- にこ「ほんの少しのきっかけで」
1 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:09:57.03 ID:uXw/gfMK - 昔書いてて完結させられなかったssを改めて
ラ板でのスレ立ては初なので至らぬ点あれば教えて下さい
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3 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:15:59.85 ID:uXw/gfMK - ____________________
「もう貴方にはついていけない」 一緒に頑張ってくれる仲間だと思っていた皆からはそのような事を言われ、1人また1人と抜けて行って私は遂に独りぼっちに。それから少しのあいだは私1人でも頑張れた。
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4 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:16:19.09 ID:uXw/gfMK - でも、やっぱりこのまま人気もなく人も集まってくれない状況で続けるのは厳しくて…私は一人きりの部室でパソコンとにらめっこ。
当然クラスの皆からも腫れ物のように扱われ…いや、腫れ物ですらないわね。もはやクラスでの私は空気。いてもいなくても変わらなかった。
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5 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:16:53.84 ID:uXw/gfMK - 寂しい、でもそんな弱さを見せるわけにはいかない。
私はいつかトップアイドルになってみせるんだから!
そう…心の中では呟いて、現実の私は友達の1人すらできずアイドルの活動なんてしてもいない。
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6 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:17:52.08 ID:uXw/gfMK - 目指すもの…アイドル。でもその為にどんな行動をすればいいのかがわからなかった。だからパソコンでまだ発展途上のスクールアイドルの批評ばっかり。もう自分でも、どうすればいいのかわからなくなっていた。
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7 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:19:00.87 ID:uXw/gfMK - 友達を作りたい。
そう思ったのは、挫折を味わって1年程経ったある日の事だった。
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8 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:20:29.54 ID:uXw/gfMK - ______________________________
「…。」テクテク
「…でさ〜…」
「あはは!まじで〜?…」ドンッ
「痛っ…」
放課後、帰り道を歩いていた私はチャラついた雰囲気のギャルにぶつかられた。
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9 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:21:29.40 ID:uXw/gfMK - 「おい、ぶつかっておいて謝罪もないわけ?」
私は悪くなかった、相手の不注意だ。 「…すみませんでした。」
でも、謝った。それなのに相手は許してくれない。
「マジふざけんな」だとか、「すいませんで済むわけなくない?」だとか、口の汚い罵倒は続くがもう私の頭に入ってこない。
そんな事どうでもいいくらい惨めだった。悔しかった。
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10 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 00:22:17.59 ID:uXw/gfMK -
私が何をしたんだろうか。
こんな思いをしなければいけないほど悪い事したの?
家ではきちんと妹や弟の面倒をみてる。
