トップページ > ライトノベル > 2017年11月15日 > N/DpXaR50

書き込み順位&時間帯一覧

10 位/905 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000700000000000000007



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)
田中芳樹総合109

書き込みレス一覧

田中芳樹総合109
409 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:02:08.58 ID:N/DpXaR50
◆ザッハーク神話@

サーマーン朝ペルシアの時代、980年頃より製作が開始され、1010年に頃に完成した
イラン最大の民族叙事詩『王書(シャー・ナーメ)』に、ザッハークという怪物が登場する。

神に創られた最初の人間ガヨーマルトから2代後、ホーシャングの時代に
ようやく人類は火を使うようになり、農業を始めた。
させにそれから2代後の、文明もまだ未発達だった時代。
アラビアの砂漠の国の王子ザッハークは、一万頭もの馬を持ち、ほとんどの時間を馬上で過ごしていた。
しかし悪霊イブリースが彼に目をつけ、父王を殺すよう唆した。
ザッハークは父の身を案じてこれを拒んだが、結局父王を殺して王位に即いた。

イブリースは今度は給仕に化けてザッハークに肉を食わせた。
それまで素朴なベジタリアンだったザッハークは初めて肉の味を知り
美味なるものを大量に食べて贅沢を覚え、堕落した。
望む報酬は何でも与えてやろうというザッハークの言質を取り、
イブリースは報酬としてザッハークの両肩に蛇を生やしてしまった。

ザッハークは蛇を斬ったが、斬っても斬っても生えてくる。
これを何とか取り去ろうと国中から医者を呼んだが誰も解決できない。
すると今度は医者に化けたイブリースが、人間の脳を食わせれば蛇は大人しくなるだろうと言い、
ザッハークは仕方なくそれに従った。

さて、近隣のイーラーンには600年を生きるジャムシードという暗君がいた。
4つの身分を定め、家や武器を作り、かつては公正な治世と裁きを行っていた人物だが
自己を創造主として崇めるよう言い出して人々に背かれた。

イーラーンの兵はザッハークの許を訪れて王になってくれと懇願し、
ザッハークはアラブとイーラーンの兵を纏めてジャムシードと戦った。
100年後に東の果て、中国の海岸にまでジャムシードを追い詰めて殺害し、
ザッハークはイーラーンの王として迎えられた。
田中芳樹総合109
410 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:02:58.01 ID:N/DpXaR50
◆ザッハーク神話A

しかし王位に即いたザッハークは豹変し、両肩の蛇の餌にすべく、毎日2人の人間を供物として捧げるよう命を出した。
これによりイーラーンには1000年もの暗黒時代が訪れた。
ザッハークの餌を用意する係の者は、これに逆らい、家畜の脳を人間の脳と偽って食べさせ、
本来殺される筈だった人間を砂漠に逃した。その子孫が遊牧民族クルド人になったという。

ザッハークはやがて光の英雄が現れ自分を殺す予知夢を見る。
そして国中にその者を探し出して捉えるよう命令を出し、やがてフェリドゥーンと呼ばれる幼子の父を殺し、
フェリドゥーンに乳を与えた動物を含めて大量に動物を殺害した。

たくましく成長したフェリドゥーンは母からこれらの事を聞かされ、蛇王の統治に不満を持つ人々を集めて
ザッハークの居城に進撃、これを陥落させる。
遠征先から戻ってきたザッハークは国民皆がフェリドゥーンの味方をしているのにショックを受ける。
そしてフェリドゥーンと一騎打ちをするが牛の頭のついた矛に刺されて敗れる。

とどめを刺そうとするフェリドゥーンの許に天使が現れて制止する。
結局ザッハークは天使の命ずるままフェリドゥーンによってダマーヴゥント山の地下へと幽閉され、
心臓から血が滴り落ち続ける責め苦を味わう事になったという。

この話は『王書』の時代に初めて作られたものではなく、それ以前からあった話を改変して収録したものである。
日本神話が様々な神話を継ぎはぎして作られたキメラであるように、
ザッハークの話もまた、様々な元ネタを混合して作られた話なのだ。
田中芳樹総合109
411 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:05:01.45 ID:N/DpXaR50
◆殷の興亡

さて、中国には紀元前20世紀から紀元前17世紀にかけて、チベット系民族の国である、最古の王朝と言われる夏王朝があった。
大洪水の後治水事業を成功させた禹王が始祖となり、国家の基礎を築き、各地に都市を作って国を発展させたが
14代孔甲は自らを神に擬すようになり、人心が離れていった。
暴虐なる桀王は人々の反発を招き、殷(商)との鳴条の戦いに敗れて逃走し、ついに夏は滅びてしまった。

