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名無しで叶える物語(やわらか銀行)
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3

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理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
1 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:18:19.09 ID:IHJb60Jp
前スレ 理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter2
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1556107571/
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
2 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:19:17.05 ID:IHJb60Jp
カチ..コチ..カチ..コチ..

理亞「.....」

気分を悪くし、トイレで嘔吐してしまった理亞は休息をとるために客室のベッドの上で横になっていた
壁にかかっている振り子時計が時を刻む無機質な音だけが部屋に鳴り響く

理亞(横になっていたら大分気分が良くなってきた..今何時なんだろう..)

壁の振り子時計の針は時刻は20時を回り、窓の外を見ると日が沈み辺りはすっかり暗くなっている..ひんやりとした空気が内浦を包み込み、シトシトと小雨が降っていた

理亞「もうこんな時間..ずいぶん寝ちゃってた..」

(姉さま..まだ来ないのかな..)

聖良から連絡が入っていないか携帯電話を覗き込むも..新着メッセージは入っておらず、また通話の状態は圏外となっていた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
3 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:20:00.19 ID:IHJb60Jp
理亞「.....」

理亞はベッドの上に大の字になって思案を巡らせる

(私はルビィを探すためにやってきたんだ..こんなところで寝ているわけにはいかない..とにかく行動しなくちゃ..でも..どうすればいいんだろう..)

(内浦や沼津の周辺は黒澤家の人達や、地元の住民が隈なく探したはず..それでも手がかり一つ見つからないんじゃ..私一人がどうこうしたところで..)

理亞「こんな後ろ向きな考えじゃダメだ!とにかく情報を集めないと..」

理亞は頭を振って邪念を振り払った..その時..

コン コン..という木製のドアをノックする音が聞こえた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
4 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:20:55.37 ID:IHJb60Jp
理亞「誰?」

花丸「遅くにごめんね?花丸だよ..開けてもらえるかな?」

理亞「ちょっと待って..今開ける」

気だるさの残る体に鞭打ち、理亞はベッドから起き上がるとドアの鍵を開けて花丸を室内に迎え入れた

花丸「理亞ちゃん大丈夫?気分は良くなった?」

理亞「ええ..もう大丈夫..迷惑かけたわね」

花丸「気にしないでいいずら..北海道からはるばるやってきてくれたんだもの..疲れが出るのは当たり前だよ」

理亞「花丸一人?ダイヤ達はどうしたの?」

花丸「ダイヤさんは家の人達と何か話し合ってる..善子ちゃんはもう夜遅いから帰ったずら」

理亞「そう..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
5 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:21:42.73 ID:IHJb60Jp
理亞が沈黙すると室内には振り子時計のカッチコッチという音だけが響き渡る..
沈黙する理亞を尻目に花丸は屈託のない笑顔を浮かべて、明るく理亞に話しかけた

花丸「ねえ、理亞ちゃん..少し話さない?」

理亞「え?」

花丸「あ..もちろん理亞ちゃんが嫌じゃなかったらだけどね?」

理亞「いいけど..」

なんだろう..改まって..私..花丸のことあんまりよく知らないから..なんだか緊張する..

花丸「理亞ちゃんは..ルビィちゃんのこと..どう思ってるの?」

理亞「どうって..」

花丸は顔を赤らめて..まるで意中の相手の恋敵を見るような目で..理亞の顔を見つめた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
6 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:22:37.39 ID:IHJb60Jp
理亞「大切な..親友...だわ」

花丸「そう..なんだ..」

花丸は何かを堪えるように..ギュッと口元を噛み締める...

花丸「辛いよね..ルビィちゃんがいなくなってから..マルはずっと寂しくて..心細くて..」

花丸「ルビィちゃん..理亞ちゃんにすごくよく懐いていたから..もしかしたら理亞ちゃんの元に行ったんじゃないかって思って..連絡したんだ」

理亞「ルビィからは..何の連絡も来ていないわ..」

花丸「そう..」

花丸は沈痛な表情を浮かべてカーペットに目を落とした
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
7 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:23:30.45 ID:IHJb60Jp
理亞「花丸も..ルビィのことを親友だと思っているの?」

花丸「当たり前だよ!!ルビィちゃんとはずっと一緒だったんだよ!?マルにとってもルビィちゃんは..大切な親友なんだよ!!」

花丸「うう..ルビィちゃん..一体どこにいってしまったずらぁ..」

花丸の目から涙がポロポロと零れ落ちる..次々と滴り落ちる涙がカーペットの布地へと吸い込まれていった..