ママが私達の為に働いていて忙しいのはわかってた、だから家事だって私が… という事を考えてた時だった。
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79 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 14:19:39.12 ID:uXw/gfMK - 皆さんありがとうございます
30分くらいから纏めて残りの書き溜めを投下したいと思います
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80 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 14:56:52.49 ID:uXw/gfMK - もう、海未ったら良く恥ずかしげもなくあんな言葉スラスラと言えるものよね。
それが嬉しくないかって言ったら嘘になるけど…勘違いしちゃう子もいるだろうし誰にでもあんな態度じゃ困るわ。 いや、別に嫉妬とかじゃなくって私は単純に可愛い後輩を心配して…って、誰に言い訳してんのよ私は。 「おーーーい!にこちゃーん!!」モッギュー 「あらにこ、奇遇ね?」 なんて考えていたら、前には絵里。後ろからは穂乃果が走って追いかけてきて抱き着かれる。 珍しい組み合わせ…っていうかこの2人って初めて会うんじゃないかしら?それにしても…! 「だぁーー!穂乃果、いきなり走って来て抱き着いてきたら危ないじゃないの!」 「ご、ごめ〜ん…ってあれ?ごめんね、穂乃果邪魔しちゃった?」 「あら?にこ、その子は?」 「あぁ、絵里は会うの初めてよね、この子は高坂穂乃果。一年の子なんだけど私の大切な友達よ。穂乃果、こっちは生徒会長の絢瀬絵里。お堅いイメージがあるかも知れないけど結構可愛いとこあるのよ?」
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81 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 14:57:46.72 ID:uXw/gfMK - 「大切な…………///」
「可愛い…………///」 …なによ、せっかくお互いに紹介してあげたのに2人ともボーッとして動かなくなったんですけど。どういう事よ? 「絵里?穂乃果??」 「はっ、や、やだ私ったらごめんなさい…そう、高坂さんっていうのね。今にこから紹介して貰った通り生徒会長をやっている絢瀬絵里よ、よろしくね」 「は、はい!私も今にこちゃんから紹介してもらった通り一年生の高坂穂乃果です、よろしくお願いします!」 へぇ〜、私が普通に友達として接して貰うように頼んでるから忘れてたけどそういえば穂乃果ってちゃんと後輩出来るのね。 いつもの感じとは違ってなんか新鮮。 絵里も流石後輩の扱いには慣れてそう。慕われる先輩って感じね。 「ところで高坂さん?にことは"大切”な友達同士みたいだけどどうなのかしら、普段のにこは」 「穂乃果部活やってないから先輩の友達いないんですけど、にこちゃんとは"特別”仲良くさせて貰ってますよ!普段しっかりしてる絢瀬先輩も"可愛い”所見せるくらいにこちゃんと仲良いんですよね?」 「そうね、友達になったのは最近だけれどにこのことは"よく”知ってるつもりよ?私もにこのことは"特別”頼りにしてるしね」 ってあれ、なんか険悪になってない?なによこの状況。 心無しかお互いに睨み合ってる気がするしバチバチ火花が散ってる様な錯覚さえ見えてきたわ…
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82 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 14:58:37.09 ID:uXw/gfMK - 「そ、そうなんだ〜、ねぇにこちゃん?やっぱり同級生の方がいいのかな…?」
