- 歩夢「パラレルワールド?」
771 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 00:12:59.27 ID:/Lc2DyOy - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
歩夢「…………」 夜、一人部屋の中で宿題を進める。 今日もお母さんは遅いみたいで、家の中はとても静かだ。 静か過ぎるのも中々落ち着かないなぁっと思ってしまう。 いつも侑ちゃんと通話しながら宿題していたから、余計かもしれない。 歩夢「…………」 歩夢「侑ちゃん……」 ……侑ちゃんに会いたいなぁ。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
772 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 00:21:56.54 ID:/Lc2DyOy - せつ菜『他の学校の方々にも聞いてみたのですが』
せつ菜『やはり高咲侑さんを知っている方はいませんでした』 歩夢『……そっか』 せつ菜『SNSを本名でやっていたりしないかな? って思って調べてみたりもしたのですが……見つかりませんでした』 せつ菜『お役に立てなくてごめんなさい……』シュン 歩夢『う、ううん! 大丈夫だよせつ菜ちゃん! ありがとうね』ニコッ せつ菜『いえ! また何かあったらいつでも頼ってくださいっ』ペカー 歩夢(やっぱり侑ちゃん……いないのかな?) 歩夢(……もしかしたら……) 歩夢(五十嵐若葉ちゃんの事を聞いてみたら!) 歩夢(でも……) 歩夢(“この子”は『わたしと若葉ちゃんの思い出に関わらないで』って言ってたし……) 歩夢『…………』 せつ菜『歩夢さん?』 歩夢『──あっ、ごめんね。少しぼーっとしちゃってた』 歩夢『また何かあったらお願いするね』ニコッ
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- 歩夢「パラレルワールド?」
773 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 00:30:13.08 ID:/Lc2DyOy - 歩夢「…………」
侑ちゃんと、五十嵐若葉ちゃん。 夢で見た若葉ちゃんは、侑ちゃんと同じ見かけをしていた。いや、声も笑顔も明るい性格も侑ちゃんと同じだった。 私を引っ張ってくれる、大切で大好きな子。 歩夢「……」 歩夢「また、夢の中でもいいから」 歩夢「この世界の歩夢と会話できないかな……」 夢の中で私に声を掛けてきた子は、恐らくこの世界の上原歩夢。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
774 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 00:57:07.00 ID:/Lc2DyOy - ──────────
歩夢『人の身体で好き勝手するのは楽しい?』ニコッ 歩夢『あなたの行動、わたしはずっと見てるよ』 ────────── 歩夢(“この子”は、私の中にいるの……?) 歩夢(いや……“私”がこの子の中に入ってしまったの?) 歩夢(別世界の上原歩夢である私が……この子の中に?) 歩夢「そんな事……あるの?」 歩夢(いや……今私の身に起きている現象から考えると、全然ありえる話だよね) 歩夢(ありえないなんて事はありえないのかも) 歩夢(愛ちゃんから話を聞いた──パラレルワールドの話。その話から、私は別世界の上原歩夢だって考え付くことが出来た) 歩夢「…………」 歩夢(そう考えると……本当に、私がいた世界の私は……今どうなっているのかな?)
