- SS 小泉花陽はお腹がすいた
138 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:04:46.63 ID:xTUK9HLK - 再開します
連日の保守ありがとうございます
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139 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:06:08.72 ID:xTUK9HLK - -セト村
花陽「…………………」 この世界に来て何度か体感していたのに、私はまた足をとめてしまいます ユリカさんの話してくれた事を私は平和ボケした頭で想像し、理解した気でいたのです 花陽「うっ…………ぅぅ…」グッ 野盗による襲撃。私は村中の食べ物とかそういったのを根こそぎ奪っていったとか、そういうイメージで考えていました 外から見えていた建物はほんとに村の外周にあって、被害が少なかったのだと思います みんな殺された……とても酷い事をされたんだと思います だけど、こんなの……あんまりです…… 花陽「ハァ……ハァ……ぅ」ヨロッ お家の地下室から外に出たと思ったけど、そこは家の中じゃありませんでした 辺り一面瓦礫の山。屋根もなにもない、家だったものが破壊されつくしていました そして、残骸の先……道を挟んだ向かいの瓦礫から見えるのは、人の手足…… ユリカさん達は隠れ住んでいました。だから外の状況に手をつけることも出来ないまま
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140 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:06:47.56 ID:xTUK9HLK - 花陽「ハァ…うぅ…」
辺り一面に漂う強烈な異臭…… 何もかもがそのまま。こんなの……耐えられそうにないです 花陽「とにかく、ここからは離れないと…」 野盗がすぐ近くまで来ています。スキルで隠してあるとはいえ、私がここにいると探られてしまうかもしれません 花陽「………え?」 ヒューーーーン…… ドガァァン!! 花陽「きゃあぁぁ!!」ビクッ
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141 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:07:23.04 ID:xTUK9HLK - ば、爆発!? 私のすぐ横に何かが飛んできた……いえ、これはっ
花陽「こ、攻撃してきた?」 あの人達、もう村に入って来てるの? どうして私がここにいるって…… ドガァァン! ドゴォオォォン…!! ガァァァン!! 花陽「……………っ!?」ビクッ ち、違う……これは…… ドガァァァン!! ヒュンッ 花陽「あっ!?」ビクッ
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142 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:08:10.08 ID:xTUK9HLK - 花陽「…………?」
爆風で飛ばされてきた瓦礫が私のほうに飛んできたけど……また…すり抜けた? とにかく移動しながら確認を…… 花陽「ほんとに、村全体を無差別に……」タタッ ヒュンッ ドスッ 花陽「っ! きゃあぁぁぁ!!」 な、なにかが私めがけて……こ、これ……剣? ゲームでよく見かける……武器……これ、私に…… 花陽「は……ぁ……」ブルッ 瓦礫と同じように剣も私の体をすり抜けたおかげで無傷でした だけど……全身を冷たい感覚が走り抜ける 私、今……殺されそうに……
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143 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:08:57.22 ID:xTUK9HLK - 「チッ、やはり何かの幻術の類か」
「あれがそうなのか?」ザッ 「あら、けっこう可愛い娘じゃない」スッ 花陽「あ……んんっ……くっ」キッ 崩れた瓦礫を押し退けるようにこちらに迫る人影……三人 この人達が……この村をっ…! 花陽「怖いけど……がんばらなきゃ……私が……」タッ ザッ この人達に……伝えないと 「術士様は周囲を攻撃してくださいよ」スッ 「幻影にしては濃いな」 「持ち帰って可愛がってあげましょ」タッ 伝え………うぅ、やっぱりお帰り頂く方向で…
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144 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:09:59.67 ID:xTUK9HLK - 花陽「あ、あのっ……村からでていってくださいー……」
「あん?」 花陽「もうここには何もありません。来るだけ無駄ですっ」 「何もないことぁないだろ。隠れ潜んでる奴がいる」 「それに、少なくともアナタがいるわね?」 花陽「私達は明日にでもここを離れます。ここをどうにかしたいのならその後好きにしていいですから」 「お嬢ちゃんは、私達が誰だかわかっているの?」 花陽「え……えっと、クレスタリアの騎士団……だった人達ですよね?」 「そうだな」 花陽「戦争の事もあなた達の事情も私にはよくわかりません、だけど……」 「俺達の正体を知っているのなら、やはり生かしてはおけんな」チャキッ 花陽「えっ…!?」
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145 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:10:36.83 ID:xTUK9HLK - 「むしろ一番の不安材料がここにまだあるようだ」
「ああ、絶対に逃がさねえ」 「せっかく可愛がってあげようと思ったのに、残念ね〜」 花陽「……………」 ……流れが悪くなった? 不安材料……この人達の目的って…… 「囲め」スッ 「背後行きます」 「詠唱はじめるわ」 花陽「…………」スッ
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146 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:11:17.01 ID:xTUK9HLK - 敗残兵となって野盗まがいの事をしている元騎士団……だけじゃない?