「ねぇにこ、歳下の方が仲良くしやすいのかしら…?」 つり上がっていた2人の眉がしゅんと垂れ下がったかと思うと不安そうに同じような質問をにこに投げかけてくる。 「はぁ?何よ急に、そんなの上も下も無いわよ。海未も希もことりも皆大切な友達よ、もちろんあんた達もね」 「そ、そうだよね…うん、わかってた……」 「そうよね……はぁ…高坂さん、私達も仲良くしましょう?私の事は絵里って名前で呼んで頂戴」 「そうですね、よろしくお願いします絵里先輩……穂乃果のことも名前で呼んでください!」 な、なによその微妙な反応は…結構恥ずかしいこと言っちゃったのにそんな反応されたら余計居た堪れないじゃない… 対立してたかと思ったら急に握手なんかしてるし、いよいよ訳わかんなくなってきたわ。まぁ、二人が仲良くなったんならいっか。 「あ!そう言えば穂乃果海未ちゃんに呼ばれてるんだった…どうしよ〜っ!絶対また怒られちゃうよ〜!」 「私も希と生徒会の事で話があるんだったわ…!急いで生徒会室に向かわないと…」 「なによ、二人とも大切な用事あったのにわざわざにこに声掛けに来たわけ?無理して話掛けてくれなくってもいいのに…」 「「無理してる訳ないじゃない(ないよ)!!」」 私の悪い癖で素直じゃない言葉をつい口走ってしまうと、穂乃果と絵里は凄い剣幕に食い気味で否定する。 最近私が素直になれてるのはこういう風に皮肉っぽく言うと真剣に捉えられちゃうってのもあるかも知れないわね…でも、ここまで真剣に返して貰えると正直嬉しい。 それにしてもこの二人ここまで声揃えられるなんてやっぱり仲良くなれたってことなのかしら。 ________________________ ____________
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83 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 14:59:41.53 ID:uXw/gfMK - 最近考える事がある。学校生活が楽しくて、幸せすぎて、でもそのせいでこのままでもいいのかなって思ってしまう自分がいるの。
勿論練習は辞めてないし夢をそう簡単に諦められるものでもない。 一年の頃の私ならこの状況なんてチャンスとしか思えなくて皆をアイドルに誘ってる。 だけどそういう訳にはいかないの。私にとってアイドルと友達どっちも大切だから。だからこそ簡単にはいかないのよね… 「はぁ…はぁ…こ、こういう時はきつい練習で気を紛らわすのが、一番よねぇ…」 神田明神に続く階段でのダッシュはいつやってもキツいわね。段数も多いし1本やるだけで息が続かなくなる。ダンスと並行して歌い笑顔も作らなくてはいけないアイドルにとってこれ程身になる練習はないわ。 …この辛い練習について来れなくて辞めていった子の気持ちも分かる。でも必要なの。 …いけない、また暗い考えをしてしまっていたわね。 「あ、あの…大丈夫ですか……?」 「へ?」 「へ?じゃないよ!手を膝について動かなかったら誰でも心配するにゃ!」 「あ、ごめんなさい。今練習中で階段をダッシュしてきた所だったから…って、にゃ??」 「凛ちゃん!出ちゃってるよぉ…!」 「あ、今のなし!凛は何も言ってないよ!」
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84 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:01:05.36 ID:uXw/gfMK - 私を心配して声を掛けてきた二人。一人は引っ込み思案って感じのする眼鏡をかけた子、もう一人はショートカットのボーイッシュな感じの元気な子。
それにしてもにゃ〜って…? 全然誤魔化しきれてもないし…… 「そこまではっきり言っといて今更誤魔化しきれないわよ。白状してもらうわよ〜?」 「な、なんの事かわからないな〜?かよちんなにか聞こえたかにゃ?」 「凛ちゃんまた言っちゃってるよぉ……もう正直に言った方がいいんじゃないかな?」 「そうよ、別に変に思ってる訳じゃないし私もそういうのには理解あると思うし。…って心配して声を掛けてくれたっていうのにお礼もまだでごめんなさい。私は矢澤にこ、近くにある音ノ木坂の二年生よ」 「ピャア!音ノ木坂の!?しかも二年生!!?」 「へぇ〜、そうなんだ、てっきり同じ歳くらいだと思ってたにゃ」 「何よ失礼ね、あんた達は?あと、そっちのあんたにはさっきの説明もしてもらうわよ?」 「わ、私は小泉花陽…です。来年から音ノ木坂に通う予定で…って言っても、合格してたらの話なんですけど…今日は凛ちゃんと合格祈願のためにお参りに来てて……」 「凛は星空凛!猫が大好きで、さっきみたいに癖でたまに語尾に出ちゃうんだ〜、かよちんとは幼なじみで凛も一緒に音ノ木坂行く予定だよ!」 なるほどね〜、めちゃくちゃキャラ立ってるじゃないこの子…アイドル向きね。二人とも可愛いし幼なじみならそういう路線で売り出していけば………っといけない、私もついつい癖で変なこと考えちゃったわ。
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
85 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:01:58.12 ID:uXw/gfMK - 「凛ちゃん!矢澤先輩はその音ノ木坂の先輩だよ!」