理亞「詳しい話を聞かせてよ..ルビィはどこに行っちゃったの?」

花丸「ルビィちゃんは..突然行方不明になっちゃったんだ..目撃情報も全然なくて..地元では神隠しにあったなんて無責任な事を言う人もいるずら」

理亞「どうして..ルビィは行方不明になったのかしら?自分から消えた..?それとも..誰かに..」

誰かにルビィが..その言葉が持つ意味を想像して理亞は体を大きく震わせた..
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
8 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:24:52.51 ID:IHJb60Jp
理亞の脳裏に羽交い絞めにされて、泣きわめくルビィの顔が浮かぶ..

ルビィの首筋に鋭利なナイフが突きつけられ..その冷たい刃はルビィの首筋を切り裂いて..そして..

理亞(バカバカしい!!そんなことあるわけない!!絶対ルビィは今もどこかで元気でいるに違いない!!どうせ、家出でもしてどこかの街をほっつき歩いているのよ!! ルビィは生きてる..絶対..私はルビィと再会するんだ!!)

焦燥で焦がれる理亞の胸中をよそに花丸は言葉を続けた

花丸「ルビィちゃんの身の回りに特別なトラブルはなかったと思うし..不審者の情報もなかったから..誘拐の線も薄いと思う..」

理亞「それじゃあどこかでケガをして動けなくなったのかも..山で遭難したとか..海で溺れたとか..」

花丸「もちろんその線も踏まえて..地元住民で大規模な山狩りも行われたよ..それでもルビィちゃんは..見つからなかった..」

花丸「海も同じく..果南ちゃんたちを筆頭に地元のダイバーたちが海に潜ってルビィちゃんの手がかりを探したけど..ルビィちゃんの髪の毛一本見つけることもできなかったんだ」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
9 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:25:34.45 ID:IHJb60Jp
理亞「ルビィが最後に目撃されたのはどこ?」

花丸「学校ずら..」

理亞「学校?」

花丸「浦の星女学院だよ..スクールアイドルの練習が終わった後、ルビィちゃんは用事があるから..って言って一人で校舎に残ったの..それが..ルビィちゃんを見た最後になったずら」

理亞「じゃあ学校になにか手がかりがあるんじゃ..!」

花丸「もちろん学校も隈なく探したよ..でもやっぱりルビィちゃんの手がかりを見つけることはできなかったんだ..ただ..」

理亞「ただ..なによ?」

花丸「ウチの学校..その..いわゆるイワクつきなんだ」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
10 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:26:34.49 ID:IHJb60Jp
理亞「イワクつき?」

花丸「うん..どこの学校にもよくある..いわゆる怪談話なんだけどね..ウチの学校は孤児院だったんだよ」

理亞「孤児院?」

花丸「そう..太平洋戦争で親を失い家を焼け出された子供たちを保護していたんだって..戦時中の内浦には疎開先として各地からたくさんの子供が疎開してきたずら..ウチのお寺も疎開先として児童の面倒を見ていたことがあるんだよ」」

花丸「親を失い帰る場所もない子供たちを不憫に思い..孤児院を建設して子供たちの面倒を見ていたんだよ..それが浦の星女学院の前身ずら」

理亞「そんな過去が..それで..孤児院だったことと、ルビィの失踪がどう関係あるのよ?」

花丸「孤児院に入所した児童の数と..退所した児童の数が..合わないんだって..」

理亞「え?どういうこと?」

花丸「つまり..行方不明になってどこかに消えてしまった児童がいるということずら」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
11 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:27:20.60 ID:IHJb60Jp
理亞「なんですって!?それって..」