「探知できない? どういう事?」 「構わねえ、撃て」 花陽「えっ…!?」 私の足元が赤く光って……何かの模様? ヒュン ゴオォォォン!! 花陽「ぴょわあぁぁぁぁぁ!!!」 ば、ばば、爆発しましたっ! 足元がどかーーんて!! もしかしてこれ、魔法とかファンタジー世界ならではのやつでしょうか!? だけど、やっぱり私には何も感じなかった……というより、魔法の効果で発生した現象だけすり抜けた? 「………!?」ピクッ 花陽「びっくりしましたぁ……」ドキドキ 「な……無傷だなんて」
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147 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:12:13.01 ID:xTUK9HLK - よし、きっと大丈夫…このまま作戦続行です!
とりあえず私の後ろから近づいてる人に… タタタッ 花陽「あ、あのっ!」 「むうぅ、くっ」サッ シュッ 花陽「ごめんなさい、あたりません」スルッ 「くそっ」タッ 花陽「あ、待ってください」ギュッ 「うわっ、離しやがれ!!」グイ 本当なら男の人の力に私が勝る要素なんてありません だけど私が握る手をこの人は振りほどけない。振り切る力をぶつける先がないからです 干渉されないという事は、こちらからの干渉に対して無抵抗だという事……で、いいんですよね? 「なんだこれ、腕が…あがらねえっ!」ググ… 花陽「帰ってくれないなら、聞きたい事があります」
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148 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:12:57.08 ID:xTUK9HLK - ヒュンッ ゴオォォ…
花陽「っ!?」 「うおっ!」 突然背後からものすごい風が通り抜けます でもこれも魔法によるものなんでしょうか、私には何の感触もありません 私が捕まえてる人は少し飛ばされそうになっていましたが、腕がそこに固定されているように動きません 一方的な干渉。なんだかすごいです あとは私がちゃんとやれれば…… 花陽「すいません、お話しがあるので待っていてもらえますかー?」 「なんなのあの子……」フルフル 「やっぱり幻術なんかじゃねぇ、実体がある……」
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149 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:13:56.53 ID:xTUK9HLK - 花陽「あなたも諦めて大人しくしていてください。手荒な真似はしたくありません」ギュッ
「ぐあっ…く…!」 花陽「あ、ごめんなさい。痛かったですか?」 特に筋力がついたわけではないのにこの反応…… 逃げたり暴れたりできないのであればこれでいきます 花陽「ちょっとお話ししたいので、大人しくしていてくださいね」 「うぅ……くっ」コクッ 花陽「あの、あなた達もこっちに来てくれませんか」 「なんだ……?」 「…………わかったわ」
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150 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:15:12.91 ID:xTUK9HLK - 私個人としては何か危害を加えようという気はないのですが、見た状況は完全に人質をとっています
それにこの人達は悪い人達です。ユリカさん達にホントに酷い事をしました 花陽「最初に言っておきますけど、私自身はあなた達の敵じゃありません」 「はぁ、じゃあ離せよっ」ググ… 花陽「お話しがあるのは本当です。離したら逃げちゃうじゃないですか」 「逃げないわよ」 このローブを着込んだ人……女の人? 「お前、なにもんだ?」 花陽「何者と聞かれても、普通の学生です」 勇者とか言われてますけど、自分で名乗るのはやっぱり恥ずかしいです 「そんなわけ…っ!」ググ… 花陽「じっとしててくださいっ」ムギュッ
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151 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:15:45.33 ID:xTUK9HLK - 「ぐあっ、くそっ……」スッ
「ライ、じっとしていろ…」 私が取り押さえている騎士の人はライさんというようです さっき私はこの人に殺されそうになりました 花陽「……………」 「普通の学生がこんなマネできるわけないでしょ」 花陽「あ、いえーその、それには事情がありまして…」 「どんなだよ」 花陽「私の事はいいんです。それよりっ…!」 ちゃんと話して、ちゃんと伝えなきゃ
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152 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:16:24.38 ID:xTUK9HLK - 花陽「この村や、近隣の村を襲った野盗はあなた達で間違いないですか?」