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- 歩夢「パラレルワールド?」
776 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 01:11:21.25 ID:/Lc2DyOy - 歩夢「……そう言えば」
歩夢「私って」 歩夢「前の世界で」 歩夢「どんな状態だったんだっけ?」 歩夢「確か……スクールアイドル同好会のみんなと練習してて」 歩夢「……ランニング……してたよね?」 歩夢「それで──」 歩夢「──ッ!!」ズキッ!! 歩夢「ぁ……ッ……!!」ズキ、ズキ 頭が再び痛くなる。 最近、頭が痛くなる頻度が増えている気がする。 頭を鈍器で殴られたような感覚。頭が割れるんじゃないかってくらい……痛い。痛い、痛い! 気を失いそう。──でも、気を失ったら……戻って来れない気がする。 そんな気がしてしまった。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
781 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 17:06:20.15 ID:/Lc2DyOy - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
歩夢「行ってきます」 ガチャ スタスタ 歩夢(うぅ……まだ少し頭がズキズキする……) 歩夢(こんなに長引く事、なかったんだけどなぁ) 歩夢(頭痛薬とか、効くかな? あんまり身体に良くないから薬には頼りたくないんだけど……) タッタッタッタ 愛「──歩夢っ」 歩夢「あっ、愛ちゃん。おはよう!」ニッコリ 愛「ちーっす! おはよ歩夢!」 歩夢「どうしたの? こんな朝から」 愛「学校行く前に軽くランニングしてたら歩夢んちの近くに来たからさ」 愛「寄ってみた」 歩夢「そうなんだ。朝から偉いね、愛ちゃん」ニコッ 愛「もっと体力付けないとだからな」ニカッ 歩夢「今でも充分体力すごいあると思うけどなぁ」 歩夢「かすみちゃんも前、愛ちゃんの体力の多さ褒めてたよ?」 愛「マジ? 直接褒めてくれねぇかなぁ……」 歩夢「かすみちゃん、ちょっと照れ屋さんな所あるもんね。だからこそ褒めて貰えると嬉しいよね〜」 愛「わかるわかる」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
782 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 17:39:00.08 ID:/Lc2DyOy - 愛「このまま一緒に学校行こうぜ」
歩夢「うん、いいよ」 スタスタ 歩夢「愛ちゃん、勉強の方はどう?」 愛「勉強は問題ないけど……授業サボりまくってたからグループ学習が辛いかな」 歩夢「あー……もうグループ出来てるもんね」 愛「そーなんだよなぁ……まぁこればっかりは今までの自分の行動が悪いから仕方ないさ」 愛「──てかさ歩夢」 歩夢「どうしたの?」 愛「ここでの生活にも大分慣れてきた?」 歩夢「あー、うん。もうこの子としての生活も1ヶ月くらい経つからね」 愛「そっか」 愛「……まだ皆には話さねぇの?」 歩夢「え?」 愛「今の上原歩夢は、別世界の上原歩夢の人格だってこと」 歩夢「…………」 私が“この子”とは別世界の上原歩夢である事は……愛ちゃん以外誰も知らない。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
783 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 17:48:25.13 ID:/Lc2DyOy - 歩夢「正直、非現実的すぎるよ。話しても……信じられないだろうし……余計な心配させちゃうかもしれないもん……」
歩夢「…………」 愛「…………」 愛「ま、まぁでも……あれだよな! 中々話にくい内容でもあるからそう思うのも仕方ねぇよ」 愛「アタシは上原と結構長い関わりがあったし、歩夢から上原として過ごした日々は全部知らないって話を聞いてたから、すっと頭に入ってきたけどさ。記憶喪失って感じでもなかったし」 愛「そ、その! 少し暗い雰囲気にさせちゃってごめんな歩夢」 歩夢「う、ううん! 私こそ暗くなっちゃってごめん」 愛「──あっ! そーだ。今オリジナル曲作ってる途中なんだけどアドバイスしてくれないか? この前のライブはかすみの曲を一緒に歌わせてもらったから、そろそろ自分の曲が欲しくってさ!」 歩夢「うん。私で良ければ全然いいよっ」 愛「サンキュ!」 ・ ・ ・