花丸「今回のルビィちゃんの失踪事件に良く似ているでしょ?」

理亞「行方不明になった子供は..どこに行ってしまったのよ!?」

花丸「わからないずら..施設の厳しい生活が嫌になって、施設を脱走してどこかに消えてしまったんだろうと言われてる..けど」

理亞「けど..何よ?」

花丸「地面の下から..子供が苦しむうめき声が聞こえた..という逸話が残っているずら..」

理亞「ど..どういうこと?」

花丸「失踪した生徒たちの..怨霊が校舎に住みついているんじゃないかって..浦の星女学院の怪談話として..有名なんだ」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
12 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:28:12.23 ID:IHJb60Jp
理亞「バカバカしい!!そんなオカルトめいた話をあんたは信じるの!?まさかルビィが怨霊に連れてかれて神隠しにあったっていうんじゃないでしょうね!?」

花丸「もちろんマルも..完全に信じているわけじゃないよ..でもね..?もうルビィちゃんがいそうなところは全部探したんだ..それでも手がかり一つ見つからないとなると..こんな怪談話でも..ルビィちゃんの手がかりが見つかる可能性があるのなら縋りたくもなるずら!!」

理亞「そもそも..その子供が失踪した話って..信ぴょう性はあるの?神隠しなんて到底信じられないわ!」

花丸「身寄りのない子供が失踪しても..探す人なんてだれもいないずら..それに時代は戦後の混乱期..どこまでが本当でどこまでがウソなのかもはっきりしないずら..ただ..あの学校に得体の知れない何かがあるのかもしれない..マルはそう思っているずら」」

理亞「浦の星女学院に..ルビィが失踪した何かがあるかもしれない..花丸はそういいたいの?」

花丸「うん..ただ..ルビィちゃんがいなくなってから、マルや他の生徒たちも学校を隈なく探してみたけど..ルビィちゃんの手がかりはなにも見つからなかったんだ」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
14 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:29:18.76 ID:IHJb60Jp
理亞「まだ探していないところがあるじゃない..」

花丸「え?」

理亞「そのうめき声が聞こえたって言う話よ!もしも噂通り本当にそこから子供のうめき声が聞こえたのなら..その場所に何らかの手がかりがあるかもしれないわ!」

花丸「でも..そのうめき声が聞こえたっていうのも..あくまで噂話で..本当かどうかもわからないし..それが学校のどこかもわからないんだよ..」

理亞「それでも..ルビィの手がかりが見つかる可能性が僅かでもあるのなら..私はソレに賭けるわ!」

理亞「花丸!今から私を学校に案内して!!これから浦の星女学院に行ってルビィの手がかりを探す!」

花丸「今からって..夜になって外も暗いし..雨も降っているし..明るくなってからにしようよ」

理亞「だめよ!!このままジッとしているなんて私にはできない..きっとルビィの手がかりが校舎のどこかに残っているハズ!」

花丸「理亞ちゃん..わかった..ルビィちゃんの手がかりを..探しにいこう!!」

理亞(ルビィ..待っててね..絶対にあんたの手掛りを見つけ出してやるんだから!!)
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
15 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:30:06.63 ID:IHJb60Jp
そして..2人は海岸沿いの真っ暗な小道へとやってきた..
古びた街灯と微かな月明かり以外には辺りを照らすモノはなにもない..

理亞(暗い所って..やっぱり苦手..)

花丸「この道をまっすぐ進むと..バスの停留所があるんだ..停留所の側にある階段を上った先が浦の星女学院だよ」

理亞「本当..何にもない場所ね..真っ暗じゃない..」

花丸「フフッ..そうだね..内浦は山と海に囲まれていて..それ以外は本当になにもないところだよ..でも地元の人たちはみんな優しくて心の温かい人ばかりなんだ..マルはそんな内浦が大好きずら!」

理亞「ルビィと花丸は..ずっとここで育って来たのよね?」

花丸「そうだよ..マルとルビちゃんは子供の頃から仲良しで..ずっと2人で一緒に過ごしてきたんだ..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
16 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:30:52.57 ID:IHJb60Jp
理亞「学校につくまで聞かせてよ..子供の頃のルビィと花丸はどんなことをして過ごしていたの?」

