- ロボット物SS総合スレ 39号機
847 : ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:01:32 ID:enCG3kNt - >>846
投下乙であります。 では、流れに乗って自分も投下を。
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848 :REVELLION ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:03:18 ID:enCG3kNt - 三章 知らぬ顔(知略編)
商業都市エッセンより少し離れた山脈アルプス。切り立った山とそれを覆う雪は人の居住を認めず、悠然と聳えていた。 「う〜ん、じゃあ各自適当に応戦して……」 〈了解。ガイ……あんまり熱入れすぎてこっちを疎かにすんなよ〉 「へ〜い」 雪と岩の支配する土地に男の声が響き反響する。麓からの銃撃音など、どこ吹く風と改めて大事な勝負事に戻る。 「や〜、下でドンパチやってるけど、こっちはこっちで真剣勝負の続きと行こうか」 「え、ええ……」 頭に両手を乗っけて、酔っ払いのような千鳥足で戻ると、胡坐を組んだ。 金髪のツンツン頭、やる気無さげな死んだ魚のような垂れ目、ダボダボの青のズボンに、黒のTシャツ、右の掌にはドクロのタトゥー。 どこからどう見ても近所の悪ガキ程度にしか見えないが、これでも移動都市シュトゥットガルト国主のガイその人である。 「およ?これは危機的状況だ。国が傾くね……さてどうするか」 左手で顎を擦りながら、戦況を確認する。どうも思わしくないのかガイは瞳を細めると、相手に祈願した。 「待ったはなし?」 「え……は、はい」 困惑気味にガイと対峙する少年は答えると、居心地が悪そうに顔を伏せた。 気の強そうな釣り目に、肩くらいまで伸びる紅の髪を中間で縛り、防寒コート、腰に下げられた拳銃、どう見ても一般人ではない。ガイと対峙している少年の名はリット。 シュトゥットガルトの新兵で今回の作戦が初陣となる。シュトゥットガルトでは初陣の時は国主と行動を共にするという決めごとがあり、今回初陣となるリットはガイの下に付き戦功をあげられると喜び勇んでこの極寒の地までやって来たのだが―――。 待っていたのは凍えるような寒さの中、自殺行為とも思える薄着で将棋盤を持ち気だるそうに空を見上げるガイだった。 そして今、切りだった山の下でリットの先輩方が敵であるウルム軍と激しい銃撃戦を繰り広げている。 戦闘が繰り広げられている山の頂上でガイとリットは下の戦況を確認するでなく、あることに夢中になっていた。 それは将棋。状況はガイの劣勢だ。 「だあぁー!」 ガイは額をピクピクさせ、ついに将棋盤をひっくり返した。将棋の駒が雪面に落ちその重さで少し沈んだ。 まるで子供だ。その様を見てリットが内心思うがこれでも国主、決して失礼な態度はとりはしない。 「誇りたまえ新人君。この新人の儀にて俺様と引き分けたのは君で二人目だ」 さきほどまでの子供っぷりは何所えやら、仏頂面を顔に張り付けてガイは言うとリットに背を向けた。 「そろそろかな」 下から響く銃声が大きくなっている。戦場がガイとリットの居る山頂付近まで登ってきている証拠だ。 「来い。ダモクレス……俺様の策の駒となれ」 呪文のように唱えるとガイの前方で何かが裂けた。空間に縦の一線、それを突き破るように黄色の腕が現れた。 「なんだ、これ?」 リットがその光景に唖然とし、呟くとガイがしたり顔で振り向いた。 「これがOFだ。出てくるのは初めて見たようだな」 二人の会話の間に脚が姿を現し、少し遅れて黄色のOF本体が姿を現した。 「便利だろ?一度契約すると呼べば何時でも来てくれるんだ」 黄色のOF。ガイの駆るダモクレスだ、目を引くのはその武装だろうか、右肩に乗せられた大型のビームランチャ―。右腕には大型のシールドが装備されその先にガトリングガンが伸び、左手にはレールガンのようなものが握られている。 「節操無いだろ?俺は欲張りなんでね」 言ってダモクレスが差し延ばす手に乗る。その様は悠々自適、ダモクレスの手でコックピットまで運ばれるとガイは胸部を蹴り無理やりにハッチを開くと中に乗り込んだ。 「さて新人君。キミもAFに乗り込んでくれ……シュトゥットガルトの戦を教えてやる」
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849 :REVELLION ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:05:55 ID:enCG3kNt - ダモクレスがレールガンを頭上に向け放った。雷鳴の唸りが合図となり下で激戦を繰り広げるガイの部下が動いた。
