- 千歌「モンスターハンター!」
199 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 16:48:21.82 ID:NduGYvXW - 【島】
花丸「リオレウスは追い詰めた。けど乱入者が現れて、鞠莉ちゃん達が殿になって三人を逃がしてくれた……と」 善子「ええ……そうね」 ルビィ「……おねえちゃん……」 千歌「……ごめん」 ルビィ「……ううん、千歌ちゃん達は悪くないよ」 曜「ねえ、そのイビルジョーってやつ何なの? リオレウスを仕留めるなんて、どれだけ強いの?」 梨子「………まともに戦って、勝てる相手だとは到底思えないわ」 千歌「花丸ちゃん、イビルジョーについて、知ってる事を教えて欲しい」 花丸「まさか…!千歌ちゃん、倒そうと!?」 千歌「……私は鞠莉ちゃんから、自分達で考えて、行動しろって言われた。倒すにしても、逃げるにしても、まず知るとこから始めないと」 花丸「…………わかったずら」
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200 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:47:45.61 ID:NduGYvXW - 花丸「恐暴竜イビルジョー。弱点属性は龍、雷」
花丸「ギルドから発行されている資料なんかだと『食物連鎖の頂点』だとか書かれていている事が多いけど……マルは少し違うと思うずら」 花丸「イビルジョーは全身の殆どを筋肉で覆われているずら。当然、筋肉が多いって事は体の燃費は悪いんだけど、その圧倒的力と体躯で全ての生き物をねじ伏せて、捕食することでその体を維持してる。」 花丸「普通なら、何でも食べなきゃ維持できないほど燃費が悪い体を持つ生物なんて絶滅するはずずら。全ての獲物を餌になんてしていたら食物連鎖の理をモロに受けてあっという間に滅ぶはずずら」 千歌「でも、実際に……」 花丸「うん、イビルジョーは極寒の雪山にも灼熱の火山でも、ありとあらゆる場所に移動して、全てを喰らいつくして生きながらえているずら。 花丸「地球上全ての場所において、イビルジョーは食物連鎖から逸脱した怪物だと、マルは思うずら」
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201 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:48:10.65 ID:NduGYvXW - 花丸「餌は、生物全て。このままじゃあの森は生物がまともに住める森じゃなくなるずら」
ルビィ「で、でも、今までだってイビルジョーが出た場所があるんだよね。まさかそういうところから生きものが居なくなったって訳じゃない……よね?」 花丸「イビルジョーが出た場所は、言うなれば砂漠のような更地になるずら。餌が無くなってイビルジョーが去った後、僅かに残った生きものたちが何年もの歳月をかけて少しずつ再生していくことで元の形へと戻って行くずら」 花丸「森自体はその再生の時をじっと待てばいいんだけど……それには長いスパンが必要ずら、その期間はオラ達が蓄えて耐え凌げる期間かと言われると……」 曜「まともに生物が住めなくて、その危険度となると行商人の人どころか人自体寄り付かなさそう…となると」 花丸「正直どちらにせよ……マル達の生活は八方塞がりずら」 千歌「……倒そう、私達で。それしかないよ」
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202 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:52:56.32 ID:NduGYvXW - 善子「何言ってるの千歌!?まともに戦って勝てる相手じゃないっていうの、アンタだって見たでしょ!!」
千歌「でも、でも!!」 善子「あのリオレウスだって、この村の力を結集して、ようやく押し戻せるくらいなのよ!そんな相手をペシャンコに押し潰す相手なんて勝てるわけないでしょ!!」 梨子「ちょ、ちょっと……善子ちゃん…」 善子「それに、有効な攻撃手段だって無いわ。雷撃弾は全部鞠莉が持ってるし、リーチ的に攻撃が届きそうな果南だって居ない……」 善子「わたしだって…イヤよ…逃げるのなんて…でも、ここで私達が食べられたりしたら、鞠莉達がもっと浮かばれない……」 ルビィ「……善子ちゃん」 千歌「……鞠莉ちゃんが言ってたの『この島で私はずっと生きていたい』って。私達の元々住んでた村は燃えちゃったけど、新しくおかえりって言ってあげられる場所がここだから、守らないとって」 千歌「私は、この島でみんなと一緒に平和に楽しく過ごしたい。また皆でゆったりと、落ち着いた生活が出来るならそれでいい」 千歌「でも…!!そこには、鞠莉ちゃんと、ダイヤさんと、果南ちゃんが居ないと意味が無いの!!!」 パサリ
