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名無しで叶える物語(たこやき)
名無しで叶える物語(たこやき)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
安価で自分や誰かが絵を描くスレ

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愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
632 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:22:37.22 ID:nCQQorDn
──────

────

──同時刻 カラオケボックス

歩夢「えへへ、二人でカラオケって初めてだね、せつ菜ちゃん」

せつ菜「はい! でも嬉しいです、歩夢さんから誘ってもらえるなんて……!」ペカー

歩夢「うん。私、せつ菜ちゃんとカラオケ行きたいなぁってずっと思ってて。せつ菜ちゃんの歌声、すごく力を貰えるから……」

せつ菜「嬉しいですっ! スクールアイドル優木せつ菜、至上の喜びですよ!!」

歩夢「えへへ……それに、せつ菜ちゃんと二人っきりでおしゃべりしたいなぁって、思うこともあったし……」

せつ菜「私と二人……ですか? それは、どういう……?」

歩夢(私は本当に、こういうことは不得手で。いつも侑ちゃんの陰に隠れて……この前も、せつ菜ちゃんに背中を押してもらえなかったら、ずっと……)ギュッ

せつ菜「あの、歩夢さん……?」

歩夢「せつ菜ちゃん。私に……何か隠してるよね?」

歩夢(後戻りはできない。でも、これは私が気付いたことだから。私が今度はせつ菜ちゃんを)

せつ菜「隠し事……ですか? いえいえ、隠し事なんて、ましてや歩夢さんに何かを──」

歩夢「しっ、栞子ちゃんの、こと」

歩夢(から回ってちょっと噛んだ……)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
633 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:27:31.95 ID:nCQQorDn
せつ菜「栞子さんのこと……ですか? ええと、それはどういう……?」キョトン

歩夢(うう、やっぱりはぐらかされちゃう……せつ菜ちゃんは私なんかよりよっぽど人付き合いが出来るから、私の攻め方じゃ絶対にしらを切られる……それでも……)

歩夢「……せつ菜ちゃん……私に嘘なんて吐かないで……」

せつ菜「あ、歩夢さん!? そんな、私、嘘なんて……」アセアセ

歩夢「でも私、見たんだよ……? せつ菜ちゃんの顔、すごく強張ってるところ……栞子ちゃんを見た時に……」

せつ菜「!! な、んで……」

歩夢(真っ直ぐにぶつかるしかない……! ぶつかって、ぶつかってぶつかって、砕けてもぶつかる!)

歩夢「その……ね? 栞子ちゃんが部屋に入った瞬間、すごく、無理矢理笑顔を浮かべたような気がしたから……」

せつ菜「な……そんな……ことは……」

歩夢「ううん。私もわかるよ。侑ちゃんが自分の夢を見つけた時も、私、すごく無理に笑顔を浮かべようとしてたから……せつ菜ちゃんのこと、わかるの」

せつ菜「……」

歩夢「せつ菜ちゃん。本当の気持ちを、私に教えて……? 今の辛そうなせつ菜ちゃんを私、見てられないから……」

せつ菜「……」

歩夢「せつ菜ちゃん……!」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
634 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:31:40.54 ID:nCQQorDn
せつ菜「……本当は再選挙で負けたことも、納得できてないんです」

歩夢「……!」

せつ菜「確かに私は副会長たちに任せて、生徒会の事をおろそかにしていたかもしれません。けれど、手を抜いたなんてことは、一度も……」

せつ菜「それに生徒会長として、栞子さんのように明確な理念があったわけではありません。ですが……それで……それだけで……」

せつ菜「結局選挙では私は負けてしまいましたし、そこはもうどうあっても取り繕うことはできません。私が負けた。それはもう、一つの事実として呑み込めつつありました」

せつ菜「私の生徒会長をやる意味は、確かに私の一番大切なものを護るための道具だった、というのはある意味間違いではありません。しかし、もちろん手を抜いた記憶もないんです」

