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書き込み順位&時間帯一覧

6 位/2762 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数000000000000000000092490042



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しで叶える物語(しうまい)
名無しで叶える物語(しうまい)
穂乃果「羅舞雷武!!」

書き込みレス一覧

穂乃果「羅舞雷武!!」
65 :名無しで叶える物語(しうまい)[]:2020/03/29(日) 19:32:15.56 ID:SkbXDFwl
一回戦 音乃木坂高校vs八千代学院

荒野

凛「行くよかよちん!『雷鳴』!」

凛が両手を勢いよく合わせると正に雷鳴かのような重低音が空気を震わせる!余りの轟音に相手は耳を抑えて膝をついた

花陽「『岩弾』!」

事前に耳を塞ぎ硬直を免れていた花陽。魔力を操り巨大な岩石を高速で打ち出す!

生身では頭が吹き飛びかねない程の衝撃!無防備なまま食らえばいくら魔力の補助があろうとも気絶は免れない!

『平田選手、リタイア。八千代学院の選手が全滅した為音乃木坂高校の勝利です』

〜〜〜〜

真姫「無事一回戦は勝利ね。出番がなくて寂しいわ」

希「9対4じゃ流石に負けへんね。それに真姫ちゃんが動くってことはウチらに怪我人が出るってことだから仕事はない方がええやん?」

真姫「まぁ…一理あるわね」

絵里「まだ楽に勝てるかもだけど、どんどんきつくなるからね。速く帰って休むのよ」

全員「はい!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
66 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:33:25.62 ID:SkbXDFwl
『雷鳴』 ステージ2

雷の音に花陽が驚いているのを見て凛が閃いた技。戦闘にも使えるが凛はよくこれで穂乃果たちを驚かせて遊んでいる
穂乃果「羅舞雷武!!」
67 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:34:59.79 ID:SkbXDFwl
2回戦 関東第一高校vs音乃木坂高校



希「『駆けよ 戦車』!乗って穂乃果ちゃん!」

穂乃果「うん!」

希と肩を寄せ会うようにして穂乃果が馬車に乗り込む。即席の移動砲台というところだろうか

海未「これなら…絵里!」

絵里「…!」

辛い修行を共にした信頼関係が高速の連携を構築する!

馬車の行く先に天へと伸びる水のアーチが1つ。それは即座に凍結し道となる!

希「ナイス絵里ち!海未ちゃん!」

道が次々と増殖していく。縦横無尽に道が生み出され気がつけば相手を立体的に包囲している!

田原「う、うそ!」

『力』の強化を受けた馬が跳躍と落下を組み合わせた三次元移動で相手を包囲するように疾走!

右と思えば左から。斜め右と思えば真上から。斜め、横、縦の三方向から穂乃果の『大火球』が襲いかかる!

それは言うなれば火の乱舞!直撃すること十数度!魔力が持たず田原は倒れる

『田原選手 魔力切れのためリタイアです』

穂乃果「おぇぇぇぇ!!!」ゲロゲロ

希「ぎゃあああ!!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
68 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:36:36.26 ID:SkbXDFwl
3回戦 柏森高校vs音乃木坂高校

ジャングル

ことり「合体技、いくよ穂乃果ちゃん!」

穂乃果「オッケー!たぁ!」

穂乃果は手から白色の火炎を放ち、そこから手を薙いで扇状へ振り撒く。そこへことりが阿吽の呼吸。見事に合わせる!

ことり「風よ…『旋風刃』!」

穂乃果 ことり「 『灰塵剣』!」

何もかもを断ち切る刃が業火を纏う!一帯を焦土へ変え、切り刻み、灼熱の風刃が蹂躙する!!!

種田「うぁぁぁぁぁ!!」

『種田選手 魔力切れのためリタイアです』

〜〜〜〜
控え室

穂乃果「これで準決勝!」

海未「そして遂にUTX戦…ですね」

凛「勢いに乗ってるのは凛たちだよ!」

絵里「その通りね!さぁ、明日も早いわ。帰って休み…」

希「話があるから待って!それも結構大事な!」

にこ(きたわね!)

絵里「話?」
穂乃果「羅舞雷武!!」
69 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:42:01.64 ID:SkbXDFwl
希「うん。実はね、ウチはこの夏を迎えるのは2回目なのだ!言ってしまえばタイムトラベラーってところやね!」

全員「…」

真姫「もしもし。パパ?」

希「わぁぁ!?にこっち!!」

にこ「あーもう!『止まれ』!」

にこ「時間停止を便利な道具扱いしないでよね…真姫ちゃんのスマホを取ってっと…」

真姫「…あぁ!トラナイデ!」

海未「いきなり何を言い出すかと思えば…」

にこ「言い方が最悪よ…」

希「話だけでも聞いてくれへん…?」

絵里「まぁ聞くぐらいなら良いけど…その、これが2回目の夏ってどういうこと?」

希「そのままの意味やね。ウチは少し先の未来から過去へ戻ってきたんよ」

穂乃果「希ちゃんって未来人なの!?凄い凄い!」

真姫「いきなりそんなこと言われて信じられるわけないでしょ?何か証明出来るならともかく…」

希「あるある!皆からこれを聞けば信じるって合言葉を聞いてきたから!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
70 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:43:41.31 ID:SkbXDFwl
絵里「合言葉?」

希「例えばことりちゃんならマケミちゃん…」

ことり「ピィ!やめて!信じるから!」

海未「マケミ…?なんですかそれ?」

ことり「…特に意味はないよ」

海未「はぁ…そうなんですか…?」

希「ね?信じてくれる?」

絵里「ことりの反応を見るにでたらめでもなさそうだけど…」

希「まだ信じない…じゃあ絵里ちは昔暗いところでおも…」

絵里「信じるから…それ以上はやめて…!」

凛「あの2人を一瞬で…!」

穂乃果「その話を詳しく!」

にこ「そこが本題じゃないわ。希、そろそろまじめに」

希「…そうやね。じゃあ何でウチが2回目の夏を過ごしているのかその理由からいこうか」
穂乃果「羅舞雷武!!」
71 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:47:50.42 ID:SkbXDFwl
希「理由は2つ、廃校の確定と穂乃果ちゃんだよ」

