- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
1 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:10:05.79 ID:FGplaFnY - SSの没案を編集して投下します
供養させて下さい
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
2 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:10:47.00 ID:FGplaFnY - ほのよし
穂乃果「善子ちゃん!」 善子「ヨハネ!」 穂乃果「ヨハネちゃん!」 善子「何よ急に」 穂乃果「ヨハネちゃんはどうしてヨハネちゃんなの?」 善子「ふっ、愚問ね。堕天使は生まれながらにして堕天使なのよ。この世に生を授かった時に神に見放され、堕天使としての人生を余儀なくされているのよ……」 穂乃果「ふーん」 善子「堕天使は人間とは違う存在……正体がばれないように人間らしく振舞っていたというのに……どうやらこのヨハネのオーラが、自然と滲み出てしまっていたようね……」 穂乃果「じゃあお母さんが堕天使だったっていうわけじゃないの?」 善子「ちょっとは聞きなさいよ!」 善子「そうね……マ……仮の同居人はただの人間にすぎないのよ……このヨハネが少し特別なだけで……」 穂乃果「じゃあもしかしたら穂乃果も、堕天使かもしれないってことだね!うん!私も堕天使になれるかも!」 善子「えっ!?……そうね、穂乃果。もしかしたら貴女にも、堕天使としての資質が備わっているのかもしれません。この堕天使ヨハネが、特別に堕天使としての力を、授けてあげましょう」 穂乃果「わーい!ヨハネちゃん!ありがとう!」 善子(こ、こういうの初めて……ずら丸もリリーもヨハネのこと相手にしてくれないし……) 善子(なんか、楽しいかもっ!)
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
3 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:11:46.92 ID:FGplaFnY - 善子「では、まず初めに、貴女に名前を授けましょうか」
穂乃果「名前?名前がそんなに大切なの?」 善子「ええ……魔力は真名に宿るのよ。堕天使としての名は、魔力の大きさを決める重要なファクターなのよ……」 穂乃果「ふーん」 善子「貴女は……そうね……」 穂乃果「ホノカエル!穂乃果、ホノカエルがいい!なんか神話っぽくて、かっこいいし!」 善子「私の役割勝手にとらないでよ!」 善子「……こほん。ホノカエル。良い名前ですね、今日から貴女の堕天使名は、ホノカエルにするわ」 穂乃果「でもヨハネちゃん、ヨハネちゃんはどうして堕天使なの?天使の方が可愛くてカッコいいのに」 善子「それは……」 善子「私が天使って柄じゃないからよ。私もともと運が物凄く悪かったし、それに……」 善子「天使は誰でもなれるでしょ?だから堕天使って方が特別って感じがするからよ」ギランッ
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4 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:12:24.54 ID:FGplaFnY - 穂乃果「ふーん。そうなんだ〜」
穂乃果「ねえねえヨハネちゃん!そのギランッっていう決めポーズ、穂乃果も真似してみたい!どうやるの?」 善子「いいでしょう。堕天使ホノカエル。このヨハネが特別に伝授して差し上げましょう」 善子「まずは右手を顔の近くに持っていって…… ……… 穂乃果「ありがとヨハネちゃん!」 穂乃果「それにしても意外と楽しいね!堕天使ごっこって」 善子「ごっこ言うな!」 善子「……なによ。途中から本気で堕天使になりたがってると勘違いしちゃったじゃない。せっかくリトルデーモンを増やすチャンスだと思ったのに……」 善子「やっぱり、堕天使のことを受け入れてくれる人なんて、いるわけないのよね……」 穂乃果「えへへ〜ごめんごめん」 穂乃果「でもね、善子ちゃんの堕天使に対する特別感は、わかった気がするかな?」
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
5 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:13:09.99 ID:FGplaFnY - 穂乃果「私もスクールアイドル始めて思ったんだ。みんな、一人ひとりが特別で、みんなが主人公なんだって」
善子「みんなが、主人公……」 穂乃果「そうだよ!みんなが主人公で、みんな特別な存在!」 穂乃果「だから、私にとってヨハネちゃんはずっと特別な堕天使だよ!」 善子「穂乃果……」 穂乃果「これが堕天使ホノカエルの託宣です。常に自分らしくいるのですよ?堕天使ヨハネ」ぎらんっ 善子「あっ、それ!私のポーズなんだから!マネしないでよね!」 おわり
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6 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:15:16.00 ID:FGplaFnY - ちかぱな
花陽「……」モグモグ 千歌「……あっ!そうだ!思い出したよ!」 花陽「ぴゃぁっ!!……び、びっくりしたぁ……」 千歌「みかんみかん〜♪やっぱり食後はみかんを食べなきゃ締まらないよ〜」 千歌「あっ、ごめんね花陽ちゃん、驚かせちゃって」 花陽「ううん、大丈夫……ちょっとびっくりしちゃっただけだから……」 千歌「花陽ちゃん!前からずっと思ってたんだけど」 千歌「花陽ちゃんってすっごくキレイにごはん食べるよね!」 花陽「えっ!?そ、そうかな……」 千歌「そうだよ!一粒一粒味わって食べてるって感じ!」
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7 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:16:16.89 ID:FGplaFnY - 花陽「それは……一粒一粒ありがとうって思いながら食べないと、だから……」
