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元武雄市長物語
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net

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【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
582 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:13:26.99 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[1]

地方都市、武雄。
その地域は、話題づくりに熱心なことで有名である。
映画ロケの呼び込み、ご当地アニメの制作、公共施設と商業施設の融合・・・
全国的にも、話題に事欠かない。
それと比べれば、今度開催されるイベントは大したものとはいえない。
他の地域でも、ごく普通に見られるようなものである。
そんなイベントの開催を直前に控えた準備中の会場控え室に、イベントの関係者らしき男2名。

A(関係者)「なあ、イベントの準備ちゃんとできてる?」
B(関係者)「あ、はい。バッチリっす。」
A「ん、それならいいんだ。何でも今度のは絶対失敗が許されない大事なイベントってことらしいから。」
B「でも今度のイベント、プリキュアとかいうよくありそうな着ぐるみショーっすよね?
  そんなのが大事なんすか?」
A「ああ、そうだよ。」
B「あれって前やってた小さな女の子向きのアニメっすよね? そんなの今頃やってウケるんすか?」
A「いや、正直俺もそのへんは疑問なんだが、上からのお達しだからしゃあないだろ。」
B「はぁ、そっすか。」

(つづく)
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
583 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:14:14.79 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[2]

そんなよくある大人の事情満載な会話をしている2人のところへ、別の関係者が2名。
年配の男性が若い女性を先導している。
その男性・・・小松市長が、開口一番たずねる。

小松「どうかね諸君、首尾のほうは。」
A「あ、これは市長。 いたって順調です。」
小松「そうか、それは何より。 今回のイベントには私の命運もかかっているからね。」
B「あの市長、そちらの女性はどなたっすか?」
小松「ああ、紹介しよう。 今回のイベント、プリキュアショーで主人公の声を担当される声優さんだ。」
声優「皆さん処めまして、宜しくお願いします。」
A・B「宜しくお願いします。」
小松「さて、それではさっそく今回のショーのリハといきましょう。
   着ぐるみ担当の方々もステージのほうで待機しているので。」

会場へ移動すると、声優はスーツアクター達と軽く打ち合わせを行い、台詞合わせにとりかかる。
人気声優である彼女は多忙で、今回のイベントも開催の前日入りである。
故に台本は現地到着後に渡されたため確認していないが、ショーでは人前に出ない役回りなので問題ない。
原作であるアニメで主役の声をあてている彼女は、この手のショーを既に全国各地でこなしてきている。
台詞回しには定形というものがあり、毎回大体同じ。
スーツアクター達の動きに合わせた台詞も、滞りなく進む。
・・・そう、あの場面までは。

(つづく)
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
584 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:14:38.53 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[3]

山場は、唐突に訪れる。
敵に数で押され窮地に立たされた主人公が、自らを奮い立たせ敵に向かっていく場面。
台本片手に熱演を繰り広げる声優の勇ましい掛け声が、辺りに響き渡る。
そして、決め台詞。

声優「何でもできる! 何でもなれる!
   フレーフレ・・・ !?」

突然途切れた掛け声に、その場にいた者達が動きを止める。
皆が、異変に気づく。

声優「あの・・・この台本、誤植チェックされました?」

異常の原因を指摘する声優。
何度も演じてきた台詞だけに、違和感には即気づく。
しかし次の声は、全く変わらぬ表情込みでそれを否定する。

小松「もちろんです。 我々にそんな手抜かりなどありません。」

もちろん、声優はそんな回答に納得するわけがない。
今度は激しく食いかかる。

声優「そんなはずありません! 私の演じる人物の台詞と違います!
   ここは『フレーフレー、わたしー! ガンバレガンバレ、わたしー!』のはずです!
   嘘と思うなら台本のココ見てください! こんなの・・・」

あまりの剣幕に、その場にいた一同がたじろく。
小松市長とて、例外ではない。

小松「そ、それは・・・」

何かを隠しているのか、小松市長も困り果て言葉に詰まる。
その時、会場の舞台袖から何者かの声。

(つづく)
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
585 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:15:04.96 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[4]

??「ご苦労、小松君。」

一同が声のほうを見ると、そこにはまばゆい頭の男。
そう、あの県知事選挙で今や全国的に有名となってしまった元武雄市長、樋渡である。
その姿を見て、安堵の表情を浮かべる小松市長。

小松「あ、樋渡さん。 いつこちらへ?」
樋渡「たった今だよ。ちょっと進行状況が気になってね。
   しかし声優さん、実に見事な演技じゃないですか。
   さすが、私が見込んだだけのことはある。
   あ、それと小松君は何も間違った事は言っていませんよ。
   台本に書かれた台詞は、それで正しいから。」