「あ……!です!」 「いやもう遅いわよ…別にそのままでいいわ。先輩ぶるつもりもないし他人行儀なのも好きじゃないから気楽に名前で呼んでくれていいし、別に敬語じゃなくてもいいわよ」 「にこちゃん太っ腹にゃ〜〜!音ノ木坂の先輩に知り合いいなかったから心強いねかよちん!」 「そ、そうだね!よろしくお願いします…にこ、ちゃん?」 思わぬ所で未来の後輩の知り合いが出来てしまったわ。最近色々と運がいいみたいね。 二人に知り合えたのが嬉しくて暗い気持ちもとりあえずはどこかにいってくれたみたい。 「ん、よろしくね花陽、凛。そういえば二人はなんで音ノ木坂に?」 「凛は家から近いからにゃ!かよちんはアイドル好きだからUTXに行ったらどうかって勧めたんだけど、音ノ木坂がいいって」 「へぇ!花陽もアイドル好きなのね!」 「はい!…も、ってことはにこちゃんも好きなんですか?!」 「勿論よ、最近のスクールアイドルはほとんど押さえてるわ。特にさっき凛も言ってたUTXのA-RISEね、グッズも個人的に収集してて我ながら伝伝伝を手に入れたのは苦労したわ……ってやば、にこったら調子に乗って喋り過ぎ…」 「あの伝伝伝を!!?凄い!花陽なんて凛ちゃんに協力して貰ってまで手に入れられなかったネット・店頭共に即完売になったあの伝説のアイドル伝説DVD全巻BOXを持っているなんて…!」 「うぉ、急に圧強っ!花陽って好きな事に関してはこんなはっきりスラスラと話せるのね…」 「凛はこっちのかよちんも好きだよ〜」 「ご、ごめんなさい興奮しちゃって…でも伝伝伝を持っているなんてにこちゃんは只者じゃないですね…花陽はあの中に収録されてるアイドルの中なら〜〜の〜〜が特に〜」 「わかるわ、にこは〜〜の〜〜も要チェックだと思うんだけど…」 「なんだか凛がカヤノソトだにゃ〜……」
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
86 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:02:52.13 ID:uXw/gfMK - __________________
____________ 「やるわね、花陽……ここまでにこのアイドル談義に着いてこれる子初めてよ……」ホクホク 「にこちゃんこそ、ここまでの知識量…尊敬です!」ホクホク 「ねぇかよちんそろそろ帰ろうよ〜、もう太陽見えないよ〜!!」 つい花陽と話すのに夢中になってもうこんな時間になってしまったわ…凛は話に入れなくて退屈だったでしょうね……悪いことしちゃったわね。 「はっ!ご、ごめんね凛ちゃん…あまりににこちゃんとのお話が楽しくて……」 「にこも時間を忘れて話しちゃったわ。ごめんなさいね凛。」 「二人が楽しそうに話してるのを聞いてるだけでも楽しかったからいいよ!」 「二人とも、音ノ木坂に合格するのを祈ってるわ。あ、あと私アイドル研究部の部長もしてるからよかったら二人も遊びに来てね?」 「うんうん、かよちんアイドル好きだし入るべきだにゃ!それに可愛いからにこちゃんとスクールアイドルとかやってみたら絶対に人気出るよ!」 「えぇぇ?そんなこと…それを言ったら凛ちゃんの方が……」 「あはは、またまた〜、凛なんかこんなに髪の毛も短いし女の子らしくないから向いてないよ…」
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
87 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:06:10.54 ID:uXw/gfMK - 「だーもう!私から言わせてもらえばどっちも可愛いわよ。二人にあと足りないのは自信だけね」
「花陽はアイドルの知識も豊富だしそばに居て安心感があるからアイドルをやるのに充分な素質を秘めてると思うわ。それに凛、猫みたいな言葉が出ちゃうっていう癖もキャラにしたら申し分ないし私は凛のこと女の子らしくてアイドルに向いてると思うわ。」 「「そんなこと……」」 「あるの!!!にこが言うんだから間違いないわ、わかった!?」 「「……。」」ポカーン 「ありがとう……にこちゃんからそう言って貰えたら嬉しいな…」 「凛は自分ではそうは思えないけど…でも、えへへ。ありがとうにこちゃん…」 「かといって素質があるだけじゃ成功しないのがアイドルよ、厳しい世界なのよ…」 「うっ、急にしびあにゃ……」 「ふふっ、まぁなんにせよ、待ってるわ二人とも。」 「うん!絶対に二人で受かるからよろしくね!」 「えぇ、二人ならきっと受かるわ、このにこが言うんだから間違いないわよ!