花陽「どのお米も一つ一つ、農家の人が大切に思って作ってくれたものだし、それに、このお米の粒が本来、次の稲を育てるためのものだって思うと、心がキュッとなるというか……」 千歌「……」 花陽「あっ!ご、ごめんなさい!先輩なのに、私、偉そうなこと言って……」 千歌「ううん、違うの。西浦のみかん農家さんに職業体験に行った時のことを思い出して……」 千歌「農家のおばさんが、丁寧にみかんの世話をしてて、一つ一つのみかんに、たくさんの思いが詰まってるって教えてくれたときのことを思い出して……」 千歌「うん!だからこれは、花陽ちゃんが正しい!偉いよ花陽ちゃん!」 花陽「ええっ!?わ、私は、ただ、おにぎりをおいしく食べてただけで……」
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
8 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:17:04.76 ID:FGplaFnY - 千歌「そんな偉い花陽ちゃんには、はいこれ!みかんをあげるね!」
千歌「西浦の太陽の恵みをたっぷり受けたみかん!花陽ちゃんにも食べて欲しいな!」 花陽「あ、ありがとうございます……ぱくっ……おいしい、すっごくおいしいです!」 千歌「でしょでしょ!西浦のみかんは日本一なんだから!」 花陽「あ、あのっ!千歌ちゃん!」 千歌「ん?どしたの花陽ちゃん?」 花陽「わ、私も、お米のおいしさ、千歌ちゃんにも知ってほしくて……お米農家の人が、大切に育ててくださったお米だから……食べてみて欲しいなって……」 千歌「うん!じゃあ今日は、ごはんとみかんパーティーだね!」 おわり
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9 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:17:46.39 ID:FGplaFnY - にこりんびぃ
にこ「ふぅ〜今日も練習疲れたにこ〜♡にこ疲れて、もう歩けな〜い♡」 凛「部室はステージじゃないから、キャラ作る必要ないと思うにゃー」 にこ「バカね!こういうのは普段から心掛けておくことが大切なのよ!」 ルビィ「うゆゆ……」 ルビィ(うゅ……にこちゃんも凛ちゃんもすごいなぁ……普段から立派なアイドルになろうと、練習してて……) ルビィ(ルビィももっと、アイドルらしく、なりたいなぁ………) ルビィ(……!!!!あっ!ひらめいたよ!) にこ「ん?どうしたのよ、ルビィ?ニヤニヤしちゃって……」 ルビィ「今日のにこちゃんも可愛かったビィ!ルビィもにこちゃんみたいなスーパーアイドル目指して、もっと頑張るビィ!」 にこ「な、なによ急に!?どうしちゃったのよ!?」
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10 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:18:34.38 ID:FGplaFnY - ルビィ「やっぱりμ’sは伝説だビィ!私たちもμ’sみたいになれるように、もっともーっと練習するビィ!」
にこ「ル、ルビィ……その語尾、どうしちゃったのよ?気味が悪いから、やめなさいよね!」 凛「そうりんそうりん!スクールアイドルに終わりはないりん!もっといいパフォーマンスを求めて、凛たちももっと頑張るりん!」 にこ「り、凛!?あんたまで、どうしちゃったのよ……」 ルビィ「……これがルビィの普段の話し方ビィ、何もおかしなことなんてないビィ」 凛「凛もにゃ。……普段から凛はこういう喋り方りん。にこちゃんの方がおかしいと思うりん」 にこ「あーもうわかった!わかったわよ!私が悪かったわよ!私の負けでいいから、その喋り方、やめなさいよ!」 凛「わーい!勝ったにゃー!!!………って、あれ?」 ルビィ「……」 ルビィ「もう!ルビィ、ゲームしていたわけじゃないんだもん!」プクー
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
11 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:19:09.72 ID:FGplaFnY - にこ「アイドルらしくなる練習をしてた?」
ルビィ「うゅ………」 凛「なーんだ、そうだったんだねー、てっきり凛は、最後に自分の名前を付けて話そうゲームをしてると思っちゃったにゃー」 にこ「それ、面白いの?絶対つまんないでしょ……」 ルビィ「で、でもっ!ル、ルビィはにこちゃんや凛ちゃんに比べると、その……キャラが弱いかなって思うから……特徴的なしゃべり方もないし……」 ルビィ「だからこうすれば、もっとみんなに覚えてもらえるなかなって……」 にこ「ルビィ……あんたそんな風に考えてたのね……」
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
12 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:19:53.94 ID:FGplaFnY - にこ「はぁ、バカね、そんなんで人気でたら、苦労しないわよ……」
にこ「それに、キャラを作る過程で自分を消したら、元も子もないじゃない」 凛「にこちゃんには言われたくないと思うにゃー」 にこ「ぬぅわんでよ!」 にこ「……それに、人気はファンの数じゃないのよ、一人でも自分を見てくれてる人がいれば、それはとても喜ばしいことなの」 にこ「だからあなたも、少しは自信を持ちなさいよね」 ルビィ「にこちゃん……うん!さすが銀河ナンバーワンアイドルだよっ!ルビィもっとルビィらしくなるために、せいいっぱい頑張ルビィするもん!」 にこ「……まっ、それにファンの数じゃにこには敵いっこないんだからね!にこっ!」 凛「せっかくいい事言ってると思ったけど、最後ので台無しだにゃー……」 にこ「うっさいうっさい!//これがにこの素なのよ!文句ある?」 凛「……やっぱりにこちゃんはにこちゃんだにゃー」 おわり
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
13 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:21:29.43 ID:FGplaFnY - 終わりです。お粗末様でした
マジで粗末なもので申し訳ない
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
15 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 02:30:31.15 ID:FGplaFnY - 普段は心が温まる系長編SS書いてます。良かったらぜひ
