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名無しで叶える物語(もんじゃ)
テニスの王女様

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テニスの王女様
468 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:26:46.55 ID:NNuVcXWD
このゲームは花陽と凛もサーブを無理に返そうとせず様子を見るようにしてゲームを落とす

果南「こんなに楽させてもらっていいのー?」

梨子「果南さん、ナイスサーブ」

果南「一年生なのに随分冷静なダブルスだね、私のサービスゲームは割り切られちゃってる」

梨子「私の動きもしっかり見られてて……」

果南「長引かせるよりも一気にやっちゃおうか」

梨子「でもダブルスだと……」

果南「ま、3両目までくらいで十分でしょ」

花陽(切り替えて……、攻めます!)

花陽のサーブを果南が難なく返すと凛がネット際でボールを返す

梨子「果南さん!」

果南「任せて!」

果南が両手でのショットを打つ

凛「来た来た!」

凛はボールを取ろうとせずに後衛の花陽に任せる

花陽(ダイレクトに取らずに、バウンドさせる、それなら私でもまだコントロールして返せる)

花陽はボールを拾うと相手コートを確認して梨子の方向へと返す

梨子「くっ」

梨子はそれを返すも凛が待ち構えてたように鋭いボレーで打ち返しポイントが入る

「15-0」
テニスの王女様
469 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:27:44.69 ID:NNuVcXWD
果南「やっぱりそう来るかー」

海未「彼女のHAPPY PARTY TRAINはラリーの中で徐々に威力が上がっていく技のはず」

ことり「ダブルスなら続けて打たせないようにすればなんとかなるんだね」

果南「ま、それならそれで使うのやーめた」

花陽「え?」

凛「え?」

鞠莉「果南のあれはシングルスで力のあるプレイヤーに対しての技だし、……あとはノリで使った技だから


花陽(ノリ……?)

果南にボールが向かうと果南は片手のフォアハンドから思い切りラケットを振り抜く

果南「りゃっ!」

凛「いっ!?っ!!」

ダイレクトに前衛でボールを受けた凛はラケットを弾かれてしまう

果南「まあこれでいいんだけどさ」

果南は満足そうに笑う

ダイヤ「そもそもとして果南さんに余計な技みたいなものは不要ですわ、パワー、フットワークが突出してますので」

鞠莉「まあ、私たちがいろいろショットあるのにつまらないっていう子供っぽい理由で作ったのがHAPPY PARTY TRAINだから」

ルビィ「え……」

ダイヤ「もちろん意味はありますのよ?果南さんと同格以上のパワーを持つ相手にはシングルスにおいて大変有効です」

曜「聞けば聞くほど使う場面がなさそう……」
テニスの王女様
470 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:28:25.51 ID:NNuVcXWD
花陽「凛ちゃん!とりあえず対策その2は使えそうだからそっちで!」

凛「わ、わかったにゃ!」

花陽と凛は果南にフォアで取らせないようにボールを集める

果南「そうそう、でもさ、あんまり私にばっかり集中してると」

梨子がボールをカットするが、緩やかなチャンスボールが花陽の元へ行き、花陽はそれを思い切り打ち返す

梨子「Trap in Heart」

梨子は花陽のトップスピンをかけたボールに対してラケット面を使いスライス回転をかけて打ち返す

花陽「えっ!?」

ボールはコート手前に沈むとそのまま弾むことなくコート面をスピードをあげて転がっていく

果南「ほらね」

花陽「注意するの忘れてた……」

凛「ドンマイにゃ!でも……聞いてた以上なような……」

絵里「ほとんど浮き上がらなくなってるわね、あのボール……」

希「うーん、やっぱり浦の星でだいぶ成長したね」

にこ「元々すごかったわよ、穂乃果やことりがいたから目立たなかったのと、本人もあまり試合したがらなかったけど」

絵里「良かったわね、浦の星に行って」
テニスの王女様
471 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:29:01.31 ID:NNuVcXWD
凛「もう!それよりも凛たちを応援してよー!」

絵里「あ、ごめんなさい、つい」

千歌「順調だね!」

ルビィ「ううん、油断すると……」

花陽「そこですっ」

花陽がラケットをコートにカラカラと音を立てて擦らせる

梨子「あれは……果南さん!」

果南「ムーンボレーだね!下がるよ!」

果南と梨子はムーンボレーを予測して後方へと下がる

花陽はラケットを振り上げるとボールは高く上がるも鋭くカーブを描き相手コート前方へと落ちる

花陽「クレセントムーンボレー」

にこ「応援なくてもなんとかしちゃうでしょ、あんたたち二人なら」
テニスの王女様
472 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:30:09.46 ID:NNuVcXWD
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凛「星空バズーカー!!」

