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イラストに騙された名無しさん
十文字青 総合スレ74

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十文字青 総合スレ74
77 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:08:31.55 ID:0mIY5IHm
「グリムガルと同じ世界観で超ヌルゲー」という風聞に興味をひかれつつも不安も大きく、読むかどうか迷っていたのだが、けっきょく気になったので読んでみた。
これが予想よりずっと面白かったのだ。
ただ、この作品を楽しめる指定席はとても狭い。
もともとグリムガルが好きで、なおかつ「同じ舞台を用いたゲーム小説なら、きっとヌルゲーでも意図があるはずだ」という作者への信頼をもって読むと、きっと面白さを汲みあげられる。
グリムガルは、各人が職業について少しずつスキルを増やしてこつこつ強くなる、RPGの王道の進め方だ。いっぽうこちらは、一見すると転生主人公が俺TUEEEして都合のいい展開になっているようにも見えるが、実際はまったく違う。主人公キサラギはごく普通の人間で、体力や腕力はまったく並で、武器の扱いに何の心得もない。
これはチートというよりはむしろ、「ジョブはすっぴんのみ・ステータスは運に全振り」というような縛りプレイだと考えていいだろう。つまり、これもまたゲーム的世界の中で許容された生き方/遊び方のひとつなのだ。キサラギも、たとえば何かの代金を踏み倒すなど、世界のシステムを改変することはできない。グリムガルのハルヒロたちに比べると序盤の展開が優遇されているように見えるが、それもまたキサラギの判断で別のイベントをこなした結果なのだ。
十文字青 総合スレ74
78 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:09:03.22 ID:0mIY5IHm
呼び声に目を覚ましてグリムガルでの生活に放り込まれ、情報も所持金もゼロのところからスタートするのはまったく同じだ。ハルヒロたちと大きく違うのは、キサラギの性格と運。
キサラギは観察力があり、頭の回転が早く、かなりの豪運の持ち主だ。最初に義勇兵団の看板娘()ブリちゃんから情報を引き出す判断と方法は妥当だし、自分が置かれた状況の深刻さや物価の感覚を掴むのが早く、ギルドの入門料がものすごく高額なことにもすぐ気づく。
ただ…いかんせん性格がとても悪い。「大英雄になる」という目的は明確で、きっとそれをなしとげる器もあるのに、むやみなビッグマウスと純粋に利己的なふるまいで、読者の好感度を絶妙に削いでくるのだ。また、合理的な性格であるのにいっぽうではいわゆる“イヤボーン”を本気で期待したり、主人公補正の狂信者であるようにも思える。肩入れしづらい主人公をいきなり提示されて戸惑う読者はきっと多いのではないだろうか。
十文字青 総合スレ74
79 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:09:39.81 ID:0mIY5IHm
こうしたキサラギの性格はたぶん、縛りプレイという遊び方にまつわるなにがしかのストイックさが、リアルからゲーム内に落とし込まれる時に捻転してできているような気がする。そりゃあ王道プレイの方が展開がなめらかなのは当然で、その路線を回避しつづけるには何か常軌を逸した意思がなければいけない。つまり、「○○縛りやってみる」というプレイヤーの意思をキャラに落とし込むと、ゲーム世界内では「そっちの方が面白そうだから」という快楽至上主義を徹底した理解に苦しむパーソナリティになる、ということなのだ。「しょくぎょう:ゆうしゃ」という文言のシュールさを、逐語訳的な愚直さで立体化したキャラともいえる。
十文字青 総合スレ74
80 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:10:04.31 ID:0mIY5IHm
同じタイミングで目覚めたメンバーと否応なくパーティを組むしかないのも、グリムガルと同じだ。キサラギの道連れは陽気なモモヒナと生真面目なイチカで、この2人の描写がまた容赦ない。
他のフィクションであれば、きっとそのふるまいは「天然」と「ツンデレ」というふうにカテゴライズされるものだろう。でも冷静で意地の悪いキサラギの視点を通してみると、「精神年齢が幼児」と「こじらせてうざい」少女になってしまうのだ…。
わたしはもともと天然やツンデレのヒロインになんの思い入れもなく、むしろつっこみたい衝動にかられる方が多いので、キサラギの徹底的に2人を利用しつくす冷徹な態度を見ているとなんだか溜飲が下がるのも事実だ。イチカみたいなキャラをあそこまで躊躇なく虐げることができたら…けっこう楽しそう…おっと。読んでいるとこちらまで意地悪な気分になってきてしまうw
十文字青 総合スレ74
81 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:10:23.65 ID:0mIY5IHm
キサラギには俺TUEEEという自意識が強固にあり、それを現実と一致させるためにいつも頭を使っている。じつは統率とか戦術という隠しスキルを閃いているんじゃないかと思うぐらいだ。たぶんこのスキルの上位互換が、レンジやソウマのもつカリスマなんじゃなかろうか。
ハルヒロたちの日々が苦難に満ちているのは、彼らに余裕がまったくないからだ。彼らがオルタナの街からスタートした直後にも、デッドヘッド砦の周辺にはヒットするだけで100%即死効果をもつ武器を入手できる時限イベントがあったかもしれない。でも、ハルヒロたちはそんなところに行く発想すらなかった。そこに行って魔剣ソウルコレクターを手に入れたキサラギとの違いは、運と選択する意思だけだ。
