- ●●●朝日の社説 Ver.154
444 :文責・名無しさん[]:2010/12/15(水) 01:54:37 ID:jVllb3WY0 - 14日夕刊「窓」論説委員室から
「文学者の栄誉」 今年のノーベル賞は、主役不在の授賞式となった平和賞が話題の中心だった。 ところでチェーホフの生誕150年、トルストイの死語100年に当たるロシアでは、 ノーベル文学賞の創設後も生きていた両文豪がなぜ受賞できなかったのか ということも関心を呼んでいる。 まず、過去にロシアに戦争で敗れ、多くの領土を奪われてきたスウェーデンの 国民感情が、同国アカデミーによる選考にも影響した可能性がある。 トルストイの場合、無政府主義的な立場で徴兵制や私有制を否定したことが、 賞の掲げる穏健な近代理想主義と相いれない過激主義とみなされた。 似た立場から徴兵を拒否し、帝政ロシアできびしく弾圧されたキリスト教の一派を、 彼が熱心に支援したことも、不利に働いた。 ロシア革命後は、ソ連の社会主義がノーベル賞の理想主義を脅かす過激主義に 加わる。結果的に、社会主義リアリズムの父ゴーリキーは無視され、 この系統で文学賞を得たのは、「静かなドン」のショーロフだけだ。 あとの受賞者は、ソルジェニーツィンのようにソ連当局と対立した文学者ばかりである。 だからロシアには、本来の価値で選んでいるのか、との不信が根強い。 ソ連末期に受賞した亡命詩人のブロツキーが 「取るべき人々を差し置いての栄誉は心苦しい」と語ったのは、その反映だ。 今回の平和賞授賞式を欠席したロシアの動機の一端にも、この屈折した思いがあるように思う。
|