続いて興った王朝である殷(紀元前17世紀〜紀元前11世紀)は、
三人一組になって乗る戦車によって周囲の部族を打ち倒し、領土を広げた軍事国家だった。
『呂氏春秋』によると殷の湯王が夏の桀王を討ったとき、「良車七十輌、決死隊六千人」があったといい、
甲骨文によると一度に300輌もの戦車が出撃していたという。
戦車はシュメールで発明され、ヒッタイト、アッシリア、古代エジプト、ペルシアなどで使われ、
古代インドなどを経て古代中国に伝播したと考えられている。
(実際殷墟からは西インドやトルキスタンからしか発掘されない紅玉髄も発見されている)
殷は西方や南方とのつながりの強い、大量の馬と青銅の武器によって支えられた国だった。

殷は蛇や龍を聖なるものと崇め、青銅器に紋様として多用した。
殷は祭祀国家であり、神に生贄を捧げ、甲骨文によって吉凶を占った。
国を挙げて崇めていた神は人間の頭部を欲する神であった。

殷が主に生贄として捧げていたのは遥か西方(甘粛省あたり)に住まう羌族というチベット系の遊牧民族。
「羌」という字は二本の足が生えた羊を意味する。
(羊の女を意味する「姜」とも書く)

殷は50人、100人、時には一度に300人もの羌族を殺害した。
殷墟の祭祀坑からは首を切られた1178体分もの人骨が発見されており、10体ずつ埋められた首だけの埋葬坑や
首のない屍体だけの埋葬坑がある。
(その他の地域も含めこれまで発見された生贄の合計は14000体とする話もある)
田中芳樹総合109
412 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:09:05.50 ID:N/DpXaR50
600年間羌族を徹底的に迫害してきた殷王朝だが
姜姓と古くから通婚の関係にあった、西方の周の文王が叛旗を翻す。
殷王朝の転覆をひそかに目論んでいた文王だが、それを実現するための具体的な策がない。

しかしある日「お前の待ち望む者が川の滸で待っている」という神のお告げを受け、
それに従って向かったところ、釣り針のない釣り糸を垂れ、「覇王への道を釣っている」と嘯く男が待っていた。
羌族の族長であるこの姜子牙 (太公望呂尚)という男を宰相に迎えた文王は、周辺の部族を糾合し、
やがてその息子の武王が殷を滅ぼす事に成功する。


◆封神演義

この話は時代を下り、四大奇書と呼ばれる伝奇物語『封神演義』になった。
封神演義の作者は明代の人間である許仲琳という謎の人物であるとされているが、
原型となる話がさらに以前にある事が確認されており、その話にもさらに以前の原型があり…と
話そのものの詳しい起源がわかっていない。

最も古いルーツになったのはは6000年前に興った文明であるシュメールの神話ではないかと考えられている。
細部は異なるものの、主だったあらすじが非常に良く似ているのだ。
田中芳樹総合109
413 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:10:10.46 ID:N/DpXaR50
・封神演義
『遥か太古、伝説の中にのみ存在する王朝の時代、
 人々はまだ神仙と共存していた。
 天界では崑崙山と金鰲島による二大派閥が戦争を起こしていたが、
 一方で地上でも戦争が起こり、周には崑崙山の姜子牙が、
 殷には金鰲島の聞仲がついて大戦争に発展させた。

 そして最終戦争が始まり、
 雷公鞭、禁鞭、金蛟剪、傾世元禳、太極図、盤古旛、六魂幡という
 他の宝貝とは比較にならない7つの最終兵器が用いられ、
 大部分の仙人が死滅して封神台に封印された。
 地上の殷王朝も滅びるとともに、仙人たちは人間たちと距離を置き、
 新たな王朝が築かれ、人間だけの時代が始まった』

・シュメール神話
『遥か太古の時代、人類はまだ神々と共存していた。
 神々はエンキ神とエンリル神をトップとする二大派閥に別れ、覇権をめぐる大きな戦いを繰り広げていた。
 その息子マルドゥクとニヌルタ神の時代になると、その戦いは地上にも波及し、大戦争に発展する。
 そして最終戦争が起こり、神々は「7つの最終兵器」を使う事で決着をつける。
 しかしその被害は甚大で、大部分の存在が死滅し、地上にあった人間の国は滅亡。
 その被害の大きさに恐れをなした神々は、地上を離れて人間と一線を劃するようになった。
 かくしてわずかな生き残りにより、人間だけの時代が始まった』(シュメール神話)