十文字青 総合スレ74
82 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:10:55.07 ID:0mIY5IHm
そして、そんな最強武器があれば行動可能範囲が飛躍的に広がるのは当然だし、そのままクリアできるわけではないこともまた当然だ。
うん、この作品は全然ヌルゲーじゃない。グリムガルと並べても破綻がないように、きちんとゲームバランスは計算されているんだよ。そして、プレイヤーごとに見えている世界は違うというシンプルな真理もきちんと示している。だから、「小説家になろう」サイトで発表されてはいても、この作品は「なろう系」ではないのだ。純粋な「なろう系」を求める読者には不評かもしれないけれど、まあ投稿する先の作風に合わせる規定があるわけでもないしね…。
十文字青 総合スレ74
83 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:11:22.39 ID:0mIY5IHm
というわけで、キサラギの言動に反射的に拒否感をもって目を曇らせてしまうのはもったいないぐらいの骨格がある作品だ。ゲーム、チート、ハーレムといった雰囲気的な単語の境界線を八艘飛びしていくようなトリッキーな作風だが、グリムガルが好きな人は読んでみるといいと思う。
十文字青 総合スレ74
84 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:11:42.53 ID:0mIY5IHm
1巻ラストではソウルコレクターが盗まれる。もし持ち主がランタだったら発狂してパーティ全員を責めたてたあげくに廃人になりそうな気がするw
この時に落胆はするものの取り乱さず、熟考した末に奪還は無理と判断するキサラギはすごくちゃんとしてるなぁと思った。それは、キサラギは魔剣を利用する気はあるけれど依存してはいないからだ。道具に対してだけでなく、人に対しての態度も同じなのがキサラギという人間なのだが…。ごくごくまれに、イチカに対しては計算が狂う描写はあるけれども。しかし、イチカはあの扱いで正ヒロインなのはいかがなものか。どんどん成長して、キサラギの予想の範囲を飛び越える人材になってほしいなぁ。
十文字青 総合スレ74
85 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:12:07.24 ID:0mIY5IHm
チョコ中毒でむちむちぷにょぷにょのエルフってすごい発想だ。エロ展開的にも便利で、彼女を排斥する里の閉鎖性も際立つという一石二鳥の設定。そのいっぽうで、
俺が欲しいわけでもないものは、どんなにそれが魅力的だろうが蠱惑的だろうが扇情的だろうが、俺にとっては価値がない。仮に俺の肉体がどんなにそれを楽しみ、喜んだとしても、俺の魂はそれを受け容れない。認めるわけにはいかない。
というキサラギの断固たるラッキースケベ拒否宣言が新しい。ストイック&ハードボイルドな地金がこういう時に見える。
この作品にはパンツどころか中身まで見える描写なども多々あるけれど、キサラギはそのすべてに対して冷淡だ。彼の背後霊が読者の指定席なこともあり、わたしももちろん冷淡に眺めている。見られても平気なモモヒナと、申し訳ながるミリリュも平熱の反応なので、いちいち大騒ぎするイチカだけが完全に浮いている。ラノベ的にはテンプレな反応が、こんなにひどい扱いになるというのは逆に新鮮だ…。
十文字青 総合スレ74
86 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:12:27.36 ID:0mIY5IHm
とはいっても、男性主人公とそれを取り巻く女の子たちというハーレム的枠組みはがっつりあるわけで。
「なぜそんなにキャッキャウフフしているのだッ、おぬしらは……ッ」
「ハイネマリーさんもなさってみませんか。キャッキャウフフ」
というのもまたこの作品を象徴するやりとりでもある気がする。
十文字青 総合スレ74
87 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:12:48.83 ID:0mIY5IHm
唯一キサラギが魅了されそうになったドワーフの鉄塊王エルゼヒルダの美貌に抗うのに、かなりの行数を割いているのが興味ぶかかった。このとき抗っていたのは、彼女に対してではなく、至高の美に尻込みしそうになる自分の本能に対してだ。
ミリリュの父親に対しては同行を許すか禁じるかの選択を迫ったし、猫を見てみたいエルフの少女にも、王位を捨てないヒルダにもキサラギは優しかった。彼は自分の自由意思を何よりも尊ぶのと同じくらい、自由意思を表明する相手を尊重する。大口を叩かなければほんとにまっとうな思考なのだが…。イチカがいつも虐められるのは、彼女の性格が自由意思の表明とは対極にあるからだ。
十文字青 総合スレ74
88 :イラストに騙された名無しさん[]:2021/01/13(水) 02:13:18.22 ID:0mIY5IHm
じつは、キサラギを見ていると思いだすキャラがいる。大言壮語にして有言実行、己の主人公補正を疑わず、他人から理解されることも求めずに自由の極みをめざすQ極の主人公だ。
その名はモンキー・D・ルフィ。
といったらワンピファンに怒られるだろうか? でもわたしは、アーロンパークでナミの「助けを求める自由意思」を引き出すために徹底放置して対話すら拒む姿をおそろしいと思ったことがあるのだ。ディスコミュニケーションが平気なキャラはこわい。インターフェイスはルフィが陽、キサラギが陰と正反対だが、この二人って意外と本質は似たところがあるんじゃないかなぁと思っている。ルフィもハンコックの好意を認識したうえでしっかり利用したりしてるしね…。


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