梨子「甘さと春と」曜「修学旅行!?」 https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1583664153/l50 聖良「バーテンダー始めました」 https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1583842392/ 歩夢「あなたにラブソングを」 https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1584512890/l50 千歌「イタズラ王決定戦!」 https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1585059873/l50
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
19 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:34:18.30 ID:FGplaFnY - 即死回避を兼ねて即興でもう一本だけ書かせていただきます
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
20 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:35:33.23 ID:FGplaFnY - ことうみまる
海未「穂乃果、次のライブのセットリストについてなのですが……」 穂乃果「あっ、海未ちゃん、どうしたの?どれどれ……」 花丸「……」 海未「ことり、新曲の衣装の案で少し相談が……」 ことり「うん、海未ちゃん、なんでも言ってみて?」 花丸「……」 ことり「……花丸ちゃん?どうしたの?気分、悪い?」 花丸「ずらっ!?い、いや、体調の方は大丈夫ずら。ただ……」 ことり「ただ?」 花丸「ことりちゃんも、海未ちゃんも、すごいなぁって思って……」
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
21 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:36:46.49 ID:FGplaFnY - ことり「すごいって、私たちが?」
花丸「ずら……。ライブの準備、力を合わせてテキパキと進めてて……お互いの役割が、わかってるっていうか……」 海未「ことり、花丸。何を話してるのですか?」 ことり「あっ!海未ちゃん!お疲れ〜」 海未「はい、ことりの方も、お疲れ様です」 ことり「花丸ちゃんがね〜、私たちのライブ準備の様子、褒めてくれてたんだ〜」 海未「そうでしたか、ありがとうございます。でも、特別なことは何もしていないと思いますが……。Aqoursのライブも、おそらく同じような感じでしょうし……」 花丸「いや、そういうことじゃなくて……」 花丸「ことりちゃんも海未ちゃんも、小さいころからずーっと一緒なんだよね?だから以心伝心の絆の強さを感じるなーって、思ったずら……」 花丸「マ、マルは、ルビィちゃんとは中学の時に知り合ったし、善子ちゃんは違う中学校だったりで、付き合いが長くはないから……」 花丸「だから時々、言い合いになっちゃうのかな、って……」 ことり「花丸ちゃん……」 ことり「……えいっ!」チョップ! 花丸「ずらっ!?なにするずら!?」
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
22 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:38:46.60 ID:FGplaFnY - ことり「花丸ちゃんが暗い顔してたから、おしおきです!」
ことり「スクールアイドルはいつも笑顔でいなきゃ、だよ?」 花丸「ずら……それは、わかってはいるけど……」 ことり「それにね、花丸ちゃん」 ことり「私と海未ちゃんと穂乃果ちゃんだって、最初から仲がよかったわけじゃないんだよ?」 ことり「海未ちゃんと穂乃果ちゃんなんて、小学校の頃はケンカばっかりで……ことり、大変だったんだよ〜」 海未「こ、ことり!?//その話はやめて下さい!//あの時は私も、幼かったといいますか……//」 海未「でも……ことりの言う通りだと思います。何も私たちみたいな関係性だけが、友達の在り方だというわけではありません。花丸たちは花丸らしい、関係性を築いてみてはどうでしょうか?」 花丸「マルたち、らしい……」 ことり「うん!だからいっぱいいーっぱいケンカして、仲直りすれば、いいんじゃないかな?」 海未「いえ、私はケンカしすぎるのも、どうかとは思いますが……」 ずら丸!ちょっとこっち来なさい!いいもの見せてあげるから! 海未「ほら、花丸。呼ばれてますよ?」 花丸「あっ、うん。海未ちゃん、ことりちゃん。どうもありがとうずら」タッタッ
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
23 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:41:14.50 ID:FGplaFnY - なんずら?善子ちゃん。マルに見せたいものって……
良く聞いた!リトルデーモンずら丸!それは…… 新しい堕天ポーズよ!ぎらんっ まーた下らないこと考えてたずらか。そんなことだと思ったずら 下らないって言うな!新たなリトルデーモン、ホノカエルと考えた、究極のポーズなんだからね! はいはい。よかったずらね〜。 ずら丸!ちょっとは私の話も、聞きなさいよ! うゆゆ……二人とも……ケンカはだめだよっ! ルビィちゃん、どこ行ってたの? さっきまでにこちゃんと凛ちゃんにスクールアイドルのこと教わってて…… あっ!そうだ花丸ちゃん!ルビィね、また一歩素敵なアイドルに近づけたんだよ! ルビィちゃん……よかったずらね、先輩たちから素敵なお話を聞けて うん!でねでね!花丸ちゃんにも聞いて欲しいんだ〜 ちょっとそこ二人!二人だけで会話しない! ぴぎぃ!も、もちろん善子ちゃんにも教えてあげるよぉ! あ、ありがと……ってそういうことじゃなくて!少しは私の話も聞いてよね! ……… … 海未「でも……あの様子だと……」 ことり「うん、そうだね……」 ことうみ「私たちがアドバイスしなくても、大丈夫そうだよね(ですね)……」 おわり
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- 千歌「私たちの!」穂乃果「短編集だよっ!」
24 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 03:43:04.13 ID:FGplaFnY - 本当に終わりです。非常にお粗末様でした
即興の割には回収できたので良かった……のかな? ここまでコメント&お読み下さった方々、本当にありがとうございました!