せつ菜「……ですが、最近の栞子さんを見ていると、とても、辛いんです。私……」

歩夢「つらい……そう、だよね。せつ菜ちゃんにとって、それって、辛いことだよね・……」

せつ菜「部活紹介の件は、本当に栞子さんに力を貸そうと思ったんです。だから副会長に呼びかけたんです。選挙に負けた事実も呑み込めつつあったから、です」

せつ菜「そうしたら、今度は……今まで憎んできたスクールアイドルを知るために、同好会に入る……。それって、あまりにも……あまりにも……」

歩夢「良いんだよ、せつ菜ちゃん。私しか聞いてないから。自分の思う言葉を、ぶつけて?」

せつ菜「……ムシが良すぎますよ、そんなの。愛さんの言葉が彼女に響き、彼女は過去の行いを悔いて自分から同好会にやってきた、それは褒められるべき行動かもしれませんが……」

せつ菜「今まで散々無駄だ無駄だと私の大好きを否定してきた彼女が、今までの事は間違っていたからスクールアイドルをやってみるなんて……」

せつ菜「私は、私には、身勝手にしか思えなくて……どうしても、彼女に上手く笑顔を浮かべることができないんです……」

歩夢「せつ菜ちゃんは……栞子ちゃんのこと、キライ?」

せつ菜「っ! そ、そんな、そんなことは……ただ……ただ……彼女とどう向き合えばいいのか、私の胸にくすぶるこの黒い感情をどうすればいいか、わからないんです……」

せつ菜「……軽蔑、しますよね……下級生にこんな、醜い感情を……」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
636 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:35:44.02 ID:nCQQorDn
私の目の前で、今にも消えていなくなってしまいそうなほどか細い女の子と、あの時私の背中を押して拳を差し出してくれた女の子は、やっぱり同じ女の子でした。

侑ちゃんや愛ちゃん、エマさんみたいに万人に笑顔を向けられる人なんてわずかで、私だってせつ菜ちゃんに嫉妬したことはずっと記憶に新しくて。

せつ菜ちゃんだって、その身に余る大きな野望を抱えて、万人の大好きを大切にしようとする人だけど。本当は、やっぱり私と同じ、人なんだって。

「せつ菜ちゃん」

そっと、私は肩を抱き寄せました。こつんと顔をせつ菜ちゃんの頭に寄せて、もう片方の手でせつ菜ちゃんの頭を撫でます。

私が出来得る限りの、優しい撫で方で。大丈夫だよって。私はせつ菜ちゃんの気持ち、全部受け止めるよって。

この地球に生きてる人みんなの大好きを護るという不可能に近い理想を抱え、叶えようとする人だって──やっぱり、私とおんなじヒトなんだって。

誰かを好きになるのが難しい時だって、絶対にあるんだって。

「私に教えてくれてありがとう。せつ菜ちゃんの気持ちが聞けて嬉しいよ」

「そんな、嘘です!」

私からばっと距離を取るせつ菜ちゃん。その両目は潤んでいて、私よりも小さなその体が、もっともっと小さく見えました。

こんなに小さな体で、それでも気丈に振舞っていた彼女を、私はどうしてもっと早く手を差し伸べられなかったんだろう。

「嘘じゃないよ。せつ菜ちゃん、私は侑ちゃんみたいに問題を解決したり、愛ちゃんみたいに状況を好転させることもできないけど……」

私に出来ることなんて、全然なくて。でも、辛い時に、貴女の気持ち、わかるよって。一緒に居てくれるに人がいることが……どれだけ心強いかは知っているから。
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
638 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:40:44.12 ID:nCQQorDn
「私、一緒に居るよ。せつ菜ちゃんが辛くて辛くて動けないとき、私は絶対にそこから離れたりしない」