花丸「そうずらね..小さいころのマルは気が弱くて..いつもルビィちゃんに庇ってもらっていたずら」

理亞「花丸の気が弱い..?意外だわ」

花丸「マルは..ほら、オラとか..マルとか方言がでちゃうから..周りの子達にバカにされることがあって..そのたびにルビィちゃんが相手に言い返してマルを守ってくれたんだ」

理亞「ルビィが..」

そう言えば..私がダイヤのことをバカにした時..ルビィはムキになって言い返してきたっけ..
オドオドして気が小さいくせに..自分の大切な人が傷つけられると怒るのは昔から変わらないのね..
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
17 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:31:41.17 ID:IHJb60Jp
花丸「マルは聖歌隊に入っているんだけどね?」

理亞「聖歌隊?でも確かあんたの家って..」

花丸「うん..聖歌隊に誘われた時はすごくうれしかったよ?でも..マルの家はお寺だから..その兼ね合いで辞退しようとしたんだ..」

花丸「でも..本心は聖歌隊に入って歌ってみたかった..そんなマルを見かねたのか..ルビィちゃんがマルのおばあちゃんに掛け合ってくれたんだ..マルは歌がうまいから..聖歌隊で歌わせるべきだって..」

花丸「そしたら..お婆ちゃんたちが大賛成してくれて..マルは聖歌隊に入ることになったんだ!」

理亞「そう..昔からそういうところは変わらないのね..ルビィは自分の大切な人の為だったら..ムキになって..相手のために尽くそうとする人..」

花丸「フフッ..そうだね..ルビィちゃんはとっても優しい子だから..マルも..そんなルビィちゃんの事が大好きで..いつまでも一緒にいたいずら..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
18 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:32:26.43 ID:IHJb60Jp
理亞「ルビィ..」

会話を続けながら道を歩き..浦の星女学院のふもとのバス停にたどり着いた

花丸「ついたよ..この階段を上るとマルたちの通う学校..浦の星女学院ずら」

理亞と花丸は階段のふもとまでやってきて..山の上にそびえる浦の星女学院を見上げると..シトシトと振っていた小雨がいつしか止んでおり..雲の切れ目から顔を覗かせた月明かりが..校舎を白く..不気味に照らしていた

理亞「花丸..」

花丸「うん?」

理亞「絶対に..ルビィを見つけ出すわよ」

花丸「.....うん!!」

そして..2人は真っ暗な階段を上り..浦の星女学院へと足を進めた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
19 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:33:14.26 ID:IHJb60Jp
浦の星女学院

理亞「ついた..ここが..」

花丸「そう...マルたちの通う学校..浦の星女学院だよ」

理亞「門は施錠されているみたいね..乗り越えるしかない」

花丸「え?理亞ちゃん?わ!!」

言うやいなや..門の上に両手を置いた理亞は一足飛びにぴょんと門を飛び越えてしまった

花丸「さすが..セイントスノーずら..」

理亞「何やってるの?早く来て」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
20 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:34:02.64 ID:IHJb60Jp
花丸「ま、待って..マルそんなに身のこなしが軽くないずら..ほっ!うわ!」

花丸も理亞に続いて門を飛び越えようとジャンプするも..足を引っかけてしまい尻餅をついてしまった

理亞「ちょっと!大丈夫!?」

花丸「アイタタ..大丈夫ずら」

理亞「ほら、捕まって..」

花丸「ありがとう..よいしょっと!!」

理亞「私は一通り校舎を回ってみるつもりだけど..案内をお願いできる?」

花丸「任せて!」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
21 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:34:48.76 ID:IHJb60Jp
理亞「というより..校舎に入れるの?普通施錠されていて入れないんじゃ..」

花丸「大丈夫..廃校寸前の校舎だから..至る所にガタが来ていて鍵のかからない窓があるんだ..そこから出入りすることができるずら」

花丸「警備員さんもいないし..昔みたいに宿直の先生もいないから..夜は本当に無人なんだ」

理亞「え?そうなの?ずいぶん不用心ね..」

花丸「田舎の学校だからね..こんなもんだよ」

理亞「そう..まあ、いいけど..それなら余計な心配をせずにルビィの手がかりを探すことができるわね..」

花丸「こっち!この窓から入れるよ!」

そして二人は..暗闇の支配する夜の校舎へと忍び込んだ
校舎の中はシン..と静まり返っていて物音一つしなかった
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
22 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:35:48.97 ID:IHJb60Jp
理亞(予想はしてたけど..やっぱり夜の学校って不気味ね..)