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
89 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:07:25.60 ID:FGplaFnY - ———
高校三年生 3月下旬 ピロリン 曜「……」 ——— 梨子:お願い曜ちゃん……もう一度だけ、元気な姿を見せて?曜ちゃんの声を聴かせて? 梨子:私ずっと、待ってるから メッセージを削除しますか? ▶はい いいえ ——— 曜(18)「はぁ……」スッ 19:36 曜「……」 曜(……もうお葬式、始まってる時間か) 曜「……」 曜「そろそろ、行くかな……」 曜「……」 曜(服とかの最低限の生活必需品は全部もう送ってあるし……いらないものは、全部全部捨ててしまった) 曜(……これで、準備完了だ) ガチャッ ……… …
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
90 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:08:49.82 ID:FGplaFnY - 沼津駅
曜「……」クルッ 曜(この景色も、もう二度とみることはないんだろうな……) 曜(スマホから連絡先も全て消したし、行先は誰にも伝えていない。だから、これでもう二度と沼津と、みんなと関わることはないはず……) 曜(次は……もう間違えないようにしなきゃいけない。もう二度とこんな惨めな想いなんて、したくないから) 曜(幸せなんてどこにもなくて、待ってるのは現実だけで、だから未来なんて、夢見ちゃいけない) 曜(恋とか努力とか永遠なんてものは幻で、全部歌詞だけの空想で) 曜(残ったのは中身のない、空っぽの言葉だけ) 曜(だから……幼い自分から脱しなくちゃいけない) 曜(そう、これが、私の本当の門出) 曜「……」 曜「行ってきます、そして」 曜「さよなら」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
91 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:10:57.27 ID:FGplaFnY - ———
由比ヶ浜海水浴場 曜(21)「……」ムクッ スッ 20:02 曜「……」 曜「じゃあ二時間近くここで眠ってたってことか……疲れてるのかな、私」 曜「……」 曜「帰ろ……」 曜(帰ったらなにしよ……と言っても特にやることなんてないんだけど) 曜(だから、ただ、なにもない日常が、帰ってくるだけだ) ……… …
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
92 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:12:50.86 ID:FGplaFnY - 曜(千歌ちゃんは死んだ)
曜(あんなに綺麗事を歌詞に並べてたのにあっさり死ぬなんて、嘘つきだって思った) 曜(……そして、千歌ちゃんが死んだ後の私は、ただの空虚な屍だった) 曜(そりゃそうだ。だって千歌ちゃんは、私の全てだったから) 曜(千歌ちゃんに嫌われないように、千歌ちゃんに認められるようになることだけが、私の生きる意味だったから) 曜(梨子ちゃんに一瞬気が向きかけたのだってそう、結局は千歌ちゃんを忘れたくて、千歌ちゃんに振り向いて欲しくて……) 曜(……) 曜(いや、今はもうどうでもいいか) 曜(ただ、これからは、静かに生きることに徹しなきゃいけない) 曜(周りを許さず、周りを乱さず、ただ息を吸い、吐くことの繰り返し。そこに感情なんて必要ない) 曜(これが、千歌ちゃんがいない世界で私が編み出した、私なりの処世術) 曜(だからこれは続いていく、再び千歌ちゃんに会えるようになる、その日が来るまで…… ……… … 曜(でも、それでも……) 曜(ときどき、本当に時々だけど) 曜(楽しかったあの時に帰りたいなんて、ついつい夢想してしまうのは) 曜(過去を振り返り、間違い探しで、トゥルーエンドを模索してしまうのは— 私の心が弱いから………なのかな?
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
93 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:14:02.76 ID:FGplaFnY - ———
高校3年生 3月上旬 梨子「ね、ねえ曜ちゃん!千歌ちゃん!あのね!もうすぐ私たち三人とも卒業で、みんな離ればなれになっちゃうじゃない……だからね!」 梨子「その、卒業旅行、とか、行きたいって、思ってて……どう、かな?」 千歌「わ、私も!み、みんなでどこか行けたら!その……楽しいよねって、思ってたから……」 梨子「うん、ありがと、千歌ちゃん……曜ちゃんは?」 曜「えっ!?わ、私!?……うーん、ほんとは梨子ちゃんと二人でお出かけしたいなって思ってたんだけど……」 曜(そ、それに、千歌ちゃんと一緒ってのは気まずいし……) 梨子「お願い曜ちゃん!私、どうしても最後に三人での思い出を一緒に作りたいの!」 曜「り、梨子ちゃんがそこまで言うなら……別に、いいけど……」 梨子「うん!ありがと曜ちゃん!じゃあ決まりね!」 千歌「あっ、そ、そういえば、私、どうしても三人で見てみたい景色があって—— ……… …
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
94 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:17:40.85 ID:FGplaFnY - 由比ヶ浜海水浴場
梨子「ここが、千歌ちゃんが見たかった景色?」 千歌「うん!この前SNSで偶然見つけて!綺麗だなって思って!二人にも見て欲しかったの!」 曜「……」 曜(確かに、景色はとても綺麗だ。それこそ吸い込まれてしまいそうなくらいに) 曜(……吸い込まれる、か。いっそのこと私なんて、いなくなっちゃえばいいのに) 曜(この前の春、千歌ちゃんに振られて、逃げるように梨子ちゃんにすがって……) 曜(私、今まで、何やってたんだろ……) 曜「……」ボーッ 梨子「……」 梨子「曜ちゃん、どうしたの?」 曜「えっ!?いや、なんでもないよ?」 梨子「そう。なら、いいけど……」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
96 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:19:23.55 ID:FGplaFnY - 千歌「……それにね、ほら、一年半前、Aqoursのみんなで海見に行ったことあったでしょ?考えてみたら、私たちだけで、こうしてゆっくりするのって、あんまりなかったから……最後くらいは、ゆっくりお話したいなって……」