凛が叫びながらボールに飛び込みジャンプとダッシュの威力を乗せたボールを相手コートに叩き込む

果南「っと!」

梨子も果南も予想外のスピードのボールに追いつくことが出来ない

果南「んー、あれはちょっと無理かな」

梨子「あの角度ならNightでも返せたかも……」

それぞれサービスゲームもキープしながら試合は終盤に差し掛かる

「ゲーム小泉星空ペア、4-4」

果南「攻めきれないね」

梨子「ダブルスのコンビネーションが厄介すぎる……」

果南「前衛が動き回って、急に後衛が現れてボレーで決められる」

梨子「……もう終盤……」

果南「ま、私のサービスは確実にキープしちゃおうか」

凛「ここで攻めないと」

花陽「ダメだね」

凛と花陽は顔を見合わせるとラケットを重ね合わせてそれぞれ位置につく
テニスの王女様
473 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:31:42.74 ID:NNuVcXWD
果南「さてーと!」

勢いよく果南がサーブを打つと花陽がブレないように両手で返す

梨子「返せてるけど勢いがない」

梨子がボールを返球しようと構える

凛「よーい……ドンッ!」

凛が駆け出すようなポーズを取ると前衛で凛が高速で移動する

梨子「えっ!?」

梨子はボールを返そうとするも凛が前衛をすべてカバーするように動く

梨子(ど、どっちに……)

梨子はなるべく角度をつけてボールを返すも凛は追いついてより角度をつけたボールを返しポイントを奪う

凛「ふぅ……」

果南「いやいや、それ分身しちゃってない……?」

梨子「気のせいです!た、多分残像とかそういう……」



歩夢「残像出来るほど速く人間って動けるんだっけ……?」

侑「ま、まあ、ここからだとそうは見えないけど実際にコートで対面してるとそう見えるのかも……?」

愛「私も出来るかなー!」

璃奈「愛さんは身長も高いから難しいかも」
テニスの王女様
474 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:33:47.69 ID:NNuVcXWD
曜「ちょっとあれは……」

花丸「速すぎ……」

ダイヤ「確かに速いですが、ずっとあのスピードなど出来るはずがありませんわ」

凛(……それは正解)

花陽(一時的に横への反復移動が速くなるけど、持続は出来ないし、動き出しまでに少し時間がかかる……)

凛「でもやるしかないにゃ!」

凛は再び前衛に出ると身体を低くして構える

凛(さん、にー、いち……)

凛が前衛すべてをカバーするように左右へと動く

果南「やっぱり分身してるってー!」

穂乃果「おー!恋のシグナルRin rin rin!」

海未「……なんですか?それは?」

穂乃果「凛ちゃんがね、あれの名前悩んでたから一緒に決めたの」

海未「ちょっと恥ずかしくないですか……?」

希(ラブアローシュートはええんかな……)
テニスの王女様
475 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:52:11.13 ID:NNuVcXWD
果南(なんだろうがここは落とせない!!)

果南「梨子ちゃん!私が!」

梨子は果南の声に反応するとボールを取るのをやめる

果南「分身してても蹴散らす!」

果南はフォアハンドでラケットを振り抜く

凛「にゃ!」

勢いよく凛に向かってボールが飛ぶが凛はすでにそこにはおらずボールは後衛に向かう

果南「やばっ」

コートにバウンドして勢いが弱まったボールを花陽が拾い上げる

梨子「見失ってたっ!」

果南と梨子が認識出来ていなかった花陽は二人の隙を狙うようにムーンボレーでポイントを奪う

凛「かよちんナイス!」

花陽「これでブレークポイントっ」

果南「……」

梨子「果南さん?」

果南「ダメだ、私が足を引っ張ってる」

梨子「そんなこと!」

果南「パワー勝負してもあの二人のスピードとテクニックにやられちゃう」

梨子「……じゃあ」

果南「パワー捨てる、私は勝たなきゃいけないっ」

∬(_c||^ヮ^||果南−パワー=
テニスの王女様
476 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:53:09.08 ID:NNuVcXWD
花陽(ブレークポイント、ここを決めれば……)

果南のサーブ、花陽はしっかりと身構えるもボールはパワーはなく正確にラインギリギリを狙う

花陽「えっ!?」

花陽は慌ててボールを拾うもボールが浮いてしまいチャンスボールになる

凛「スマッシュ来るにゃ!」

花陽「凛ちゃん下がろう!」

果南がダッシュをしてジャンプするスマッシュを打つ体勢から凛と花陽の位置を見る

果南(そんなに下がっていいのかなん?)

果南は空中で体勢を変えてボールを掬い上げるように優しく浮かす

凛「ドロップ!?」

気付いた時にはボールはコートに落ち、転々と転がる

ことり「フェイント……」

絵里「身体のバランスが良くないとあんな動きは……」

ダイヤ「まったく、果南さんを単なるパワープレーヤーと思ってるからこうなるんですわ」

花丸「違うずら!?」

善子「違うの!?」

ダイヤ「あなた方は後で果南さんに怒られなさい……」
テニスの王女様
477 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:54:51.20 ID:NNuVcXWD
鞠莉「そりゃパワーはすごいけど、フットワークもテクニックも基本的には万能選手だよ」