年季が入っている木製の床は歩くとギシ..ギシ..と1歩ごとに軋む音を発した..
真っ暗な校舎の中にひんやりとした冷気が漂っており、理亞の背筋をブルッと震わせる

花丸「電気はつけないほうがいいよね..懐中電灯を持って来たから..それで探索しよう」

花丸はそう言うとスポーツバッグの中から小さな懐中電灯を2本取り出して一本を理亞に手渡した
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
23 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:36:28.14 ID:IHJb60Jp
理亞「花丸」

花丸「な〜に?理亞ちゃん」

理亞「私から離れるんじゃないわよ」

花丸「え?」

理亞「もしかしたら校舎の中にルビィの失踪に関わる危険な何かがあるのかも..ルビィに続いてアンタまで失いたくないから..私から離れないでって言ってるの..」

花丸「理亞ちゃん..うん!わかった..探索が終わるまでマルは理亞ちゃんから離れないずら!!」

花丸はそういうと理亞の袖をきゅっと掴んだ
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
24 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:37:13.67 ID:IHJb60Jp
理亞「べ、別に袖を掴めとは言ってない..動きづらいから離して頂戴..」

花丸「えへへ〜理亞ちゃん優しいずら..きっとルビィちゃんは理亞ちゃんのこういうところに惹かれたんだろうな..」

理亞「わ..私は..優しくなんか..というより離れてよ..」

花丸「え〜?い〜や〜ず〜ら!!マルが飽きるまでしばらくこうしているずら♡」

理亞「まったく..もういいわ..行きましょう..」

そうして二人は暗闇が支配する廊下を懐中電灯の光だけを頼りに歩き出した

ギシ.. ギシ.. と木製の床が軋む音が鳴り響く..
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
25 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:37:54.46 ID:IHJb60Jp
理亞(廊下の足音なんて..日中だったら気にも留めないのに..真っ暗でこうも静まりかえった空間だとそれだけで不気味に聞こえるわ..)

花丸「理亞ちゃん..まずはどこを見たい?」

理亞「一階から見て行って..全部見たら上の階へ..最終的には屋上までみたい」

花丸「わかった..案内するよ..そこの教室がマルたち1年生の教室だよ..まずはそこから見てみよう」

理亞「わかった」

花丸に案内された理亞は1年生の教室に足を踏み入れた

花丸「ここがマルたち1年生の教室だよ!」

理亞「ここがルビィの教室..ルビィの机はどれ?」

花丸「あそこ」

花丸は清掃用具入れの側に位置する机を指差すと、そこには主を失った机が寂しげにポツンと存在していた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
26 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:38:41.14 ID:IHJb60Jp
理亞「これが..ルビィの机..」

理亞はルビィの席に腰かけて教室を見渡した..

理亞(ルビィは..ここに座って学校生活を送っていたのね..これがルビィの見ていた景色..)

理亞は机の中を覗き込むが中には何も入っていなかった

花丸「そこにはなにもないよ..ダイヤさんが片づけちゃったからね」

理亞「机の中には..ルビィの手がかりになりそうな物は入っていなかったの?」

花丸「もともとなにも入っていなかったよ..ルビィちゃんは置き勉もしない真面目な子だったから..いつも机の中はキレイだったずら」

理亞「そう..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
27 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:39:22.40 ID:IHJb60Jp
花丸「そろそろ次の場所に行ってみる?」

理亞「そうね..案内をお願い」

そして二人は1階の部屋を隈なく見て回ったが..ルビィの手がかりになりそうなモノは髪の毛一本たりとも発見することができなかった

理亞「1階は見て回ったわね..」

花丸「どうする?次は上の階を探す?」

理亞「上に行く前に..体育館の中を見てみたいんだけど..」

花丸「わかったずら..ついてきて」

花丸の後について理亞は校舎の外に出た。冷たい潮風が理亞の頬を弄り..雨上がりの雲の切れ目から、月の光が降り注ぐ
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
28 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:40:11.36 ID:IHJb60Jp
理亞「さむ..」

理亞が肌寒さに身をブルリと震わせた時..

