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†Mango Mangüé
自衛隊がファンタジー世界に召喚されました【避難板】

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自衛隊がファンタジー世界に召喚されました【避難板】
86 :†Mango Mangüé[sage]:2018/06/16(土) 02:24:19.147201 ID:pXWpkVVCK
リゲル砦
自衛隊宿営地
丸山一尉は各地から上がってくる報告に目を通している。

「フレーク村な給水作業は終了しました。
約3500トンを溜め池に投入しましたので当面は大丈夫でしょう。
現地でも作れる活性炭を使った浄水装置も寄贈しました。
近隣の村々にも衛生科の医官による衛生指導や診療所6箇所の建設指導。
大衆浴場や神殿等の公共施設の復旧や整備。
日雇いですが作業に現地住民を雇用を創出しています。」

福原二尉の報告に満足げに頷いている。
施設科に限らず隊員達の建築能力は高かった。
転移前は自衛隊を任期満了で除隊し、民間の土建会社に就職していた者達が多かったからだ。
彼ら出戻り自衛官達は大陸でのインフラ建設では水を得た魚のように活躍してくれる。
砦のまわりに宿舎まで勝手に造ったりしている。
最近では神社から公衆浴場、燻製工場まで造ってしまった。
地元住民からの評判は上々だ。
撤収する時はどうするのかはまだ考えていない。
土地の権利はリゲル砦に付属した土地である。
領主代行のチャールズ氏からは好きに使ってよいと、許可は取れている。

「住民からの不満は出てないな。
結構、結構、愛される自衛隊はこうじゃないとな。」

隊員達の頑張りには頭が下がる思いだ。
丸山自身も先週の説明会や部隊からの要請への対応に奔走している。
近藤女史や青塚事務長と各候補者の調査も進んでいる。
今のところ立候補に名乗りを上げているのは、前男爵の嫡男にして、領主代行のチャールズ。
各神殿の代表にして前に男爵の隠し子だったクララ司祭。
前男爵の弟であり私兵軍の兵権を握っているアレク団長。
前男爵の第三夫人の父親であるこのエジンバラ最大の商人のオリバー。
他薦の候補者達はほとんど相手になっていない。

「なんで一族ばかりなのかな?」
「近藤女史がパルマ氏のご出馬を願ったわけですな。」

まったく血縁が無いのはパルマ氏だけである。
委員会としては平民出身の自治領主を選出したいのだろう。
オリバー氏も平民ではあるが、前男爵家に近すぎるのが問題だった。

「前回の選挙は一応は平民が自治領主になったが、奴隷ギルドのマスターが当選したからイメージが悪いらしいな。」

福原二尉はその時の経緯が書かれた書類が渡され目を通す。

「委員会の人達が奴隷解放を夢見て、奴隷にも選挙権を与えてみれば奴隷達は一斉にマスターに投票して当選。
奴隷商人に対する奴隷を財産とする税金の免除の特区を設立。
『在庫』を抱えた奴隷商人達が移住してきて奴隷達の居留地が幾つも誕生と。
一応は地元住民に配慮された隔離された居留地である。
これってようするにあれですよね、アパルトヘイト・・・」

奴隷達もうっかり解放されて、着の身着のまま放り出される事態は避けたかったのだろう。
この時もやはり近藤女史は寝込んだらしい。
リンカーンを夢見てみれば南アフリカになったのだから無理も無いと言える。
民衆の民衆による民衆のための政治を目指したらアパルトヘイトに到達したなどとは笑い話にもならない。

「あの人むいてないんじゃないかな。
学会とかで自説をぶってればよかったのに」

丸山一尉は本気で心配になって来ている。
本人に聞かれたらまた倒れて寝込まれそうである。
微妙な空気を変えるべく、福原二尉は話題を代える。

「そういえば師団の衛生大隊隊長の白井三佐が休暇を取って本国に帰るそうですよ。
その前に必要な書類を整理したいから、隊員の自己診断書の提出を求めてきてます。」

今は隊員が方々に散っているのに迷惑な話であった。

「本国に戻るなんてよく許可が降りたな。
確か白井三佐って、医者の一族のボンボンだろ?」
「来月解体される最後の東京都文京区区長のお孫さんでもあります。
文京区役所で行われる新中央区への合併式の式典に出席するそうです。」

東京23区の人口も百万人に落ち込んでいた。
人口の激減により東京5区に再編されることになっている。
大陸や千島、南樺太への移民。
食料を求めて地方への回帰。
十年の時を掛けて東京は小さくなっていった。
すでに東区、南区、西区は再編を済ませている。

