- 産経抄ファンクラブ第260集
643 :文責・名無しさん[sage]:2019/12/17(火) 05:31:29.97 ID:S4q4N4Eo0 - 産経抄 12月17日
江戸時代中期の政治家、田沼意次は、今年生誕300年を迎えた。10代将軍・家治に重用され、幕府の実権を握ると、商業を重視して財政改革に取り組んだ。ただ役人と商人の癒着が目に余り、不正やわいろが横行するようになる。 ▼意次の失脚後、権力の座についた松平定信は、倹約を奨励して乱れた風紀を取り締まった。もっともいわゆる「寛政の改革」に、江戸の庶民は次第に息苦しさを覚えるようになる。 田沼時代を懐かしむこんな落首まで詠まれた。「白河の清きに魚の住みかねて もとの濁りの田沼こいしき」。 ▼瀬戸内海に生息する魚たちも、「濁り」を恋しがっているらしい。昨日の読売新聞の記事によると、春の風物詩として知られるイカナゴをはじめ、近年、漁獲量が急減しているのは、「海がきれいになりすぎた」からだ、という。 ▼高度成長期、瀬戸内海には家庭や工場から大量の排水が流れ込んでいた。その中に含まれる窒素とリンが、プランクトンの大発生を招き、赤潮が頻発していた。 ところが下水道の整備が進むと、今度は逆に魚のエサとなるプランクトン不足を招いてしまった。そこで下水道処理施設の排水をあえて海に流す取り組みが始まっているという。 ▼そういえば、今が旬のカキでも、プランクトンが多い沿岸の海で育った加熱用の方が生食用より味が濃い。その分、食中毒の原因となる大腸菌なども体内に取り込んでいるから、生食には適さないというわけだ。 ▼日本人そのものが、「きれいになりすぎた」といえるかもしれない。身の回りには、殺菌、除菌、抗菌グッズがあふれている。そんな清潔すぎる環境がかえって、アトピー性皮膚炎などアレルギー病の原因となっている、との説もある。
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