- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
543 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:28:56.77 ID:yci2ejCC - 【プロローグ】
不定期ながら曜ちゃんの船に乗せてもらう。 そのことが決定してから幾日。 これは、そんなとある日の出来事です。 千歌「梨子ちゃんッッッ!!!」グワッ!! 梨子「!??」ビクッ 千歌「童貞船の仲間入りしたってどーゆーこと!? 一体どんな弱味を握られたの!?!」 梨子「ど、どうていせん? 何の話???」 千歌「だって……よーちゃんの船でどこか遠くへ行っちゃうんでしょ?」ウルウル 梨子「あぁ、そのこと……。仲間入りしたっていうのとは少し違うかな」 千歌「ほぇ?」 梨子「ただ時々、お互い都合の付く日があれば、船に乗せてもらえることになっただけなの」 梨子「船に移住するつもりはないし、オトノキに帰って音楽団を再編成したいっていうのも……何年先になるか分からない話だもの」
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
544 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:30:24.52 ID:yci2ejCC - 梨子「だからまだ暫くはここから拠点を移すつもりはないよ」
千歌「な〜んだ良かった! そういうことなら目一杯楽しんできてね!」 梨子「……別に遊びに行くわけでもないんだけど」 正直、ずっと悩んでいた。 辛い記憶を克服する為、自ら船へ乗り込む。 そんな荒療治が上手く行く保証はないし、何より……ここを離れたくないという気持ちも大きい。 梨子「話すのが遅くなっちゃってごめんね」 千歌「ほんとだよー。心配したんだから」 梨子「なんていうか……ちょっと言い出しにくくって」
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
545 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:32:49.65 ID:yci2ejCC - 船、父、音楽団の仲間。
全てを失い茫然自失な私が連れてこられたのが、この十千万旅館──千歌ちゃんの元だった。 千歌ちゃんは自分自身のことを『普通』だなんて言っているけれど…… 多分、この子は特別だ。 人の内面にするりと入り込み心を解す。 そういった不思議な力を秘めている。 梨子「私、決めたの」 梨子「自分の意思で、ちゃんと前に進むんだって」 ここはとても居心地が良い。 だからといって、いつまでも甘えたままじゃいられないから。 千歌「そっか。じゃあ全力で応援するね」 千歌「あ、でもでも! 曜ちゃんは爽やかイケメンの皮を被ったムッツリさんだから気をつけなきゃダメだよ!」 千歌「あと善子ちゃんは一見クールビューティーなお姉さんっぽく見えるけど実は歳下だし、メンタル弱々な構ってちゃんだから程良く世話してあげると良いかも」
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
546 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:34:42.25 ID:yci2ejCC - 梨子「世話ってそんな。ペットじゃないんだから」
善子ちゃんが船乗りになるきっかけを作った……もとい、半ば無理矢理ヨーソロー号へ押し込んだ張本人は、どうやら千歌ちゃんらしい。 詳しい事情までは詮索していないけれど、彼女も過去に色々あったようだ。 もしかしたら私と同じで、千歌ちゃんと曜ちゃんに救われた身なのかもしれない。 千歌「まぁとにかく、あの船は変人だらけだけど皆凄い人達なのだ!」 千歌「きっと普通じゃ体験できないことばっかり起きると思うよ」 梨子「ふふ、少しワクワクしてきたかも」 千歌「満足のいく演奏が船の上でも出来るようになったら……いつか、私にも聴かせてね」 千歌「ずっと待ってるから」ニコッ! 梨子「勿論!」 千歌ちゃんとの誓いを胸に。 私は、大海原へと足を踏み出すのでした。
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
547 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:39:54.41 ID:yci2ejCC -
ラブライブ!サンドウテイ!! 船上のピアニスト・桜内乗船編 〜流れ出すプレリュード〜 >>382->>401 の続きから それでは本編参ります
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
548 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:41:34.72 ID:yci2ejCC - 〜 ヨーソロー号 〜
梨子🎹「…………」チャララン♪ かすみ「船の上でプロの演奏を聴けるなんて贅沢ですねぇ」 善子「宮廷音楽家の演奏を独り占めよ!? まるで偉くなった気分ね!」ハッハッハ!! かすみ「いいですね〜。それで海未さんは何をするつもりなんです?」 曜「観てればすぐに分かるよ。きっと2人とも驚くと思う!」ワクワク 海未「…………」スッ…フワッ… 梨子🎹「〜〜〜」チャラララン♫ 海未「……!」ヒラリ! クルクル 私の演奏にあわせ海未さんが踊り始める。 ゆらり。はらり。 一般的なダンスとは一線を画す、優雅で気品溢れる独特なステップ。 これは最早、『踊り』と呼ぶより『舞い』と形容した方が適切かもしれない。
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
549 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:42:53.81 ID:yci2ejCC - かすみ「 」ポカーン