穂乃果「廃校…!それに私…?」

海未「どういうことですか!?」

希「まずは廃校の話から。ウチらは明日のUTX戦で惨敗する」

凛「凛たち負けちゃうの…?」

希「うん。それに負けかたが酷くてね、人も集まりそうだったけど駄目になっちゃったんよ…」

花陽「愛沸は理想の偶像…惨敗なんてしたら確かに人気は落ちちゃうかも…」

希「そして穂乃果ちゃんと言った意味やけど…明日の試合で穂乃果ちゃんは大怪我をする」

穂乃果「怪我…?骨折とか?」

希「失明やね」

凛「え゛っ」

ことり「そんな!?」

絵里「う、嘘でしょ…」

希「残念ながら本当やよ。この2つを何とかする。それがウチの目的」

ことり「どうして…失明なんて…」

希「穂乃果ちゃん、今開発中の技ある?」

穂乃果「うっ…ある…目を使う技が…」

希「それのせいやよ。使うのは本当にやめてね」

海未「穂乃果…お願いですからやめてくださいね…」

穂乃果「う、うん…(もう少しで出来そうなんだけどなぁ…)」
穂乃果「羅舞雷武!!」
72 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:54:08.59 ID:SkbXDFwl
希「でもそうならないように準備はしてきたよ」

真姫「準備?」

希「皆に過去の経験を無意識下に刷り込んだり、前回の出来事を夢に見させたり、ね」

穂乃果「あの変な夢ってまさか希ちゃんの!?」

希「多分そうやね」

ことり(ひょっとして練習試合の時のも…)

にこ「それに刷り込み…皆の成長の早さもそれが原因ね!」

絵里「素直に喜んでたわ…そんな裏があったなんて…」

希「漫画やアニメでもあるまいしそんなポンポン成長するわけ無いやん?」

絵里「ぅ…確かに…」シュン

真姫「それなら前の時より私たち強くなってるってことよね?UTX戦には勝てそうなの?」

希「はっきり言うね…絶対に勝てない」
穂乃果「羅舞雷武!!」
73 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 19:54:43.90 ID:SkbXDFwl
『吊し人』ステージ3

合言葉は『翻れ 吊るし人』

ループや前周までの出来事を今周に持ち越したり出来る

ことりや花陽が戦闘に慣れるのが早かったのも、全員の成長速度が異常であったのも、大体がこのカードの影響

この影響がなければ初戦でにこに勝つことや練習試合の勝利は不可能だった

時間の流れに歪みを発生させるため時間系能力者は違和感を感じとることが可能
穂乃果「羅舞雷武!!」
74 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:07:42.38 ID:SkbXDFwl
穂乃果「…!」

希「落ち込まんでもいいよ。勝てないのは最初から織り込み済みやから」

絵里「…どういうこと?」

希「明日惨敗さえしなければ、花陽ちゃんの言葉を借りるなら偶像に傷をつけるような事にさえならなければ廃校は何とかなると思う」

希「というよりそれに懸けるしかないんやけどね…」

希「明日は絶対勝てない相手に出来る限り食らいつく必要がある…厳しい戦いになるけど力を…」

絵里「駄目ね。認められないわ」

希「…え?」

絵里「あなた最初から負けるつもりなの?」

希「それは…」

絵里「あなたが萎縮する気持ちもわかる。だけど負けを受け入れることはないじゃない」

希「…じゃあどうするつもりなん?」

絵里「決まってる!明日も全力で勝ちにいくのよ!」

希「言ったでしょ…絶対無理やよ。傷1つ与えられずに終わる…」

にこ「てい!」ペチッ

希「あいたっ!」

にこ「あなたはどっちの味方なのよ!さっきからUTXばかり持ち上げて!」

花陽「そうだよ!私たちとUTXどっちが大事なの!?」

凛(ヤンデレみたいなかよちんも好きにゃ〜)

希「うぐっ…ごめん…」

絵里「無理かどうかは明日の試合が終わって初めてわかるわ。私たちを信じてみない?」

凛「そうだよ!最初からそんな気持ちじゃテンション下がるにゃー!」

海未「捲土重来です。前より私たちは強くなっているのですよね?諦めるなんて勿体ないですよ」

希「…そうやね!最後まで足掻くよ!」

絵里「その意気よ!そうと決まれば今から作戦会議ね!」

穂乃果「よーし皆!羅舞雷武で廃校を救うよ!!」

全員「おぉ!!!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
75 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:09:41.95 ID:SkbXDFwl
〜帰り道〜

穂乃果「海未ちゃ〜ん、喉乾いたから水出してよ〜!サイダーがいい!」

海未「仕方ありませんね…」シュワシュワ

ことり「ことりも涼しい風出してあげるね」フワー

穂乃果「あ、なら穂乃果も火を…」

海未「あなたはなにもしなくていいですから!」

穂乃果「えへへ…明日、勝ちたいね」

海未「…そうですね。廃校を無くすためにも…!」

穂乃果「ううん、違うの」

ことり「え?」

穂乃果「ここまでいっぱい修行してきたじゃない?馬車に轢かれたり、氷漬けになったり、雪崩に巻き込まれたり…」

ことり(きつい修行ってだいたい絵里ちゃんだね…)

穂乃果「学校の為にだけじゃなくてさ、個人的に勝ちたいって言うのかな。負けなくない」

海未「ふふ、負けず嫌いの穂乃果らしいですね」

ことり「きっと皆そうだよ、毎日頑張ってきてたもの!もう学校の為だけにやってるわけじゃないと思うな」

穂乃果「うん。やりきろうね、最後まで!」

〜穂乃果家〜

穂乃果「廃校は嫌…それ以上に勝ちたい…!」

穂乃果「このまま寝てなんかいられないよね!希ちゃんにはああ言ったけど…開発中の技、完成させなきゃ!」

穂乃果「目に魔力を集めて…!」バッ
穂乃果「羅舞雷武!!」
76 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:11:33.57 ID:SkbXDFwl
準決勝 当日

音乃木坂高校 控え室

絵里「舞台は城に決まったわ。開始地点は城の天守閣からだって」

海未「希の言った通りですね…それにしても平地に1つ大きな城があるというのも何だか違和感のある光景のような…」

真姫「土属性って便利よね。こんな建築まで出来るんだから」



穂乃果「試合が始まったら天守閣から飛び降りるんだっけ?」

花陽「結構高いよね…怖いなぁ…」

凛「凛が受け止めてあげるよ!」

希「本当に最初の数秒で天守閣が吹き飛ぶからね。躊躇しないで飛ぶんやよ?」

絵里「そろそろ時間ね。皆ついてきて」
穂乃果「羅舞雷武!!」
77 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:12:26.87 ID:SkbXDFwl
UTX控え室