四機が四方に分かれていき。そろぞれ蛇行しながら背後から放たれる弾丸を回避し、岩壁にポールを突き立てて行く。 「さてさて、獲物は20機程度か……こちらは新人君を含めて7機……」 四角いコントロールユニットを力一杯に握りしめガイが笑う。 単純に気持ちいいのだ。劣勢を自分の策でひっくり返す。ガイにはそれを成せる頭脳と頼れる仲間がいる。 〈ガイ。ポールの設置が完了した〉 待ちに待った報告にガイは、その高ぶりを抑えるために瞳を閉じた。 (……) さあ、逆転劇を始めようか。 ダモクレスはレールガンを雪面に突き刺し、麓の戦闘を見降ろせる位置まで移動し、身軽となった両の手を伸ばした。 ピンと張った十本の指からワイヤーが飛び出る。先端に付いたクナイのような突起が風切り音を奏でて縦横無尽に戦場に蜘蛛の糸のように張り巡らされていく。 シュトゥットガルトの主力AFルーンと敵方ウルムの主力のミームングはこの張り巡らされたワイヤーに別々の対応をした。電流がバチバチと音を立てるワイヤーとの接触を避けて機体を蛇行させるウルムのミームング。 電流張り巡るワイヤーを臆することなく掴み取るシュトゥットガルトのルーン。 電流はフェイク。そもそもAFに電流を流したところでワイヤーに蓄積できる電流程度では動きを封じることも機体を通じてパイロットを感電させることもできない。 敵がそれに気付けば別の策に切り替える予定だったが 「楽しい楽しい、釣りの時間だ」 ガイは味方機がワイヤーに手を掛けたのを確認すると、コントロールユニットを握り締めた。 四角く手のひらサイズだったコントロールユニットがキーボード型に変化する。 「さてさて、お魚の厳選っと」 軽い感じでキーボードを叩いて、最後にこれで終了と力強く叩いた。 ダモクレスの手からの巻き取り音。味方機が掴んだワイヤーだけ引き戻される。 物凄い勢いで重量のAFが浮き上がる。 「おかえりなっさ〜い」 巻き取りを解除すると、ルーン5機が上空から降下し、雪の地を抉りながら着地する。 それを確認しダモクレスから伸ばされたワイヤーの全てを巻き取り、ガンと音をたて十本のワイヤーが指に格納される。 「新人君。ライフルを撃つ準備。よろ」 この場で言わなくては分からない人間に即指示を飛ばすと、ダモクレスに雪に沈んだレールガンを取り持たせ、岩壁下の敵部隊に向ける。 「一斉射撃だ!」 合図とともに山頂からの射撃が始める。ルーン6機が両手に構えるライフルとマシンガンは計12個。それに加えダモクレスのレールガン。 吹き荒れる銃弾の雨に、麓の敵部隊は堪らず散開した。 「くひひ、何の為にポールを立てたのか教えてしんぜようではないか」
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850 :REVELLION ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:07:25 ID:enCG3kNt - 嫌らしく笑うと、レールガンの照準を立てられたポールの一本に変える。
「それは避雷針。雷でお前らを捕える嫌らしい網」 レールガンの銃口が集まる電力にピリピリ鳴らし焼ける。 「疾風雷神なんとか弾。発射!」 今か今かと憤る、銃口から電気の塊が発射される。 稲光のような周囲を包む光が一瞬し、放たれた電気弾が一本のポールに直撃した。 「ひゅ〜」 電気がポールの中で弾け、ポールを中心に波紋の電撃が襲う。 刹那。その電撃に触れた敵の一機が吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられた。 「まだまだだよ〜」 的確に、瞬時に、正確に、絶妙なタイミングで敵の散開ルート付近のポールを狙い打つ。 「動け、次の判断をくだせ〜」 その間も続くルーンの放つ銃弾群と鳴り響く雷鳴弾。まさに嵐の様相に敵の司令官がようやく動いたようだ。 散開をやめ、一点に部隊を集中し始めたのだ。瞬時に隊列を組ませ、最前列のミームング5機がシールドを展開する。残った14機は、その陰に身を隠させる。 「どうやら向こうには勉強家がいるようだな。くひひ……優秀だ」 シールドの壁が一歩一歩と進み始めた。嵐のような銃弾の波をシールドで遮り、背後の14機がポールを破壊していく。 「3、2、1……そろそろか」 それを確認し、レールガンの砲撃を止める。 「敵は俺たちの居る、山頂のちょうど真下……降り積もる雪。くひひ……」 ガイ達から見てちょうど右方に見える雪の塊。ダモクレスがその塊に向かって肩に乗せたビームランチャーを二発連続で放った。 雪の焼けるジュっという音と煙。数刻経たずに雪の塊が雪崩と化した。 ―――ゴゴッ、と雄大な大地を駆けるヌーの群を思わせる轟音。耳を劈く自然の悲鳴を合図にルーンが銃撃をやめた。真横を通る雪崩に、これ以上は無駄弾と判断し攻撃をやめたのだ。 「じ・えんど……」 自然の猛威に呑みこまれた敵部隊を確認し、ガイが終幕を告げる。 「リット君。これを以てキミはシュトゥットガルトの兵となる。モット〜はテキトーに生きろだ。そこんとこよろしく」 〈ガイ。それでは締りがありません〉 副官のビッツが堪らずガイに進言するが、ガイは口笛で誤魔化そうとする。 「とにかくだ。これが俺様の得意な知の戦だ……一を聞いて十を知れってことだ」 さすがにビッツの説教は嫌だったのか、一様それだけは伝える。 〈す、すごい。さすがガイ様!最初は唯のバカかと思いましたが、機を狙っていたんですね!〉 途中本音が出ているが当のリットは気付いていない。