善子「え、何? 何なの? この変わったダンス」 曜「幼少期に叩き込まれた舞踊なんだってさ」 かすみちゃんと善子ちゃんの驚く顔が目に入る。 オトノキではそれなりに知名度のある演舞だが、察するに2人は初めて目にしたのだろう。 名家である園田家の主な職務は、国を『物理的に守る』ことと『伝統的文化を守る』ことの二点。 つまり今披露してくれているのは、その園田家に代々受け継がれる由緒正しい演舞というわけだ。 曜「ゆったりとしつつも繊細な動きが、体幹作りや体捌きの訓練としても役立つんだとか」 曜「この舞踊と剣術は物心つく前から練習してたみたい」 善子「異様な強さだとは思ってたけど……まさに英才教育の賜物ね」 善子「それにしてもホント綺麗だわ」 かすみ「さすが海未さん! 美しすぎますっ!」キュンキュン♡
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
550 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:44:54.54 ID:yci2ejCC - 海未「ふぅ……。久方振りに舞うのは緊張しましたよ」フキフキ
梨子「ありがとうございました。とても素敵な演舞ですね」 海未「いえ、それ程でも。こちらこそ演奏していただき感謝します」 海未「普段奏でている曲とはかなり雰囲気が異るはずですが、梨子はどんな曲調でも弾けるのですか?」 梨子「何でもってわけじゃないけど、まぁ一通りは」 梨子「ただ……機械的に弾けてるだけですけど……」 海未「…………」 善子「……どういうこと?」 かすみ「ふつーに凄い演奏でしたよね?」 曜「多分『普通に凄い』じゃ納得いかないんだよ」 梨子「…………」ゴクリ 梨子「海未さん。率直な感想をお願いします」
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
551 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:46:28.02 ID:yci2ejCC - 海未(陸地でなら支障なく演奏できるにも関わらず、彼女はトラウマの克服に拘っている)
海未(おそらく己に負けたくないのでしょう。そうであれば、正直に答えるしかありませんね) 海未「船上だと心が乱れると言っていたわりに、リズムに乱れは感じませんでした」 海未「良くも悪くも規則正しい旋律で、踊り手としては合わせやすかったです」 楽譜をなぞっただけの、規則正しい旋律。 まさに的確な意見だと思う。 海未「これは言われるまでもなく自覚していることかと思いますが……」 海未「先日招待していただいたヌマヅでの演奏会。その際と比べ、音に気持ちが乗っていないのは否めません」 梨子「やっぱり……聴く人が聴けばわかっちゃいますよね」 善子「…………演奏の違いなんて分かった?」ヒソヒソ かすみ「いえ。素人目にはまったく」ヒソヒソ 曜「何となく『いつもの梨子ちゃんの演奏の方が好きだな〜』くらいには感じとれたかも」ヒソヒソ
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
552 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:47:50.77 ID:yci2ejCC - 海未「船上以外で活動する分には問題無いのでしょう? なら焦らずともきっと大丈夫ですよ」
海未「私には舞うことくらいしか出来ませんが、いくらでも付き合いますから」 梨子「っ! ありがとうございます!!」ペコリ ハイレベルな踊り子と併せることで、奏者のレベルも引っ張り上げられるというの話を耳にしたこともある。 海未さん程の実力者が協力してくれるというのは非常にありがたい申し出だ。 海未(私もかつて闇に呑まれた経験があります。己との戦いの苦しさは、人一倍理解できているつもりです) 海未(可憐な乙女が必死に足掻き、自分自身と戦っている! ならば全力で支えるしかないでしょう!!)
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
553 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:49:04.41 ID:yci2ejCC - 海未(そう!)
海未(これは下心だとか!) 海未(あわよくば弱った心につけ込もうだとか!!) 海未(断じて!! そういうことではなく!!!) 海未「梨子には遠く及びませんが、クルーの中では私が1番音楽に精通していると自負しています」 海未「ですのでその、あの、ですね」ドギマギ 梨子「?」 海未「……コホン」 海未「よければ今宵、私の自室にて共に語らいませんか?(イケボォォォ!!!」 梨子「???」キョトン? かすみ(……うわ〜) 曜(海未ちゃんさぁ……) 善子(せっかく格好良かったのに台無しね)
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
554 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:50:54.46 ID:yci2ejCC - 曜「あー! そういえば海未ちゃん!! 今日のご飯当番だったよねー!!!」
海未「ンな!?」 梨子「海未さんって料理まで出来るんですか?」 曜「うん! 私の作る男物っぽい料理と違って、海未ちゃんは和食から中華まで色々作れるよ」 梨子「わあ、楽しみだなぁ」 海未「ハ、ハハ……。あまり期待せずに待っていて下さい……」 海未(曜め! 余計なことを!!)キッ!! かすみ(やれやれ。なんでこう締まらないんですかねこの人達は)ハァ…
|
- 船長曜「海未さん」善子「誕生日」かすみ「おめでとうございます!」 海未「ありがとうございます!」6航海目
555 :名無しで叶える物語(はんぺん)[sage]:2020/04/02(木) 22:51:32.50 ID:yci2ejCC - 一旦区切り。
続きは近日中にでも!
|