梨子「千歌ちゃん……」 梨子「ねえ千歌ちゃん、ほんとは私たちに話さなきゃいけないこと、あるんじゃないの?」 千歌「梨子ちゃん……」 千歌「う、うん!あのね曜ちゃん!聞いて!私……」 曜「その話は聞きたくないの、千歌ちゃん」 曜「もうあれは、終わったことだから……私の中では完結してるから」 曜「だからもう、おしまいにして欲しい」 千歌「よ、曜ちゃん……違うの……私が言いたいのは、そういうことじゃなくて……」 曜「あっ、私ちょっと喉乾いたから、飲みもの買ってくるね?」 千歌「よ、曜ちゃん!ま、待って!」 曜「……」ダッ
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
97 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:21:05.84 ID:FGplaFnY - ………
… 曜「………ここまでくれば、もう大丈夫かな」 曜(……) 曜(なんで私逃げ出しちゃったんだろ……これじゃ何の解決にも、なりはしないのに……) 曜「違う!逃げてなんかない!だってあれは、私のあの恋は、あの時もう終わったものだから!」 曜(終わってなんかない……だってこんなに好きなんだもん。こんなんじゃ、梨子ちゃんに対しても失礼だよ……) 梨子『私、曜ちゃんのこと、大好きだもん』 千歌『だから、付き合うとか、その、そういうことは、出来ないっていうか……』 曜「……」ズキッ 曜「うるさいうるさい!私の気持ち、もてあそばないでよ!」 曜「はぁっ………はぁっ………」 曜(もうどれが私の気持ちなのか、わかんないよ……) ……… … 卒業式を来週に控えた、暖かい春の日のことだった
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
98 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:24:49.46 ID:FGplaFnY - ———
曜(21)「……」パチッ 曜(夢を、見ていた……) 曜(……) 曜(いや、あれは……) 曜(もうすっかり記憶の底にしまいこんでいたけど……) 曜(……紛れもなく、私の思い出だ) 曜「だから梨子ちゃん、あの時あんなこと言ってたのか……」ボソッ 曜(梨子ちゃん……) 梨子『バカ!曜ちゃんのバカ!曜ちゃんなんて大っ嫌い!ホントのホントにだいっきらい!』 曜「うっ……」ズキッ 曜「いや、思い出すな、私。もう後ろは振り返らないって、あの日……」 千歌『あ、あのね!曜ちゃん!聞いて!私……』 曜「……」 曜「千歌、ちゃん……」ポロッ 曜「……」 曜「千歌ちゃんなら、こんなことになっても、上手く……みんなを幸せに、できるのかな……?」 曜「……」 曜「千歌、ちゃん……」ポロポロ 曜(やっぱり私、千歌ちゃんがいないと、何もできなくて……周りの人をただ傷つけるだけで……) 曜「やっぱり千歌ちゃんはすごくて、まぶしくて……いつまでも私の憧れで、忘れられるわけなんてなくて……」 曜「ぐすっ……お願い……会いたいよぉ、千歌ちゃん…… ………
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
99 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:28:16.91 ID:FGplaFnY - ………
… 曜(どれくらいの時間、私は泣いてたんだろ……) 曜(きっと、ひどい顔になってるんだろうな……ははは……) ピンポーン! ドンドン! ??「曜……じゃない、渡辺さーん!起きてますかー?お届け物ですよー!」ドンドン! 曜「……」 曜(……うるさいな……今それどころじゃないから、無視しとこ) ??「こら!起きてるんでしょ!もうっ!開けなさいよ!」 曜「……」 ガチャッ 曜(なんだ、郵便局の人か……) 配達員?「はいこれ、郵便物。ちゃんと渡したからね、あとは頼んだわよ?」 曜「えっ、あっ、はい……ありがとう、ございます……」 曜「あのっ、印鑑とかは……」 配達員?「いらないわよ!そんなん!」 曜「そ、そうですか……わかりました……」 曜(ちょっと態度悪くない?この人……) 配達員?「あとは貴女の問題なんだから、しっかりしなさい!」 配達員?「で、でもっ!わ、私も詳しいことは、知らないんだけどっ!そ、その……」 配達員?「お、応援くらいは、してるんだから、頑張りなさいよね!」 曜「えっ!?あっ、はい、ありがとう、ございます……」 曜(私も何を応援されてるか、わからないんだけど……)
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
100 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:29:38.26 ID:FGplaFnY - 曜(郵便物は、二通の封筒……)
曜(差出人の名前は………桜内梨子) 曜「うっ……またお説教か……」 曜(そう考えるだけで、さっきまでの興奮が冷めていき、憂鬱な気分になる) 曜(でも……) ……… … ビリッ 曜(私は堕落した自分の中に残る、微かな勇気をかき集め、封を切るのだった)
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
101 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:31:30.81 ID:FGplaFnY - ———
渡辺 曜ちゃんへ お久しぶりです 曜ちゃんは多分、私のことなんて思い出したくないんだろうけど でも、私は曜ちゃんにどうしても伝えなきゃいけないことが一つだけあるから…… だから、私の最後のワガママを、どうか許してください 曜ちゃんあの日、千歌ちゃんのことわかったような態度とらないでって、私に言ったよね? ごめんね曜ちゃん。私、曜ちゃんの気持ち、考えないで きっと曜ちゃんと千歌ちゃんには、私の何倍もの思い出が積もってるのに でもね、曜ちゃんが知らない千歌ちゃんのこと、私は一つだけ知っています 今日話したいのは、千歌ちゃんの最期のことです ——— 曜「梨子ちゃん……」 曜(何、どういうこと!?千歌ちゃんの最期って……) 曜「でもっ!千歌ちゃんのあれは!事故だったはず!突っ込んできたトラックに、偶然……だから、最期なんて、何も、ないはず!なのに……」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
102 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:33:31.49 ID:FGplaFnY - ———
私が説明するより、千歌ちゃん本人に説明してもらった方が、いいのかな? ねえ曜ちゃん、曜ちゃんはもう覚えてないかもだけど、実は私たち三人、卒業間近のころに、海を見に行ったことがあってね その日ね、曜ちゃんのいないところで私、言われたんだ、千歌ちゃんに 曜ちゃんともう一回、仲良くなりたいって ——— 曜「……」 曜「忘れるはず、なかったのに……大切な千歌ちゃんとの思い出、なのに……」 曜(そ、それよりも!もう一度私と仲良くなりたいって!?千歌ちゃんが!?……) 曜「……」 曜「じゃ、じゃあ!私が千歌ちゃんのこと避けてたこと、気にしてくれてたんだ、千歌ちゃんも……」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