「…………ああ」 花陽「……………」ギュムー 「いででででっ!」 花陽「どうしてそんな酷い事をするんですか?」 「はぁ? なにが酷いってんだー?」 「私達を見殺しにしておいて、何を今さらっ!」 花陽「……?」 見殺し? どういうことでしょうか? 「お前はこの村の者なのか?」 花陽「あ、いえ…私は最近お世話になってるだけで……」 「余所者が邪魔してくれてんの!?」 花陽「よそもの……それはそうですけど……」
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153 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:17:25.48 ID:xTUK9HLK - 「北の連中が盟約を果たさず、俺達は戦場で孤立したんだ」
「援護も受けられず、敗戦が確定していても帰る場所すらなかったのよ…」 それって、先にあった他国との戦争の事でしょうか 北とはこの辺りの事? 「しかも王都の皇族は敗戦が濃厚になるとまっさきに逃げ出しやがった…」 「絶対に許さないわ」 花陽「えっと……話が違う方向へ行きそうなのでちょっと戻しますけど」 うっかり流されそうになりますが、そんな事を聞きたいのではありません 花陽「もうこの村には数人の子供達しか残ってません。あなた達のせいで」 問題の正当性なんて私にはわからないし、関係もありません あの子達の親を殺し、普通の生活すらできなくさせた。私はこれがただただ許せません
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154 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:18:43.95 ID:xTUK9HLK - 花陽「事情はわかりませんが、子供達を巻き込まないでください。ひ、人を殺すなんて絶対ダメです」
「何も知らないくせに…っ!」 花陽「確かに私には詳しい事情はわかりません。だけど、ダメなものはわかります」 ユリカさんの涙が本物である以上、私はユリカさんの味方でありつづけると決めました 花陽「なので、こちらから一つ要求があります」 「要求?」 私がユリカさんにしてあげられる事……ユリカさんが望んだ事…… 花陽「全員、髪の毛を数本づついただきます」 「髪の毛?」
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155 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:19:45.72 ID:xTUK9HLK - 「まさか、サーチに使うのか?」
「髪の毛だと、ダイレクトサーチか…?」 花陽「そうらしいです」 ユリカさんは野盗に対して復讐する事を心に決めています 最初は誰でもいいからこの人達に復讐できればいいと考えていましたが、今は違います 花陽「あなた達が奪ったものの代償は、かならず支払ってもらいますとのことです」 「ことです……って、誰だよ…」 花陽「あなた達が酷い事をした村の人達です。私はそのお手伝いをしています」 「復讐か……。だったら今連れて来いよ。ちゃんと相手してやるよ」 花陽「今はしません。あなた達のおかげでここはもう人が住める場所ではありませんから、移動するんです」 「そのための……サーチか」 花陽「これから先、あなた達は村の生き残った子達に狙われることになるんです」
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156 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:20:56.86 ID:xTUK9HLK - ユリカさんは私の提案を、これから先の生きていくための目的と手段に使いました
この人達に直接復讐するために、進むべき道を決めたのです 花陽「あなた達がどこでなにしようがもう関係ありません。いつか必ず、彼女達はあなた達の前に現れます」 「はっ………」 「たいした執念ね」 花陽「だけどその前にあなた達がまた私達に危害を加えようというのなら、わ、私が相手になります」 「どうして余所者のお前がそんなに肩入れするんだ?」 花陽「……………」 どうしてと聞かれれば、それは私が元の世界に帰るために必要だから ……いえ、もうそれだけが理由じゃないのを自分でもよくわかっています 「ねえあなた……どうせなら私達の仲間にならない?」 花陽「え!?」ドキッ 黙っていたのが何か誤解を与えてしまったようです 私個人の事情があるのは確かですが、例えこの人達が私の問題を解決してくれる存在だとしても仲間になんて考えられません それに私がこの世界に召喚される元々の原因はこの人達のせいなのです
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157 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:22:46.23 ID:xTUK9HLK - 花陽「個人的な恨みはありませんが、私はあなた達が……その、嫌いです。大嫌いなんです」