ツバサ「今度の相手ってどこだっけ?」

あんじゅ「音乃木坂高校よ」

ツバサ「無名校ね…あ!いいこと思い付いたわ!」

あんじゅ「どんなの?」

ツバサ「一撃で天守閣吹き飛ばしたらすぐに帰れるわよね!」

あんじゅ「…つまらないことするのね」

ツバサ「めんどくさいもの。さっさと終わらせるに限るわ」

ツバサ「ところで英玲奈は?」

あんじゅ「校長から電話だって。外にいるわ」

ツバサ「またか…本当に学校の犬ね」

あんじゅ「そういうこと言わないの!」

ツバサ「ごめんごめん。何かめぼしい選手とかいれば暇も潰せるんだけどね…」

あんじゅ「一応矢沢にこがいるわよ」

ツバサ「矢沢…惜しかったわね。ステージ5のままなら遊び相手になったのに…今は興味もないかな」

あんじゅ「辛辣ね…そろそろ時間だわ。英玲奈を呼んで来るから先に行ってて」テクテク

ツバサ「はいはい」テクテク

英玲奈「出……範………木…を守…ですか。失礼します、人が来ました」ピッ

あんじゅ「あ、いた。電話は終わった?そろそろ時間よ」

英玲奈「…あぁ。わざわざすまないな」
穂乃果「羅舞雷武!!」
78 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:13:04.58 ID:SkbXDFwl
穂乃果

属性 火 魔力量135752

海未

属性 水 魔力量142942

ことり

属性 風 魔力量128415

真姫

属性 治療 魔力量54369



属性 雷 魔力量96254

花陽

属性 土 魔力量87400

絵里

属性 氷 魔力量216840


属性 タロットカード 魔力量164210

にこ

属性 時 魔力量150000
穂乃果「羅舞雷武!!」
79 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:14:26.94 ID:SkbXDFwl
訂正

【現在の能力値】魔力量=戦闘力

穂乃果

属性 火 魔力量135752

海未

属性 水 魔力量142942

ことり

属性 風 魔力量128415

真姫

属性 治療 魔力量54369



属性 雷 魔力量96254

花陽

属性 土 魔力量87400

絵里

属性 氷 魔力量216840


属性 タロットカード 魔力量164210

にこ

属性 時 魔力量150000
穂乃果「羅舞雷武!!」
81 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:18:06.22 ID:SkbXDFwl
『準決勝 UTX高校 対 音乃木坂高校

―――始めッッ!』


希「壁突き破って!」

魔力で高められた身体能力を前に木製の壁など無いに等しい。走った勢いそのままに壁を突き破り9人の少女が落ちていく

ことり「風よ!」

着地の衝撃はことりが和らげる!巧みに風を操り、距離を稼ぎながら全員をふわりと優しく着地させた

真姫「何とか着地…きゃ!?」

頭上が明るく光る。穂乃果たちが城を見上げると巨大な火の玉が天守閣を飲み込み焼き尽くしている光景が目に映る

凛「あれに当たっちゃったら…」

真姫「秒殺になるわね…」

にこ「気を抜かない!来たわよ!」

ツバサ「やっほ。よくかわせたわね?完全にやったと思ったのに。まあいいわ、早速始めましょう?」

英玲奈「…私もやろう。気が向いた」

ツバサ「へぇ。珍しいわね」

希(…前は出てこなかったはず…なんで…?)

絵里「…皆Bプランよ!別れて!」

ツバサ「好きにやらせた方が退屈は凌げるかな。英玲奈、あんじゅ、別れるわよ」
穂乃果「羅舞雷武!!」
82 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:19:46.91 ID:SkbXDFwl
城内

あんじゅvsにこ・絵里

あんじゅ「こんにちは矢沢さん。会いたかったわ。同じタイプの能力者としてね」

にこ「私は別に…!」

会話をかわすにことあんじゅ。だが瞬きの間に2人の立ち位置が変わっている!

絵里「っ!?(既に時を停めて…!)」

にこ「絵里!インターバルよ!」

既に停止した世界でにことあんじゅは激しく格闘していた。にこがあんじゅに必死で食らいつき、再び時が動き出すまで粘っていたのだ!

その奮戦、絵里が無駄にするはずがない!一瞬で凍結の魔力を練り上げ、解き放つ!

絵里「『絶対零度』!」

絵里は一撃必殺を狙う!右腕を突き出し、白銀の風で世界を白く染め上げていく!

あんじゅ「『戻れ』」

だがそれが届く寸前、あんじゅの呟きに従い世界が巻き戻されていく…

〜〜〜〜

絵里「っ!?(既に時を停めて…!)」

にこ「巻き戻し…!絵里、引きなさい!」

あんじゅ「遅い。『止まりなさい』」

時間を巻き戻した直後、あんじゅのインターバルが終了し再び時が止められる

あんじゅ「時間遡行。時間能力者以外は認識することすら出来ないわね」
穂乃果「羅舞雷武!!」
83 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:22:07.88 ID:SkbXDFwl
『時間停止』ステージ3

時間操作の王道。5秒間、時間系能力者以外の時を全て停める。だがにこは非力なためいまいちこの技を活かしきれていない。

インターバルは時が動き出してから10秒程度

『時間遡行』 ステージ4

あんじゅの得意技。 世界の時を巻き戻すが時間系能力者には気付かれる。巻き戻せる時間は籠めた魔力量に左右される。最大10秒

体感時間はそのままなため『時間停止』のインターバルを解消するという使い方もある
穂乃果「羅舞雷武!!」
84 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:23:35.83 ID:SkbXDFwl
にこ「…厄介ね!」

あんじゅは高速でにこに接近し格闘術を仕掛ける。蹴りこんだ床は弾け飛び、あんじゅの弾丸じみた速度を証明している!

眉間、顎、鳩尾、人体の急所のみを正確に狙うあんじゅににこはたまらず距離を置くが…

あんじゅ「いいの?」

にこ「!」

にこが距離を置くとすかさずあんじゅは絵里に狙いを定める。絵里の鳩尾やこめかみに強かに拳を打ち付けていく。その細腕からは想像できない程に重い打撃だ…!

あんじゅ「『時は動き出す』」

絵里「や…かはッ!?」

絵里の頭部と腹部にまるで大きな槌で打たれたかのような衝撃が走る。意識外からのダメージに訳もわからぬまま絵里は壁を突き抜け、吹き飛ばされていく

にこ(ヤバイわね…攻撃役から潰された…)

あんじゅ「さて、次はあなたね」
穂乃果「羅舞雷武!!」
85 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:25:20.69 ID:SkbXDFwl
平地

英玲奈vs凛・ことり・真姫・希

英玲奈「さて、始めようか」

希(前回戦ったことはなかったね…まずは足を活かして様子を見る!)

