トップページ > ラブライブ! > 2020年10月18日 > rXFdQwJA

書き込み順位&時間帯一覧

76 位/4466 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数000000000000000000000001919



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しで叶える物語(やわらか銀行)
ラブライブ!史上一番エロい衣装
内浦妖魔學園記

書き込みレス一覧

ラブライブ!史上一番エロい衣装
8 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:42:13.28 ID:rXFdQwJA
シャンシャワ
内浦妖魔學園記
1 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:45:59.92 ID:rXFdQwJA
CHAPTER0
『浦の星女学院の転入生』

 この物語の主人公の名前は桜内梨子。
 今日から浦の星女学院に通うことになった、高校2年生。
 しかし彼女には、もう一つの顔がある。
 それはーー

梨子「桜内梨子です。仕事の関係で色々な所を回っていますが、ここでも素敵な出会いがあればいいなと思います。皆さん、よろしくお願いします」

 自己紹介を済ませ、深々と頭を下げる。
 ここでいう『仕事』とは、親の仕事ではなく。
 彼女自身の生業を指している。

千歌「私、高海千歌! よろしくね♪」

曜「渡辺曜だよ。全速前進、ヨーソロー!」

 クラスメイトの高海千歌と渡辺曜。
 気さくな二人に学院内を案内してもらい、一緒にお昼を食べて。

千歌「最近ね? この内浦で怪しい影を見た人がいるんだって」

梨子「怪しい影?」

曜「知ってる知ってる! 水泳の先輩が話してた! 確か着ぐるみみたいに大きいんだよね?」

千歌「そうなの? でもこの辺で着ぐるみって言ったらうちっちーだよね?」

曜「あたし、この前バイトで中に入った事あるよ」

梨子「うちっちー?」

 地元のゆるキャラの噂話などで盛り上がって。
 学校が終わり、二人と別れて。

梨子「ふぅ……行こう」
内浦妖魔學園記
2 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:47:25.79 ID:rXFdQwJA
 夜の内浦の街を、彼女は駆け抜けていく。
 風が、不安を煽るようにざわつく。
 そのざわつきも、もう慣れてしまっていた。

梨子「よし。着いた」

 そこは、今日から通い始めた場所。
 浦の星女学院。
 既に調査報告を受けていた、校舎裏の山へと入っていく。

梨子「確か、この辺りに反応があったはず……」

聞き覚えのある少女の声
「何してんの?」

梨子「!?」

 突然話し掛けられて、梨子は思わず身構えた。
 そこにいたのは、千歌ちゃんーー高海千歌だった。
 いつからそこにいたのか。
 探す事に夢中で、尾行されている事に気付かなかった。
 完全に、梨子のミス。

千歌「なんか、凄い装備してるけど……何か探してるの?」

梨子「えっと、これはーーきゃあ!?」

千歌「うわわわわっ!? じ、地震!?」

 どう説明すればいいのか。そう思った矢先に起きた地震。
 少しの間とはいえ、立つことすらままならない程の大きな揺れ。
 完全に治まったのを確認してから、辺りを見回す。

千歌「うわっ!? 何アレ!?」

 千歌が叫ぶ声で振り向くと、そこには大きな裂け目が。
 奥深くまで続く、入り口が姿を見せていた。

梨子「これって……!」
内浦妖魔學園記
3 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:48:03.92 ID:rXFdQwJA
 恐らくこれが、梨子が探していた物だ。
 周囲の木の中から、一番太くて丈夫な幹にロープを括り付けて、ゆっくりと降りていく。
 何があるか分からないが、何かがある。
 期待を込めて降り立った場所には。
 広い空間。照明によって視界に入ってきたのは、間違い無く遺跡だった。

梨子「ここね。調査対象は……」

千歌「ひゃわぁっ!? あいてっ!」

梨子「え、ち、千歌ちゃん!?」

 素っ頓狂な声と共に、お尻で着地した千歌。

梨子(完全に存在を忘れていた……!)

