- 京アニで一番好きなアニメ
19 :名無しで叶える物語(ぎょうざ)[sage]:2020/03/15(日) 17:49:25.93 ID:ai4aggyg - たまこラブストーリーは?何で出てこないんだ?
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
1 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 18:24:48.57 ID:ai4aggyg - 学校
彼方「う〜ん、あれぇ?」ゴソゴソ 彼方「……しまった」 彼方「彼方ちゃんとした事が愛用の枕を家に忘れるなんて……こりゃうっかりさん」 彼方「別にあの枕が無くても眠れるけどやっぱり手元にないと落ち着かないなぁ」 彼方「睡眠は彼方ちゃんのライフワーク、なるべく質のいい睡眠を取りたいもんだね」 彼方「―あ、そうだ。ポコーンと閃いた」 彼方「これから最初にあった女の子を抱き枕にして眠っちゃおう、我ながら素晴らしいアイディアだ」 彼方「そうと決まればさっそく探しに行こうかね」 彼方「―お、あそこにいるのは……」
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2 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 18:37:44.89 ID:ai4aggyg - 廊下
海未「く……ふわぁ……あぁ」 海未「おっと、廊下で大欠伸をするなんてはしたない」 海未「だ、誰も見ていませんよね?」キョロキョロ 海未(最近寝不足のせいか日中は眠くて仕方がありません……) 海未「はぁ……このような事では困りますね」 海未「……」ボーッ グッ 海未「んえっ!?」 彼方「動くな、手を上げろ」(裏声) 海未「な、なんですか!?」 彼方「おっと、こっちを振り向くなよ?背中になにを当てているかわかっているよな」(裏声) 海未(は、犯罪者……!?しまった、私とした事がボーッとして油断を) 海未「わかりました……言う通りにします」スッ 海未「……あなたの目的はなんですか?」 彼方「いい子だ、そのまま保健室に行くんだ」(裏声) 海未「保健室?なぜそんな所に?」 彼方「つべこべ言わずに行くんだ、ケガしたいのか?」(裏声) 海未「わ、わかりましたよ」
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5 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 18:49:19.37 ID:ai4aggyg - 保健室
海未「さぁ、保健室に着きましたよ」 彼方「ご苦労、それでは……」(裏声) 彼方「海未ちゃんには彼方ちゃんの枕になってもらうよ」 海未「えっ?か、彼方?あなただったのですか?」クルッ 彼方「脅かしてごめんよ〜ちょっとしたイタズラだったのだよ」 海未「私、てっきり凶悪犯がやって来たのだとばかり……」 彼方「ほっほ、しずくちゃんも真っ青な演技だったでしょ」 海未「普通に声をかけてくれればいいものを……万全の状態であれば護身術で返り討ちにしてましたよ」 彼方「おお怖い怖い、海未ちゃんとまともにぶつかったら大変だ」 海未「それで、こんな所まで連れて来て一体なんの用ですか?」 彼方「海未ちゃんは彼方ちゃんの枕に選ばれたんだよ、少しお昼寝に付き合ってくれたまえ」 海未「はぁ?どういう事です?」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
6 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 19:05:12.24 ID:ai4aggyg - 彼方「実はいつも持ち歩いている枕を家に忘れてしまってね」
彼方「それで、海未ちゃんを抱き枕にしようと考えた訳」 海未「事情はわかりましたがなぜ私なのですか」 彼方「たまたま最初に会ったから」 海未「たまたま、ですか……」 彼方「あとはなんだか疲れているように見えてね、もしかして寝不足なんじゃないのかな?」 海未「そ、そんなにわかりやすいですか?」ドキッ 彼方「彼方ちゃんはぁ睡眠のエキスパートなんだよ、それくらい簡単にわかるのさ」 海未「……彼方の言う通り最近疲れてはいるのですが眠れなくて」 海未「今日も明け方近くまで眠れなかったんです」 彼方「それはいけないね、睡眠不足は万病の素だ」 彼方「それならちょうどよかった。さぁ海未ちゃん、一緒にお昼寝をしようじゃないか」 海未「しかし、学校でお昼寝なんて……」 彼方「いいからいいから、なにか言われたら私が責任取るから大丈夫」グイッ 海未「きゃあっ!?ちょっと彼方!!」