希「『駆けろ 戦車』!」

希の声に応え『戦車』のカードから馬車が飛びだす。かつて穂乃果を圧倒した2頭の早馬。威圧感を湛えるその風貌は変わらず、英玲奈を見下している

凛「『肉体活性』!」

凛も身体を雷で刺激し、身体能力を高める。2人とも接近戦の構えであった

英玲奈「さぁ、来い」

凛「はっ!」

希「行け!」

ことり「援護するね!追い風よ!」

英玲奈に向かって猛然と1人と2匹は走り出す。先手は凛。ことりの風に乗り希の馬車を追い越して英玲奈の左に回り込み、そのまま左手から雷の拳を繰り出す!

その拳の速さは正に疾風迅雷。稲妻の紫電を閃かせ英玲奈を穿つ!!

凛「『雷拳』!!」

だがその拳は通用しない。英玲奈に見切られ、手首を捕まれて無力化される

英玲奈「いい拳だが…ふん!」

英玲奈の万力めいた握力に凛の骨は耐えきれずパキッと乾いた音が空気を鳴らす。確実に骨が砕けた音だろう…

凛「あがっ!?」
穂乃果「羅舞雷武!!」
86 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:26:33.68 ID:SkbXDFwl
希「くらえっ!」

英玲奈が凛の腕を握りつぶしている最中、今度は希が英玲奈の右から馬車を突進させる!

だが奇妙なことに馬が英玲奈に触れた瞬間、馬車は消滅し希は慣性の法則に従って地面に投げだされた

ことり「凛ちゃん!突風!」

凛を救うためことりが突風を吹かす。車程度なら容易く飛ばす風力だ。凛を救うのには十分。だが風が英玲奈に触れた瞬間消失した!

ことり「な、何で!?」

真姫「凛!危ないから逃げて!」

英玲奈「…せいッッ!!」

英玲奈は掴んだ拳を持ち上げそのまま凛を地面へ強く叩きつける!背中へと突き抜けていく衝撃に息が止まる!!

そこへ鋭い踵落とし。ごしゃりと不快な音が響き凛の体から力が抜けていった…

『星空選手 気絶のためリタイアです』
穂乃果「羅舞雷武!!」
87 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:29:20.97 ID:SkbXDFwl
希「ぐ…!」

ことり「凛ちゃん!―――よくも!」

仲間がやられて黙ってはいられない!穏やかなことりには似つかわしくない荒々しい魔力が沸き上がる!

ことりは英玲奈を囲むように魔力を放射、雲まで届くような巨大な竜巻を作り上げる!

離れている真姫たちですら身を持っていかれそうな暴風。その中では四方八方から風の刃が英玲奈に襲いかかっていた!

ことり「『嵐刃』!」

ことりの生み出した竜巻の中で無数の刃が飛び交う!
竜巻の中に安全な場所は爪の先程もなく、その中は文字通り刃で埋め尽くされている!

竜巻が消えるまでに放たれた刃は千は下らない。だが、そこから姿を現した英玲奈は傷1つ負ってはいなかった。

そればかりか足元の土もふかふかのまま。何ら嵐の影響を受けていないようだった

ことり「嘘…!?」

英玲奈「次はお前だ」

英玲奈が目にも止まらぬ速さでことりの後ろに移動する。移動した勢いを活かし、流れるような動作で回し蹴りをこめかみに打ち付けた!

『南選手、気絶のためリタイアです』

希「…これはヤバいね」
穂乃果「羅舞雷武!!」
89 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:36:55.28 ID:SkbXDFwl
仲間が一撃でやられていく。治療を施す暇もない。その中で真姫に出来ることは考えること

聡明な頭脳を働かせ英玲奈の能力を考察する

真姫(相手の能力だけでも暴かなきゃ…考えろ…考えろ…)

真姫(凛の拳、希の馬車、ことりの竜巻、全て英玲奈には通用しなかった。馬車に至っては触れた瞬間に消滅した…消滅!?)

真姫(魔力を消滅させる能力ってこと…!?それなら呆気なく魔力を纏っている凛の拳を砕いたこともことりの攻撃が通じなかったのも説明がつく…それに英玲奈の足元が綺麗なままなのも頷ける…!)

真姫は今までの出来事全てを素早く分析し、1つの仮説を作り上げる。しかしただ一点解決のできないこともあった

真姫(それならことりの裏に回り込んだあの動きが説明できない!魔力を打ち消すなら自分の魔力も消えるはず…でもこれ以外に思い付かない…まずは伝えなきゃ!)

真姫「希!相手の能力は魔力を打ち消す能力かもしれない!」

希「魔力を!?」

英玲奈「…」

希「いやでも、さっきの動きは魔力がないと出来ない動きだったんじゃ…」

真姫「そこはまだわからない…でも確かに打ち消す力は持っているわ!」

希「…真姫ちゃん、この情報は皆に共有するべきやよ。初見殺しが過ぎるから…行けるね?」

真姫「それじゃ…希が1人に…!」

希「心配しないで。ウチも時間を稼いだら逃げるから」

希「任せたよ!」

真姫「…ごめん!」ダッ

任せた。それは信頼の言葉。それを無下にするなど死んでも出来ない!真姫は即座に駆け出した!

英玲奈「あれが西木野だったな!行かせるわけには…」

希「させるわけないやん?『煌めけ 星』!」

英玲奈の追撃を防がねばならない!希が『星』のカードをポーチから取り出し発動する。効果は異空間への移動!

英玲奈の能力に打ち消され効果は現れない筈。だが、希は英玲奈を閉じ込めることに成功していた!

希「…やっぱりね!後は…『潜め 隠者』」

真姫(…!ありがとう、希!)
穂乃果「羅舞雷武!!」
90 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:39:11.54 ID:SkbXDFwl
『隠者』ステージ3

合言葉は『潜め 隠者』

姿を隠す効果を持つ。発動の瞬間を見ていた者には効果を表さないため結構不便
穂乃果「羅舞雷武!!」
91 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:40:23.44 ID:SkbXDFwl
英玲奈が足止めを受けている内に希は真姫に姿隠しの加護を付与する

その直後英玲奈が異世界の牢獄を消失させ外へ飛び出してきた

英玲奈「いない?そこまで足は速くなかった…一体どうやったんだ?」

希「ふふ、スピリチュアルやろ?」

暖簾に手押し。英玲奈の問いかけを希はのらりくらりとかわし反撃の準備を進める

希(英玲奈さんは『星』のカードをすぐに無効化することが出来なかった。『星』は小さいながらも1つの世界を構成するほどの密度を持つ…)

希(つまり一度に打ち消せる魔力量に限界があるということ。ならウチの最高火力を当てればあるいは…!)