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203 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:54:41.40 ID:NduGYvXW - 曜「……千歌ちゃん、なんか落ちたよ」
善子「行商人のお婆さんがくれたお守りね、中身は龍殺しの実だって」 千歌「(龍殺しの実……って確か)」 千歌「ねえ!!花丸ちゃん、イビルジョーって龍属性が弱点って言ってたよね!!」 花丸「え、う、うん……そうだけど……千歌ちゃん、もしかして!?」 千歌「龍殺しの実って滅龍弾になるよね!? それも、とびきり特大の威力の!!」
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204 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:56:21.73 ID:NduGYvXW - 滅龍弾
文字通り龍殺しの力を秘めた、属性弾 その性能は他の属性弾と一線を画す。 当たれば、その龍封の力絶大であり。有効に使えば古龍級の生物にすら深い傷を与えることが出来る。 高威力、高貫通性能、高反動。ハイリスクハイリターンを地で行く弾丸だ。 ただし、そんな威力の代物は、何の考えも無しに扱えるものではない。 善子「ちょ、ちょっと待ちなさい!滅龍弾なんて、扱えるボウガンこの村に無いわよ!実際に私のアルデバランも撃てないし」 曜「いくらなんでも、今から滅龍弾が装填できるボウガンなんて……ちょっと作れないよ」 花丸「あれは……古代技術で作られた物をを復元したりした、特別なボウガンしか使えない弾ずら……鞠莉ちゃんが持ってたやつなら撃てたかもかもだけど……」 千歌「………鞠莉ちゃん、の…ボウガン…?」 千歌「ちょっと…待ってて!すぐ戻って来る!!」ダッ ルビィ「あっ…千歌ちゃん!!」
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205 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:57:50.45 ID:NduGYvXW - 戻ってきた千歌の手に有ったのは、一丁の木製のボウガンだった
千歌「はぁ……はぁ……どう?これなら撃てる?」 曜「ええと……うん、これなら撃てると思うけど……」 梨子「……曜ちゃんも知らないようなボウガン、どっから持って来たのよ」 千歌「これはユクモ霊弩……鞠莉ちゃんが、昔自分で作ったって教えてくれたの…!」 花丸「……確かにこれで、手元にある龍殺しの実で作れる滅龍弾を当てさえすれば、倒しきれなくても有効打にはなるかもしれない」 善子「滅龍弾ってものすごく曲がるのよ!!動き回る相手に撃ったってまともに当たる代物じゃないわ!!」 花丸「それは……確かにそうずら」 千歌「鞠莉ちゃんは、このボウガン私にくれるって言ってた。だから、私が撃つ。」 善子「はぁ!?千歌、アンタ何言って…!」 千歌「……私の作戦を聞いて欲しい」
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206 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 17:58:24.54 ID:NduGYvXW - ──────────────────────
───────────────── ─────────── ─────── ──── ── 善子「……本気?それって、あなたが一番危険な目に会うのよ?」 千歌「本気も本気だよ、こうでもしれないとあの怪物に勝てない」 梨子「でも、大丈夫なの…?その作戦には、ハンターの私達だけじゃなくて、そうじゃない三人も巻き込むことになるけど……」 曜「何言ってるの梨子ちゃん、私達だってこの島の人間なんだから。もうとっくに関係者だよ」 ルビィ「ルビィも、頑張って……少しでも役に立つよ!」 花丸「……正直、この作戦が成功するかどうかは分からない。成功したとして、倒せたり、撃退が出来るかも分からないずら」 千歌「…………」 花丸「でも、マルはこれでいいと思う。この作戦にかけてみる価値が、マルは有ると思うずら」 花丸「何より、鞠莉ちゃん達を置いてこれからずっと逃げて生きるよりは、何倍もマシずら」 千歌「花丸ちゃん……」