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- 歩夢「パラレルワールド?」
784 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:00:33.41 ID:/Lc2DyOy - 愛「──でさぁ」
歩夢「うんうん」 スタスタ 愛「ん?」 歩夢「? どうしたの愛ちゃん」 愛「あれ、しずくと彼方さんじゃね?」ジー 歩夢「え?」ジー しずく「──」 彼方「──」 歩夢「あっ、ほんとだね。お話しながら歩いてるね」 愛「二人で登校中っぽいなぁ」 愛「へへーん……ここで会ったのも何かの縁だ。後ろから急に大きな声をかけて、驚かしてやろーっと」ニヤニヤ 歩夢「えぇ!? 朝からそんな子供っぽい事……ダメだよ」 愛「しー! 声がでけぇよ歩夢。バレちゃうだろ?」 歩夢「もー……怒られても知らないよ?」 愛「大丈夫大丈夫〜」ニヤニヤ 愛「んじゃ、ちょっと行ってくるわっ」 歩夢「私は止めたからね?」 愛「わーってるよ」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
785 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:11:32.94 ID:/Lc2DyOy - 愛(よーし……ゆっくり、ゆっくり近づいて……)スタ、スタ
愛(……よしよし、バレてないバレてない)スタ、スタ 愛(よし! そろそろ──) しずく「かな姉、今日も帰りに病院よるの?」 彼方「うん。そうしようかなって思ってる」 愛(──え?)ピタッ しずく「あんまり無理しないでね? ──あっ、私も一緒に行こうか?」 彼方「大丈夫だよ。しずくちゃん、同好会の練習あるでしょ? まだまだ1年生なんだから楽しんだ方がいいよ」 しずく「…………」 彼方「あっ、でも今度の日曜日は付き添いしてほしいかなぁ」 しずく「──うん! わかった!」ニッコリ 彼方「よろしくね〜」ナデナデ しずく「うん!」 スタスタスタスタ 愛「………………」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
786 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:21:14.58 ID:/Lc2DyOy - スタスタ
歩夢「愛ちゃん? どうしたの?」 愛「…………」 愛「あ、歩夢」 歩夢「うん?」 愛「彼方さん……どこか体調悪いのかな?」 歩夢「え?」 愛「……今日も病院によるの? ってしずくが彼方さんに聞いてて……そうするって彼方さんが言ってた」 歩夢「え!?」 愛「……な、何かあったのかな?」 歩夢「…………」 歩夢「……彼方さん、アルバイトや勉強、最近は同好会の活動も参加してくれることが増えてきたよね」 愛「確かに毎日忙しそうだよな……」 歩夢「前から結構思ってた事があるの」 歩夢「彼方さん、ちゃんと休めているのかな? って……」シュン 愛「!!」 愛「……何かあってからじゃ遅い」 歩夢「え?」 愛「……おばーちゃんの時みたいに……なったら……アタシ……」プルプル 歩夢「愛ちゃん……」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
787 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:23:27.81 ID:/Lc2DyOy - 愛「…………」ピッ
prrrrrr!! 愛「あっ、もしもし? エマさん?」 愛「朝からごめんなさい」 愛「少し相談したいことがあって……」 愛「彼方さんの事で」 ・ ・ ・
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- 歩夢「パラレルワールド?」
788 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:36:11.39 ID:/Lc2DyOy - 〜放課後〜
彼方「ふわぁぁぁああ……」 彼方(ねっむ) 彼方「!! だめだめ! あくびなんてみっともない……私は眠くないぞー」 彼方(眠気に負けてちゃダメ!) 彼方(今日の授業の内容復習も、明日の予習も休み時間中に終わらせたし、少し同好会に顔を出してから病院に行こう) 彼方(そんで帰ったら勉強だ。あと料理も作らなきゃ。お母さん、今日も遅いだろうからお夜食作っておこうかな) スタスタ ガラガラ 彼方「皆、おはよ〜」 「「「!!」」」ビクッ!! 彼方「──え? 皆にどうしたの? そんなに集まって……」 タッタッタッタ!! バッ──ギュッ!! 果林「彼方ッ!!」 彼方「え、えぇ!?」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