それじゃあ、にこはそろそろ帰るわね」 「うん、またお話してね、にこちゃん…!」 こうしてまた友達が増えた。凛と花陽……二人ともいい子で凛は猫好きなのがキャラとして立ってて私にも普通に使うようになってくれたし、花陽も話してるうちに敬語が抜けてたし仲良くなれたと思う。 来年からの楽しみが増えたわね。 調子に乗って話しすぎてしまったけど、二人とももしかしたらアイドル研究部に入ってくれるかも……そしたら穂乃果とことりと海未も、絵里と希も一緒に……なんてね。 あ〜、悪い癖ね。夢のような話を最近いつも考えてしまう、また同じ失敗を繰り返すのは絶対に嫌。それに…皆の事、本当に大切なの。この関係が壊れてしまうのが怖い。 「だーもう!…考えても仕方ないわね……帰ろ」テクテク
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
88 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:07:50.07 ID:uXw/gfMK - ____________
______ 「ごめんなさい…お姉さま、折角のおやすみなのにこころが熱を出してしまったせいで病院まで連れてきて貰って……」 「気にしなくていいのよ。こころは大切な妹だもの、これくらいお姉ちゃんに任せておきなさい?」 今日は日曜日、妹のこころが熱を出してしまったのでおぶって病院まで連れて来ている所。 ママが午前出勤で仕事終わりにそのまま向かってくれているから帰りは任せる事になるんだけど、私にとっては全然負担なんかじゃない。 妹たちはいつも私の心の支えになってくれているんだから当たり前よ。 それにしてもこの子は誰に似たのかとっても礼儀正しい子でそれだけに無理をしてしまうのが悪い所ね。 「はい着いたわよ、もうそろそろママも着くみたいだから先に入って順番待ってましょっか?」 「はい…ありがとうございます……」 「もう、そんな顔しないの。可愛い顔が台無しよ?」 そう言って頭を撫でてあげる。不安そうにこちらを見ていたこころの目が安心したかのように潤む。それでよし!っと頭にぽんと手を置くと、一緒に手を繋いで病院に入る。西木野総合病院…相変わらずめちゃくちゃでかいわね。 「お待たせ。ごめんなさいね、にこ。こころを見ててくれてありがとう」 「ううん、お姉ちゃんだもの。当然の事よ」 「…ホントにありがとうね。そうだ、お金渡すから飲み物でも買っていらっしゃい。」 って事で、自動販売機を探している所なんだけど……この病院広すぎて何がどこか分かんないわよ!すっかり迷っちゃったじゃない。
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89 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:09:25.51 ID:uXw/gfMK - 「〜♪」
「ん?」 ふと足を止めると、ピアノの音と…綺麗な歌声が微かに聞こえてくる。 釣られてその音の鳴る方へ歩いていくとひとつの小部屋の中に赤毛の女の子。 その子が着席する椅子の前には大きなグランドピアノ、この子があの曲を弾いていたのね。 演奏がとても上手で、でもどこか悲しそうに弾く姿が印象的だった。 そのせいかにこと同じくらいの年齢には見えないように大人びて見える。 ふふっ、穂乃果だったら部屋の前で全力で拍手とかしちゃうんだろうなって考えて笑っていると、赤毛の子がこっちに気づいたみたいだった。 「ゔぇぇっ?!ちょっと、ここ関係者以外立ち入り禁止になってるはずよ」 「えっ、うそ?!…ごめんなさい、音に釣られて来て全然周り見えて無かったわ……」 「ま、まあいいわ……ところで貴方、患者さんなの?随分と元気そうだけど…」 「妹が熱を出しちゃってね、マ…お母さんが来るまで付き添いで見てたのよ。」 「なるほどね、まぁ…ここで会ったのも何かの縁だし、悪い人でも無さそうね。よかったら演奏でも聞いていって」
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
90 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:10:41.31 ID:uXw/gfMK - 病院が混んでてこころの診察までも時間がかかるそうだったから、お言葉に甘えて演奏を聞かせてもらう事にした。演奏の合間合間に少し話を聞いてみると、彼女はこの病院の一人娘の西木野 真姫ちゃんっていうらしい。