103 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:34:42.42 ID:FGplaFnY - ———
お願いです。千歌ちゃんと向き合ってあげて下さい きっとそれが、千歌ちゃんの最後の願いだと思うから そしてこれが、私が千歌ちゃんにしてあげられる、唯一の恩返しだから ごめんね曜ちゃん、私のワガママにここまで付き合ってもらっちゃって 本当は再会した時に言えばよかったんだろうけど、私あの時、嬉しくて舞い上がっちゃってたから 私ね、曜ちゃんに出会えて本当によかったって思う 高校の時のことも、再会してからのことも、全部全部、私の大切な思い出だから たとえ曜ちゃんが忘れちゃってもだよ? だから…… 今までありがとう そして大好きだったよ、曜ちゃんのこと 桜内梨子 ———
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
104 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:37:18.50 ID:FGplaFnY - 曜「……」
曜「そ、そうだったんだ……あの日、梨子ちゃん、私に大切なこと伝えようとしてて……それなのに私、突き放すようなことしちゃって……」 曜「バカだなぁ……私、いつまで経ってもバカ曜だよ……」ポロポロ ピラッ 曜「あっ、これ、もう一つ封筒……セットになってるんだ……」 曜「……!!!?」 曜(えっ!?嘘!?裏に書いてある差出人……千歌ちゃんから!?) 曜「そんなわけない!だ、だって千歌ちゃんはあの日、死んじゃって……」 曜(で、でもこの文字、確かに千歌ちゃんの文字にそっくりで……見間違えるわけ、ないよね……) 曜「で、でもっ!もしもこれが、千歌ちゃん本人からの手紙、だったとしても……もう今見ても、しょうがない、し……」 曜(そ、それに、千歌ちゃんの本当の気持ちを知るのは、物凄く、怖いよ……だって私、一度千歌ちゃんに拒絶されちゃってるんだよ?今更もう、どうにもならないよ……) 曜(だから、中身を見るのが、真実を知るのが、どうしようもなく怖い、けど……) ……… … ビリッ
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105 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:38:08.08 ID:FGplaFnY - ———
曜ちゃんへ これを渡すときはきっと、卒業式間近ってときだよね、きっと 曜ちゃん、卒業おめでとう!って私もか!笑 実は曜ちゃんに、言わなくちゃいけないことがあります 本当はもっと早く伝えようって思ってたんだけど、どうしても勇気が出なくて ほら、私ってさ、臆病だから ——— 曜「そんなことない!千歌ちゃんは臆病なんかじゃない!臆病なのは、私のほうで!だって、私、ずっと千歌ちゃんのこと、避けて生きて、きたから……」 曜「……」 ペラッ
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
106 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:39:58.11 ID:FGplaFnY - ———
伝えたかったのは、あの日のことです 曜ちゃんが思い切って、告白してくれた、あの日のこと 本当はね、私も曜ちゃんのこと、嫌いじゃなかったんだ。むしろ大好きなの でも、あの時、私の好きと曜ちゃんの好きは違うんじゃないかなって思っちゃって…… ほんとは、何も違わないのに……私が曜ちゃんを大切に思う気持ちと、曜ちゃんが私を特別だって感じることは、同じくらい大事な気持ちなはずなのに…… だからごめんなさい。あの時の曜ちゃんの気持ちを、否定しちゃって それから曜ちゃんは梨子ちゃんと恋人になって もう私は曜ちゃんの特別な人にはなれないかもしれない、でも 曜ちゃんとは、いつまでも友達でいたいの あのね曜ちゃん。特別にはなれなくてもいい。けど 私は曜ちゃんの、帰る場所でありたいです 幼馴染として、曜ちゃんが疲れた時にはそっと優しい言葉をかけてあげられるような、そんな関係でありたいです だめ、かな? ごめんね曜ちゃん 私が口下手だから、勘違いしさせちゃって 今までの全部を許してなんて言える立場じゃないけど……でも…… 少しでも、歩み寄っていけたら、いいのかなって思うんだ だって私たち、幼馴染だもん きっとこの手紙を読んでる曜ちゃんは、もうすぐ東京に行っちゃおうって時なのかな? 曜ちゃん、東京に行っても、私のこと、忘れないでね それから…… またいつか会おうね、曜ちゃん! 私はいつまでも、内浦で、待ってるから! ずっと曜ちゃんのこと、大好きだよ 高海千歌より ———
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
107 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:42:24.20 ID:FGplaFnY - 曜「……」
曜「千歌、ちゃん……じゃあ、あの時千歌ちゃんが言おうとしてたのは、私が嫌いだってことじゃなくて……」 曜「そ、それに千歌ちゃんは、私のこと、梨子ちゃんのこと、誰よりも考えてくれてて……」 曜「本当は、誰よりも苦しい思いをしてたのは、千歌ちゃんだったはずなのに……」 曜「私、逃げてばっかで、千歌ちゃんのこと、顔も見ようとしないで……」 曜「……」 曜「ごめん、ごめんね……千歌ちゃん……」ポロポロ 曜「私、私、誰よりも千歌ちゃんのこと、好きだったのに!誰よりもそばに、いたはずなのに!こんな簡単なこと、気づけなくて!自分勝手で! 曜「……」 曜「幼馴染、失格だよぉ……」 ……… …
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
108 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:43:49.41 ID:FGplaFnY - 曜「……」
曜「……行かなきゃ」 曜(……でも、どこに?) 曜「それは……」 曜「……待ってくれてる、千歌ちゃんの、ところに」 曜(でも、千歌ちゃんは、もう……) 曜「……違う!違う違う違う!千歌ちゃんが約束を破るはずがないんだよ!」 曜「私が憧れた千歌ちゃんは、私の好きな千歌ちゃんは!まだ……まだ……!」 曜「だからまだ、終わってない!終われないんだよ!」 曜(これは無駄足かもしれない。意味なんてないのかもしれない) 曜「けど……けどっ!私も!やれることは全部やらなくちゃいけないんだよ!」 曜(これが私の、償い、なんだ。覚悟、なんだ) 曜「………」 曜「だから行かなくちゃ、千歌ちゃんのところに」 曜(気づいた時には既に、私の足は動き出していた)
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
109 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:45:06.20 ID:FGplaFnY - 沼津駅