「我々の知る東京はもう無いのだな。」

その言葉は少しホロ苦かった。


エジンバラ男爵領
領主選挙の投票日が迫ってきた。
領内の投票所はエジンバラの名を冠する領都では領主の館、兵士の詰所、神殿で行われる。
周辺の町や村でも倉庫等を借りて実施される。
ダメなら施設の隊員の指示で小屋を建設したり、廃屋を改築して投票所にしている。
不正防止と開票の為に委員会の会員、自衛隊の隊員、領内の役人か兵士が動員されて各投票所に派遣されていて準備を進めている。
自衛隊の隊員達もPKOで、アンゴラやボスニアで選挙監視任務に当たった要員に講習を受けている。
問題は有権者に対して投票日前に配られる入場券や案内などの通知が書かれた書類の入った封筒が配り終えてないのだ。
郵便の制度は整っていない。
一般的に手紙は騎士団や巡礼の聖職者、冒険者や行商の商人達が副業として確実に運べる進路上の自治体拠点まで届けてくれる。
そこを中継地点としてリレー形式になる為に速達等は望むべくもない。
一応は飛脚のようなものはあるが高額で、町や村の拠点に送り届けるだけで個人宛には出来ていない。
それでも村や町にいる住民には自治体単位で渡せば問題は無かった。
問題は山中に家を建てて住んでいる狩人や炭焼き職人、木こり等といった職業の住民達だ。
彼等は家族で一ヶ月に一度くらいしか麓まで降りてこないのだ。
かくして甚だ不本意であるのだが、自衛隊の隊員達がこの郵送任務に駆り出されていた。
山中の獣道を3人の自衛官が進んでいる。

「こっちでいいのか?」

先頭を歩いていた隊員が立ち止まって声をかける。
すでに麓の車で行ける場所から行軍を開始してから五時間。
乗ってきた車には隊員を二人留守番に残している。
水筒で水を一口含んでから地図を見ている隊員に目を向ける。
地図は航空撮影から作製した簡易なものだ。
他にも複数の隊員が各地の山中で配達の任務に携わっていた。
この近辺の山だけでも五組は配達任務に駆り出されている。

「問題ありません。
あと三時間も歩けば着くかと。」
「意外に楽勝だったな。」

自衛隊体育学校の山間演習を体験していれば目的地がはっきりしているだけに体力的にも精神的にも楽である。
さすがに委員会のメンバーにはこんな山道を走破するのは不可能である。
約二時間四十分後、炭焼き職人とその家族が住む小屋に到着した。

「ボルガンさん、お手紙届けに参りました!!」

絶対に自衛隊の仕事じゃないと内心思っていたがおくびにもださない。
小屋からは夫人と思われる女性が出てきた。
こんな山の中ではお目に掛かれそうにない肉感的な美人だ。
山の中でも怪しい自分達のような人間を警戒してか、片手に手斧を持っていた。
豊かな森の食生活と山の中で生活する適度な運動がよいのだろう。
こんな山中で生活している以上、どこに泉や河川といった水源も豊富なのだろう。
町のご婦人方よりも清潔な様子が伺えた。

「まあ、遠いところ御苦労様です。
主人は明日の夕方には帰ってくると思いますけど。」
「いえ、御家族の方にでもこの封筒を受け取って頂ければ我々は十分ですので」
「いえ、居てくれないと困るの。」
「え?」

ちょっと期待しながらも固辞しなければならない。
何をとは聞いてはいけない。
あのエロっぽい仕草にほだされてはいけない。

「私も主人もうちの子達も字が読めないから
あなたたちに読んで貰わないと。」


「や、野営の準備をしていいですか?
あ、何かあった時の為の連絡先を書いた紙を置いていきますね。
責任者の名前も書いてますから・・・後で読み方や書き方も教えますので」
「食事くらいは用意するからよろしくね。」

夫人の背後から遊んで欲しそうな子供達がこっちを見ていた。
説明には時間が掛かりそうだった。

「今日は帰れそうに無いと連絡を入れといてくれ。
車は明日、同じ場所に来てくれとな。」

通信機を持った隊員に指示して、野営の準備を始めた。


リゲル砦
「つまりですね、この領内の識字率は約52%しかありません。
これまでの選挙区の中でも最低の数字ですな。」

委員会の事務長青塚氏の調査結果に近藤女史や丸山一尉は頭を抱えていた。
文字が書けるのは中産階級以上の人間になる。

「さ、最低でも名前を書ければ選挙にはなるわ!!
今回はいつもより状況が悪いだけで、他の領地も似たようなものよ。
地球だって中東やアフリカで同じような事例があるのよ。
地球では識字率が低い国では、選挙用紙に文字ではなくイラストやマークで投票が行われてたわ。
これを参考に他の領地でもこれで選挙自体は成功させたの。」
「候補者の写真の横にイラスト、マークが表記されてね。
有権者はそれを記入すればよいだけです。
ただ自薦の人はそれでいいとして、今回は他薦もありなんでしょう?
そちらはどうしたものかと。」

青塚事務長は捕捉しながらも問題点を指摘する。

「他薦、意味合ったんですかね?
どうせ泡沫候補しかいないんですし。」

丸山も何だか投げ槍だ。

「き、既成勢力の票を割れるじゃない。
他薦で今回名前を売れれば次回に繋げれるわ。」

相変わらずの理想がおかしな方向に行っている近藤女史の発言に二人に呆れ顔になっている。
BBR-MD5:CoPiPe-3c901c389f1c50e9c7879c83e5ea0bde(NEW)
BBS_COPIPE=Lv:0
PID: 5745
[1.594595 sec.]
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