ワオオオオ〜〜ンンンン

理亞「な..なに?」

獰猛な犬の泣き声が山の中に響き渡った

花丸「時々野犬がでるんだよ..人が噛まれてケガをしたっていう事件がたまに起きるから..関わらない方がいいずら」

理亞「噛まれた?そんな危険な犬がいるのに駆除しないの?」

花丸「保健所の人が捕まえようとしたら..頭を思い切り噛みつかれて10針縫う大けがしたんだって」

理亞「小さい子犬だったらともかく..そんな凶暴な犬は絶対にペットにはしたくないわね..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
29 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:41:08.86 ID:IHJb60Jp
花丸「体育館はトイレの窓のカギが壊れているから..そこから入るずら..こっちだよ」

理亞「本当にボロイ校舎ね..メンテナンスはしっかりしなさいよ..」

花丸「よいしょっと..よし..空いたずら!」

ガラッ..と滑る音を立ててトイレの窓は開かれた

理亞「よし..中に入るわよ..ん?どうしたの?」

花丸「マル..一人じゃよじ登れないずら..理亞ちゃん後ろからマルを押し上げてくれる?」

理亞「世話が焼けるわねまったく..ほら!よじ登りなさい!」

花丸「ずら!!」

花丸はピョンと飛び上がると、トイレの窓に右足をかける..腕の力が足りなくて落ちそうになるところを理亞が支えて花丸のお尻を強く押し出し、トイレの中へと押し込んだ
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
30 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:41:48.38 ID:IHJb60Jp
花丸「ずら!!アイタッ!」

花丸は尻からトイレの床に落下し、尻餅を着く音が響き渡る

花丸「痛いずら〜!!理亞ちゃんもっと優しくしてほしいずら!!」

理亞「イヤ..着地までは面倒見切れないって..ハッ!」

理亞は軽快にジャンプし、花丸がやっとよじ登った壁をスタイリッシュに乗り越えた

花丸「おお〜〜!!理亞ちゃんすごいずら〜!!」

花丸は子供のような笑顔で無邪気に拍手を送る

理亞「こんなのなんでもないわよ..さあ、行くわよ..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
31 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:42:34.08 ID:IHJb60Jp
トイレの扉を開けると、暗闇に包まれた闇の世界が2人の視界に飛び込んでくる..

体育館の中は暗闇と静寂に包まれており..灯りとなるモノは窓から入ってくる月光のみだった

理亞「とくになんの変哲もない体育館ね」

花丸「あまり珍しいモノを期待されても困るずら..」

理亞「とりあえず一通り見て回るわ..」

理亞は懐中電灯を取り出し、体育館の中を照らし出した

理亞(バスケットコートに...部隊の上にはグランドピアノと表彰台..特に変わったものはなさそうね..)

花丸「真っ暗で不気味ずら..うう..お化けが出そう..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
32 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:43:23.56 ID:IHJb60Jp
理亞「バカなこと言ってないでルビィの手がかりがないか探すわよ..」

花丸「ここも探したから..なにもないと思うけど..」

理亞「アンタたちは探してもないって判断したのよね?探しモノっていうのはね..無いと思い込んだ人が探すと見つからないモノなのよ」

花丸「どういうこと?」

理亞「別の人間が探せば視点や考えの違いで見つかることがあるっていう話よ..ん?」

理亞はバスケットコートの真ん中で足を止めた

花丸「どうしたの?」

理亞(ここ..なにかおかしい..今まで足音はコツ..コツ..だったのに..ここだけタン..タン..になってる..まるでここだけ板が薄いような..気のせい?)
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
33 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:44:12.05 ID:IHJb60Jp
花丸「床の上で立ち止まってどうしたの?なにかおかしいところがあった?」