千歌「果南ちゃんは昔はああいうテニスだったよ」

梨子「果南さん、任せます!」

果南「オッケー!」

果南がボールをフォアで打つ構えを取る

凛「来るっ!」

凛はボールを避けて後衛の花陽に任せようとする

果南「せーの!」

果南は思い切りラケットを振り抜くもボールに当たるタイミングでブレーキをかける

花陽「またフェイント!」

花陽が慌てて前に出てボールを拾うとすぐに凛と花陽の間を勢いのあるボールがすり抜ける

凛「っ!?」

相手コートを見ると果南がラケットを振り抜いた姿勢で立っている

にこ「フェイントとの違いが打つ瞬間までまったくわからないか……」

絵里「緩急の使い方も上手いわね」
テニスの王女様
478 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:55:28.55 ID:NNuVcXWD
凛と花陽は果南の緩急に翻弄され始める

花陽「攻めるタイミングが……」

果南「梨子ちゃん、合わせてねー」

梨子「は、はいっ」

梨子も果南のリズムに合わせるように緩急を使い分ける

凛(攻めるタイミングが……)

花陽(ここは私が先に……!)

花陽がムーンボレーを仕掛けるも果南に見透かされてしまいスマッシュで返される

果南「先手で攻めるタイプじゃないのに無理しちゃダメだよ?」

「ゲーム松浦桜内ペア、5-4」

ダイヤ「あれが果南さんの夏色メロディーですわ」

曜「果南ちゃんの独特のリズムだよね」

千歌「私や曜ちゃんはなんとなくわかるからいつ攻めてくるかわかっちゃうけどね」

善子「そういえばあの二人ダブルスの練習って言ってずっと音楽聴きながら練習してたけど」

花丸「このために?」

果南「梨子ちゃんがリズム感良くて助かったよ」

梨子「まさかあの練習が役に立つなんて……」

凛「このままだと流される……」

花陽「……凛ちゃん、次キープしたら、賭けに出よう」

凛「賭け?」
テニスの王女様
479 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:56:25.08 ID:NNuVcXWD
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続くゲームは花陽と凛がなんとかキープする

「ゲーム小泉星空ペア、5-5」

花陽「よし……」

凛「じゃあ作戦いくにゃ!」

果南「何かしてくるよ」

梨子「私も攻める!」

梨子がサーブを打ち花陽がリターンを返すと梨子と果南は目を疑う

果南「っ、飛ばしすぎじゃない!?」

凛が高速で移動してコート前面を駆け回っている

梨子「そんなに長くは使えないはずっ!」

果南「うん、ゆっくり攻めよう!」

果南と梨子は焦ることなくボールを返すも凛はどの方向にボールが飛んでも素早く返球する

果南(いつまで動けるの!?)

梨子(こっちがリズムを狂わされる……)

最後は凛が強烈なボレーでポイントを奪う

凛「やっと取れたにゃ……」

果南「ちょっとちょっと……、ラリー中ずっとそれじゃバテちゃうんじゃないの?」

凛「……」

凛は果南の言葉に不敵に笑みを浮かべる

果南「生意気ぃ……」

梨子「か、果南さん、落ち着いて」

果南(大丈夫、必ずバテるはず……)

果南の考えは裏切られこのゲーム中、凛はずっとシグナル状態を維持してボールを後ろに行かせることなく守り続ける

梨子「っ!」

我慢できずに梨子がロブを上げるも凛は飛び上がってボールを拾う

果南「そんな体力どこにあるの!?」

「ゲーム小泉星空ペア、5-6」
テニスの王女様
480 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:58:10.91 ID:NNuVcXWD
希「ここでブレーク出来た!」

ことり「でも、凛ちゃんが……」

凛は明らかに身体がふらつき脚を抑えている

梨子(あれだけ無茶な動きだもの、そうなるはず……)

果南(サーブは打てるだろうけどあれじゃ……)

花陽「凛ちゃん、あとは任せて」

凛がサーブの体勢に入ると花陽はコート中央に構えて姿勢を低くする

果南「まさか……」

梨子「一人で……」

凛はサーブだけ打つとその場に止まり動かない

全方位をカバーするように花陽がボールを拾う

果南「ここに来て無茶苦茶なダブルスを!」

花陽は果南の強烈なフォアハンドにも負けることなくボールを返す

梨子「それも返すならっ!」

花陽のボールを梨子が拾い逆回転をかける

梨子「Trap in Heart」

梨子がショットを打つと花陽は即座にネット際にダッシュしてボールがコートに落ちる前に拾う

果南「そんなに機敏だったっけ!?」

果南も梨子も花陽の動きに戸惑い始める
テニスの王女様
481 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2021/01/19(火) 23:59:24.51 ID:NNuVcXWD
ことり「孤独はheavenだよね……?」

希「パートナーな動かない時に実力以上を発揮するけど……」

にこ「このゲームすべて一人で行く気ね……」

花陽(このゲーム取れば勝ち、取られたら私も凛ちゃんももう動けないっ)

花陽がラケットを振り上げる

梨子「ムーンボレーっ」

果南「いや、あれは……」

ボールは高く円を描いて上がると急速に回転がかかり落下する

花陽「フルムーンボレー」

「15-0」

果南「それでこのまま行けるの……?」

梨子「こんなのダブルスじゃ……」

花陽「さっきのゲームは凛ちゃんが一人で、だから今回は私が一人で、これが私たちの新しいダブルスです……!」


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