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9 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 19:22:27.01 ID:ai4aggyg - ドサッ
彼方「彼方ちゃんはもう限界、海未ちゃんを抱き枕にして寝るのだ〜」ギュウッ 彼方「ほうほう、引き締まっていながらもしっかりと柔らかい部分も残してある……合格だ」 海未「ちょっと彼方、そんな急に抱き締めないでください‼」カァァ 彼方「細かい事は気にしないで海未ちゃんも眠りたまえ」 海未「こ、こんな状況で眠れる訳ないでしょう」 彼方「しょうがないなぁ」ムギュウ〜 海未「うぷっ!?」 彼方「彼方ちゃんの胸を貸すから枕代わりに使っていいよ、頭も撫でてあげる」ナデナデ 海未「むぅ〜うぅ〜!!」ジタバタ 彼方「こらこら、暴れるな暴れるな。静か〜に、深呼吸して〜はい、深呼吸〜」 海未「む……すぅ〜……ふぅ〜」 彼方「落ち着いて、私に全て委ねて。ほぉら、だんだん眠くなってくる」ナデナデ 海未「ん……む……」ウトウト 彼方「そうそう、このまま一緒に眠っちゃおうね〜海未ちゃん」 海未「―すぅ……すぅ……」 彼方「ふふ、おやすみ海未ちゃん」 彼方「さて、彼方ちゃんもひと眠りしますかぁ」 彼方「―ぐぅ……ぐぅ……」
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10 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 19:38:25.92 ID:ai4aggyg - 海未「ん……」スッ
海未「ふぁ……あれ?彼方……」 彼方「すやすや……」 海未「私……いつの間にか眠っていたのでしょうか……?」 海未(彼方に抱かれ頭を撫でられて優しく声をかけられていたらなんだか心地よくなってきて……) 海未(彼方の体、とても柔らかくていい香りがして……) 海未(それで引き込まれるように眠ってしまったのですね) 海未(こんなに熟睡したのはいつぶりの事でしょうか) 海未「そ、それにしても……こんなに密着していては動けませんね」カァァ 海未「保健室のベットで彼方とこんな格好でいるなんて、誰かに見られたら大変な事になってしまいます」 海未「彼方……彼方」 彼方「んん……遥ちゃぁん……」ギュウ 彼方「あと……3時間……」 海未「私は妹さんじゃありません、それとあと3時間は寝過ぎですよ」 彼方「う〜ん……むにゃむにゃ」 海未「これはとても起きそうにありませんね……」 海未「仕方ない、私ももう少し眠りますか」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
12 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 19:52:39.01 ID:ai4aggyg - 彼方「ん……んん〜」ノビー
彼方「あぁ〜よく寝たぁ」 海未「ようやくお目覚めですか彼方」 彼方「おや海未ちゃん、おはよう。よく眠れたかな?」 海未「はい、あなたが起きる15分ほど前に目が覚めました」 海未「ずっと抱き締められていたので動けませんでしたよ、もう……」 彼方「ほっほ、海未ちゃん抱き心地がよくてすっかり眠り込んでしまったよ」チラッ 彼方「おや、もうこんな時間かぁ」 海未「私は起こそうと思って何度も声をかけたんですよ、彼方ったら全然起きてくれないんだから」ムスッ 彼方「彼方ちゃんの眠りは深いからね〜申し訳ない」 彼方「それじゃ、そろそろ帰るとしますか」 海未「結局お昼寝をする為に学校に来た感じになってしまいました……」 彼方「たまにはそれもよいではないか」 海未「彼方はいつもお昼寝しているじゃありませんか」 彼方「ありゃ、痛いところを突かれたね〜」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
14 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 20:11:59.46 ID:ai4aggyg - 帰り道