 どうしよう、と再び閉口した。
 本来なら誰にも秘密にしなければならないはずなのに。
 遺跡の存在まで知られてしまうとは。

千歌「あいたたた……うわ〜、凄いねここ! 私全然知らなかったよ!」

梨子「……」

千歌「梨子ちゃん梨子ちゃん! 梨子ちゃんって何者なの!? なんかロープ結ぶのも早いしスルスル降りてくし!」

 しかし、これはもう。
 隠す事は不可能だろう。

梨子「千歌ちゃん、よく聞いてね?」

千歌「うん」

梨子「私、実はーートレジャーハンターなの」

 これは【ロゼッタ協会】に所属するトレジャーハンター、桜内梨子の。
 内浦の遺跡を巡る物語だ。
内浦妖魔學園記
4 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:49:11.69 ID:rXFdQwJA
CHAPTER1
『事実は小説よりも奇なり』

曜「ねぇ梨子ちゃん。梨子ちゃんって、トレジャーハンターなんだって?」

 朝のホームルームの、開口一番。
 隣の席からの声に、桜内梨子はずっこける事になった。

梨子「な、な、なんで……!?」

曜「いや〜、千歌ちゃんが朝からな〜んか言いたくて言いたくてたまらないって顔してたからさ。あ、モチロン誰にも言わないよ? ただぁ、アタシも連れてって欲しいなー、なんて」

 昨夜、自身の正体を千歌に明かした後。
 誰にも言わないようにと釘を差したにも関わらず、この始末である。
 本人は現在、眠っていた所を教師に叱られていた。
 そして今、梨子に睨め付けられている。

梨子「千〜歌〜ちゃ〜ん?」

千歌「ご、ごめんごめん。どうしても曜ちゃんには話したくて、つい……」

 まぁ、知られてしまったものはしょうがない。いや、よくないが。
 心の中でそう独りごちた後の、昼休み。
 梨子は一人、遺跡の情報を調べる為に図書室を訪れた。
 図書委員の子に、地元の歴史に関する書物がどこにあるか尋ねる。

おっとりした図書委員
「それなら、一番奥の隅っこになります」

梨子「ありがとうございます」

おっとりした図書委員
「いえ、これがオラの仕事なので」

梨子「おら?」

おっとりした図書委員
「はうっ!?」

 梨子が聞き返すと、頭を抱え出す。

梨子(ひょっとして、地元訛りが出たのを気にしているのかな?)
内浦妖魔學園記
5 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:49:42.44 ID:rXFdQwJA
オドオドした少女
「花丸ちゃん。あ、あの……」

おっとりした図書委員
「ルビィちゃん? どうかしたの?」

 髪を左右に結わえた小柄な子が、図書委員に話し掛けた。
 図書委員は花丸、という名前らしい。
 そして小柄な子は……梨子の聞き間違いでなければルビィという名前のよう。
 ルビィは梨子をジッと見て、酷く怯えているようだ。
 困った顔に見えたのか、花丸が梨子に向かって話し掛ける。

花丸「すみません。ルビィちゃん、人見知りなので」

ルビィ「ご、ごめんなさい……」

 何も悪い事はしていないのに、謝られてしまった。
 梨子はいえいえ、とだけ言って目的の書物を読むことにした。
 この内浦には豊穣をもたらす土地神ーー水神様がいるらしく。
 あらゆる災厄、特に水難事故から人々を救ったとされている。
 しかし一度、その神の怒りにより壊滅の危機に瀕した事もあるとか。
 そのため毎年夏は、海で祭りが行われているようだ。
 海の神様を奉り、鎮める為。

ルビィ「………………………」

花丸「ルビィちゃん?」
内浦妖魔學園記
6 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:50:21.25 ID:rXFdQwJA
 夜。千歌と曜の二人を引き連れて遺跡へと向かう。
 しかし二人はちょっと出掛けるような感覚でいる為、改めて忠告する事にした。

梨子「二人とも。悪いけど、この先は命に関わるの。本当に危険なのよ?」

千歌「大丈夫! ほら、ボールいっぱい持ってきたし!」

曜「アタシはバット! 体力にも自信があるよ!」

梨子「……命を、落とすかもしれないの」

 梨子は本気で、二人に告げた。
 保障が無い事を。誰にも知られずに、終わりを迎える可能性を。

梨子「私は二人の命を守れるほど強くないし、責任を負えないの。だから……」

千歌「そんな場所に、一人で行こうとしてるんだよね?」

梨子「え、ええ。それが私の仕事だから」

千歌「ダメだよ」

 それは梨子自身の言葉よりも、強く、強く響いた。

千歌「誰にも知られずに死んじゃうなんて、辛いよ? 悲しいよ? でも、それを当たり前にするなんてもっと悲しいよ。危険だからこそ、誰かがいないとダメなんだよ」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「私は梨子ちゃんと知り合えて、本当に嬉しかった。だから、梨子ちゃんの事を見て見ぬふりなんて出来ないよ」