立場を明確にするために強めの口調で言います こんな事を他人に言うのは初めてです。だけど、心には何の抵抗もありません ホントに誰かを嫌うことがあるとどういう心境になるのか、初めて味わう経験です 「あっそ……。そんなすごいスキルを使えるのにあんなやつらに肩入れなんて…もったいないわね」 花陽「あなた達なんかよりずっといい子達ですっ」 「嫌われたもんだな」 花陽「それより、はやく髪の毛を置いて帰ってください」 「イヤだと言ったら?」 花陽「……え?」ドキッ 私が一人、人質として騎士の人を捕まえているのにどうしてこの人達は引かないんでしょう ……それより、私が考える話の流れでこの人達を諦めさせることができない スキル「それ正解!」がさっきから全然発動してくれません 「俺を人質として交渉材料に考えてるんなら無駄だぜ」 「俺達はある目的のために組んではいるが、仲間のために…なんて考えはない」 「目的の邪魔になるなら当然、捨てるわよ」 花陽「……………」
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158 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:23:57.44 ID:xTUK9HLK - 花陽「じ、じゃあなんで話し合いに…その、応じてるんですか?」
「殺意もない、やる気がまずない相手が人質なんてとって有利に事が進むと思ってるのか?」 花陽「え……」 「お前たちの動向を探るためと、あとは……」 「私は今でもあなたを殺す方法をずっとためしてるわよ。なんか効果ないみたいだけど……」 花陽「…………」ドキッ 「優しいんだな、あんた」 「こんなに優しくて可愛くて……あぁ、ほんともったいないわぁ……」 花陽「な……う……」 どうしよう……私なんかの考えじゃこの人達の意志を変える事なんてできない 事の良し悪しは別として、この人達は本気です……命をかけている。それを曲げる事はないのかもしれません だったら私に出来る事は…… 「それにしてもホントどういうスキルなのかしら……別動隊にあなたのデータをずっと送って探らせているのだけど、解答がでないって」 花陽「別動隊……?」
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159 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:25:10.00 ID:xTUK9HLK - 「まさか夜襲をかけるのに、昼間の連中はおうちでお留守番なんて考えてたわけじゃないだろ?」
花陽「え………」 「突入部隊とは別に今もこの村の周囲で村から出ようとしているやつを監視しているし、隠れている奴らの探索もしている」 花陽「…っ!?」ビクッ 「んー可愛い反応♪ ホントにシロウトなのねぇ」 他にも仲間がいるのはわかっています。少なくとも昼間に出会った人達……だけどどうして今ここにいない事に思考がまわらなかったのでしょうか…… もしかして、この会話もただの時間稼ぎにされているだけなんじゃ…… 花陽「……………」ドキドキ… 「あら、動揺しているわね。隠れているお仲間が心配?」 「俺なんかを捕まえたままで守れるのか?」 花陽「………ぅぅ」 私はユリカさん達を守りたい……なのにこの状況は何も変わらない 自分が干渉されないからってすべてが上手くいくなんて事にはならない…… 花陽「ど、どうしても諦めてはくれないんですか……?」 「ええ、私達は例え死んでも諦めないわ」
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160 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:26:50.14 ID:xTUK9HLK - 信念が………覚悟が違いすぎます
なにもかもを平和ボケした頭で考えている私なんかの言葉じゃこの人達は変えられない 花陽「…………………」ゴクッ だったら……もうこれしか…… ピピッ ――スキル「それ正解!」が発動しました 「なに!?」 「スキルだと!? なんだ……?」サッ 「…………聞いた事のないナビ妖精………」 発動……しました…………本当に、これしかないのでしょうか…… 花陽「ハァ……ふぅ、ん……」スッ 「な、なにを……あ…」 ユリカさんから受け取ったナイフを取り出し、人に向けて構える スキルがその道を示してくれました 私自身も覚悟を決め、かわらなければいけないと……
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161 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:27:46.70 ID:xTUK9HLK - 武器を手にし、戦う意思を明確にし、躊躇わない事……
花陽「わ、私……ほ……本気、ですよっ!」ググ… 「……………」 この人達には曖昧な態度は通じない。私が本気だとわかってもらわないと…… 「…………」 「あらら、そっちにいっちゃったか」 「お前の負けだな」 花陽「え……?」 「諦めて仲間になって欲しかったんだけどねぇ〜……ん、仕方ない」 私が捕まえてる人にナイフを突きつけたら状況が変わりました んー?