「せつ菜ちゃんが苦しくて、悲しくて、もがいてももがいてもどうしようもない時も、私はその手を絶対に離したりしないよ」

「何もできない私だけど、優木せつ菜ちゃんを、中川菜々ちゃんのすべてを、抱きしめることはできるから」

「だから、せつ菜ちゃんの全部を私に教えて? 取り柄なんてない私だけど。せつ菜ちゃんの全部を世界中で誰より一番、肯定してみせるから」

上手い表現なんて見つかりませんでした。だから、私の気持ちをひたすら、せつ菜ちゃんみたいにまっすぐぶつけることにしました。

例えどれだけせつ菜ちゃんが真っ黒で苦しくて苦い思いを抱いていても。私が今ここに居るのは、きっとこのため。

せつ菜ちゃんに救われた私が、今度はせつ菜ちゃんを抱きしめる時。だから真っ直ぐに、ぶつかっていく。

せつ菜ちゃんが抱える光も闇も、全部受け止めて、またあの眩しい笑顔を取り戻すために。

「せつ菜ちゃんの大好きも、大嫌いも、楽しいも、悲しいも、嬉しいも、苦しいも、なにもかも。私に教えて?」

これから進んでいくせつ菜ちゃんの道は、きっと容易い道じゃないから。私に出来ることは、せつ菜ちゃんが疲れた時に自分を曝け出す場所として居続ける事。

「私はその全部を、大事にするから」

もう一度、せつ菜ちゃんを抱きしめる。今度は両腕で。私の胸に、せつ菜ちゃん顔を寄せる。今度はどれだけの力で逃げようとしても、絶対に離さないと。

強く強く、抱きしめました。あなたの味方だよっていう気持ちと一緒に。強く、強く。

「あ……ぅ……あ、ゆむ、さん……わたし……わたし……悔しいです……っ! 悔しいし、むかつくし、どうしようもなくて……!」

「でも、あの子だって悪い人じゃないってわかるから! だからよけいに、つらくて! 誰にもこんなの言えなくて!!」

「わたし、こんなっ──こんなのっ、すごくみじめでっ……ぅ、ぅあ……ぅああああああああっ!!!」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
643 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:45:04.33 ID:nCQQorDn
──────

歩夢「せつ菜ちゃん……落ち着いた?」

せつ菜「……」コクン

歩夢「ちょっとお水飲もっか。何か淹れて──」クイッ

せつ菜「ここに、居てください……」キュッ

歩夢「……うん。居るよ、ここに」ニコ

せつ菜「……」

歩夢「……」ナデナデ

せつ菜「とても、楽に……なりました。無理な笑顔を浮かべていても、本当の私の今の気持ちを知っていてくれる人が居てくれるって、わかったので」グスッ

歩夢「……良かった。せつ菜ちゃんの力になれて」

せつ菜「正直なところは……その。まだ私のこの感情をどうすればいいかわかりません。でも、歩夢さんという私の気持ちを知ってくれている人が居るだけで、私……とても、気が楽になりました」

歩夢「……せつ菜ちゃん、この事は……」

せつ菜「皆さんに話せばきっと理解してもらえるとは思います。ですが今の状況で場を乱したくはないんです。それに歩夢さんが居るだけで、私はもう十分です」

歩夢「──うん。分かったよ。せつ菜ちゃんが言うなら、私の胸の内に、秘めておくから。でも、いつでも話して? どんなに些細なことでも、私に全部話してくれればいいから……」

せつ菜「歩夢さん……ありがとうございます。私……私……!」グシグシ

歩夢「──せつ菜ちゃん、歌おう! カラオケなんだもん! 思い切り、好きなように歌おう! 今は全部忘れて、楽しいことを!」

せつ菜「はい……はいっ!!」ペカーッ
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
644 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:49:10.65 ID:nCQQorDn
──────

────

──翌日 虹ヶ咲学園 某教室

彼方「以上が昨日の事の顛末。やっぱり勘は当たってたねぇ」

果林「あぁ……当たって欲しくない勘は当たるのよねぇ……」

エマ「果林ちゃん! はやく栞子ちゃんに話を聞いていじめなんて止めさせないとだめだよ!」

果林「エマ、憤る気持ちもわかるけど……直接本人に聞いてもまともには教えてくれないと思うわ」

エマ「どうして……? 栞子ちゃん、きっと辛くて、誰にも言えないはずなのに……私たちから聞いてあげないと……!」

果林「彼女があれを虐めとして認識していない限り、絶対に認めないでしょうね」

エマ「え……? どうして!? お弁当も、教科書も、体操服も、リボンも! 盗まれたり隠されたりして、それがいじめじゃないって、どういうこと……?」

彼方「……例えばだけど……栞子ちゃんが内罰的な子だとしたら、どうする?」

エマ「内罰的……自分を責めちゃう子って事?」

果林「物の例えよ。普通の子があんなに嫌がらせを受けて、夜も眠れないほど追い込まれて……それでもあそこまで気丈に振舞える?」

彼方「栞子ちゃん自体もともととてもストレスに強い子かもしれないけれど……それ以上に今の状況が正しいと思っているんじゃないかな」

エマ「そんなのあり得ないよ! いじめられることが正しいだなんて!!」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
646 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:53:55.59 ID:nCQQorDn
果林「あの子の場合、現状自分の今までの行いを悔いている節がたくさんあるでしょう? つまり自分の今までの行いを悪だと思っているの」