年齢は花陽と凛と同じ15歳、それに音ノ木坂志望らしい。私よりも2つも年下?嘘でしょって思ったわ。 「ねぇ、気になったんだけど…なんでそんな微妙な顔してるの?」 「あ〜、そうね…まずホントににこよりも歳下なのかっていう顔。それと………そうね。…ねぇ、真姫ちゃんなにか悩んでることあるでしょ」 「っ!?…どうしてそう思ったの?」 「なんだかピアノを弾いてる姿…音色もね、悲観的な感じがするのよ。って言ってもにこがそう感じるだけなのかも知れないんだけど」 「はぁ……そんなに分かりやすいかしら、私って」 「ん〜、にこが鋭いだけかな〜?ほらにこってば宇宙No.1アイドルだしぃ〜?」 「はぁ?なにそれ…キモチワルイ。でもまぁ……聞いてくれる?」 「気持ち悪いってなによ!…勿論話は聞くわ。将来の可愛い後輩のことだしね」 「かわっ…!もうっ、良いわよそれで」
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91 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:12:12.27 ID:uXw/gfMK - 真姫ちゃんの話はこう。小さい頃からピアノをはじめ音楽が大好きだった。
それが医者になるということの為に生きるせいで終わってしまう、それが真姫ちゃんを悲観的にさせる理由。 大人びているとはいえ15歳、好きな物を奪われてしまう辛さは私にもよく分かるつもり。 完全に弾けなくなる訳じゃなくても目標を失ってしまった真姫ちゃんの音楽はもう終わり。って言うのが本人の談。 「にこね、アイドルが好きなの。自分もそうなりたいって、本気で思えるくらいにね」 「え…?…何よ急に」 「真姫ちゃんが音楽に対して目標を失ってしまったって言うんなら、私の為に曲を作ってみない?今とは違うとびっきり楽しい曲」 「……私は好きにはなれないわ、あんな音楽……でもそうね、たまにはそんな曲を作るっていうのもいいかもね」 「そうでしょ?ふふん、にこの要望は多いわよ〜?勉強が疎かになったって知らないからね」 「頭の出来が違うのよ、にこちゃんとは。……もう、今日初めて会ったって言うのに…色々と余計なことを話し過ぎたせいで初めてって感じがしないわ」 減らず口を叩けるようになったってことはもう大丈夫ね。心無しか表情も明るくなってる気がするし、またまた未来の後輩とも仲良くなれたから楽しみが増えたわね。 曲も作ってくれるって言うんなら私の活動も一歩前に進んだって事かしら。 「っと、そろそろママが心配する頃だと思うからにこはもう戻る事にするわ。それじゃあまたね、真姫ちゃん」 「はいはい、合格なのは間違いないから音ノ木坂で待ってなさい。…最初お母さんって言い直した意味なくなってるわよ、にこちゃん」 し、しまった………… ______ ____________
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92 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:14:01.10 ID:uXw/gfMK - ______
____________ 「最近ね、穂乃果趣味が増えたんだ〜!っていってもまだまだ駆け出しなんだけど…」 ある日の午後、昼休みに突然穂乃果が口を開きます。 全く穂乃果は前後の話を全く無視して唐突に思いついた事を言うんですから…。 とはいえ、趣味ですか…そう言われたら私にも思い当たる節がありますね。 「そうなんですね、実は私も少し趣味…というか日課にしている事があるんです」 「えぇ〜!凄い凄い、実はことりもあるんだよ♪」 え、ことりも……?こういってはなんですが私達三人はあまりに趣味の話をしないことが多いので三人一緒に趣味が出来るなんて珍しい事もあるものですね……って流石におかしくありませんか…? 「ちょっと待ってください!偶然にしては出来すぎていませんか?」 「えぇ〜?急にどうしたの海未ちゃん!」 「どうもこうもありませんよ、こんな同じ時期に三人一緒になんてどう考えても不自然です」 「そうかな〜、たまたま好きなものが出来るタイミングが被っちゃっただけかも知れないよ?」 「うんうん、ことりも海未ちゃんの考えすぎだと思うな〜」 「では穂乃果、その趣味とはなんですか?言ってみなさい」 「うぇえ!なんかそう言われたら言いづらいよ!海未ちゃんから言ってよ〜!」
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93 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:15:35.60 ID:uXw/gfMK - この予感は間違いないです。私の思ってる事は当たっているはずです。