ちなみに今月には『七都市物語』のコミカライズ版が発売、
12月には『アルスラーン戦記』最終巻が出るが、
翌1月には田中芳樹の『銀英伝』をコミカライズしている藤崎竜がコミカライズした
『封神演義』のアニメが始まり、4月からは『銀英伝』の新アニメが始まると
なにかと田中芳樹に因んだイベントが多い。
田中芳樹総合109
414 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:14:03.95 ID:N/DpXaR50
◆中国とペルシア

中国は中東と古くから繋がりがあり、絹の道を通じて沢山の人と物が行き交っていた。
例えば秦代の始皇帝の母は、宰相であった呂不韋の愛人であり、腹の大きかった状態で
名目上の父である荘襄王へと贈られて始皇帝を産んだ。
実際の父は羌族の出身である呂不韋ではないかとされている。

この羌族はいつの時代からそうなったのかは定かではないが、
ユダヤの失われたイスラエル十支族の遺伝子を引いている事が
イスラエルの調査機関『アミシャーブ』の遺伝子調査によって判明している。

始皇帝はユダヤ人が宰相や王妃を努め、多くのユダヤ人が居留していた
アケメネス朝ペルシアの政策を中国に持ち込んだ。
中央集権化、全国の郡県制導入、度量衡・車輪の幅・文字書体・貨幣の統一、
長城の建設、行幸道路の建設、自分の功績を記した石碑の全国建設
(ちなみに中国最古の石碑は泰山の紀元前219年のもので、それ以前とされるものはすべて後世の偽作)など、
すべて紀元前6世紀のペルシアのダリウス大王が行った政策をそのまま中国で行い、
彼が中国史上初めて行ったこれらの政策は、中国という国の原型になった。

2006年には始皇帝陵の陪葬墓から出土した人骨を中国の大学が解析したところ、
ペルシア系やクルド人のDNAが検出されている。
始皇帝本人のDNAは不明ながら、多くのペルシア人が仕えていた事は確実であり、
想像以上に古代中国と中東の繋がりは深い。

そして絹の道によって行き来するのは人や物だけではない。
歴史や神話や物語もまた遠く離れた両国に伝播している。
田中芳樹総合109
415 :イラストに騙された名無しさん (ワッチョイ ff3c-sJj3)[sage]:2017/11/15(水) 07:15:20.05 ID:N/DpXaR50
◆ザッハーク神話の由来

さて、ザッハーク神話の由来とされているのは
斬っても斬っても首が生えてくる、三頭竜アジ・ダハーカが英雄スラエータオナによって倒され、
ダマーヴァント山の地下に幽閉されたが、終末の時代にまた蘇り、英雄クルサースパに殺されるという
ゾロアスター神話のエピソードだろう。

さらに時代が下るとバビロンの魔術師エジュダハーが、さらに魔術を習いたければ父を殺害せよと悪魔に誑かされたという話が作られる。
アヴェスタ語のアジ・ダハーカをアラブ人がアズダハーグと呼んだが、これがさらに転訛したのがエジュダハーだという。
さらにアラビア語化されるに至り、ザッハークと呼ばれるようになった。

もっとも、ここには「国を簒奪した邪悪な王が600年間人間の脳を捧げさせて蛇に食わせる」というエピソードは見られない。
そもそも『王書』のザッハーク神話には他の神話との類似性が多々見られる。

例えばジャムシードがよそから攻めてきたザッハークに敗戦して遥か東の海辺にまで逃げ、
そこで完全に降伏して国を奪われる話は、かつて日本有数の強大な勢力を持っていた出雲王朝が、
騎馬民族の大和王権に攻められて敗北し、はるか東の諏訪の湖のほとりまで逃げて完全降伏、国譲りする話に似ているし、
悪王が自らの政権が破滅する予知夢を見て、敵が成長する前に沢山の子供らを殺する話は、
新約聖書の幼いキリストとヘロデ王の話や、その元ネタといわれる幼いクリシュナとカンサ王の話に酷似している。

英雄が国に戻ったところ、かつて味方であった周囲全てが敵になってしまってショックを受ける点は四面楚歌の故事を、
黎明の時代の人間が悪霊に唆されて堕落するところはアダムとイブ、
龍蛇が神の加護を得た英雄に退治される話は世界的に見られる竜討伐伝説、
蛇王が高山に縛られ、気の遠くなるほどの長い歳月も神の罰を受ける話はギリシア神話のプロメテウス、
地底に封じられた竜が遥か後の時代に復活して最終戦争で神話的英雄に討たれる話は、
おそらくゾロアスター教に影響を受けて作られたヨハネの黙示録を連想させる。

しかし中核となる「人間の頭を捧げさせる蛇王」はここにはない。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。