彼方「だから虐められても仕方ない、これは耐えるべきこと……そう思ってしまえば、栞子ちゃんはどんどんそれを受けれいれちゃうって話だねぇ」

エマ「そんな……」

果林「あの子の人を不幸にさせない、悲しい思いをさせない……そういう願いの部分が強い分、あの子が人を不幸に、悲しい思いをさせていた原因だったと分かった分……」

果林「より自分を責めるんじゃないかしら」

エマ「……じゃあこのまま何もせずに……?」

彼方「いーや? 彼方ちゃん達も手ぶらで待つだけじゃないよ。手掛かりはあるよ〜。エマちゃんは覚えてる? 愛ちゃんが口止めしたのに漏れちゃったって話」

エマ「……生徒会再々選挙? そう言えばそういう話も……でもそれがどういう……?」

果林「かすみちゃんは知ってるのよ。出所を。あの人気を誇る愛のお願いを裏切るリスクを冒してでも、栞子ちゃんに不利になる情報をばらした存在が、居るの」

彼方「かすみちゃんが聞いた子は、バレー部の子」

エマ「じゃあバレー部の子に一人ずつ聞いて回──」ダッ

彼方「ちょいちょいちょいちょい待った! そんな事したら余計怪しいから……一人頼りになる人材を呼んでおります!」ガッシィ

エマ「え……?」

ガチャ

演劇部部長「遅れてすまないね。話はラインで聞いていたよ。それで私はさり気なくバレー部のホシと思われる人に接触すればいいわけだ」

果林「言質は貰ってるから、助かるわ」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
647 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 21:58:00.29 ID:nCQQorDn
エマ「部長さん!」

部長「やあヴェルデさん。いや、確かに『もし何かあれば、微力ながら君たちDiverDivaに力を貸すよ』とは言ったけど……まさかこんな羽目になるとはね」

彼方「しずくちゃんを演じた時もすごかったから、今回も演技できるよ〜」

部長「演劇をこんな風に使うのは信念に反するのだけど……まあ、しずくがスランプになった時に『演じることもしずくらしさ』という道を見つける手伝いをしてくれた同好会の……高咲さんへの恩もあるし」

部長「ここは私も一枚噛ませてもらうよ。私も反三舟さん勢力を演じればいいわけだ」

彼方「部長さんは栞子ちゃんをフォローするポジションだったけど、内心はそうでもなかった、みたいなキャラでお願いしま〜す」

部長「まあ、やり方については任せておいてよ」ニコ

果林「正直回りくどい方法かなとは私も思うんだけど……栞子ちゃんを抱える私たち同好会があれこれ動くと、もしバレー部の誰かが本当に黒だった場合、余計に手が出しにくくなる可能性があるのよね」

部長「先生に相談する、という手はないのかな?」

彼方「それも考えたんだけど、栞子ちゃんが先生に『そういうことは全然ないです』でしらを切り通されると思ったのサ」

部長「確かに。彼女は頑固……いや失礼。生真面目で先生方からの信頼も厚いときている」

彼方「そういうわけで、ここは使えるならなんでも使おうというわけなのだよ」

部長「近江さん、噂に聞いてる人とは全然違うね……?」

果林「彼方は私以上にリアリストよ」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
648 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:02:06.51 ID:nCQQorDn
エマ「うー……本当はすぐにでもバレー部の人たちに聞いて回りたいよ……!」

果林「気持ちはわかるわ、エマ。貴女ならきっと今の状況を我慢できるタイプじゃないって事」

エマ「……栞子ちゃんの行いは恨まれることはあるかもしれないけど……じゃあ、虐めていい理由になるの? 恨みがあるから、この子は虐めていい、ってそうなるの……? 私はそうは思えないよ……」

彼方「容認するわけじゃないけど、人の心は複雑だからねぇ。虐めは悪いことだってわかってても、この子はこんなに悪いことをしたから、それ相応に悪いことが起きても仕方ない──」

彼方「そういう詭弁を免罪符にいじめをやる、なんてよくある話だよ〜。それを許せるかどうかは、全く別の問題だけど」

果林「彼方、つくづく貴女と私が同じ年数を生きて来たとは思えないんだけど」

彼方「ふふふ、本は人を豊かにするのだよ」

果林(さりげなく私が活字を一切読まないということをバカにしてきたわね?)