推理をするならこのタイミング。 一斉に三人一緒になんてどう考えても不自然。何故今まで共通の趣味がなかった私達に?共通の趣味が一斉に伝播するなんて一つ、人伝てです。 そして私は最近知り合い、影響を受けた共通の知り合いと言われて明らかに思い当たり過ぎる人物がいる。 という事はつまり、私達三人は同じ事が趣味になっている可能性が高い。 以上のことから答えはずばり……! 「アイドル……ですね?」 「「えぇ!なんでわかったの!!?」」 「当たり前です、私達が一斉に影響を受ける人物なんて一人しかいません」 「海未ちゃん凄いねぇ…穂乃果はアイドルの歌を聞いたり映像を見たりするのが最近の趣味なんだ〜、ちょっと恥ずかしいけど、真似して踊ってみたり…//」 「ことりもそうだよ!踊ったりはして無いけどその代わり…実はアイドルみたいな可愛い衣装を考えちゃってるんです♪」 「私もです、二人はびっくりするかも知れませんが恥ずかしながら作詞に挑戦…してみたり…///」 「「…あ〜〜……。」」 取り組み方は三者三様ですがやはり同じ趣味でしたか。 ……それにしても私が作詞してると言った時のリアクション薄すぎませんか?もっと驚きますよね普通。
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94 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:17:44.56 ID:uXw/gfMK - 「穂乃果は前ににこちゃんとお話してた時にね、アイドルは人を笑顔にする仕事で、穂乃果の周りには笑顔が溢れてるって、それは才能なんだって言って貰えて、それで興味が湧いてきたんだ〜…」
「ことりは前ににこちゃんに服の生地選びに付き合って貰ったんだけど、その時にスクールアイドルをやってた事を聞いて、にこちゃんがステージに上がってる姿を想像したらイメージがどんどん膨らんで…。」 「いつか実際ににこちゃんの衣装のデザインをしたいなって。そうしたらいつの間にかハマっちゃった♪」 そうなのですね、穂乃果もことりもにことそんな事が…それなら三人一緒に同じ趣味を持った事にも納得がいきます。 「私は……にこが活動を再開する時に私の詞が少しでも足しになればと。はぁ…結局三人ともにこの事を慕っているって事じゃないですか」 「あはは……にこちゃんも罪な女だねぇ……」 「そんなにこちゃんはことりのおやつにしちゃいます♪」 「「ダメです(だよ)!」」 「やぁん…………ごめんなさいぃ……」 「「「………………。…ぷっ…」」」 「「「あははははっ!」」」 うふふ…にこ……ずるいのですね、貴方は。私達三人とも同時に貴方に影響を受ける程に貴方のことを想ってしまっています。 「二人とも、ちょっと相談なのですが……」 ____________ ______
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
95 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:19:13.92 ID:uXw/gfMK - ______
____________ 「はぁ…今日はちょっと家を出るのが遅れちゃったわね。」 昨日少し考えすぎて寝不足になってしまったのか寝坊をしてしまって朝から大変だったわ…急いで妹達を起こして準備して…ってあら?前に歩いてるのって…… 「あぁ、なんだ。やっぱりアンタ達じゃない、いつもこんな遅い時間に登校してるの?」 「ん?あ、にこちゃん!おはよ〜!」モッギュー 「穂乃果!いきなりなにをしてるんです!…こほん、おはようございます、にこ」 「おはよう、にこちゃん!」 登校中に穂乃果、海未、ことりの幼なじみトリオに会うなんて初めてかも。穂乃果はともかく時間に厳しそうな海未がこのギリギリの時間に登校なんてイメージ無かったけど…
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
96 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:20:50.87 ID:uXw/gfMK - 「少し今日は用事がありまして、登校が遅れてしまったんです。いつもはもう少し早い時間に余裕を持って学校に着くようにしてますよ」