希「よし、ウチの初見殺しコンボ見せたるよ!『燃えよ 太陽』!」

英玲奈「チッ。時間もないというのにな…」

希が取り出したのは『太陽』のカード。希がカードを天にかざすとそこへ地球儀大の光球が現れる。大きさに反比例してそこに込められている魔力は絶大なものがあった

続けて次のカードを希が取り出す

希「『跪け 女帝』」

『女帝』のカードは現象に干渉するカード。攻撃範囲を拡大し回避を困難とする

希「撃て!」

希の指令と共に光球から太い熱線が発射される。更に『女帝』の力が加わり最早壁と形容するしかないほどに熱線が拡大した!

英玲奈は半身の状態から右手を突き出し受け止めるも…

英玲奈「ぐ…」

今までとは様子が異なり、一度に打ち消すことが出来ていない。明らかに熱戦と拮抗している!
穂乃果「羅舞雷武!!」
92 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:43:58.11 ID:SkbXDFwl
希「完全に予想通り!打ち消せる魔力量には限りがあるね!最後の詰めや!『祝詞を上げろ 魔術師』!」

希は『魔術師』の効果を発揮させブーストをかける!

その熱線は波濤の如し!いよいよ英玲奈の手が熱線に呑み込まれていく!!

希「(もらった…!)」

英玲奈「ははは、校長も手厳しいな…中々に手強い相手もいるじゃないか…」

希(何で笑えるの…?状況は詰みのはず…)

熱線に押し込まれ、徐々に英玲奈の姿勢は崩れ始めている。にもかかわらず英玲奈は笑う

英玲奈「私の能力は影響が強すぎてな。普段は制限しているがここまでされたら仕方ない。頑張った褒美に見ていくといい」

希「え?」

突如、熱線が、そして光球が消滅する。肌を焦がすような熱も、目を眩ますような光も、全てが消えていた…

希「…反則やん。それ」

英玲奈「まあこうなるか…時間もない。しまいにするぞ!」

言うや否や、英玲奈の姿が消える。いや、希の目の前に移動したのだ。速さを全て活かした音速拳が鋭く希を貫く

希(真姫ちゃん、後は頼んだよ…)

『東條選手 気絶のためリタイアです』

英玲奈「足跡が残っているな。あの逃げた子がツバサと出会う前に見つけないと…」
穂乃果「羅舞雷武!!」
93 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:45:34.71 ID:SkbXDFwl
ツバサ「ほら、技を見て上げるから撃ってきなさいよ」

海未「…行きますよ、花陽、穂乃果!
『水弓』…!?」

海未はすっかり得意技となった『水弓』で戦いの火蓋を切る

コンクリート程度なら容易く貫くその弓はしかしツバサに届かない。ツバサに当たった瞬間弓は蒸発した

ツバサ「やっぱり水属性はカモね」

海未「小技では届かない…なら!『大瀑布』!!」

海未は右の掌に蒼い玉を創造する。それを天へと打ち上げ腕を振り下ろす!

途端、天から滝を彷彿とさせる量の水が塊となって降り注いできた!

圧倒的な質量の暴力!直撃すればビルすら崩壊するだろう。だがツバサはまったく気にしていない

ツバサ「無駄よ。『火球』」

ツバサは両手からいくつかの『火球』を繰り出す。それは全ての水を蒸発させ、蒼い核を打ち砕いた。火力は穂乃果のそれと比べて百倍と言ってもなお足りない

火は水で消える。その常識を嘲笑うかのような光景に海未の思考は停止する

海未「な…」

ツバサ「終わり?なら…『大火球』」

ツバサの手に巨大な炎の球が浮かび上がる。それは魔力の保護がなければ直視した瞬間目が蒸発するほどに熱い!避ける以外穂乃果たちに手はなかった

花陽「壁よ!2人とも!散ってください!」

10枚もの分厚い土の壁がそびえ立つ。それは稼いだ時間は僅かながら、全員の退避の時間を作り出した

壁を貫き遠くへ飛んでいった『大火球』は突如爆発!空まで届くきのこ雲が立ち込め爆風が穂乃果たちを煽る

海未「あれが当たったら…!!」

穂乃果「考えない!…今度はこっちから攻めるよ!『大火球』!」

花陽「合わせます!『捕縛草』!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
94 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:49:22.22 ID:SkbXDFwl
花陽が働きかけ、ツバサを捕らえようと草を伸ばす。草は素早くツバサの体を縛りつけようとするも、ツバサに触れた瞬間草が燃えつき灰に変わる

ツバサ「『火球』」

間髪いれず穂乃果の攻撃も相殺され、またも攻撃は失敗に終わる

海未(物理攻撃では分が悪い…であれば!)

海未「穂乃果!花陽!合体技です!」

穂乃果「…あれだね!」

花陽「うん!」

海未は素早くツバサの回りに巨大な水柱を幾つも生やす。それに阿吽の呼吸で穂乃果が『火球』を合わせ、超高温の水蒸気を発生させる

ツバサ「ん!?」

その温度は気管支に火傷を負わせるほどだ。咄嗟にツバサは息を止め水蒸気から脱出を図る

だがそれは穂乃果たちの思う壺。花陽はそれを許さず土のドームを形成。水蒸気ごとツバサを包み込み蒸し焼きにする!

花陽「上手くいったね!『地獄釜』!」

海未「えぇ!大金星です!これでまずは1人…ぇ…」

一閃。土の壁を破り炎線が海未の腹を貫く。その熱量に海未の肉は溶け、腸は炭と化す

あまりの熱に血は出ない。むしろ一瞬で傷口は焼き塞がる。一拍遅れて現実を認識した海未はその激痛に失神する

『園田選手 重傷のため緊急リタイアです』

ツバサ「コホッ。割とエグい技ね…」

穂乃果「海未ちゃん!?」

花陽「そんな…」

ツバサ「わりと楽しめたかな。じゃあね。『炎雨』」

地面から火の粉のような魔力の粒がゆらゆらと浮かび上がる。次第に粒は増え、豪雪の如く火の粉が舞い、天へと集っていく…

火の嵐が止むと同時に穂乃果たちの頭上が紅に染まる。穂乃果たちが空を見上げると灼熱に燃え盛る炎の円盤が浮かんでいた

穂乃果「う、嘘…」

逃げ場など何処にもない。円盤から『火球』が降り注ぐ。技名通り雨のように…

ひとつひとつが穂乃果の全力を出してもなお届かない火力を持つそれはもはや本物の爆撃と変わらない
この世の終わりのような光景に穂乃果と花陽は必死に抗う

穂乃果「『大火球』!!」

花陽「間に合って!」

花陽は地面に穴を堀り即席のシェルターを造り、穂乃果は迎撃して時間稼ぎを試みる

しかし何百発、何千発と降り注ぐ『火球』を前に穂乃果の処理は追い付かず、数秒も持たないで爆撃が地面に飛来する!!