エマ「部長さん、どうか、どうか犯人を見つけてください! 教えてさえくれたら、あとは私たちが……!」

部長「エマさんの気持ちは痛いほど良く分るよ。だから私もきちんと自分のなすべきことをこなそう。私だってそれなりに正義感というものもあるからね」

部長「さてと。早速行動開始としようかな。明日明後日にはきっと結果をたたき出して見せるさ」スッ

エマ「よろしくお願いします!」

果林「あ、そうそう」

彼方「もし回し者だってことがバレても、当局は一切関与しないのでそのつもりでね〜」

部長「えっ」

エマ「えぇっ!? 駄目だよそんなの!」

果林「冗談よエマ」
彼方「彼方ちゃん達が仲間を見捨てるわけないじゃないかぁ〜」

部長(……なんだろう。あの時の言葉を取り消したくなってきたな……ハハ……)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
650 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:06:12.09 ID:nCQQorDn
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──金曜日 虹ヶ咲学園 講堂

愛「っと……まあ挨拶としてはこんなもんだと思うんだよね。長すぎるのは性に合わないし!」

璃奈「短くてわかりやすかった。良いと思う」

侑「私もこれで良いと思うよ。ライブの時間も考えると、挨拶はこんなものだと思う」

愛「後は愛さんに任せとけってなもんよ!」

侑「この愛ちゃんの絶対的安心感! 大船に乗っちゃった感じだね!」

璃奈「でも他の部活も自由に発表できるから気合が入ってる感じがする。璃奈ちゃんボード『わくわく』」

愛「まあ愛さんが話題をかっさらうからそのつもりでいてよね!」

璃奈「それは当たり前。愛さんならきっとできちゃう」

愛「うへへへ! 流石りなりー、よくわかってる!」

侑「バカップルめ……そういえば二人が付き合ってること、栞子ちゃんは知ってるの?」

愛「え? んーん、言ってないよ。あんまり言いふらすもんでもないしさ」

璃奈「できればご内密で」

侑「あはは、了解。まあそうだよね!」

「愛ちゃん! おーい! ちょっといいかなー!?」

愛「ん? あー! バレー部ぶちょ〜! どったの!? ちょっち行ってくる!」タッ
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
652 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:11:42.23 ID:nCQQorDn
侑「……璃奈ちゃん、ああいう人が彼女だと苦労するでしょ」

璃奈「でも、愛さんがああいう人じゃなかったら今ここに私はいないから。あの愛さんが、私の好きな愛さん」

璃奈「困ってる人を絶対に見捨てたりしない。どんな人にも平等に楽しいを振りまく人。そんな人が、私の気持ちに応えて、私だけを特別だって言ってくれる」

璃奈「だから、へいき」

侑「……青春、だねぇ……」

璃奈「侑さんも青春の真っただ中」

侑「いやこう、友情と恋慕と愛情が混じった関係が素敵だなぁって……」

璃奈「それを混ぜて青春と呼ぶのはどうかと思う……でも、気にかけてくれて嬉しい。ありがとう、侑さん」

侑「いやいや、単純に興味もあったからね!」ペッカー

璃奈「……そういうの、良くない」ジッ

侑「いいじゃんさり気なく惚気ちゃったんだからさ!」

璃奈「侑さん人が悪い……」

侑「あーほらほら、愛ちゃん戻ってくるよ」

璃奈「!」バッ

侑(そりゃこんなに可愛ければ愛ちゃんもぞっこんになるよねこりゃ……)ニマニマ
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
654 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:16:10.68 ID:nCQQorDn
愛「お待たせぃ!」ニカッ