789 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 18:44:59.43 ID:/Lc2DyOy - 果林「あだんして!?」
彼方「あ、あだ!?」 果林「何かあったなら……相談してよぉ……!」グスグス 彼方「相談?」 エマ「か、果林ちゃん! 落ち着いて?」 彼方「あっ、エマちゃん……この状況は何なの?」 エマ「……彼方ちゃん」ギュッ 彼方「!?」 エマ「わたしに力になれることあったら……なんでも言って?」 エマ「ね?」ウルウル 彼方「???」 タッタッ かすみ「か、彼方先輩! これ、私が作った特製コッペパンです! すごく美味しいので……食べて下さい!」 かすみ「あと、私に何か出来ることありませんか?」 彼方「なんでみんな今日異常に優しいの!? あいや、いつも皆優しいけど!」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
791 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 19:04:59.79 ID:/Lc2DyOy - 璃奈「彼方さん。これ、私が今日作った栄養ドリンクなんだけどあげる」
彼方「あ、ありがとう……」 璃奈「炭酸を抜いたコーラを原料として扱ってるんだ」 せつ菜「炭酸抜きコーラ!?」 せつ菜「……」メガネスチャ せつ菜「ほう、炭酸抜きコーラですか…」 かすみ「真面目にやれ!」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
793 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 20:15:40.45 ID:/Lc2DyOy - 彼方「……」ポカーン
せつ菜「あぁ! ごめんなさい!」スッ せつ菜「彼方さん! これ私が作ったクッキーですっ」 せつ菜「これを食べて、元気出して下さいっ!」スッ 彼方「……せ、せつ菜ちゃん?」 彼方「なんでクッキーが紫色なの?」 せつ菜「色々と英気を養える材料を混ぜて作ってみたらこうなりました」 彼方「あ、ありがとう……」 彼方(今度せつ菜ちゃんにお料理教えてあげよ……) 彼方「──というか! 皆どうしたの!?」 彼方「なんか変だよ!?」 スタスタ 愛「彼方さん……」 歩夢「その……」 彼方「あっ! 愛ちゃんと歩夢ちゃん。ねー、これどういう──」 歩夢「病院に行くって……本当ですか?」 彼方「え?」 愛「その……ごめん。朝、聞いちゃったんだ」 愛「しずくと彼方さんの会話を」 彼方「え? あぁ、そうなんだ」 彼方「うん、病院には行くつもりだよ?」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
795 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 20:34:28.92 ID:/Lc2DyOy - 愛「!!」
愛「彼方さん! アタシに何か出来ることないか!?」 歩夢「さ、最近あんまり休めてないですよね?」 歩夢「病院に行くくらい疲労が溜まっているんじゃ……あまりにも……」 彼方「ん?」 彼方「あの……みんな?」 彼方「勘違いしてない?」 彼方「別に私に何かあって通院してるわけじゃないよ?」 「「「え?」」」 ガラガラ しずく「ごめんごめーん! ちょっと日直で遅れちゃったよ〜」 「「「……」」」 しずく「ん? あれあれ? なんか皆静かじゃん? どしたん?」 彼方「あっ、しずくちゃん! やっほー」 しずく「あっ! かな姉やっほほ〜!」 彼方「ごめん、少し脱線しちゃったけど」 彼方「私、定期的に病院へ行ってるの」 彼方「その理由はね、お見舞いの為なの」 彼方「入院してる、私の妹の遥ちゃんの」 歩夢「──え?」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
796 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 20:46:51.50 ID:/Lc2DyOy - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ガラガラ 彼方「さっ、歩夢ちゃんここの病室だよ? 入って入って〜」 歩夢「し、失礼します」 彼方「そんなに畏まらなくて大丈夫だよ〜」 彼方「個室だし」 歩夢「……はい」コクリ 彼方「遥ちゃーん。お客様だよ〜?」 彼方「私の自慢の後輩で、お友達の歩夢ちゃんだよ〜」ニコニコ 遥「…………………………」 歩夢「遥……ちゃん……」 とある病院の、病室のベッドの上。 そこには──静かに眠っている遥ちゃんがいた。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