そんな小さな事に拘らない男だとアピールする為にも、ここはスルーしよう。 ちょっとイラッときたことは秘密だ。 「そ、そうか。すごいだろ?なにせ俺様は母親を殺された某国の皇子で、なんやかんやあって妹の為に世界を壊そうとする変態仮面だったらいいなと常々思って―――」 〈ガイ。これ以上次元を捻じ曲げる発言は許しませんよ〉 「へ〜い」 怒られて、反省したフリだけはしておく。それがガイの処世術だ。 〈大体、ガイはいつもいつも―――〉 そんなこと重々承知している副官の説教が始まってしまった。 説教の内容は常日頃の行いから、この情勢にたいしてまで及んだ。 一年前。協定関係にあったハンブルクが突然の混乱に見舞われゼノスからの救援に応えるべく準備を整え、いざ出発と意気揚々としていたときだ。 突然に謎の部隊からの奇襲を受けてしまった。必死の抵抗虚しく、惨敗を喫し土に潜ることを余儀なくされた。
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851 :REVELLION ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:08:14 ID:enCG3kNt - ようやくお天道様の元に戻れたかと思うと周辺国がシュトゥットガルトの技術を狙い攻撃を仕掛けてきたのだ。今回のウルム軍もその一派だ。
もちろん裏にあるのは別物だとガイは知っている。要塞都市ミュンヘンのヒルダ。その圧力で各国がシュトゥットガルトを攻めているのだ。 つまり、今のシュトゥットガルトは各国にとって、良い獲物状態というわけだ。淡々と続くビッツの説教に、ガイがうんざりしながら唇を尖らせると丁度いい具合に通信が入った。 〈ガイ。商業都市エッセンの国主パルムから連絡があった。力を貸して欲しいことがあるとのことだけど、どうする?〉 オペレーターのその言葉にガイは珍しく眉をひそめた。商業都市エッセン、その名は知っているがシュトゥットガルトとの国交は今まで皆無。 言うなれば見知らぬ奴が仲良くしようぜと手を差し出してきたという状況だ。以前のガイならお仕事到来と喜んで連絡をとるところだが。 〈信用出来ないのは当然―――〉 「あん?」 思考する頭の中に入る雑音。オペレーターの声だ。 〈こちらも国交のないそちらを信用する気など皆無。だけどある人物がどうしてもというので連絡した。―――以上がエッセン国主パルムの言伝です〉 本音を隠さぬずけずけとものを言う。嫌いではないが好感も持てない。けれど媚び諂う人間の方が信用できない、とりあえず今は信用しておこう。 それと『ある人物』というのも引っかかる。 「とりあえず乗るか―――あ〜、オペレ―タ―ちゃん。回線繋いで」
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852 : ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 11:10:44 ID:enCG3kNt - ここまで読んでくださった方、お疲れ様です。
今回は新キャラのみの登場で置いてけぼりを喰らったかもしれませんがどうかご容赦を まとめに上げてくれた方、ありがとうざいます。 それと40スレ記念にリムが何か投下?するようです。 なので次回投下はSS+リムからのささやかなプレゼントとなります。 自分から言えることは過度な期待は絶対しないでくださいということです。大昔に作った黒歴史な物を引っ張り出してきただけなので、あとDirectXを事前に入れておいてください、たぶんVer.7以降なら動くはず。 上記で何が投下されるか大体把握できたと思うのでロボット物ではありますがスレ違いだったら教えてください。 最後に……絶対に過度な期待はしないでください、お願いします。
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870 : ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 19:00:55 ID:enCG3kNt - >>869
急ぎで作ったので見にくいかもしれないですが、作成しました。 http://ux.getuploader.com/sousakurobo/download/876/%E7%9B%B8%E9%96%A2%E5%9B%B3.jpg
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883 : ◆J6UIw8TZLg [sage]:2010/09/27(月) 22:12:37 ID:enCG3kNt - >>876
ビームに近い感じで 機動戦士ガンダムSEEDのフリーダムの腰にある『MMI-M15クスィフィアス・レール砲』 のようなものだと思ってください。 なので実際のレールガンと異なります。ご指摘ありがとうございます。 後日まとめの設定の方にレールガンの設定を編集しておきます。
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