- 産経抄ファンクラブ第251集
498 :文責・名無しさん[sage]:2019/03/05(火) 05:34:22.31 ID:ZMzToA7s0 - 産経抄 3月5日
駅前のスーパーの駐車場を利用するたびに気になっていた。「カラス侵入禁止」と書いてある張り紙である。冗談としか思えなかったが、最近ようやく謎が解けた。 ▼カラスによる被害に悩まされていた岩手県内の研究施設で、この警告文をつるしておくと、寄りつかなくなった。そんなニュースが2年前に流れていた。警告文を目にした人が周囲のカラスに視線を向けたり、指さしたりすることで、カラスが警戒するらしい。 ▼日本語は読めないまでも、すでにカラスの賢さは広く知られている。人間の顔を識別し、ボール遊びをする。道路にクルミを置いて車に割らせ、中身を食べる行動まで観察されている。それでも、昨日の朝のワイドショーで紹介された、横浜市内の公園での映像には驚いた。 ▼カラスが水道の栓をくちばしでつついて回し、蛇口から水を飲んでいる。やがて栓を大きくひねって水を噴き上げさせて、水浴びを楽しんでいた。カラスが目的に応じて、水量を調節しているのだ。 ▼「天才カラス」の存在を伝え聞いた、樋口広芳・東京大名誉教授(鳥類学)が、昨年の3月から4月にかけて観察して確認した。 今月1日には、英鳥類学専門誌「ブリティッシュ・バーズ」に発表している。カラスは通常水を飲むときは、数百メートル離れた川を使っていた。ただし子育ての時期には、ひなを狙う外敵を警戒して、近場の公園を利用しているようだ。 ▼♪烏(からす)なぜ啼(な)くの/烏は山に/可愛(かわい)い七つの/子があるからよ 野口雨情が作詞した童謡「七つの子」そのままに、カラスは夫婦そろって愛情深く子育てをするそうだ。 ゴミ収集日に生ゴミを食い散らかす「悪者」、と決めつけてばかりもいられない不思議な魅力を持つ鳥である。
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