地表を抉りとり、それでもやむことのない爆発が辺り一体を埋め尽くした…
穂乃果「羅舞雷武!!」
95 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:50:45.61 ID:SkbXDFwl
『地獄釜』合体技 ステージ3相当

にことの模擬戦で穂乃果たちが生み出した技。とにかく範囲を広げて時を停めても対処できないようにとのコンセプトの下生まれた

初回披露時はにこが真っ赤に茹で上がり今後の使用を禁止されるほどに危険な技
穂乃果「羅舞雷武!!」
96 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:52:08.39 ID:SkbXDFwl
にこ「かふっ!」

停止した世界の中、あんじゅの執拗な殴打ににこは吹き飛び掠れた声をこぼす

離れれば絵里が狙われる。体格で勝る相手ににこはインファイトを強いられているのだ

体を青アザで染め上げ、口の中が切れているのか時折血を吐きながら吹き飛んでいく

あんじゅ「このまま降参しなさいよ。もう十分じゃない?」

にこ「そんなの出来るわけないでしょ…」

にこは肩で息をしながらあんじゅの軽口に答え、立ち上がる。だがもはやにこは体力的に限界を迎えていた

絵里「に、にこ!…氷の槍で!」

絵里も黙って見ているわけではない。鋭く研ぎ澄まされた槍を幾本も浮かべ斉射する。
だが、その度にあんじゅに封殺されていた

あんじゅ「『戻れ』」

〜〜〜〜

絵里「に、にこ!氷…」

あんじゅ「『止まれ』」

絵里の攻撃は決して届くことはない。時を戻され、止められる。気がついた時には訳もわからぬ痛みに苛まれ悶絶。既に幾度も繰り返された光景だった

絵里「あぐっ…!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
97 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:53:44.92 ID:SkbXDFwl
絵里も限界が近い。何をしてもあんじゅに通用せずダメージだけが蓄積されている。だが廃校が懸かったこの戦い、絵里が折れることはあり得ない!

絵里(希にあれだけ啖呵切ったもの…私がやるしかないのよ…!)

あんじゅ「元ステージ5がこのありさま…嘆かわしいわ」

にこ「うるさいわね!勝手に落ち込んでなさい!」

あんじゅ「まぁ、もう終わらせようかしら。飽きたわ」

あんじゅは今までとは比較にならない量の魔力を纏う。その圧は大気を震わせ地面に亀裂を走らせている…!

絵里「負けたく…ない…!終われない…!」

絵里は敗北を濃厚に感じとる。このまま負けては何も果たせずに終わる…それだけは許されない!一矢報いねば…!!

絵里(そんなに時間が大切ならその時間を凍らせてやる…凍てつけ、凍てつけ!)

その執念は普段の絵里ならば想像だにしない発想を与えた!物質ではなく概念の凍結。荒唐無稽なそれに絵里は全知全能を持って取り組んでいた

絵里(胸が…痛む…)

元々長くステージ3に留まっていただけあり、絵里の魔力量はステージ4へと昇華する基準をとっくに満たしていた

そして、この子どもめいた発想をきっかけに次の段階へと絵里は羽ばたく!

物理法則を超越する凍結を繰り出そうと魔力炉が蠢き進化を続ける。そして痛みが止んだ…

あんじゅ「さて。『止ま…』」

絵里「『凍てつけ!時よ!』」

あんじゅの言葉に先んじて絵里が咆哮する!世界から音や風を含む全てのものが凍てつき静まりかえる

あんじゅ「…これは」

絵里「これが停止した世界ね…」
穂乃果「羅舞雷武!!」
98 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:54:22.30 ID:SkbXDFwl
『銀世界』 ステージ4

絵里が生み出した時間停止の亜種。自分以外の時を凍らせるが時間系能力者には通用しない。3回も使うと魔力が底を着くほどに燃費が悪い。停止時間は10秒
穂乃果「羅舞雷武!!」
99 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 20:56:23.10 ID:SkbXDFwl
にこ「絵里…どうやって…!?」

絵里「私が時を止めたのよ、文字通りね。『絶対零度』!」

あんじゅ「!」

予期せぬ事態にあんじゅは硬直している。それを好機と絵里の手から万物を凍てつかせる白銀の風が放たれる!

直撃すればあんじゅといえどただではすまないはずだが…

あんじゅ「あ〜あ。使わされちゃった」

絵里「なんで…届いてないの…!?」

あんじゅに当たる、正にその寸前で銀の風は動きを止める。まるであんじゅを装飾するかのように…

にこ「これは…時間が遅延している…!空間を引き伸ばしたのね!」

あんじゅ「正解。言うなれば『時間の壁』ね。私の周りは時間が無限に遅れているのよ。これは届かないわね?」

絵里「ぐ…!」

『絶対零度』が封じられると同時に絵里の時間停止が終わり、再び世界が時を正しく刻み始めた

あんじゅ「そしてそれは人にも応用できる。こんな風に」

あんじゅがにこに肉薄する。その速さににこは反応できない。無防備なままの鳩尾にズドンと重い拳がめり込んだ!

にこ(ぐ…って痛くない?)

不思議なことに痛みはやってこなかった。これほどの打撃を食らえば息が止まり吐き気に苦しむ筈…だがにこはすぐにその原因に気がつく

にこ(私の時を遅延させた!…ならむしろ痛みはこれから…!)

あんじゅ「今頃地獄のような苦しみを噛み締めてるのでしょうね?」

あんじゅは現実世界の3秒をにこにとって5分に引き伸ばした。散々に苦痛を噛み締めたにこは吐き気を堪えきれずに嘔吐する

にこ「おぐっ…」

あんじゅ「汚いわね…」

あんじゅは吐瀉物に汚れた足をにこの顔に乗せ、ぐりぐりと押し込み、ボールのように蹴り飛ばす!

にこ「がぁ…!」

絵里「にこ!」

にこ「…大丈夫…!あなたもまだいけるでしょうね!」

絵里「…当然よ!!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
100 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:00:47.82 ID:SkbXDFwl
にこ(…このままじゃ攻撃は当たらない。…覚悟決めるわよ、矢沢にこ!)

にこ「…あの壁、私なら一瞬破れるわ。そこで決められる?」

絵里「決める!」

即答。にこに出来るかどうかなど問わない。悩む暇も惜しみ、絵里は魔力を練り始める!