彼方「海未ちゃん、寝不足だって言ってたけど最近忙しいのかい?」 海未「えぇ……学業に部活にスクールアイドル、家の方でも親の手伝いをやったりして忙しいです」 彼方「海未ちゃんは頑張り屋さんだからねぇ〜彼方ちゃんみたいにどこかで気を抜かないと倒れちゃうよ」 海未「それはわかっているのですがなかなかそういう時間も取れなくて」 彼方「それは言い訳かな?」 海未「言い訳?本当に取れないんですよ」カチン 彼方「いーや、四六時中忙しいだけの時間なんてないね」 彼方「その合間合間にひと息つける時間が必ずあるはずだよ」 彼方「そういう時に休むとそれだけでも違うよ、海未ちゃんはそれを見つけるのが下手なだけ」 海未「確かに……忙しいだけの時間というのはありませんね」 海未「うまく見つけられるかわかりませんが休める時間を見つけたらひと呼吸置いてみます」 彼方「そうそう、そうやって休みながら過ごせば夜もぐっすり眠れるはずさ」 彼方「疲れ過ぎてると逆に眠れなくなるからね、あまり肩肘張らずほどよくゆるゆる〜といきなさい」 海未「なんだか妙な説得力がありますね」 彼方「んまぁ、彼方ちゃんにもそんな時期があったからねぇ」ボソッ 海未「えっ?」 彼方「おっと、今のはこっちの話。なんでもないよ」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
15 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 20:30:05.86 ID:ai4aggyg - 海未の家
海未「ふぅ……庭の掃除は終わり、次は蔵の片付けをやってそのあとは宿題を」 海未「あぁ忙しい忙しい」アクセク 彼方『彼方ちゃんみたいにどこかで気を抜かないと倒れちゃうよ』 海未「―はっ!?」 海未「……すぅ〜……はぁ〜」 海未「蔵の片付けも宿題もそこまで急いでやる必要はありませんね、少し休憩にしますか」 海未「確か台所に穂乃果から貰ったおまんじゅうがあったはず、それで一服しましょう」 海未「はぁ、今日は彼方とお昼寝をしたせいかいつもより疲れが少ない気がしますね」 海未「これなら、今夜は眠れるかも……」スッ 海未(別れ際に彼方が呟いた言葉……) 海未(彼方はいつものんびりお昼寝しているように見えますが、そうではないのでしょうか?) 海未(もしかしたら私の知らないところで、彼方も苦労しているのかもしれませんね……) 海未「ふわ……この眠気は……」ウトウト 海未「これなら……眠れ……そ……」 海未「―すぅ……すぅ……」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
16 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 20:56:16.96 ID:ai4aggyg - 次の日
海未「おはようございます、彼方」 彼方「おはよう海未ちゃん。おっ、スッキリした顔してる。昨日は眠れたようだねぇ」 海未「おかげさまで8時間たっぷりと眠れました、眠れる事はいいですね」 海未「彼方のアドバイスを受けて忙しい合間にも休憩を取ったら疲れが格段に少なくなりましたよ」 彼方「うむうむ、きちんと言い付けを守っているようで結構」 彼方「彼方ちゃんも、今日は忘れずに枕を持って来たよ」 彼方「海未ちゃんの抱き枕も捨てがたかったんだけどねぇ〜」チラッ 海未「いやいや!!あの時はよく眠れましたがあんな恥ずかしい思いをするのはもうごめんです!!」 彼方「それは残念だなぁ、最高の抱き心地だったのに」 彼方「また眠れなくなったら私に言って」 彼方「その時は一緒にお昼寝しよう」 海未「もちろん彼方はその枕を使うんですよね?」 彼方「んー?あぁ使う使う、その上で海未ちゃんを抱き枕にする」 海未「結局枕があってもなくても変わらないじゃないですか!!」 彼方「お〜なかなかキレのある突っ込み、疲れが取れた証拠だね」 海未「今ので少し疲れが出ましたよ……」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
20 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 21:23:06.71 ID:ai4aggyg - 彼方「海未ちゃんって休みの日はなにしてるの?」
海未「休みの日、ですか。そうですね……」 海未「部活の練習に家では日舞、茶道、華道のお稽古をしています」 彼方「ほぉ〜随分予定がぎっしり詰まった休日ですこと、それで体は休めているの?」 海未「……これだけの事をやっているとあっという間に夜になってそれほど体を休める事は出来ていません」 彼方「眠れるようになってもそんなハードスケジュールをこなしていちゃ息が詰まるねぇ〜」 彼方「海未ちゃんは余暇って言葉知ってる?」 海未「余暇……なにもない暇な時間、ですか?」 彼方「流石海未ちゃん優等生、せっかくの休みの日なんだからたまには余暇を楽しんでみようよ」 彼方「と言う訳で今度の日曜日お付き合い願おうか」 海未「また急な話ですね……ちょっと待ってください」 海未「今度の日曜日は……日舞のお稽古がありますが午後は空いています」 彼方「午後からでもいいよ、2人でお出かけしようか。私お弁当作って行くからお昼ご飯は食べないでね」 海未「わかりました、私に合わせてもらってすみません」 彼方「彼方ちゃんから誘ったんだから海未ちゃんが謝る必要はないのだよ〜」 彼方「それじゃ、今度の日曜日に海未ちゃんの家に迎えに行くね」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
