- 船長曜「さてと、次の航海だけど」海未「華やかさが足りないと思うんですよ」善子「同感ね」かすみ「この人たちは…」2航海目
170 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 13:40:48.81 ID:DgdM8dYP - 「船員に告ぐ、入港用意!!」
「「入港用意」」 私がそう言うと、クルーの二人の声が帰ってくる。 前方にニジガサキ国のオダイバ港が見えてきた。 オダイバ、砲台場。その名の示す通り、水門の脇には9門の大きな砲台がこちらに火口を向けている。 水門の前で船を止め、しばらく待っていると、ゴウン、ゴウンと音を立てて水門は開いた。入港許可が下りたようだ。 いつもなら水門は解放されていて、楽に入港することができる。 しかし、今日は違った。今日、ニジガサキ国は年に1度の感謝祭が開催されている。 中心部から少し離れている港に出さえも、遠くの喧騒が聞こえてくる。 ヒュ〜ドン、ドン、ドン、 色とりどりの花火が空中に上がる。その光景を横目に、私たちはいそいそと上陸、荷下ろしの準備を始めた。 ◇◇◇◇
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171 :名無しで叶える物語(らっかせい)[]:2019/11/23(土) 13:55:06.95 ID:DgdM8dYP - 朝に入港したけど、荷下ろしが時間をとって、上陸は昼頃になってしまった。
海未さんは入港管理局へ書類を申請に、善子ちゃんは次の荷物の運搬の下見に行っている。 船には私とかすみちゃんだけ。私はこれから、なじみの商業会館へ顔を出すことになっていた。 曜「荷下ろしお疲れ〜かすみちゃんいる〜?」 かすみ「はい、いますよ。どうしたんですか?」 曜「これから、北区の商業会館いかなきゃいけないんだけど、どう?一緒にいかない?面会の時間まで、まだまだたっぷりあるから、お祭りの下見もかねて」 かすみ「いいんですか!?是一緒に行きましょう。あっ、あの後30分だけ待っててもらってもいいですか?」 曜「?」 曜「いいけど、どうしたの?」 かすみ「それはひ・み・つです!」 商館に顔を出すといっても、そんなたいそうな話はしないで、いつ出港するのか、商品は何か、税金の申請といくつかの書類をさらさらと書くだけ。 時間も6時までなら窓口は開いていて、それまでだったら何時に行ってもいい。 つまり、お祭りを楽しむ時間はたっぷり有るってこと。 私は、手持ち無沙汰になった30分、コーヒーを片手に申請する書類に目を通していた。
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173 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 14:24:48.07 ID:DgdM8dYP - 「お待たせ・・・しました」
かすみちゃんの声がした。いつもの溌剌とした声ではなく、少し控えめな声だった。 振り向く。その瞬間に私は言葉を失った。 「ニジガサキ国の民族衣装、着てみたんですけど、どうですか・・・?」 アホな顔をしていたと思う。ウエストのしまった、黄色い花柄のワンピース。フリルの緑色が良いアクセントになっている。頭には薄いレースのヴェールをつけている。 曜「・・・かわいいよ///うん」 かすみちゃんの顔を直視できなくて、目線をそらしてしまった。 曜「じゃ・・・じゃあ、出かけようか!」 かすみ「はい!」 船を降りて市街地へと向かう。その途中、私のおなかがぐ〜となった。 曜「あはは、おなか減っちゃった」 曜「お昼ご飯まだ食べてなかった。かすみちゃんも何か食べる?」 かすみ「それじゃあ、生ハムとオムレツのサンドイッチがおすすめですよ。あっ!ほらあそこに屋台があります!」 そう言いながらかすみちゃんは屋台に向かって走っていった。長いスカートの端を持ち上げ、ヒールの高い靴がツカツカと音を立てる。ちょっと走りずらそうだ。 曜「そんな急いだらころんじゃうよ・・・」 楽しそうなかすみちゃんの背中に向かってそうつぶやいた。
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174 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 14:41:02.50 ID:DgdM8dYP - かすみ「サンドイッチ二つお願いします!」
曜「ソースはお勧めで!」 おっちゃん「あいよ!おっと、お二人さんもしかしてそういう関係かい?おまけしとくよ」ガハハハ かすみ・曜「ち、違います////」チャリーン おっちゃん「お熱い人ほどそう言うもんだぜ!はい、おまけのジュース」 サンドイッチを食べながら北区の商業会館を目指した。先ほどのおじさんの言葉で、さらにかすみちゃんを意識してしまい、うまく顔を見られない。 町の中心部へ近づけば近づくほど、人ごみの密度が増していく。 「ブース、A-71はこちらです!」 「安いよ安いよ、新刊なんとたったの銅貨9枚」 「おめぇ、まだ子供じゃねえか!さぁ帰った帰った!」 雑踏は激しさを増していく。人ごみを通り抜けるのも精いっぱい。 かすみ「曜さん、こっちです」 突然、かすみちゃん私の手を握った。するすると人ごみを抜け、裏路地に出た。 かすみ「私の地元なので、なんでも知ってます。商業会館までですよね?」 曜「う、うん」 そのまま私の手を引いて、商業会館まで連れてってくれた。途中、ここの地理とか、お店の話をしてくれたと思おう。でも、ドキドキして、何も覚えていない。 気が付いたら、商業会館の前についていた。
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- SSのネタを書くから誰か書いてくれないか
37 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 14:42:53.51 ID:DgdM8dYP - 地域表示がしうまいかららかっせいになってしまった!!