 その言葉に、千歌を見た。
 彼女の瞳は、逸らしたくなる位に真っ直ぐ向いている。

千歌「必ず一緒に、生きて戻る。それを一番に考えようよ」

曜「そうだね。アタシもそう思うよ」

 二人を見ると、全員で頷いた。
 覚悟は、二人とも。
 とっくに出来ていたのだ。
 行こう。遺跡へ。この内浦の秘宝を見つけ出すために。
内浦妖魔學園記
7 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:50:59.04 ID:rXFdQwJA
 決意を新たに、梨子達は遺跡探索を開始した。

曜「おお〜……壮観だなぁ」

千歌「凄いよね〜……」

 降りてから、のんきに辺りを見回す二人を尻目に、扉を調べていく。
 全部で四つ。一つだけが、入る事が出来る。

梨子「行くわよ、二人とも」

千歌「うん!」

曜「了解であります!」

 扉の先の細い通路を抜けると、大きな男性の像が立つ開けた場所に出た。
 おそらく、この像が水神様なのだろう。
 部屋の四隅には、像より小さな。
 胸の辺りまでの高さの台が設けられている。

千歌「なんだろこれ?」

梨子「不用意に触らないでね? 何が起こるか分からないから」

曜「取り敢えず調べてみようよ」

 四隅の台は、何かを置く為の窪みがある。
 真ん中の像は恐らく、この地を守る神様だろう。
 腰の辺りに、丸い玉が三つ。
 四つの台に、窪みに入りそうな3つの玉。

曜「どっかに隠れてるのかな?」

梨子「四つから選んで置く可能性もあるわね」

千歌「取り敢えず取ってみようよ」

 ぽんぽんぽんと、玉を取り出す千歌。
 すると突然、左右の壁が崩れ出し。
 魚人を思わせる謎の化け物が姿を現した。
内浦妖魔學園記
8 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:51:33.01 ID:rXFdQwJA
曜「うわわ!? なにあれ!?」

千歌「魚!? なんかブルブルしてるよ!?」

梨子「二人とも下がって!」

 慌てふためく二人を他所に、梨子は装備していた武器を構える。
 相手は三体。落ち着いて、各個撃破すればいい。
 装備はハンドガンと日本刀。弾は十二分にある。

梨子「フッ!」

 まずは一番近い一体にハンドガンを一発撃ち込む。
 げぎゃ、みたいな奇声をあげて怯む化け物。

千歌「きゃあ!?」

曜「ひやっ!?」

 突然の銃声で驚かせたが、今は気にしている場合ではない。
 身を翻して、二人に迫る化け物の一体へ刀を振るう。
 斬り上げた後も休まず、遠い敵に弾丸を。
 一発。二発。三発。四発。
 斬られた魚人は、液体になってドロドロに溶けてしまった。
 弾丸を浴びた異形も、同じ末路を辿る。

曜「梨子ちゃん!」

 後ろから迫ってきた最初の魚人に向かって、曜がバットを思い切り振り下ろした。
 嫌な感触だったのだろう。彼女の表情があからさまに険しくなる。
 グシャリと潰れて倒れ、化け物はやはり溶けてしまった。
 三体全て消えたのを見て、ようやく息を吐いた。

千歌「だ、大丈夫?」

梨子「ええ。平気……」

曜「なんだろ、あの化け物……」

 確かに、あんな化け物は梨子にとって想定外だ。
 命の危険は、あくまで遺跡の罠や、稀にだが同業者との対立による物を想定していた。
内浦妖魔學園記
9 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:52:05.70 ID:rXFdQwJA
千歌「あ、あの化け物が出てきたとこ! あれ同じ玉じゃない?」

 見ると確かに同じ物が転がっている。
 これで仕掛けを解除出来ると思いセットすると、軽く遺跡が揺れ出し、何かが開く音がした。
 恐らく、扉の鍵が解除されたのだろう。

曜「行こう!」

梨子「ええ」

 扉を開き、細い道の先に進んでいくと、今度は大きく開けた場所。

千歌「広ーい」

 千歌の声がエコーになるほどの広さ。

曜「凄いね。なんかでっかい化け物とか用に作ったみたいな」

梨子「それ、笑えないよ……」

 部屋の真ん中辺りまで来た所で。

舌足らずな声
「何か、御用ですか?」

 どこかで聞いた、舌足らずな声が響く。
内浦妖魔學園記
10 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:52:41.99 ID:rXFdQwJA
梨子「あなた、確か……」