曜「ついに……戻ってきた……」 曜「……」 曜(この景色……二年半ぶり、か……) 曜(まさかこんな形で戻ってくるなんて、思ってなかったな……) 曜(とりあえずここまで、来てみたはいけど……) 曜「どこ、行けばいいんだろ……」 キショウケイユ オセミサキイキバス マモナク ハッシャシマス 曜「……」 曜「……内浦、行ってみるかな」 曜(で、でも……私次内浦に踏み入れたら、海の藻屑にされちゃうんだよね……果南ちゃんに) 曜(そりゃそうか……千歌ちゃんを傷をつけまくった上に、お葬式まですっぽかして、消息不明になっちゃうんだもんな……) 曜「……」 曜「でも……」 曜「……」 曜「私だって、千歌ちゃんのため、なんだよ?」 曜(ワガママで傲慢で自己中心的で独りよがりだけど……) 曜「これしか今の私に出来ること、ないんだから……」 曜「これが私の精一杯の、決心だから」
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111 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 19:59:19.19 ID:FGplaFnY - ———
三津浜 ザァ~……ザァ~ン…… 梨子「……」ボーッ 梨子「終わっちゃった、な……」 梨子(きっと、完全に嫌われちゃった、よね……あんなひどいこと、言っちゃったんだもん……) 梨子「曜ちゃん……」 梨子(あなたのことを忘れよう、忘れようって思ってるのに……) 梨子「どうしてこんなに、想いが溢れてくるの……?」ポロポロ 梨子「どうして……どうして……?」 梨子(あなたのことを、忘れられないの?) ……… …
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112 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:00:22.85 ID:FGplaFnY - ———
高校二年生 3月 梨子「千歌ちゃん、どこ行っちゃったのかしら?新曲の打ち合わせ、しようと思ってたのに……」 梨子「あっ曜ちゃん!千歌ちゃん、どこにいるか……」 曜「あのっ!私!ずっと千歌ちゃんのことが好きで!」 梨子「!!!!!?」ササッ 曜「だから……その……」 曜「私と、付き合って下さい!」 梨子(ななな、何!?ここ、告白!?よ、曜ちゃんが!?だ、誰に!?)チラッ
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113 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:01:02.17 ID:FGplaFnY - 千歌「……?」
梨子(ち、千歌ちゃん!?じゃ、じゃあやっぱり曜ちゃん、ずっと、千歌ちゃんのこと……) 千歌「ずっと、好き、って……その、恋人としてってこと?」 曜「う、うん……そう、だけど……」 梨子「……」 千歌「ええっ!?曜ちゃんが!?」 千歌「……」 千歌「その、私、曜ちゃんのことそういう風に見れないっていうか、ほら、私たちって幼馴染だし……」 千歌「だから、付き合うとか、その、そういうことは、出来ないっていうか……」 千歌「だから、ごめんなさい」 曜「ち、千歌ちゃん……」 梨子「……」
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114 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:02:44.38 ID:FGplaFnY - 曜「そ、そうだよねー……普通、女の子どうしで付き合うとか、考えられないよねー……」
曜「だから、千歌ちゃん、この話はなかったってことで!」 千歌「あっ、曜ちゃん待って!」 曜「じゃあ千歌ちゃん、私用事あるから!」ダッ 千歌「曜ちゃん……別に私、曜ちゃんのこと嫌いとかじゃないのに……私が言いたいのは、そういうコトじゃなくて……」 千歌「……」 千歌(それに、梨子ちゃんは曜ちゃんのこと、少なからず想っているだろうから、そこに私の入る隙間はないっていうか……) 千歌「あーあ……上手くいかないなぁ……」 梨子(ま、まずい!!千歌ちゃんがこっち来ちゃう!) 梨子(ど、どうしよう……話聞いてたこと、千歌ちゃんにバレちゃうよ……ど、どこかに隠れないと!でも、どこに!?) 千歌「はぁ……教室戻ろ……って、梨子ちゃん!?」 梨子「ち、千歌ちゃん……」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
115 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:03:56.82 ID:FGplaFnY - 千歌「も、もしかして……さっきの話、聞かれちゃってたとか!?」
梨子「ご、ごめん千歌ちゃん!千歌ちゃんのこと探してたらたまたま……ごめんね!悪気はなかったの!」 千歌「……」 千歌「ううん、私は、別に、気にしてないから、いいんだけど……」 千歌(梨子ちゃんと曜ちゃんの関係まで、壊れちゃわないか、心配で……) 千歌「……」 梨子「ご、ごめんね!千歌ちゃん!私、先教室戻ってるね!」アタフタ 千歌「え、あ、うん……」 梨子(……) 梨子(曜ちゃんが千歌ちゃんのこと、その……女の子として、好きってことで……) 梨子(もう、私までどうしたらいいか、わからなくなっちゃうじゃない……) ……… … 梨子(それから間もなく、私たちは三年生になって……) 梨子(……曜ちゃんはあまり学校に、来なくなりました)
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116 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:05:31.84 ID:FGplaFnY - 高校三年生 6月
梨子「千歌ちゃん、どうしたの?私に話したいことって……」 千歌「ごめんね梨子ちゃん。わざわざ部屋まで来てもらって……」 梨子「いいのよ別に、すぐ近くだし……」 千歌「実は、曜ちゃんのことなんだけど……」 梨子「えっ!?よ、曜ちゃん!?//曜ちゃんのこと、って、どういう意味なの?//」 千歌(本当にわかりやすいなぁ、梨子ちゃんは……) 千歌「曜ちゃん、最近学校来られてないでしょ?そのことで、梨子ちゃんに相談したいことがあって……」 梨子「あっ、うん、そのことね……それは私もずっと心配してて……私も何か出来たらなって思ってたんだけど……」 千歌「うん、そうだったんだ……」 千歌「あのね、梨子ちゃん……実はね、多分なんだけど……」 千歌「曜ちゃんがああなっちゃったのって、その……私のせいじゃないかって、思ってるんだ」
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117 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:07:06.01 ID:FGplaFnY - 梨子(えっ!?)