21 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 21:40:04.31 ID:ai4aggyg - 日曜日
海未「彼方、わざわざ迎えに来てもらってありがとうございます」 彼方「海未ちゃんの方こそ、稽古お疲れ様。体動かしてお腹空いたでしょ」 彼方「海未ちゃんの為に頑張ってお弁当作ってきたからね、楽しみにしてて」 海未「彼方の料理の噂は私の耳にも入ってきます、プロ顔負けなのだとか」 彼方「そうかね、自分で言うのもなんだけど料理なら他の人に負けない自信があるよ」 海未「私もぜひコツなどを教えてほしいものですね」 海未「ところで、その肩にかけている物は?釣竿?」 彼方「正解した海未ちゃんには手ずからお弁当を食べさせてあげよう」 海未「い、いいですよそんな事しなくても」カァァ 彼方「ふふ、赤くなっちゃってかわいいねぇ〜」 彼方「釣りは余暇を楽しむのにはピッタリなんだよ」 彼方「いい場所知ってるんだ、そう遠くないからついて来て」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
22 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 21:57:42.42 ID:ai4aggyg - 海未「すごい……近くにこんな緑の多い川があったなんて」
彼方「あまり知られてなくて人も来ない穴場なんだよ、この辺でいいかな」 彼方「海未ちゃん、折り畳みのイス持って来たから座りな」ポンポン 海未「彼方が釣りをするなんて意外でしたね」 彼方「他の皆も海未ちゃんと同じ反応するよ、どうも私はアウトドアなイメージがないようで」 海未「まったくその通りです」 彼方「釣りってさ、すぐ魚がかかる訳じゃないよね。むしろかかるまで待ってる時間の方が長い」 彼方「その待ってる時間、ボーッとしてるのが好きなんだよね〜川の流れや周りの風景を見てるだけで楽しいんだよ」 海未「その気持ちはわかる気がします、私も山登りが好きで自然に触れるのが楽しく思いますから」 彼方「海未ちゃんならわかってくれると思ってたよ」 彼方「はい、釣竿。やった事ある?」 海未「前に何度かやった事があるので大丈夫です」 彼方「それじゃ、細かく教える必要はないね。始めようか」
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24 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 22:13:07.52 ID:ai4aggyg - 彼方「かかるのを待ってる間にお弁当食べようか」
海未「釣竿を離していいんですか?」 彼方「そんなすぐにはかからないし、平気だよ」 彼方「釣りをする事を考えて片手でも食べられるおにぎりとサンドイッチを作ったよ」 海未「ほう、これはおいしそうですね」 彼方「あと海未ちゃんは中華が好きだと聞いたから」パカッ 海未「わぁ、点心‼私大好きなんですよ‼」 彼方「中華料理なら簡単に海未ちゃんを釣れそうだねぇ〜いい食い付き」 彼方「つまめる大きさだから片手でも食べられるでしょ?冷めちゃったけどね」 海未「そんな、嬉しいです。それじゃさっそくいただきます」パクッ 海未「―う〜ん!!おいしい〜!!本場の味にも負けませんねこれは」 海未「おにぎりともよく合います、彼方は本当に料理が上手ですね」 彼方「称賛の声は彼方ちゃんの実力を更に高めるからもっと褒めてくれたまえ、ほっほ」
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25 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 22:32:39.65 ID:ai4aggyg - 海未「ごちそうさまでした、どれも素晴らしい出来ですごくおいしかったです」