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207 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 18:04:55.36 ID:NduGYvXW - 千歌「早速準備しよう!少しの時間だって無駄には出来ない!花丸ちゃんは弾の調合、曜ちゃんはこのボウガンの調整をお願い!」
千歌「梨子ちゃんと善子ちゃん、二人は疲れているだろうし休んでて!それと、ルビィちゃんはちょっと来て!」 ルビィ「え、わ、分かった!」 梨子「あ、ちょっと!千歌ちゃんはどうするのよ!」 善子「そうよ、千歌も疲れているでしょう!」 千歌「私ちょっと行くところあるから!それじゃ!」ダッ 花丸「あ、行っちゃったずら」 曜「ああなったら千歌ちゃんは聞かないよ……さて、大急ぎで準備しないと…なんて言ってもこの鞠莉ちゃんのボウガンと、久々に自分の銃も出してこないといけないしね!」 善子「大丈夫なの曜?いくら元ハンターとはいえ……いきなりボウガン持って実戦だなんて」 曜「まあ、自信があると言ったら嘘になるけど……でも、やるしかないから!じゃあ私鍛冶場に行ってくる!」 梨子「すごいね、あんなに暗い空気だったのに、すぐにみんなが出来る事を見つけて前に進んでる」 花丸「それが、千歌ちゃんの凄い所ずら」 善子「……そうね、本当に思うわ」 花丸「さて、と……マルも滅龍弾を作らないと。なにせ、一発も無駄に出来ないずら」
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208 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 18:05:56.81 ID:NduGYvXW - 【島 山頂】
ルビィ「ホントに登るの…?休んでおいたほうがいいんじゃ……」 千歌「時間的に休憩は出来るし……それに、この作戦、最後は神頼みだと思うから。お願いはしておこうかなって」 ルビィ「……分かった、頂上までじゃあ案内するね!」 千歌「ありがとう、ルビィちゃん!」 千歌「はっ……ほっ……」 ルビィ「すごいね千歌ちゃん、よく登ってるルビィでも少ししんどいのに……」 千歌「えへへ……ハンター本格的にやるってなった時、果南ちゃんに散々扱かれたからね。モンスターと相対するには、まずはモンスターが倒れるまで立って、武器を振り回せないといけないって」 ルビィ「モンスターと……これから、ルビィ達も立ち向かうんだよね、モンスターの、それもとびっきり強いのと」 千歌「普段ハンターじゃない曜ちゃんにハンターをして貰うだけじゃない、花丸ちゃんとルビィちゃんにも援護を頼む事になる……そうでもしないと、チカの作戦は成り立たない」 千歌「ごめんね、普段ハンター達じゃないルビィちゃん達も出て貰う事になって」 ルビィ「ううん……やるよ。それが、千歌ちゃんが見つけた道なんでしょ?」 千歌「ルビィちゃん……」
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209 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 18:07:23.80 ID:NduGYvXW - ルビィ「さ、着いたよ、千歌ちゃん」
千歌「白き竜の祠……ここまで登ったの、久しぶりかも」 ルビィ「お祈りしよっか」 千歌「……うん」 よく手入れされた祠は、昔と変わることなくそこに有った 手を合わせ、二人は頭を垂れる。願うは、再びの安寧。それと、仲間の無事。 ポツ……ポツ……ポツ…… ルビィ「ひゃっ!……水…?」 二人が下山しようとした時、空を黒雲が覆った。上を見上げると、額の上に大粒の滴が勢いよく降りて来る。 千歌「…………雨だ」 濁った色になった天から、雨が降り注いだ 降り注ぐ雨の勢いは次第に大きくなり、吹き下ろす様な勢いの風も鳴り始める それが天運を齎す慈雨となるか、厄災を運ぶ荒嵐となるか この時はまだ、誰にも分かっていなかったのだった
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- 千歌「モンスターハンター!」
210 :名無しで叶える物語(えびふりゃー)[]:2020/03/27(金) 18:08:01.04 ID:NduGYvXW - 今日はここまで
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