理亞「いや..なんでもない..舞台の上も調べてみよう」

おかしいとは思ったが、とりあえず体育館の全体を調べるべきだと考えた理亞はその場所を後にし、舞台の上へとよじ登った

理亞「ここが舞台の上ね..体育館の様子がよく見えるわね」

理亞はステージの上から真っ暗な体育館を一望する..昼間は活気があふれているのだろうが、夜の静まり返って暗闇に包まれた体育館は
生物としての根源的な恐怖を駆りたてるように思えた

花丸「ここで鞠莉ちゃんやダイヤさんが全校生徒にあいさつをするんだよ」

理亞「ふ〜ん..特に変わった様子はなさそうね..表彰台にグランドピアノ..この胸像は誰?」

理亞はステージの横に置いてある初老の男性の胸像を指差した
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
34 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:44:55.52 ID:IHJb60Jp
剥げた頭にシルクハットを被り、背広に蝶ネクタイを付けた男性の胸像は品格に溢れており
その表情からはかなりやり手であったのだろうと理亞は思った

花丸「ああ..この学院の創設者の胸像だよ..鞠莉ちゃんのお爺ちゃんに当る人だね..」

理亞「創設者..小原鞠莉の祖父がこの学院の創設者なの?」

花丸「うん..鞠莉ちゃんのお爺さんは沼津近郊や内浦を中心にして商売を行う商人だったんだって..沼津近郊で商売を行うウチに、自然豊かなこの土地が好きになって内浦に疎開している身寄りのない孤児を憐れんで、お金を出して孤児院を創設した人でもあるずら」

理亞「え?それじゃあ..鞠莉のお爺さんって..この学園で昔起こった神隠し事件の当事者だったんじゃ..鞠莉に聞けばなにか手がかりが手に入るかもしれないじゃない!」

花丸「マルもそう思って..鞠莉ちゃんに聞いてみたんだけど..なにも知らないって..鞠莉ちゃんのお爺さんはお金を出しただけで、孤児院の運営にはノータッチだったみたい..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
35 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:45:37.63 ID:IHJb60Jp
花丸「それに..神隠しについて鞠莉ちゃんに話したら鼻で笑われたずら..大昔に行方不明になった児童は施設での生活が嫌になって逃げだしただけデース☆って..」

理亞「......」

理亞はなにか釈然としないモノを感じたが、花丸の話にとりあえず納得し、創設者の胸像を見上げた

理亞「まあいいわ..でも..なんか珍しいわね..こんなステージの上に胸像があるなんて..」

花丸「そうだね..他の学校でも創設者の胸像はあるみたいだけど..大体校庭の隅とかに置かれているみたいだよね..言われてみるとなんでここに胸像があるんだろう..」

理亞「なんか怪しいわね..ちょっと調べてみようか..」

理亞は胸像を怪訝な目で見つめると、像の周りを調べ始めた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
36 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:46:20.72 ID:IHJb60Jp
理亞(一見何の変哲もない只の胸像に見えるわね..材質は..銅ね..かなり重い..固定されているみたいだし、女の力では動かせそうにないわ)

理亞(ん?)

理亞は胸像がつけている蝶ネクタイに目を留めた..

理亞「この蝶ネクタイ..結び目の裏にくぼみがある..何か埋め込むことができるのかしら?」

花丸「え?あ!本当だ!!今まで気が付かなかったよ..」

理亞「何かがはまっていたようなくぼみだけど..なんなのかしらこれ..」

花丸「この形は..浦の星女学院の校章ずら」

理亞「なんでこんなくぼみがあるんだろう?」

花丸「う〜んわからないずら..学校の七不思議ずら」

理亞「いや、それは違うと思うんだけど..」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
37 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:47:02.12 ID:IHJb60Jp
花丸「いつまでも胸像を見ていてもしょうがないずら..そろそろ校舎の探索に戻ろうよ」

理亞「.......そうね」

理亞はもうしばらく胸像を調べてみたかったが..花丸の意見に同意することにし、校舎の探索に戻るために体育館を後にした

花丸「体育館にはルビィちゃんの手がかりになりそうなモノは見つからなかったね..今度は校舎の上の階をって..どうしたの?理亞ちゃん?」

理亞「ごめん..ちょっと気分が悪くて..トイレによっていいかしら?」

花丸「それは別に構わないけど..大丈夫?保健室のベッドで横になった方がいいんじゃ..」

理亞「平気よ..すぐ戻るから花丸はここで待ってて」

花丸「わかったずら」

花丸を廊下に残して理亞は一人で校舎の女子トイレに入った
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
38 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:47:44.64 ID:IHJb60Jp
理亞(やっぱり..食あたりかな..まだ気分が優れないや..)