彼方「お粗末様、海未ちゃんおいしそうに食べてくれるから私も嬉しかったよ」 海未「自然に囲まれて食べるお弁当、最高ですね」 彼方「本当にねぇ、1番の調味料はこの自然のおいしい空気だね」 海未「魚……まだかかりませんね」 彼方「焦らない焦らない、魚釣りはあくまでおまけ。私はこうやって海未ちゃんと色々お話したかったんだよ」 海未「お話……」 海未「あの、彼方に聞きたい事があるのですが」 彼方「うん?なに?」 海未「彼方にも眠れないほど忙しい時があったのですか?」 彼方「あぁ、その話かぁ。う〜ん……」 彼方「あまり自分でこんな事は言いたくないんだけどね」 彼方「私も実は忙しい毎日を送っているのだよ」 彼方「私、特待生で学校に入ったからさ。成績がよくないと学校にいられなくて」 彼方「昼間は学校、家に帰ったら家事やらなにやらやっていると勉強出来る時間は夜くらいしかなくてさ」 彼方「だから日中学校で時間がある時にお昼寝しているの」 海未「そうだったんですか……」 彼方「こんな風に言うと言い訳してるみたいだから出来れば話したくなかったなぁ」 彼方「海未ちゃんだから話してみた、他の皆には内緒だよ?」 海未「彼方……」
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27 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 23:04:26.91 ID:ai4aggyg - 海未「―ごめんなさい」
彼方「なにを謝ってるの?」 海未「私、今まで彼方の事をお昼寝ばかりしている気の抜けた人だと思っていました」 海未「でも、そうじゃなかった。本当は誰よりも努力家でその姿を決して他人には見せずほがらかに振る舞う」 海未「私には真似出来ない……とても心の強い人でした」 海未「私の眠れない理由を聞いた時は笑ったでしょう?私より彼方の方がよほど苦労をしているのですから」 彼方「海未ちゃんより私の方が苦労してるなんて思うほどうぬぼれちゃいないよ、私はこの苦労ともうまく付き合えてるから」 彼方「なんだかんだこんな毎日も楽しく過ごしているから私はなんにも大変だと思わないよ」 海未「やはり、あなたは強い人です」 彼方「またの名を鈍い人とも言う、人生は楽しんだもん勝ち。忙しさにばかり追われちゃいられないよね〜」 彼方「たまにはこうやって立ち止まるからまた頑張ろうって思うのさ」 海未「今の私には耳の痛い話ですね」 彼方「ふふ、耳が痛いのは自覚がある証拠。わかっているならこれからはこういう時間をもっと増やしていこうね」 海未「そうですね……」 海未「あ、竿が揺れてる!!」ピンピン 彼方「おっ、ちょうど話のキリがいいところでかかるなんて空気の読める魚だね」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
29 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 23:22:30.13 ID:ai4aggyg - 海未「あれから続けましたが2人でやって釣れたのがたった1匹とは」
彼方「釣りなんてそんなもんだよ、1匹もかからない時だってあるし」 彼方「彼方ちゃんはボーッとして充電は出来たし海未ちゃんともお話出来たから満足したぞよ」 海未「どうせならもっと沢山釣りたかったですが……」 海未「でも、今日は彼方の本音を聞くことが出来たので」 海未「それが1番の収穫になりましたね」 彼方「海未ちゃんからお褒めの言葉を頂戴したからこれからも頑張っていかないとねぇ」 彼方「疲れた時は海未ちゃんを抱き枕にお昼寝するからその時はよろしく〜」 海未「本音を聞くまでは断固許否の姿勢でしたが……」 海未「……私もたまにはお昼寝したいので」 海未「そ、その時はよろしくお願いします」カァァ 彼方「お、これで海未ちゃんは本人公認の彼方ちゃん専用抱き枕になった訳だ。やったねぇ」 彼方「海未ちゃんも、いっぱい甘えてきていいからね〜これからもよろしく頼むよ」 海未「お互い、疲れ過ぎないように頑張っていきましょうね」
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- 彼方「枕を忘れた私とお疲れのあの子」
30 :名無しで叶える物語(東日本)[]:2020/03/15(日) 23:24:16.94 ID:ai4aggyg - 終わりです。海未ちゃんの誕生日なので彼方ちゃんに海未ちゃんの日々の疲れを癒してもらいました。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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