797 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 20:57:03.06 ID:/Lc2DyOy - 彼方『こちらが彼方ちゃんの自慢の妹の遥ちゃんで〜す!』
遥『よ、よろしくお願いします!』ペコリ 遥ちゃんがスクールアイドル同好会の練習の見学に来た時の事を思い出す。 なんだか懐かしいなぁ。 彼方「綺麗な顔してるでしょ?」 歩夢「はい……綺麗だし、とっても可愛いです……」 遥「おぉ〜、歩夢ちゃんは分かってるなぁ。しずくちゃんの時もそうだったし、私達は可愛いと思うモノの対象が似てますな」 歩夢「ふふ……そうですね」 彼方「遥ちゃんが起きたら、存分に可愛がってあげようね」ニコッ 歩夢「……」 歩夢(遥ちゃん) 歩夢(この子は、生きている) 歩夢(けど──目を覚まさないらしい)
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- 歩夢「パラレルワールド?」
798 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 21:15:20.76 ID:/Lc2DyOy - 彼方「さっきも皆に話したから重複した内容になっちゃうけど」
彼方「遥ちゃんは昔から身体が少し弱い子だったの。心臓が少し、他の子よりも悪くてね」 彼方「それが原因で、学校もおやすみする事が多かった」ナデナデ 歩夢「…………」 彼方「それで、私が3年生になってすぐ、かな? 遥ちゃんの手術をしたの」 彼方「身体が前よりも元気になる為の、大事な手術をね」 彼方「手術は無事に成功したの。心の底から喜んだよ」 彼方「……でも」 彼方「遥ちゃんはまだ目を覚まさないんだ」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
799 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 21:28:38.69 ID:/Lc2DyOy - 彼方「身体は元気になったし、ちゃんと生きてるのに」
彼方「目を覚まさないの……」 彼方「どの医者も原因不明だって言ってて……匙を投げた」 彼方「まるで……“魂だけ離れちゃってる”みたいだって、お医者様は皆言ってたね」 歩夢「彼方さん……」 あの後彼方さんは、妹の遥ちゃんの状態について同好会の皆に話した。 歩夢(よかったら一緒にお見舞いに来ない? って誘われたから来たけれど) 歩夢(自分が知っている子が……入院している姿を見るのは……辛い……) 歩夢「…………」 彼方「歩夢ちゃん、ごめんね」 歩夢「へ?」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
802 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 21:45:16.58 ID:/Lc2DyOy - >>797
誤字修正。 彼方『こちらが彼方ちゃんの自慢の妹の遥ちゃんで〜す!』 遥『よ、よろしくお願いします!』ペコリ 遥ちゃんがスクールアイドル同好会の練習の見学に来た時の事を思い出す。 なんだか懐かしいなぁ。 彼方「綺麗な顔してるでしょ?」 歩夢「はい……綺麗だし、とっても可愛いです……」 彼方「おぉ〜、歩夢ちゃんは分かってるなぁ。しずくちゃんの時もそうだったし、私達は可愛いと思うモノの対象が似てますな」 歩夢「ふふ……そうですね」 彼方「遥ちゃんが起きたら、存分に可愛がってあげようね」ニコッ 歩夢「……」 歩夢(遥ちゃん) 歩夢(この子は、生きている) 歩夢(けど──目を覚まさないらしい)
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- あなた「好感度反転スイッチ?」璃奈「うん」√B
518 :名無しで叶える物語(しまむら)[sage]:2021/05/30(日) 21:50:19.14 ID:/Lc2DyOy - 歩夢がこんな状態なのにどうにかして元に戻そうとしない辺り、だいぶ心が離れちゃってるのが分かる
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- 歩夢「パラレルワールド?」