にこやかな表情で樋渡がよこした答えに、声優は当然納得いかない。

声優「そんな・・・! 話が違うじゃないですか!
   私は、いつものようにお願いしますと言われました!
   事務所だって、その方針のはずです!
   なのに、こんな台詞・・・冗談もたいがいにしてください!」

そんな凄い剣幕でキレる声優に全くたじろきもせず、樋渡は言葉を返す。

樋渡「アハハハ、言葉を真に受けちゃったんですか。
   このイベントはね、地域の活性化が目的でもあるんですよ。
   そのためなら、多少台詞を変えることが許可されているのはご存知でしょう。
   よくあることじゃないですか。
   当然、原作を崩さない範囲というのも分かってますよ。
   ものは方便、ってやつです。
   あ、もちろん貴女の所属事務所からもキチンと許可を頂いてますよ。
   武雄を活性化したいという理由を伝えたら、快く承諾して頂きました。
   まあ少々、誠意も見せましたがね。 ワッハッハッ!」

いわゆる大人の事情が炸裂しまくっている理論。
自身の意思など完全に無視されている声優は、納得いくわけがない。

(つづく)
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
586 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:15:26.22 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[5]

声優「そんなの意味分からない!
   大体、貴方誰なんですか?
   樋渡さんでしたっけ? 貴方のような人が関係者にいるなんて聞いてません!」

今の樋渡は既に市の職員ではないから、当然である。
だが、そこは数々の修羅場を潜り抜けてきた樋渡。
臆することなく答える。

樋渡「そういえば、自己紹介がまだでしたね。
   私は元武雄市長でね。
   今は市政に直接携わっていないが、相談役のような立場をやっているんですよ。
   現市長である小松君の上司だと思ってもらえばいい。
   そうだよな? 小松君。」

そう言うと、樋渡は隣に控える小松市長に目を向けつつ問いかける。

小松「は、はい、樋渡さん」

現市長が、完全に樋渡の子分であり傀儡であると分かる。
絶対王政の樋渡王国・武雄は、若干形を変えつつも今なお健在なのだ。
普段から正義の使者を演じる声優は、暴君の暴政にあくまでも立ち向かう。

声優「そうですか・・・
   つまり、全て貴方の思うとおりやれ、ということですね。
   ですが、こんな台詞の改ざんはいくらなんでもぶっちゃけありえないです!
   こんな内容でしたら、私はこの仕事お受けするわけにいきません。
   私、帰らせていただきます。
   早く事務所に戻って、契約内容確認しないと・・・。」

そう言い残し、部屋を出ようとする声優。
樋渡は、そんな声優を呼び止めるでもなく余裕たっぷりに言葉を発する。

(つづく)
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587 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:15:49.52 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[6]

樋渡「そうですか、それは残念です。
   でも、契約書見て後悔するのは貴女のほうだと思いますよ?
   それと、もし仕事をすっぽかしたら、貴女の所属事務所にシッカリ報告いれときます。
   違約金ガッポリじゃないですかねえ? 支払いきれるのかなあ?
   たしか貴女、まだ経験の浅い一介の雇われ声優さんですよねえ?
   それに世の中、どんな業界も信用が第一なんですよ。
   私的な都合で仕事に穴を開けるような奴を信用する人、いるんですかねえ?
   今後の活動に影響出なきゃいいんですけどねえ?
   ま、僕は貴女が賢明かつ有能な方だと信じていますよ。
   貴女の台詞にもあったでしょ、何でも出来る!何でも慣れる!って。 ネ?」

ニヤニヤしながら残酷な現実を突きつける樋渡。
自分の都合で勝手に台詞を改ざんしておきながら、随分な言い草である。
市長時代から全く変わっていない。
そんな慇懃無礼極まりない暴言に、声優の足が止まる。

声優「くっ・・・!」

誰がどう見ても明らかにおかしな条件を、歯軋りしながら飲むしかない立場の声優。
アニメの仕事で人気と知名度が上がったとは言え、安月給で働かざるを得ない若手声優の悲劇。
立場が弱い相手の弱点へ漬け込むことにかけて天才的な樋渡の前には、なす術も無い。

その後、リハを行なう会場は重苦しい空気に包まれる。
誰からも、笑顔や声のハリが消えうせる。
たった一人、上機嫌な樋渡を除いて。

(つづく)
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588 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:16:28.17 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[7]

翌日、プリキュアショー開催。
収容人数は多くない会場だが、開催時刻前に満員札止。
小さな女の子向きのショーだけに、会場には子連れの家族が目立つ。
中には、単体で訪れているらしき成人男性客の姿も。