侑「お帰り、何話してたの?」

愛「んー? お互い明日の部活紹介がんばろ! って話とかだよ?」

侑「私も各部の部長さんとはそれなりに面識があるつもりだけど……愛ちゃんのレベルは面識どころじゃないもんね……」

愛「まあバレー部にも助っ人で出てるしね。戦友に近いかも」

璃奈「戦友……なんかその響き、カッコイイ……!」

愛「でもりなりーとだって仲間でライバルだから、実質戦友だぞ?」

侑「同時に恋人だよね!」

璃奈「!」バシン

侑「あうっ、ボードは叩くものじゃないよね!?」

璃奈「これも感情表現の一種」

愛「一理あるね……」ウンウン

侑「そんなぁ!?」

愛「さてさて、リハはこんなもんにしておいて……カリンたちのところに戻ろうか」

璃奈「うん」

侑「なんだかちょっとドキドキするな……明日……楽しみだ……」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
656 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:20:29.32 ID:nCQQorDn
──────

────

──虹ヶ咲学園 スクールアイドル同好会部室

侑「じゃあ果林さん、最後戸締りだけお願いします! お疲れさまでした〜!」

果林「お疲れ様、侑。明日はよろしくね」

侑「こちらこそよろしくおねがいしまーっす!」バタン

果林「……ふぅ。これで皆行ったわね」

彼方「じゃあ部長さんに電話するねぇ」

エマ「……」ウズウズ

果林「エマ、気になる?」

エマ「ならないの!?」ガターッ

彼方「おぉう、エマちゃんどうどう。果報は寝て待てと言うじゃあないか」スヤピ……

エマ「……カホーは寝て待て……?」

果林「果報って確かいい知らせ、的な意味よね」

彼方「……果林ちゃん、偉いね……」パチクリ

果林(彼方をいつかぎゃふんと言わせたいわ……)

ガチャ
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
657 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:24:40.50 ID:nCQQorDn
エマ「来た!?」ガタッ

女生徒「あの……」

果林「え?」ポカーン
彼方「あり? えっと、キミは……誰かなぁ?」

女生徒「あの、わたし、朝香果林さんのファンで……」テレテレ

エマ「……」
彼方「……」

果林「……あら、私のファンだなんて……嬉しいわ。貴女のお名前、教えてくれるかしら?」カリィィィン

女生徒「あ、あの、わたしは──」バッ

エマ「!」
彼方「なんとぉ」
果林「貴女は!」

演劇部部長「演劇部部長さ。敵を騙した後は味方も、と言うだろう」

彼方「言うねぇ確かに」

果林「い、言うわね確かに」

エマ(あれ……? そんな言葉あったかなぁ?)

彼方「いや言わないから」
部長「いや言わないよ」

果林「……私もう帰って良い?」

部長「いや、すまない。つい揶揄ってしまった」

彼方「ごめんご〜」

エマ(やっぱり言わないよね……)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
658 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:29:06.48 ID:nCQQorDn
果林「で、どうだったの」ムッスー

部長「結果から言うとバレー部の数名が意図的にばらしたことは間違いなさそうだね。出所は完全にそこで、他部ではないみたいだ」

部長「どこにでもいるような生徒のフリをして部の子たちに聞いて回ったけど、やはり確かにそうらしい」

エマ「誰が、っていうのは解りましたか?」

部長「いや、残念ながら。そこまで聞こうとしても彼女たちも口を噤んでしまってね。箝口令が出ているみたいだ。どことの馬の骨とも知れない生徒には教えてくれなかったよ」

彼方「箝口令……言いふらすなって言えるって事は三年生だねぇ」

果林「一年、二年じゃ上級生にはそんなのできないもの。バレー部は結構上下関係厳しいし、尚更そういうのはあり得るかも」

部長「すまない。バレー部員の誰かが三船さんに嫌がらせ行為を行っているかどうかもわからなかった。ただ……」

エマ「ただ?」

部長「放課後の遅い時間に、三船さんのクラスの教室に生徒が数名居るのを見かけた子が数名いてね。全て違う日にだ。学年や何をしているかはわからなかった……という話だけど」