803 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 21:54:27.96 ID:/Lc2DyOy - 彼方「突然家庭の事情を話されて、こんな状態見せられても困っちゃうよね」
歩夢「そ、そんなことないです!」 歩夢「その、話してくれてありがとうございます」 歩夢「それと……気の利いたことが言えなくて……ごめんなさい」 彼方「歩夢ちゃん……」 彼方「君は本当に良い子だねぇ〜」 彼方「狂犬って呼ばれていたのが本当に嘘みたいだよ」 歩夢「あはは……」 彼方「本当に遥ちゃん、いつ起きるんだろうね」 彼方「まるで眠り姫だよ」 彼方「キスでもしたら起きるかな?」 歩夢「…………」 彼方「じょ、冗談だよ?」 歩夢「あっ! いえ、ごめんなさい。……考え事しちゃってて」 彼方「考え事?」 歩夢「何かできる事ないかなって……」 彼方「……本当に優しいね、歩夢ちゃん」 歩夢「…………」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
805 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 22:06:40.69 ID:/Lc2DyOy - 彼方「その気持ちだけでも、嬉しいよね」
彼方「ありがとうね」ニッコリ 歩夢「いえ……」 彼方「それにね、歩夢ちゃん」 歩夢「?」 彼方「遥ちゃんは……私がなんとかする」 彼方「その為に……沢山勉強しなきゃいけないの」 彼方「今よりも、もっと」 彼方「もっともっともっと、勉強しなきゃいけないの」 歩夢「!!」 彼方「遥ちゃんの為に、ね」 歩夢「…………」
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- アニガサキ8話って普通に良い回じゃね?
203 :名無しで叶える物語(しまむら)[sage]:2021/05/30(日) 22:08:07.62 ID:/Lc2DyOy - 本編でもちょこちょこ会話してるシーンはあったんだよなぁ
名前は呼びあってないけど
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- 歩夢「パラレルワールド?」
808 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 22:23:47.49 ID:/Lc2DyOy - ───────────
彼方『んー、アルバイトまで勉強したいしなぁ……』 しずく『……かな姉、最近頑張りすぎだよ! 気持ちは分かるけど……』 しずく『ちゃ、ちゃんと寝てるの!?』 彼方『寝てるよ? 4時間くらいは毎日寝てる』 しずく『ぜ、全然足りないよ! 15分くらい仮眠取りなって! ほら、私……ひざ枕するから!』 彼方『大丈夫だって』 彼方『しずくちゃん。私が勉強頑張る理由、知ってるでしょ?』 ─────────── 歩夢(そういう事……だったんだ……) 彼方「歩夢ちゃんが良かったらさ」 彼方「またお見舞いに来てほしいな」 彼方「この病院、個人経営なのに入院設備もあってね。先生はフランクで良い人だから気軽にお見舞い来やすいし」ニコッ 歩夢「……はい」コクリ 歩夢「絶対にまた来ます」 彼方「ありがとね」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
811 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 22:33:46.86 ID:/Lc2DyOy - 彼方「──さて、そろそろ帰ろっか」
彼方「歩夢ちゃんは1回ニジガクに戻るの?」 歩夢「そう……ですね。みんな練習してると思いますので」 彼方「そっか」 彼方「いつもごめんね。部長なのにあんまり出れなくて」 歩夢「いえいえ! 彼方さんのタイミング会う時に顔出してくれたら嬉しいので」 彼方「そう? ありがと〜」ナデナデ 歩夢「……」 歩夢(優しい撫で方……安心する) 歩夢「彼方さん」 彼方「ん?」 歩夢「何かあったら、いつでも頼って下さい」 歩夢「力になりたいから……」 彼方「……ふふっ」ニコニコ 彼方「歩夢ちゃんの事はいつだって頼りにしてるよ」 彼方「君のおかげで同好会は活発になったし、かすみちゃんやしずくちゃんも、前より明るくなった気がするもん」 彼方「私も同好会の活動楽しいから、本当はもっと沢山出たいし」
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- 歩夢「パラレルワールド?」