そんな会場の状況を、関係者用控室からモニターで眺める者たち。
光り輝く頭が、横でかしこまっている男に声をかける。

樋渡「ほう、随分いっぱい入ったな。
   こりゃ武雄じゅうの親子連れが来てるんじゃないか?
   そうじゃないのも少々混ざっているようだが、まあいいか。」
小松「ええ、これだけ入っていれば大成功と言っていいんじゃないですか?」
樋渡「そうだな。
   とは言え、収益なんかどうでもいい。
   どうせ、経費差し引けば雀の涙だろ。
   満員札止といっても、しょせんこの収容人数だしな。
   分かっていると思うが、このイベントにはそんなのよりもっと大きな意味がある。
   もっとも、本当に成功と言えるかどうかは声優さんの働き次第だがね。
   そんなわけで声優さん、期待してますよ。」

同じ部屋にいる声優に、さわやかな笑顔でそう声をかける樋渡。
完全にパワハラや脅迫の類である。
声優は、厳しい表情のまま稽古に没頭するフリをして言葉を返さない。

(つづく)
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589 :元武雄市長物語[sage]:2019/01/21(月) 14:16:58.07 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[8]

その後、プリキュアショーは無事開演。
昨日から先程にかけての出来事があったと思えないほどの好演を見せる声優。
スーツアクターたちの動きも相俟って、会場は大盛り上がり。
小さな子供たちの声援も飛び交う。

そして、ついにあの場面にさしかかる。
声優は、果たしてどう演技するのか?
その模様を、関係者控室のモニターでニヤニヤしながら見守る樋渡。

声優「何でもできる! 何でもなれる!
   フレーフレー・・・」

言葉に詰まる声優。
着ぐるみたちは、台詞が止まったことに戸惑い、首をかしげる動作。
窮地に立たされたまま動かない主人公を見て、小さな子供たちが口々に応援し始める。

「プリキュアーまけるなー!」
「プイキュアーがんばえー!」

ショーを楽しんでいる客のためにも、ここで流れを寸断するわけにはいかない。
応援してくれる子供たちのためにも、ここで立ち止まるわけには行かない。
声優は、意を決する。

声優「フレーフレー、ひわたしー!
   がんばれがんばれ、たわしー!」

原型を、1字いじっただけの台詞。
しかし、観客に衝撃を与えるには十分すぎる。
(ざわ・・・ざわ・・・)
どよめく会場。
関係者一同も、あわてふためく。
唯一、喜色満面の笑みを浮かべながらモニターを見守る樋渡を除いて。

(つづく)
【樋渡社中CEO】樋渡啓祐★14【ふるスマ】 [無断転載禁止]©2ch.net
590 :元武雄市長物語[]:2019/01/21(月) 14:17:37.17 ID:qCx4d2kK0
hugetto! precure[9]

結局、プリキュアショーは微妙な空気のうちに閉幕。
他は完璧な出来栄えであるから、あの場面が原因であることは言うまでも無い。

人がはけた閉幕後の会場に残る、2人の男。
複雑な表情の男と、やたら上機嫌で頭同様輝くような笑顔の男。

樋渡「いやー実に大成功だな! 最高のショーだったじゃないか!」
小松「樋渡さん・・・本当に、これでよかったんですか?」
樋渡「ん、どうしたんだ? 収支なら最悪でもチャラだし心配いらない。
   僕の計算では、儲けこそ少ないかも知れんが決して損はしないはずだ。
   図書館の二の舞にはならんから安心していい。」
小松「ええ、分かっています。
   しかし、これでは楽しみにしてくれていた子供たちが・・・」
樋渡「何を言ってるんだ小松君。
   今回のイベントが何の目的か、君は最初から知ってるだろ。
   全ては、私のイメージ回復のためだ。
   子供達が憧れる正義の味方も僕を応援していることを、ちゃんと市民に示せた。
   これで、皆全力で僕を支持するに違いない。
   もう一回、市長からやり直すための礎だよ。
   君は黙って僕についてくればいいんだ。
   つべこべ言うゴキブリなんぞ、黙殺すればいい。
   全ては武雄活性化のためだ、わかってくれるな?」

この日のことが報道機関を通じて世に広まることは、恐らく無い。
一地方都市の着ぐるみショーに過ぎないのだから、当然と言える。
樋渡が再び行政に進出するなら、話は別かも知れないが。

私利私欲のために平気で他人を犠牲にする男、それが樋渡。
子供の夢を踏みにじろうと、他人の誇りを傷つけようと、一切知った事ではない。
そんな樋渡に、明日はあるのか――


ハゲっと!プリキュア 〜元武雄市長物語〜 
[完]


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