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176 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 15:01:58.99 ID:DgdM8dYP - 曜「ここまでありがとう。それじゃあ顔出してくるね。たぶん30分ぐらいで終わるから、ちょっと待っててね」
かすみ「はい!」 溌剌とした返事が返る。対照的に、私の声はなよなよした声だった。 カランカラン 「こんにちは〜ヨーソロー号の渡辺です!書類申請に来ました」 ◇◇◇◇ 滞りなく書類は済んだ。停泊許可証と、各種サービス券をもらって外へ出る。 「ええ、それで・・こういう訳で今は船に乗ってるの!」 「へぇ〜かすみさん、奴隷になったって聞いてたから心配してました。今の生活はどうですか?」 かすみ「あっ!曜さんおかえりなさい!地元の友達が通りかかったんで話してました!」 どうもごきげんよう。と笑顔で相手は返す。しかし、その瞳は憎悪にあふれていた。 当然だよね・・・友人を奴隷にされ、さらに私たちはかすみちゃんを性奴隷として船に積み込んでいるのだから。 曜「その、せっかく会えたんだから、お友達と遊んで来たらどう?かすみちゃん」 かすみ「えっ!!でも曜さんが」 曜「私のことは気にしなくていいよ・・・」 かすみ「ではお言葉に甘えて・・・」 そう言って二人は市街地に消えていく。かすみちゃんの友人は去り際に振り返り、私を激しく睨んだ。
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177 :名無しで叶える物語(らっかせい)[sage]:2019/11/23(土) 15:31:31.28 ID:DgdM8dYP - 一人になってしまったので、市街地に向かってぷらぷら歩く。途中の屋台で強いお酒を買った。
先ほどの視線が、嫌に粘っこく、心に残っている。 「桜内先生〜サインお願いします!」 「おい、そこのけ!そこのけ!国木田先生がお通りになるぞ」 「ちょっとやめなさいよ!このツインテロリ本は私のものよ!」 酒を飲んでも、あの視線を忘れられない。 雑踏の中に私はなじめなかった。むしろ、この喧騒がうるさく聞こえる。 どこをどう歩いたか覚えていなかったが、港近くに出た。 独特な建物が、港に突き出す形で鎮座している。私はこの建物を知っていた。奴隷輸出入の検疫所だった。 曜「仕方ない、仕方ないんだよ。人にはいろいろあるんだし・・・」 奴隷制度については、これまで一度も疑問に思ったこともなかった。だってそれは、近くに奴隷がいなかったから。いても、そんなに深く考えないようにしてた。 奴隷として買うこと、それはその人の一生を買うことと同じだ。そんな事、表面上では理解していた。買われるほうにも、様々な問題を抱えている。 いまだにあの視線が、頭から離れない。度数の高い酒を、一気に流し込んだ。 曜「仕方ない、仕方ないじゃないか〜〜〜!!」 海に向かって叫ぶ。人には、いろんな幸せがあって、他人にはわからない。 あの子の幸せって何なんだろう。私の幸せって何なんだろう。いろいろな思いがぐるぐる回る。 このまま船に戻って、帰ってきた二人と一緒に飲みに行って忘れよう。今夜はパーッとやろう。そうしよう。 おしまい くう〜疲w 曜ちゃんごめん。よくわからない話になっちゃった。もうシリアスはやめて、いつものバカ話を書くよ でもいつかかすみのエピソードも書きたい
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