ルビィ「黒澤ルビィ、です」

千歌「可愛い!」

曜「いや、そんな事言ってる場合じゃあ……」

 人見知りもどこへやら、ハキハキと三人に話し掛けてくる。

ルビィ「何しに、来たんですか?」

梨子「貴女こそ、こんな所に一人で何を」

ルビィ「答えて」

 強気な言葉に、思わず後ずさる。
 昼休みに見た姿からは想像出来ない、強硬な態度。
 協会から支給されたタブレットから、警告メッセージとアラームが鳴り響く。
 特殊な電磁波を感知し、持ち主に知らせる機能が教えてくれた。
 この子は、危険だ。

梨子「私達は、ここの調査に来たの」

ルビィ「ここは、余所者が入っていい場所じゃないんですーー消えて!」

 叫ぶと同時に、突風が梨子達を襲った。

梨子(なに、今の? ひょっとしてあの子が?)

 分からない。けれど、今はあの子を止めるのが先決。
内浦妖魔學園記
11 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:53:17.53 ID:rXFdQwJA
 銃を構える。威嚇。撃つ気はなく、直接当てるつもりはない。

千歌「り、梨子ちゃん!?」

ルビィ「わっ!!」

 咆哮。反射。衝撃波。
 構えていた銃が、衝撃を受けて吹っ飛ばされてしまう。

千歌「うそぉっ!?」

曜「ど、どうするの!?」

梨子「……」

 正直、これは予想しろという方が無理がある話。
 いくらなんでも、超常の力を使う人が出て来るなんて。
内浦妖魔學園記
12 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:53:53.00 ID:rXFdQwJA
おっとりした声
「ルビィ、ちゃん?」

 しかし、そこに。
 さらなる想定外の出来事が待ち受けていた。

ルビィ「は、花丸ちゃん?」

花丸「どういう事、ルビィちゃん? オラ、分からない事だらけずら」

 図書委員の花丸が現れたのだ。

花丸「ごめんなさい。三人の姿が見えたから付いてきたんです。ルビィちゃん、昼に貴女のこと、じっと見てたのが気になって」

梨子「そんな、いくら友達の為でも危険よ!」

花丸「でも! 最近のルビィちゃん、いつも何かに怯えてるみたいで……オラの事も避けてるみたいで」

ルビィ「そ、それは……それは!」

 花丸の登場に、今度はルビィが動揺している。
内浦妖魔學園記
13 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:54:34.80 ID:rXFdQwJA
ルビィ「守らなきゃ、いけないの。この街の、この内浦の神様を」

梨子「神様? 水神様の事?」

曜「守る……それって、小原家が行ってる土地開発の事?」

 今内浦で問題になっている、小原家による土地開発。
 現在内浦にリゾートホテルの建設が予定されているらしく。
 それを反対する地元住民との間で問題となっている。
 その地元住民の筆頭がーー黒澤家。

ルビィ「神様が怒ると、みんな不幸になる。だからルビィは、追い出さなきゃいけないんです!」

花丸「……本当に、そう思ってる?」

ルビィ「……止めて」

花丸「オラ知ってるよ。ルビィちゃんは、優しい子だって」

ルビィ「止めてよ……!」

花丸「何か事情があってやってるんだよね? 良かったらマルに話してーー」

ルビィ「やめてえええええええええ!!」

 放たれた、一際大きな声は。
 部屋全体に反響し、反復し、増幅し。
 花丸目掛けて襲いかかる。

梨子「危ない!」

花丸「ずら!?」

 梨子が咄嗟に飛び付いて庇う。
 その直後に、一箇所でぶつかり合った衝撃波が破裂し、空間を際限なく揺らす。

千歌「うわぁあぁあぁあぁっ!?」

曜「ひぃいいいっ!?」

 震える世界。
 しかし収まる前に、梨子は走り出した。
内浦妖魔學園記
14 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:55:18.40 ID:rXFdQwJA
梨子(あの子は衝撃波が出せても、その衝撃そのものは緩和できないはず!)

