- 産経抄ファンクラブ第140集
303 :文責・名無しさん[sage]:2010/09/23(木) 06:39:03 ID:Sh3nuZCO0 - 産経抄 9月23日
造船疑獄で検察が揺れた昭和29年、「日興連汚職事件」と呼ばれる収賄事件が あった。全国の映画館や劇場から成る日本興行組合連合会の幹部から、入場税 の国税移管反対を頼まれ、代議士が20万円を受け取ったというものだ。 ▼捜査の壁となったのは、日興連から代議士にあてたはがきだった。7月8日の 日付印が押されたはがきの文面は、20万円が賄賂(わいろ)ではなく、貸借であ ることを示していた。東京地検特捜部の検事は、3日間にらんだ末にトリックを見 破る。 ▼当時はがきのデザインが変わったばかり。問題のはがきは新しいデザインだか ら、7月8日には入手できないはずだ。郵便局長を調べると、代議士から頼まれて 日付印をごまかしていたことがわかった。「ミスター検察」と呼ばれた、伊藤栄樹 (しげき)元検事総長の回想録にあるエピソードだ。 ▼郵便不正事件では、重要な証拠品であるFDの更新の日付を、改竄(かいざん) したとして逮捕されたのは、大阪地検特捜部の主任検事だ。日付の矛盾に、最 初に気づいたのが、無罪が確定した厚生労働省の村木厚子元局長だったという から、あいた口がふさがらぬ。 ▼「嘘(うそ)をつかない検察」を標榜(ひょうぼう)した伊藤が存命なら、嘆きの大 きさはいかばかりか。伊藤は回想録の題名に、検察バッジの呼称でもある『秋霜 烈日(しゅうそうれつじつ)』を選んだ。秋の冷たい霜と夏の厳しい日差しを意味す る言葉は、検事の職務の厳正さを象徴するとされてきた。 ▼元検事総長の但木敬一さんは小紙のコラムで、「秋霜烈日」はこじつけとの説 を紹介して、「バッジの意味は、それを胸に着ける者の気持ち」で決まる、と書いて いる。主任検事と事情を知っていたとされる検察幹部は、どんな思いで着けていた のか。
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