彼方「断定はできないけど、もっともっとに匂うねぇ」

果林「だけど誰が、を突き止めないと、手が出せないわ」

エマ「……うううっ、もどかしいよっ!」

彼方「私たちの友達に放課後とか見張ってもらう? あかりんとかくぼちゃん、まりちゃんとかなら手伝ってくれるかも……」

果林「……そこまで巻き込めないわ。歯痒いわね……」
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
660 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:33:20.42 ID:nCQQorDn
彼方「……下手な考え、休むに似たり。今日の進歩は進歩として、一度各自持って帰ろう。月曜日にもう一回話し合って……」

果林「そうね、彼方……。でも、それで何か名案があるといいのだけれど……」

エマ「……私はやっぱり、栞子ちゃんに話して欲しいよ……。こんなの、絶対に合っていいはずないんだもん……」

部長「……」


──────

────

──深夜 愛の部屋

愛(バレー部部長から聞いた、しおってぃーの入部テストや、初耳の再々選挙の話がバレー部から漏れた、という話)

愛(ぶちょーは副部長や数名の信用を置く三年生に当時の事を相談したみたいで、そこから誰かが漏らした……という話を受けた)

愛(正直アタシの口止めなんてあくまでお願いで、あの案に反発して相談する部があるというのはわからないでもない。けれど、今回の件は──)

愛(悪評を広める為に広めた、みたいな言い方だった。もちろんバレー部部長もしおってぃーを良く思っていない人だったけれど、それでも正々堂々とした人だ)

愛(じゃあ……バレー部の中に、しおってぃーに悪意を持って悪い噂を広めようとした人が居る……?)

愛「……待て」ガバッ

愛(ぼんやりとした考えに、突然焦点が定まった。数多くの僅かな違和感のピースが、カチカチとハマっていく)

愛(リボンの付け忘れ。体操服を失くして体育を見学。頻発する忘れ物。お弁当から学食に変えたこと。急に何かを隠した素振り。知らない生徒を見て異様に緊張する姿)

愛(自分を良く思わない人間が居て当然という態度。浮かない顔で何かを探し回るように校内を歩き回る、しおってぃーの姿)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
661 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:37:34.07 ID:nCQQorDn
愛(これじゃあまるで、しおってぃーが誰かに虐められてるみたいで──)

愛(全身から汗が噴き出した。それも相当不愉快なヤツ)

愛「ッ!」バッ

愛(しおってぃー! しおってぃーに聞かなきゃ! しおってぃーに聞いて……)

愛「……なんて聞くんだ、アタシ。しおってぃー、虐められてるの? なんて聞くのか?」

愛「……いくらしおってぃーが恨みを買ったからって、いじめなんて……そんなの、あるわけ……」スッ スッ

愛(アタシの思い過ごしだ。急にそんなことを考えても、これは何の証拠もないこじつけかもしれない、妄想の域だ)スッ スッ

愛(……駄目だ。指が止められない。しおってぃー、出てくれ。アタシのバカな妄想なら、それでいいんだ)ピッ ピリリリリリリ

愛「……しおってぃー……」ピリリリリリリ

愛「……」ピリリリリリリ ピー

愛「……」ピッ

愛「出ない、か……」ポイッ ボスッ

愛(スマホをベッドに投げ捨て、アタシもベッドに寝転ぶ。駄目だ、考えがまとまらない。明日に備えて早く寝たいのに。しおってぃーの事が気になって仕方がない)

愛「くそ……っ」

愛(明日、何とかしてしおってぃーに聞かなきゃだ……!)
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
664 :名無しで叶える物語(たこやき)[]:2021/01/19(火) 22:41:51.20 ID:nCQQorDn
つづく
安価で自分や誰かが絵を描くスレ
35 :名無しで叶える物語(たこやき)[sage]:2021/01/19(火) 23:19:01.40 ID:nCQQorDn
ちょっと前の絵だけど援護射撃
https://imgur.com/es9cZtt.jpg
このスレは是非盛り上がって欲しい
安価で自分や誰かが絵を描くスレ
37 :名無しで叶える物語(たこやき)[sage]:2021/01/19(火) 23:22:34.27 ID:nCQQorDn
>>35
虹ヶ咲・短期集中連載!!!「『私のお菓子食べたの誰』〜璃奈ガチギレ、同好会壊滅の危機!?編〜」【犯人は中須かすみ】
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1606199936/

元ネタ忘れてた


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