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名無しで叶える物語(りんご)
あなた「余命1年?」菜々「……」

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あなた「余命1年?」菜々「……」
156 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:04:02.41 ID:klEwH8BR
余命1年?

嘘だよ、そんなの。

だって、さっきまであんなに元気そうに笑っていたんだよ?

退院できたのだって、きっと病気が良くなってきたからで……
あなた「余命1年?」菜々「……」
157 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:04:38.41 ID:klEwH8BR
……ううん。

本当は、薄々気付いてた。

どうして、何もかもどうでもいいと思っているかのような表情をしていたのか。

どうして、何年間もずっと入院し続けていたのか。

どうして、高校生の時の元気な彼女が、いなくなってしまったのか。

せつ菜ちゃんの病気が不治の病だとしたら、全てが繋がるんだ。
あなた「余命1年?」菜々「……」
158 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:04:58.81 ID:klEwH8BR
せつ菜「……ふふっ、そんな顔しないでください。もう、私は大丈夫ですから」

あなた「大丈夫……って……」

せつ菜「それに」

あなた「え……?」


せつ菜ちゃんは、私の懐に飛び込んできて、そのまま上目遣いで顔を覗き込んできた。

目と鼻の先に、彼女の顔がある。

甘い香りが鼻腔をくすぐってくる。

シャンプーなのか、それとも、彼女自身のものなのか。
あなた「余命1年?」菜々「……」
159 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:05:29.70 ID:klEwH8BR
あなた「せつ菜……ちゃん?」

せつ菜「……いーえ、何でもありません」


彼女が離れても、まだ、その感触が肌に残っていた。


せつ菜「では、また明日会いましょう!」

あなた「あ、うん……また、明日……」

小さな背中は、後ろ髪を揺らしながら、暗闇の向こうへと消えていった。
あなた「余命1年?」菜々「……」
160 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:20:44.61 ID:klEwH8BR
その翌日。

せつ菜ちゃんと直接会って話すのは、難しいと思っていたんだけど。


せつ菜「今日はよろしくお願いしますね!」

あなた「あ、うん。よろしくね」


まさか、直接編集部まで来てくれるとは思ってもみなかった。
あなた「余命1年?」菜々「……」
161 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:22:16.36 ID:klEwH8BR
せつ菜「あの……今日は、原稿を持ってきました!」

あなた「え、もう?」


前々から感じていたことだけど、いくら何でも速筆すぎる。


編集長「驚きの才能ね」


いつの間にか上司がソファーの後ろに立っていて、彼女の原稿の束を興味深そうに見つめている。
あなた「余命1年?」菜々「……」
162 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:27:47.27 ID:klEwH8BR
あなた「編集長……そうですね。類希な程に速筆ですよ、彼女」

せつ菜「はっ、初めまして!なか……優木せつ菜と申します!」


せつ菜ちゃんは、いかにも健康体であるかのように、元気にお辞儀した。


編集長「1週間で1本書ける作家は、プロでもほとんどいないのよ。優木さんは将来有望ね」


将来……

せつ菜ちゃんの将来は、あとどのくらい残されているんだろう。
あなた「余命1年?」菜々「……」
163 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:29:53.00 ID:klEwH8BR
せつ菜「あ……ありがとうございます!!……ですが、出版できるレベルに達していないのなら、意味ないですよね」

編集長「そうね。でも、あなたの原稿はいつも読ませてもらっているけど」

せつ菜「えっ」

編集長「あなたの作品、面白いと思う。自信を持っていいわ」

せつ菜「本当ですか!?」

編集長「フフッ、元気な子ね。……じゃあ、後は頼むわね」

あなた「了解です」


編集長は、そのまま自分のデスクへと去っていった。
あなた「余命1年?」菜々「……」
165 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:47:13.37 ID:klEwH8BR
せつ菜「……あの」


遠慮気味に話題を切り出す彼女をみて、言わんとすることはすぐに分かった。


あなた「うん、編集長には言ってない」

せつ菜「やっぱり、そうでしたか」

あなた「言う必要ないかと思って」

せつ菜「……そうですね。確かに不要だと思います。余命で売れても、全然嬉しくないですし」

あなた「ごめん、そんなつもりなかったんだけど。気を悪くしたなら謝るよ」

せつ菜「いえ、気にしないでください。本当に、何とも思っていないので」
あなた「余命1年?」菜々「……」
166 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:47:56.14 ID:klEwH8BR
編集者としては、小説が売れるためなら、手段を選ばないことが正しいのだろうか。

中身なんて関係なしに売り出す方法は山ほどあるし、実際、そうやって売り出した本は数知れない。

でも、そんな手段を使ってせつ菜ちゃんの作品を売り出すことは、私にはできない。

――いや何を考えているんだろう。

せつ菜ちゃんに残された時間は、あと僅かっていう前提を忘れてる。
あなた「余命1年?」菜々「……」
167 :名無しで叶える物語(りんご)[]:2020/04/03(金) 22:49:55.23 ID:klEwH8BR
少しでも早く売り出すのが、正解なんじゃないのか。

私だけじゃなくて、たくさんの人に読んでもらって、ファンレターをもらって、笑顔と元気をもらう。

もしもそれで、彼女の病状が、少しでも良くなってくれるのだとしたら。

もしもこのまま、彼女の作品に日の目を当てることができず、彼女が力尽きてしまったとしたら。

優木せつ菜を、この世界で生き返らせようとした私自身が、その可能性を潰すことになるんじゃないだろうか。

そうなったとしたら、私は。

優木せつ菜を、2度殺すことになる。


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