そう、現実的に見て、僕とブラッドリー卿の間にある壁は、色々な意味で強固で高い。 もしその現実を無視した会話を僕が持ち出せば、冗談抜きでどうなるかわからないのだ。 「ふむ、今のライ卿には無理難題…ってことですか」 「ああ、残念ながらな」 顎に指を当てて思案顔になるリーライナに対し、僕はそう返した。「個人的に気になる疑問ではあったが、疑問のままで終わるのも仕方ないか」と、考えながら。
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90 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:42:44 ID:qqeLSnaz - 「まあそういうことだし、申し訳ないがこの話は……」
僕がそう言って話を切り上げようとした、その時だった。 「そうだ!この手があったわ!」 「うおっ!?」 「ひゃあっ!?せ…先輩、どうしたんですか?」 突然リーライナが叫び、僕とマリーカは飛び上がって驚いた。どうやら何か思いついたようだが、一体どうしたんだろう。 「今のライ卿とルキアーノ様の間には、確かに色々な問題があります。だったら時間をかけて、それを取り除いてしまえばいいんですよ!」 「うーん、『取り除く』とは言うが、具体的にどうするんだ?」 僕が首を傾げながら尋ねると、リーライナは得意げに言った。 「簡単な話ですよ、ライ卿もルキアーノ様みたいに、ナイトオブラウンズになっちゃえばいいんです♪」 「「……はい?」」 その言葉を聞いた瞬間、僕とマリーカの思考回路が、ほぼ同時に凍りついたような気がした。とりあえず、何なんだこの展開は。 「いや…リーライナ、『なっちゃえばいいんです♪』じゃないだろう。ノネットさんにも『ラウンズを目指せ』とは言われたが、ラウンズなんて、そんな簡単になれるものじゃないって」 「大丈夫ですよ、ライ卿ならきっとなれます。すごく優秀だと思いますし、私の周りの人たちのライ卿に対する評価も、結構高いんですよ」 「うーん。そうやって期待されるのは光栄だが、ラウンズになる自信なんてないぞ。 それにだな、その…『ヴァルキリエ隊のパイロットスーツができた経緯を知りたいから』という動機は、ラウンズを目指し始める動機としては、あまりにも不純過ぎると思うんだが」 「そっ、そうですよ。確かにライ卿なら、ラウンズにだってなれるかもしれません。でもさすがにその動機は、周りの方々や皇帝陛下には口が裂けても言えませんよぉ」 僕に同調するかのように、マリーカもリーライナに訴えた。だがリーライナは、僕たちの反対意見をサラリと受け流す。 「それなら表向きの動機だけで、何とでもなりますよ。でもどうせなら、洗いざらい皇帝陛下にお話ししてもいいんじゃないですか? 逆に『面白い奴だ、自分も気になっていたのだ』とかおっしゃって、ラウンズ入りを認めて下さるかもしれませんよ」 「たっ、他人のことだからって無茶苦茶言うなぁ!」 「もう問題発言はやめて下さーい!聞いているこっちの方が、怖くなっちゃいますよぉ!」 リーライナの問題発言に対して、僕とマリーカが鋭くツッコミを入れた。とんだ猫かぶりである。 「あははっ、冗談ですよ。本当に二人とも、反応がいちいち面白いんだから」 「まったく、君って人は……」 「はぅぅ、先輩の冗談は体に悪いです〜」 僕とマリーカは、そろって大きなため息をついた。まさか、休憩室でリラックスどころか、こんな嵐みたいな時間を過ごす羽目になろうとは。
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91 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:44:30 ID:qqeLSnaz - 「まっ、パイロットスーツの謎は、もう少しだけ謎のままにしておきましょうか。現状を考えると、解決するのは難しそうですし、もう少しだけ色々と想像したいですから」