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162 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:29:07.95 ID:xTUK9HLK - 「ねえあなた。村にはもう子供しか残ってないって言ってたわね?」
花陽「へ? あ、ああ、はいっ」 「じゃあ、これ見てくれる?」スッ 花陽「これは、女の子の絵?」 ローブの人に一枚の絵を渡されました。小さいけど立派な額縁に入った女の子の絵 花陽「えっと……これが?」 「……………」 それは自身の髪が踝にまで伸びた小さな女の子 見た感想としては、ただ可愛らしい女の子だなって感想しかでません 服装がヒラヒラフリルのドレス姿で、まるでお姫様みたい 「ん、その反応はホントに知らないみたいね」 「どうすんだ?」 「ここが最有力だったんだろ?」 花陽「………?」
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163 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:30:51.54 ID:xTUK9HLK - 「いいわ。おとなしく帰ってあげる」
花陽「…………えっ!?」 「俺達の最重要目標はこの娘を殺すことだ」 「この村の連中も残らず消してやりたいところだけどな……」 「そのためにあなたみたいなわけわかんない存在に狙われるのはゴメンだわ〜」スッ 帰る……引いてくれる……? 花陽「あ、ありがとうござ……っ」 って、なんでお礼言おうとしてるんですか私…… この人達は許せない人……ちゃんとしなきゃ 花陽「待ってください。髪の毛置いていってください」グッ 「いてて、なんだよ帰るって言ってんのに」 花陽「理由はさっき説明しました。あなた達を許せない子達がいるんですっ!」 「そんなのイヤに決まってるでしょ」 「当然だ」 ヒュンッ ザシュッ
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164 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:31:50.42 ID:xTUK9HLK - 花陽「……………え?」
「っつ……っしょっと」タッ 「こっちは残さないようにっと」スッ シュウ… ゴオォォ… 花陽「わっ」ビクッ 私が捕まえていた騎士の人の腕を、もう一人の騎士の人が手にした剣で切り落とした ローブの人が私が持ったままの腕に突然魔法かなにかで火をつける 花陽「……………」 「じゃあねお嬢ちゃん。もしどこかで会ったらまた勧誘させてもらうわ」タッ 「作戦終了、撤収するぞ」タタッ 「俺らの正体知られてますけど、いいんすか?」スッ 「知られているならそういう対応するだけよっ」 花陽「……………」 ――― ――
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165 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:33:14.98 ID:xTUK9HLK - -ユリカさん家の地下、隠し部屋
ユリカ「ハナヨ様!」 スズ「ご無事で、ハナヨ様!」タッ 花陽「……………」 野盗の人達が帰った後、私は呆然としてその場で動けませんでした ようやく状況を理解し、念のため周囲を警戒しつつユリカさん達の待つ地下室へと戻りました ユリカ「お怪我はありませんか、ハナヨ様」 花陽「あ……はい。大丈夫です……」 スズ「………よかった」 ユリカさん達は私の無事に安堵し、喜んでくれています きっとすべて上手くやったんだと思ってくれているのでしょう だけど……結局私はなさけないままで、簡単にどうにかできるなんて考えていました 花陽「……………」 ユリカ「ハナヨ様?」
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166 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:34:21.61 ID:xTUK9HLK - パイ「ハナヨ様〜」テテテ…
リホ「おかえり〜」トトト… ピトッ 花陽「え……ど、どうしたの?」 ユリカ「少し前に大きな爆発音が続きましたから、みんな飛び起きてしまって」 花陽「あ、そうですよね……」 アイナ「あいつら、おっぱらってくれたの?」 花陽「………うん」 ヨシノ「ありがとう…」ピトッ 花陽「………ふふ」 私は……この子達を守れたんでしょうか……
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167 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:36:35.33 ID:xTUK9HLK - ??「あの……ありがとうございます……」
花陽「え?」 ユリカ「あ、ハナヨ様にはまだご挨拶していなかったわね。エミちゃん、おいで」 エミ「ん……」トトッ 花陽「…っ!?」ドクンッ 食事の時、寝ていた女の子 最年少、10歳のエミちゃん エミ「エミです。ハナヨ様、よろしくお願いします」ペコッ 花陽「あ……ぅ……」 それはとても可愛らしい、小さな女の子 アヤ「ハナヨ様、どうしたの?」 それは……見覚えのある女の子 花陽「……………」 エミ「?」 綺麗な髪が踝にまで伸びた、お姫様のようなドレスを着た……女の子
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168 :名無しで叶える物語(奈良漬け)[sage]:2019/07/16(火) 22:37:38.39 ID:xTUK9HLK - 続くー
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