にこはふらつく体を無理やり起こし、あんじゅへ向かって走り出す!その手は頭のリボンへ伸ばしながら…!

にこ(遅延させてるなら加速させればいい…だけど今の私は停止しか出来ない…なら!)

にこ(一瞬…リミッター外す!)

にこは器用にも片手でリボンを1つ緩める。その瞬間抑えられていた魔力が暴れ始める…が、それを根性で捩じ伏せる!

にこ「『速まれ』!」

遅延と正反対の力、加速とぶつかり合いあんじゅの守りが無効化される!

あんじゅ「…!?」

にこ「届く…!」

『時間の壁』への絶対的信頼。それがあんじゅの判断を遅らせた!届かない筈のにこの飛びかかりは届き、あんじゅは一瞬拘束される!

にこ「やりなさい!絵里!!」

絵里「『絶対零度』!!」

ステージ4へ上がった絵里が全力で放つそれは最早-273度に留まってはいない!強引に計測すれば-500度は出ているだろう!

冷気が通りすぎた空間は時間ごと凍りつき、風に巻き上げられた土煙をそのままに静止している!

あんじゅ「ぐ!?」

にこ「あぅ!?」

『矢沢選手 魔力切れのためリタイアです』
穂乃果「羅舞雷武!!」
101 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:02:09.74 ID:SkbXDFwl
『リミッター解放』

にこのツインテールを支えるリボン。実は大事な役目を果たしていた。

1つ外せばステージ4相当、2つ外せばステージ5の力を取り戻す。だが今のにこは過去の暴走に無意識下で怯え魔力の制御は出来ない
穂乃果「羅舞雷武!!」
102 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:03:43.95 ID:SkbXDFwl
絵里「…ごめんねにこ」

あんじゅ「やって…くれたわね…」

にこが撃破された直後、『時間の壁』は復活した。あんじゅに技が届いたのは1秒にも満たない

だがそれだけの時間ですらあんじゅの左腕が凍りついている!絵里とにこ、捨て身の作戦がもたらした戦果だった

絵里(もう、魔力が…)

だが絵里に魔力はもうない。涼やかな風1つ出すだけで魔力は尽きる。ろくに追撃すら行えない

あんじゅ「『止まりなさい』」

そこへ時が停まる。完全な詰みであった…

あんじゅ「…ふっ!」

絵里の前への高速移動。間違いなく音速だ。あんじゅは足を踏みしめ、腰を入れ、体すべてを連動させた正拳を突く

ホ゛コ゛ン゛

言葉にすれば殴るだけ。ただそれだけなのに爆発音のようにも聞こえる音が轟く!

時が動きだすと同時にアナウンスが入る。満身創痍の絵里にその拳は重すぎた…

『綾瀬選手 気絶のためリタイアです』
穂乃果「羅舞雷武!!」
103 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:05:01.23 ID:SkbXDFwl
〜〜〜〜

花陽「ゲホッゲホッ…穂乃果ちゃんはどこに…」

爆撃の際、咄嗟に花陽が穴を掘り即席のシェルターを作ったが無事とは行かず、2人は爆風に吹き飛ばされた

日を遮るほどに高く土煙が漂う中、互いを見つけるのは困難であった

だが煙の向こうに動く人影が1つ。花陽は思わず駆け寄る。いや駆け寄ってしまった

花陽「ほの…」

ツバサ「お、探す手間が省けたわね」

絶望と言う他ない。天災に匹敵する技を片手間に実現する相手に単独で対峙してしまったのだから…

花陽「くっ…!」

花陽の選択肢は撤退。本能だろうか。判断は素早く実行される。だが…

ツバサ「逃げないでよ。『火球』」

煙を切り裂いてごうごうと燃える火が花陽の足を打つ。足は焼け爛れ花陽は地面に顔から滑り込む

花陽「あぐ…」

ツバサ「さぁ、終わりにしましょうか」

ツバサが花陽の横顔に足を乗せる。その足に魔力がゆっくり、ゆっくりと、充填されていく。それは恐怖を煽るため。ツバサの戯れだ

動くことの出来ない花陽はそれを甘んじて受けるしかなかった

花陽(だ、誰か…!)

穂乃果「花陽ちゃん!」

花陽「ぁ…」

そこに穂乃果が煙を切って現れた。花陽たちの声を聞きつけたのだろう。だが状況は最悪だ

ツバサ「あら良いタイミング」

穂乃果「…その足どけてよ!!」
穂乃果「羅舞雷武!!」
104 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:06:13.64 ID:SkbXDFwl
花陽「ほ、穂乃果ちゃん。助け…」

助けを求めることは出来る。穂乃果は優しい。求められれば何がなんでも助けようとするだろう

しかしそれはツバサと1人で戦うということ。花陽は恐怖を押し殺し、穂乃果に警告する!

花陽「穂乃果ちゃん!1人じゃ無理だよ!逃げ…」

ツバサ「さっきまで怯えてた癖に。強がらなくていいのよ?ひよっこさん」

ツバサは足の裏に小さな爆発を起こし花陽の意識を無理やり奪いとる

『小泉選手 気絶のためリタイアです』

穂乃果「!!」

ツバサ「怒っても仕方ないわよ。ほら冷静に冷静に」

どこまでも穂乃果を見下し、嘲ることをやめないツバサ。だが穂乃果の耳には届いていない。穂乃果の心はただ一点にのみ、ツバサを倒すことに傾いている!

穂乃果(希ちゃん…ごめん!一回だけ使わせて!)

穂乃果は唐突に目を閉じた。その奇行にツバサは呆気にとられる。しかし、その裏で、穂乃果の瞼の下に恐ろしいまでの魔力が集っている!

穂乃果「『炎眼』!!」

穂乃果が目を開くと同時に炎が空間に爆ぜる!爆風が、そして吹き出た炎がツバサを襲う!!

ツバサ「っ!?」

この技に予備動作はない。ツバサですら反応できずに直撃を受ける!だが魔力量が違いすぎる。傷は与えるまでには至らなかった

穂乃果「ぐぅぅ!」

ツバサ「とっておきがあるじゃない!これならもう少し…あら?」

容易く自分に直撃を当てた技。傷こそ負ってはいないが期待が高まる
まだ他の技はあるの?それとも今のは火力を抑えた牽制…?

だがすぐにその気は失せた。穂乃果が目を押さえ膝をついているからだ。それに加えて軽くだが穂乃果の足元が赤く染まっている

これは未完成のままに技を発動した代償。目に負担がかかりすぎた故の血涙だ
穂乃果「羅舞雷武!!」
105 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:08:03.03 ID:SkbXDFwl
ツバサ「…なんだ、つまらないわね。ならここでとどめを…」

ツバサは右手を上げて炎を沿わせる。金剛石でもバターの様に切り裂くであろう超高熱の手刀

いくら魔力の補助があろうと重傷は免れないであろうそれをツバサは何の戸惑いも見せずに振り下ろす!