千歌「ほら、二年生の最後に、私、曜ちゃんの告白、拒んじゃったでしょ?それが、曜ちゃんの気持ちを、深く傷つけちゃったんじゃないかって……私の思い上がりかもしれないけど……」 梨子「で、でも、それは……」 梨子(……そうよね。ずっと想い続けてきた……大切な人に、振られちゃったんだもん。傷つかないわけ、ないわよね) 梨子(それに、曜ちゃんは、ああ見えて、とても— 千歌「ごめんね梨子ちゃん、私、大切な三人の関係、全部バラバラにしちゃった」 梨子「で、でもっ!!千歌ちゃんだけが悪いんじゃなくて!私だって、曜ちゃんの苦しさに寄り添ってあげられなくて!だから!その……」 梨子「……誰が悪いとか、壊れちゃたとか、そんな簡単に言わないでよ……私、まだ、何もしてあげられてないのに……」ポロッ 千歌「梨子ちゃん……」 千歌「……うん、ごめん。梨子ちゃん」 梨子「謝らないでよ……千歌ちゃんは悪くなくて、誰も悪くないのに……だから、こんなに悲しいのに……」 梨子「千歌ちゃん、私、どうしたらいいのか、わかんないよぉ……」グスッ 千歌「うん、私も、もう、わかんないや……」ポンポン 梨子「千歌ちゃん……ぐすっ、うぇーーん!!!もう!バカ!千歌ちゃんと曜ちゃんが全部悪いのに!私まだ何もできてないのに!!!」 ……… …
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
118 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:07:54.75 ID:FGplaFnY - 梨子「ぐすっ……ぐすっ……」
千歌「……梨子ちゃん、落ち着いた?」 梨子「うん。ありがと、千歌ちゃん」 千歌「ううん、いいの、私は」 千歌「でも……梨子ちゃんは、本当に曜ちゃんのことを思ってくれてるんだね。私なんかとは比べ物にはならないくらいに」 梨子「えっ!?そ、そんなこと、ない、と、思う、けど……」 千歌「だからね、私、梨子ちゃんに一つだけ聞いて欲しいお願いがあるんだ……梨子ちゃんにしか頼めなくて……梨子ちゃんにしか、出来ないことだから」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
119 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:09:15.52 ID:FGplaFnY - 後日 渡辺家
千歌『梨子ちゃん、曜ちゃんのこと、よろしくね!曜ちゃんのこと助けてあげられるのは、梨子ちゃんだけだから……』 梨子「って千歌ちゃんは言ってくれてるけど……なんの根拠があるのかしら……」 梨子(で、でも、曜ちゃんと二人っきりになれる、ひ、久々のチャンスだし……) 梨子「が、頑張らなきゃ……なのかな……」 ピンポーン 梨子(曜ちゃん、私とお話、してくれるのかな……)ドキドキ ……… … コンコン 梨子「曜ちゃん、私よ。梨子です」 梨子「……開けて、欲しいな?」 曜「……」 梨子「……」 梨子「入る、わね?」 ガチャッ 梨子「曜ちゃん……よかった、生きてる、のね……」 曜「梨子ちゃん……そりゃ、まぁ、生きてる、よね……」
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- 曜「千歌ちゃんだけがいないセカイで」
120 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2020/04/01(水) 20:10:42.81 ID:FGplaFnY - 梨子「曜ちゃん……!」ガバッ
曜「えっ!?梨子ちゃん!?……いきなり抱き着かれると、苦しいよ〜」タハハ 梨子「曜ちゃん!もうっ、私、心配で心配で……今まで顔も見せてくれなかったから……」 梨子(それに曜ちゃん、すごい震えてて……) 梨子(ごめんね曜ちゃん、今まで一人っきりにしちゃって……) 梨子(ほんとは私も曜ちゃんの苦しさに、気づいて、あげられてたのに……) 梨子「だからお願い、もう少しだけ、このままでいさせて……」ギュッ 曜「……」 曜「……ねえ梨子ちゃん、そのままでいいから聞いて?」 梨子「なあに、曜ちゃん?」 曜「……」 曜「……梨子ちゃんはさ、私のこと必要だって、思ってくれてる?」
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