トップページ > 創作発表 > 2010年09月23日 > hPDR2w+a

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◆91wbDksrrE
創る名無しに見る名無し
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43 : ◆91wbDksrrE []:2010/09/23(木) 00:05:43 ID:hPDR2w+a
 彼は、突如としてそこに現れた。
 私は尋ねた。君もモバイルの適性者――者、という表現は適切ではないかもしれないが――なのか、と。
 彼は答えた。いいや、そうではないんだよ、と。

「俺っちは、突然変異に変異を極めた、ハイブリッドモモンガさ」

 彼はむささび次郎と名乗った。モモンガなのにムササビなのか、と疑問に思いはしたが、そこには色々と
理由があるのだろう。私がウーパールーパーだからとごく単純にうぱ太郎と名付けられたのとは異なり。
 いや、あるいはそれは同じなのかもしれない。理由の差こそあれ、そこに理由があっての名づけである事
には何の変わりも無いのだから。

「しっかし、びっくりしたなー。なんで俺っちみたいに喋れるんだい?」

 もっともな疑問だ。私は端的に、モバイルとその適正者として得られる能力について説明した。
 より正確に言えば、モバイルに適応したが故に会話が可能な思考能力を得たというわけでは
無いのだが、大筋で言えばそう表現して間違いは無い。故に、詳細を省いた説明を、私は行った。
 先の質問も、その大筋に沿った意図でもって行ったのは言うまでもない。

「なるほどねぇー。そんなスゲーもんがあるんだなー」

 モモンガのむささび次郎は、酷く感心したようだった。特に、モバイルの発揮する超絶的とも言える
能力には、強い関心を抱いたようだった。

「でも、適応できなきゃ死んじゃうんじゃ、俺っちも試してみようって気にゃならないなー」

 彼はそう言って笑う。
 考えて見れば、私は酷く運がいいと言えた。ウーパールーパーの身でモバイルに適応し、結果として
死を得る事なくこのような知性を得て、今ここにこうして在る事ができている。それは感謝してもいい
幸運なのだと、今更ながらに私は気づく。
 幸運。
 幸運か。

「でもまあ、幸運っつったら俺っちも大したもんなんだぜ? ハイパーな科学の申し子として、ハイブリッド
 モモンガという上位種に進化できたんだからさー」

 ハイブリッドモモンガ。
 先程から彼が口にする言葉に、私は興味を持った。
 それは一体何なのか、と尋ねると、彼は困ったように首をかしげた。
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44 : ◆91wbDksrrE []:2010/09/23(木) 00:06:00 ID:hPDR2w+a
「いや、俺っちもよくわかんねえんだけどさー。何かスゲーモモンガなんだよ。それが俺、ムササビ次郎さー!」

 ……よくわからないのはこちらも同様だった。
 だがしかし、彼がここにいるという事、それが即ち、彼の言うハイブリッドモモンガの能力の一端を示している
と言えた。なにせ彼が立っているのは、モバイラーの秘密基地内にある、私専用の水槽の前だったのだから。
 彼はここに転移してきた。即ち、ハイブリッドモモンガの能力、その一つは、空間転移である事は明白だ。
 モバイルを用いずして空間転移を行う。それが如何な偉業であるかを理解できるのは、モバイルの適応者
だけであろう。加えて、知性の付与。そして二足歩行を可能にした身体能力の改造。それらは本来、モバイルクラスの
超技術を用いなければできないはずの事だった。だが、それを彼は行っている。モバイルを用いずして。
 仮にハイブリッドモモンガである彼が、何らかの意図によって創りだされたのであれば、その意図お持った
存在は、モバイルには遠く比肩しないながらも、超時空間をある程度制御する事には成功している――そういう事になる。
 一体どのような存在が、その成功を得たというのだろうか。そしてそれは、私たちモバイラーにとっては
敵となるのか、それとも味方になるのか。冷静に分析しなければならないだろう。
 とまれ、目の前のモモンガ、むささび次郎からは、敵意のような物は感じない。それは、つまり……彼自身は、
少なくともモバイラーに敵対しようというつもりは無いという事だ。
 だが、彼に能力を与えた成功者の意図までは、彼の言動からはわからない。
 用心は、しておく必要がある。超絶的とも言える力を持っているからこそ、それに溺れてはならないのだ。

「さて、前から気になってたお前にも会えたし、俺っちはそろそろ行くなー」

 私は、どこへ行くのだ、と尋ねた。
 彼は、どこへなりとも、気がむくまま、と答えた。

「今はまだ、自由にしてていいんだってさー」

 ……今はまだ。
 遠からず、何らかのアクションを、むささび次郎に能力を与えた存在は取る、という事か。
 本来ならば、ここでむささび次郎を捕縛するなどして、より以上の情報を得るように動くのが妥当なのだろう。
それは冷静に考えればわかる。
 だが、私はその気に、どうしてもなれなかった。
 彼は何も知らない。自分がどういった存在なのかすら、知らされていないのだ。

「んじゃ行くさー!」

 そう叫ぶと、彼は消失した。
 空間転移。どkに行ったのかはわからない。私はその転移を、そっと見送った。
 出来るならば、彼とは敵対したくない。そんな気持ちが、彼の行動を差し止める事を妨げた。
 そう。それはいうなれば、友人になれそうだという、そんな気持ちになった故に。
 私は彼のいなくなった空間を見ながら、小さくため息をついた。
 できれば、彼とはもう出会いたくない。だが、できれば、彼とはまた出会いたい。
 願わくば、戦いの場では出会いたくない。
 願わくば、今のようにちょっとした会話を楽しめるだけの余裕のある場所で出会いたい。
 初めて抱くその気持ちに、私は酷く動揺している自分を自覚していた。
  
                                                   終わり
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45 : ◆91wbDksrrE []:2010/09/23(木) 00:06:19 ID:hPDR2w+a
ここまで投下です。
百合・レズ創作総合スレ
15 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/09/23(木) 21:45:04 ID:hPDR2w+a
おお、なんか倒錯しとるw
お姉さんのキャラが結構好きかも。
【押忍】時間を自発的に区切ってうp【激熱】part.2
51 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/09/23(木) 21:46:24 ID:hPDR2w+a
まったりというには、ちょっと打楽器(?)の音が強すぎる感じがしたかな。
でも三十分でこういうの創れるのは凄いなー。
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2 :創る名無しに見る名無し[sage]:2010/09/23(木) 23:26:22 ID:hPDR2w+a
>>1
代理乙

依頼も乙


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