「穂乃果!」

ツバサ「あら?」

だがそれは当たらない。髪を掠めるようにしてかわされた。というより独りでに穂乃果の体が吹っ飛んだのだ。煙の中へ姿を消した穂乃果をツバサは見失う

実際は『隠者』の加護を受けた真姫の仕業なのだが。ツバサを撒いた真姫は体勢を立て直す
〜〜〜〜

真姫「穂乃果!よかった。やっと合流できたわ…」

穂乃果「真姫ちゃんなの…?」

真姫「今治すからね!『快癒』!」

真姫から白色の魔力が放たれ優しく穂乃果を包み込む。ビデオテープを巻き戻すかのように傷が塞がり、血が止まり、穂乃果は目を開く

穂乃果(ぼやけてる…確かにこれは失明するね…)

前より視界がぼやけていた。だがそれよりおかしいことが1つ。真姫の姿が見当たらない

穂乃果「あれ、真姫ちゃん…どこ?」

真姫「希の能力で姿が見えないのよ。そんなことより伝えることがあるわ!」

穂乃果「伝えること?」

真姫「英玲奈の能力!魔力を打ち消す能力かもしれないのよ!」

穂乃果「魔力を!?…じゃあ私たちの攻撃は…」

真姫「正面から攻略するのは不可能かもしれないわ…ツバサの追撃も怖い。一旦離れ…!?」

英玲奈「見つけたぞ」

突如真姫の透明化が解除された。英玲奈の能力によって効果が打ち消されたのだ

ツバサ「いた…って1人増えてるし。それに英玲奈じゃない」

あんじゅ「派手にやったわね。すぐに場所がわかったわよ」

そこへツバサが追いつき、一拍遅れてあんじゅが姿を見せる

治療を終えた穂乃果たちの前にUTX高校の3人が並び立つ。その威圧感は何物にも例えがたいものがある
穂乃果「羅舞雷武!!」
106 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:10:40.04 ID:SkbXDFwl
穂乃果「…あんじゅさんがいるってことはにこちゃんたち…」

あんじゅ「えぇ。倒したわ」

真姫「くっ…英玲奈がいるってことは希もね…」

ツバサ「『火球』」

真姫(あ、やば…)

あんじゅと英玲奈に気を取られ真姫に意識の空白が生まれる。目敏くそれを見逃さなかったツバサはすかさず攻撃。真姫に回避する暇はなかった。だが…

真姫「な、何で…?」

ツバサ「…どういうつもり?英玲奈」

英玲奈「…赤髪は私の獲物だ。お前にとられる義理はない」

言葉こそ刺があるが端から見れば真姫を守るかのような動きだ。絶好の好機を奪われたツバサの機嫌は急速に悪化し、一触即発の雰囲気に陥る

ツバサ「…つまらないことするわね。ここは見逃してあげるから引きなさいよ。学校の犬」

英玲奈「…役目は果たしたか…すまないな、2人とも」ボソッ

真姫(謝罪…?)

穂乃果「…真姫ちゃん、痛みを止める技ってない?」

真姫「え?あるけど…」

穂乃果「急いで私にかけて!」

真姫「…わかったわ!『鎮痛』!」

先程とは異なる緑色の魔力。体に染み渡ると同時に、目の奥に疼いていた痛みや至るところに残る擦過傷の痛み、その全てが引いていく…

ツバサ「いらない邪魔が入ったけど今度こそ終わらせようかしらね」

真姫「っ!来るわよ!」

穂乃果「…勝つ!」

ツバサ「『大火球』!」

現代兵器にも比肩するツバサの『大火球』。受ける選択肢だけはとってはならない。ここは回避が定石だ

穂乃果「…『炎眼』」

だが穂乃果は迎撃を選んだ!まともに打ち合えば敗北は必至。ならば炎を中から散らせばいい!

死中に活を求め、穂乃果はツバサに致命的な隙を作り出す!!

視界は血で塞がる。だがそれがどうした!背中に頼れる仲間がいる!!

穂乃果「真姫ちゃん!ツバサさんはどこ!?」

真姫「真っ直ぐ!そのまま行きなさい!」

目の役目は真姫が果たす!穂乃果が出来ることは仲間を信じて駆けるのみ!爆風を突っ切りツバサの前へ躍り出た!
穂乃果「羅舞雷武!!」
107 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:11:55.94 ID:SkbXDFwl
穂乃果は手のひらに炎球を浮かべ直接ツバサに叩きつけた!炎華が爆ぜ、2人の姿を覆い隠すほどの爆炎が吹き荒ぶ!!!

真姫「なんて無茶な…!!」

爆風に煽られ、全身を火傷に犯されながら穂乃果が真姫の方へと吹き飛んでくる

ろくに受け身もとれてはいないが真姫が受け止め事なきを得る

穂乃果「あ…あぐ…」

真姫(これ…失明する寸前じゃない!!)

真姫「『快癒』!!」

傷痕1つ残さぬ真姫の治療技。本来は魔力が体全体を包むものだが今回は目に集中している

激しく舞った煙が風にのって晴れて行く。真姫は確かに直撃した瞬間を観測していた。ツバサが倒れている姿はありありと想像出来る

ツバサ「私の服に焦げ目をつけるとはね…油断しすぎたかな」

真姫「…何でよ…あれでも駄目なの…?」

だが煙が晴れ、姿を見せたツバサは無傷だった。持ちうる手札が全て通用しないことに真姫は膝をつく

穂乃果も回復は半ばで立つことすら不可能な状態だ。目も回復したとはいえ失明に近い…身動ぎ1つとることができない…

ツバサ「…よく私に一撃与えた。その手向けにこれを放つわ。『炎龍波』」

ツバサの背後に龍を象った炎が顕現する。今でこそ滅多に使わないがかつての十八番技。龍炎の熱量は先程の『大火球』の幾倍か…

龍は穂乃果と真姫を巻き込み、突き進む。2人は身体中に火傷を負いながらも更に引きずり回され、緊急リタイアの処置が下された

『高坂選手、西木野選手 重傷により緊急リタイアです。音乃木坂高校の選手が全滅のためUTX高校の勝利です』
穂乃果「羅舞雷武!!」
108 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2020/03/29(日) 21:12:09.15 ID:SkbXDFwl
今日はここまで
明日エピローグです


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