- 産経抄ファンクラブ第224集 [無断転載禁止]©2ch.net
793 :文責・名無しさん[sage]:2017/01/05(木) 06:03:45.56 ID:Tt4FuvCL0 - 【産経抄】高野院長こそ、赤ひげにふさわしい 1月5日
人気漫画「Dr.コトー診療所」のモデルになった瀬戸上健二郎医師が、鹿児島・下甑(しもこしき)島の診療所に赴任したのは、昭和53年、37歳の時である。半年間の約束だった。 ▼ところが他に引き受ける医師が現れないまま、離島医療に全力を注ぐ日々が続く。後任の所長が見つかり退任が実現したのは、昨年10月である。瀬戸上さんは、75歳になっていた。 ▼福島県広野町に55年、高野病院を開業した高野英男院長も、大好きな読書に明け暮れる引退後の生活を夢見ていたはずである。 東日本大震災の発生により、文字通り叶(かな)わぬ夢となった。病院は、爆発事故を起こした東京電力福島第1原発から、わずか22キロしか離れていない。 ▼広野町は全町民に避難を呼びかけた。高野さんは、高齢の患者を搬送すれば命の危険があると判断して、とどまる決意をする。その後の病院にとって、相次ぐ職員の退職が何よりの痛手となった。 高野さんはたった一人の常勤医として、入院患者を診て回り、救急患者に対応していた。昨年末の30日、病院の敷地内にある院長宅で火災があり、現場から高野さんの遺体が見つかった。81歳だった。 ▼地域で献身的な医療活動に取り組む医師を顕彰する「赤ひげ大賞」に、瀬戸上さんら5人が選ばれた。 高野さんこそ、「赤ひげ」と呼ぶのにふさわしい。もっとも本人は、名声にはまったく興味がない。マスコミの取材を受けるようになったのも、病院の苦境を訴えるためだった。 ▼心残りは、病院に残してきた患者のことだけだろう。やはり原発に近い、南相馬市立総合病院の医師らが、「支援する会」を立ち上げ、協力してくれる医師を募集している。高野さんの遺志を受け継ぐ医師が現れて、ようやく安らかに眠ることができる。
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