 大きく揺れているこの空間に、ルビィ自身も動く事が出来ないと判断しての特攻。
 そしてその予想は、当たっていた。

ルビィ「ピギィッ!?」

梨子「捕まえたわよ、ルビィさん」

 背後に回って腕を取り、動きを止める。
 これなら声による攻撃はされない。

梨子「お願い。悪いようにはしないから。アナタの知ってる事を教えて?」

ルビィ「……あ、あああ」

 出来る限り優しく問い掛けてみたが、何か様子がおかしい。

ルビィ「だめ……逃げて……あああ!」

 震えると同時に、身体から泡が。
 ブクブク、ブクブクと湧き出して来る。

ルビィ「ピギャあああああああああっ!!」
内浦妖魔學園記
15 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:56:05.55 ID:rXFdQwJA
 泡は空中で集まり、少しずつ形を変えて。
 やがて、化物の姿へと成り果てる。

梨子「これは……!?」

千歌「バケモンだー!?」

曜「バケモンだー!?」

 曜と千歌が同時に叫ぶ。
 上半身は人の様だが、下半身は蛇の尻尾のように。
 左右にゆらゆらと動かしている。

花丸「ルビィちゃん! しっかりして! ルビィちゃん!」

 その化物の狙いは。
 倒れた宿主に必死に呼びかける、花丸。

梨子「化物! こっちを見なさい!」

 移動しながら、拾ったハンドガンで化物に発砲する。
 しかしダメージが無いのか、食らってもこちらに見向きもしない。
内浦妖魔學園記
16 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:56:49.65 ID:rXFdQwJA
 その時だった。

曜「ヨーソロー!」

 野球ボールが、化物の顔面に直撃する。

梨子「何やってるのー!?」

 梨子は焦るが、狙いはルビィからこちらへと変わったらしい。
 そして化物が身体を後ろに大きく反らす。

梨子(マズイ!)

 咄嗟に大きく横へ飛ぶ。
 それと同時に、化け物が口から衝撃波を放った。
 ルビィと同じ能力。しかし威力は桁違いだ。
 ぶつかった壁が、削れている。あれは一発でも食らったら命は無いだろう。
 どうする?
 梨子は思考する。冷静さを無くせば、本当に死ぬ。
 今いるのは五人。ルビィは気絶し、花丸はルビィの側を離れない。
 千歌と曜は戦えるが、この化物相手には下手に動いて的になるのは避けたい。
 現在の装備。
 ハンドガンに日本刀、さっきは狭かったから使わなかったグレネードが数個。
 恐らくあの化物にも弱点はあるはず。その箇所にグレネードで爆破すれば。
内浦妖魔學園記
17 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:57:18.39 ID:rXFdQwJA
千歌「いくよ、曜ちゃん!」

曜「行っけー!」

 そんな思考の横で。
 千歌と曜が野球を始めていた。
 どうやら千歌の投げたボールを。
 曜が化物に向かって打ち込んでいる。

梨子「止めなさいバカ! 死にたいの!?」

千歌「え? だって効いてるっぽいし……それ!」

曜「これが一番威力あるかなって……ねっ!」

 確かに打球は顔面を揺らし、ダメージを与えているように見える。
 弾丸の方がダメージが大きいと思っていたが。
 小さい弾より、大きなボールの方が当たる面積が広く。
 ぶつかる衝撃でダメージを与えられるのか、と取り敢えず納得する。

梨子「というか、曜ちゃんよく当てれるわね?」

曜「え、だってあんまり動いてないし」

 だからといって、投げられたボールを狙った場所へ。
 狙って打てる物でもないのでは?
内浦妖魔學園記
18 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2020/10/18(日) 23:57:53.97 ID:rXFdQwJA
 そう思った時に、閃いた。
 否、閃いたというより、ふと尋ねてみたくなったのだ。

梨子「ねえ、曜ちゃん。これ、頭に当てる自信ある?」

曜「え、これ? どうだろな〜? やってみないと……」

梨子「じゃあよろしく。タイミングはまた伝えるから」

 曜の運動センスを信じて、梨子は化物の前へと踊り出る。

梨子「こっちよ、化物!」

 化物が梨子に向かって行く。
 梨子はゆっくりと、タイミングを見ながら引き寄せる。
 そして化物が、身体を後ろに大きく反らした瞬間。

梨子(今っ!)

 梨子は全力で、化物の懐へと突っ込んでいく。
 そして衝撃波と同時に飛び込み前転。
 化物の放った衝撃波は梨子の真上を通過し。
 梨子は立ち上がって化物とすれ違うように後ろへ回る。


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。