「穂乃果ちゃんが待ち合わせに遅れちゃう時もあるけど…」 「うぇ〜!?最近は無いよ!」 「たまにはあるってことね…というか穂乃果、アンタなんか身体熱くない?顔もなんか赤い気がするし…熱でもあるんじゃないの?」オデコピタッ 「へっ…!?わ!わ!だ、大丈夫だよにこちゃん!///」 「そう?…よくみたらアンタ達三人とも顔赤いような気が……例えるんなら運動した後みたいな……」 「き、気の所為じゃないでしょうか?」 「そ、そうよ〜、にこちゃんの気のせいだと思うな?」 何かおかしい。私になにかを隠してる気がする。別に友達だからといって全部隠すなとは言わないけど、少しだけ寂しい。とはいえこの三人が悪意を持って私に隠し事をする様にも思えないし…
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
97 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:22:42.01 ID:uXw/gfMK - 「ふむ、これは何かにおうわね……」
「えぇ!穂乃果汗くさい?!ちゃんとお風呂入ってきたよ!?」クンクン 「ばっ…!穂乃果……!」 「いや…穂乃果は普通にいい匂いするけど……なるほどねぇ?」 「えへへ…いい匂い……///」 「ってあれ??」ハッ と、言ったところで穂乃果が間違いに気づいたらしく固まってる。その傍らで海未は頭に手を置いてやれやれといった表情をしてるし、ことりも苦笑いしてる。 「つまり、運動してお風呂に入ってから来たからこの時間ってわけね」 「穂乃果………」 「穂乃果ちゃん……」 「………えへへ、バレちゃった」
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
98 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:23:29.19 ID:uXw/gfMK - 「運動してたとしても別ににこに隠す事ないじゃない?」
「そ、それはその〜…やましい事がある訳ではなくて……ね?海未ちゃん?」 「そ、そうです!…じ、実は穂乃果の体重が増えてしまったので私達もダイエットに付き合って……」 「えぇ!?」 何故か当の本人である穂乃果が一番驚いてる。 「そうなの!穂乃果ちゃんパンの食べ過ぎで凄いことになっちゃって…………」 「えぇえ!?」 凄いことに…?!ていうか穂乃果が凄い顔でことりと私の顔を交互に見てるけど大丈夫なのこれ…?
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
99 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:24:16.76 ID:uXw/gfMK - 「そうなんですよ。ね、そうですよね!穂乃果!」
「ぅう〜〜っ……!……………………そうです」ガックシ さっきみたいになにやら言いたげに私と海未の顔を交互に見たと思ったら諦めたかのように肩を落とす穂乃果。…まぁ、あれよね…誰にだって知られたくない事ってあるわよね…… 「穂乃果……これからパンは程々にしなさいね……」 「うぅ……にこちゃんにだけは体重増えたなんて思われたく無かったよ……」ボソッ 「あ、ごめん。そう言えば今日授業の前に部室に寄らなきゃ行けなかったから先いくわね。じゃ、穂乃果、頑張りなさいよ。にこも応援してるから」タッタッタ 「……ふぅ、危ない所でしたね」 「でも完璧にごまかせたよね!」 「完璧じゃないよ〜!なんで穂乃果が太ったなんて事になっちゃったの〜!」 「し、仕方がないじゃないですか!元はと言えば穂乃果が変な事を言うから…!」 「完全ににこちゃんに呆れられちゃったじゃぁん!!も〜海未ちゃんのバカ〜!」 …なんか後ろで言い合ってる声が聞こえた気がするけど、気のせいよね? ______ ____________
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- にこ「ほんの少しのきっかけで」
100 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:26:11.22 ID:uXw/gfMK - 書き溜めておいた分は以上です。
これからは考えてから投稿になるので少し遅くなるかもしれませんが出来るだけ早めに投稿しますね
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- リリホワの好きな曲アンケート、4割微熱3割春情2割キミのくせに1割同星になる説
46 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/02(木) 15:29:24.31 ID:uXw/gfMK - 乙姫心推しがちゃんと居て安心した
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