812 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 22:46:53.60 ID:/Lc2DyOy - 彼方「同好会の練習、土日もたまにやってるでしょ?」
歩夢「はい。まぁ、結構自由参加な所ありますけれど」 彼方「あはは、ゆるーい感じが私達らしくっていいよねぇ」 彼方「平日は練習出れること多いけど、土日の練習は全く参加できてないからね。今度タイミング見て参加するよー」 歩夢「え? ほんとですか?」 彼方「うん!」 彼方「歌うの好きだからね、私」 歩夢「……」 歩夢(!! ──そうだ) 歩夢「彼方さん」 彼方「ん?」 歩夢「来週の日曜日、予定空けてくれませんか?」 彼方「来週の日曜日?」 歩夢「はい」 歩夢「詳細は追って連絡しますので」 彼方「うん! 分かった。予定空けておくね」ニッコリ 歩夢「はいっ」ニコッ 歩夢(少しでも……彼方さんの為に、遥ちゃんの為に。出来ることをやろう) 歩夢(みんなにも、協力してもらおう)
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- 歩夢「パラレルワールド?」
813 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 23:06:55.95 ID:/Lc2DyOy - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私、近江彼方はいつも全力です。 全てのことに、全力で取り組んできた。 お料理も、勉強も、運動も、大好きなお料理も。 そして── 遥『うぅ……うぅ……』グスグス しずく『は、はるかぁ……な、泣きやんでよぉ……』オドオド 彼方『ありゃ? お二人ともどーしたの?』ヒョコ しずく『あっ、かなたおねーちゃん……』 しずく『えっとね、はるかが大事に育ててたお花がかれちゃったの……』 遥『うぅ……おねぇちゃ〜ん……!』グスグス 彼方『そっか……』 しずく『それで……はるかが悲しそうで……上手く励ますことができなくて……わたしも悲しくなっちゃって……うぅ……!』グスグス 彼方『あはは……優しいお姫様達だなぁ』 彼方『でも……悲しいよね。──よし! 二人とも〜!』 彼方『彼方ちゃんのお歌を聴いて!』 しずはる『え?』 ──大好きな歌も、全力だった。
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- 歩夢「パラレルワールド?」
814 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 23:24:52.29 ID:/Lc2DyOy - 彼方『♪〜』
遥『わぁ……!!』 しずく『……』ドキドキ 遥ちゃんも、しずくちゃんも私の歌が大好きだったみたい。 私も歌う事が大好きだから、こうやって二人が泣いてる時は、よく歌を歌って励ましていた。 遥ちゃんなんかは特に、私の歌を気に入ってくれて……怖い夢を見た時や不安な時は自分から私の歌をせがむくらいだった。 なんだか、懐かしい。 遥『お姉ちゃん!』 遥『もっとうたって〜!』 ピピピピピピッ!! 彼方「ん〜……」 彼方「……」ポー 彼方「ふわぁぁぁぁああ……」 彼方「あさか……」 彼方「なんか懐かしい夢を見てた気がする〜」 彼方「……」ポケー 彼方「んっ」パチンッ 彼方「よし、眠くない眠くない」 彼方「彼方ちゃんは起きとりますよ〜」 彼方「……あ、違う違う」 彼方「私だ、私」 彼方(立派な大人にならないと……) 彼方(──今日は日曜日で、歩夢ちゃんと約束した日だ) 彼方「部室に集合だったよね?」 彼方「……よし、がんばろー」 ・ ・ ・
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- 歩夢「パラレルワールド?」
816 :名無しで叶える物語(しまむら)[]:2021/05/30(日) 23:53:45.29 ID:/Lc2DyOy - 彼方「うーん、良い天気だ」ノビー
彼方(良い練習が出来そうだね) スタスタ 彼方(よし、そろそろ部室だ) 彼方(みんな私が日曜日の練習に参加したら驚くだろうなぁ) 彼方「えへへ」ニコニコ 彼方(みんなに会えるの楽しみ〜) ガラガラ 彼方「みんな、おっはよー!」 いつもよりテンションが高くなってしまったのか、自分が思ったよりも大きな声が出てしまった。 落ち着け落ち着け〜? 大人はいつも冷静でないといけないもんね。 そんな事を思っていると、皆から挨拶が返ってくる。
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