「想像云々に関してはノーコメントだが、現状を考えれば、先送りが賢明かもな。いつか解決できる日が来るといいが」 「そ、そうですよね。そんなに無理してまで、疑問の解決を急ぐ必要はありませんよ」 別に解決できなくても良さそうな小さな話題が、いつの間にやら解決することを前提にした話題へと変化してしまったものの、この場は何とか収まりそうな気配がしてきた。 待機中のこの時間で、知り合って間もないこの二人との距離を縮め、少しでも仲良くなれたという意味で、この話題は意外に良かったと思う。彼女たち以外の人には、なかなか切り出しにくい部類のものではあったが。 「よし、ではそろそろこの辺で……」 僕がそう言って立ち上がり、休憩室を出ようとした時だった。不意に僕の服の袖をつかみ、リーライナが声をかけてきた。 「あっ、待って下さい。もう少しだけ、ライ卿にお聞きしたいことが」 「ん?どうしたんだ、リーライナ」 首を傾げつつ僕が尋ねると、リーライナがいたずらっぽく笑う。 「パイロットスーツに関する疑問は、とりあえず保留でも構いません。でも個人的に、ライ卿が私たちのパイロットスーツ姿をどう思っていらっしゃるのか、もう少し掘り下げて知りたいんですよねー」 「えっ、ほ、『掘り下げる』って…具体的には?」 何だか嫌な予感のしてきた僕を見上げながら、リーライナは答えた。 「まあ言ってしまえば、『男性としてどの辺が気になるか』ですね。そう、例えば『食い込みに見入ってしまう』とか、『胸の谷間が気になる』とか。あっ、でもマリーカに谷間はないか」 「ちょっ、まだこの話題を続けるのか!?しかも一気に話しづらい内容になってきたぞ!」 「せっ、せんぱーい!ライ卿の前でそんな、わっ、私の胸の話なんかしないで下さいよぉ!しかも『谷間がない』とか、一番気にしていることをあっさりと!」 そんな恥ずかしい話など、できるはずがない。いや、確かにヴァルキリエ隊のパイロットスーツ姿は目に毒で、男として気にならないこともない。 でもさすがに、その辺の話を当人たちの前ではできないし、何より今にも卒倒しそうな表情のマリーカを見ていると、自分の返答次第で本当に倒れそうだから怖いのだ。 「マリーカ、これは大事な話よ。ライ卿が私たちを、もっと言えば女性をどういう風に見ていて、好みの傾向がどういう感じなのか、推察できるんだから。 あなたは胸を気にするけど、もしかしたらライ卿は、小さい方が好みかもしれないじゃない。そう、あなたやアールストレイム卿みたいな、慎ましい女性がタイプかもしれないのよ。これって、確かめる価値あるんじゃない?」 「あぁっ、そ…そう思うと、少しだけ…気になってきたかもしれません。でもこれってライ卿に迷惑をかけているような、でももし…ライ卿さえよろしければ、ぜひ……」 「なっ、マ、マリーカまで!?」 今までリーライナを止める役割の多かったマリーカまでもが、僕の予想に反して彼女側に回り、遠慮がちな上目づかいで僕を見つめてきた。 そして、その反則的な表情のおかげで、僕はすっかり逃げ場を失ってしまった。ていうか、申し訳なくて逃げられそうにない。 「ふふっ、どうやら観念なさったようですね。ではもう少しだけ、お付き合い下さいね」 「ごめんなさい、でももう少しだけ…いいですか?」 「くっ、し…仕方がないな。じゃあ少しだけだぞ。あっ、それと…お手柔らかに頼みます」 とうとう観念した僕は、自分でも情けなくなるような態度と声色で二人にお願いした後、再び二人の間に腰を下ろすのであった。 それからしばらくの間、僕は二人から質問攻めに遭い、かなり恥ずかしい思いをしたのであった。ていうか、意外にマリーカが積極的で驚いた。 まあ僕が解放された頃には、二人とも満足そうな表情をしていたし、僕にとっても二人の意外な一面を見ることができて、それなりに有意義な時間だったと思う。まあ願わくば、もうこれ以上の恥ずかしい思いはしたくないけど。
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92 :余暇 ◆kkvclxzIds [sage]:2010/10/01(金) 01:45:36 ID:qqeLSnaz - 以上で終了です。
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