女子トイレの中には個室が二つと清掃用具入れが一つ..と一般的で簡素な造りとなっていた

理亞「少し個室の中で休んでから行こう..」

理亞は手前の個室のドアノブに手をかけて、ノブを捻り開けようとするが..

理亞「あれ?びくともしないわ?なんでトイレの扉が空かないのよ..つっかえてんのかしら..カギはかかってないみたいだけど..」

理亞「まあ、いっか..奥のトイレはドアが開けっ放しになっているみたいだし..そっちを使おう」

キィ..バタン ジィ〜〜ファサッ
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
39 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:49:31.24 ID:IHJb60Jp
理亞(.......)

理亞は洋式便器の上に腰を下ろし、両手を前に組み頭を垂れた

理亞(まずは状況を整理しよう..私はルビィを探すために内浦にやってきて..ルビィが最後に目撃されたこの浦の星女学院に手がかりを求めて訪れた..)

理亞(まだ、一階と体育館しか見回っていないけど..この学院..なにかおかしい..生徒が一人学校内で行方不明になったというのに..どうして窓のカギが空いていたり..)

理亞(学校を警備している人間がいないのか..普通人が一人失踪したなんてなったら..もっと大事になって施設の点検やセキュリティに気を配るはず..)

理亞(理事長の小原鞠莉がよっぽど能天気でおめでたい性格をしているのか..あるいは..ルビィはこの学校で姿を消したわけじゃないか..ということになるけど..)

理亞(もしも、後者だったら花丸がウソをついていることになる..でも、花丸はルビィの親友..ルビィの失踪に関してウソをつく理由なんてどこにもない..ということは..うう..わからない..どういうことなんだろう..?)

理亞(とにかく..まずはあの体育館の胸像が気になるわね..あの胸像にはなにか大きな秘密が隠されているような気がする..あのくぼみに入れることができる何かを探すことから始めるか..)
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
40 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:50:16.20 ID:IHJb60Jp
理亞(ん?)

トイレの窓ガラスから月明かりが差し込み、理亞が入っている個室の壁を照らし出す..
足もとに映る理亞の影に、もう一人..別の誰かの人影が覆いかぶさるように映っていた

理亞「え?」

理亞は何気なく上を見た..そこには..

??「......」

能で使うおかめのお面を被った何者かが..隣の個室の天井の隙間から身を乗り出し金属の筒のようなモノを理亞に向けていた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
41 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:50:55.46 ID:IHJb60Jp
理亞「は?」

ドシュッ!という金属音がトイレの中に響き渡り、理亞の背後に立てかけられていた洋式トイレの蓋が粉々に粉砕され、壁に銀色のアンテナのようなモノが突き刺さった

理亞「な..!!」

何が起こったか理解が追いつかない理亞は便座の上に凍り付いたように固まった

??「.....」

襲撃者は理亞を仕留め損ねたことを確認すると、ボウガンの矢を継げ変えるべく、個室の中へと姿を消していった
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
42 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:51:41.48 ID:IHJb60Jp
理亞(な..なななななななに今のは!!?? え?なに?何が起こったの!? 今のアイツはなんなの!?..何かが飛んできてトイレの蓋を..え?え?)

理亞は壁に突き刺さったそれを凝視し、何が飛んできたのかを正しく理解した

理亞(あれ..弓矢じゃない!!あんなので討たれたらひとたまりもないわ!!)

突如危機的状況の中に放り込まれたことを理解した理亞はスカートをはき、個室の扉を思い切り開いて外へと飛び出した

理亞が個室の外に飛び出したと同時に..

ギィィィィ〜〜という耳障りな音を立て、隣の個室の扉がゆっくりと開き..
黒ずくめのローブを頭から爪先まで被り、おかめの面を付けた襲撃者が姿を現した

理亞「な、なによアンタ..何持ってんのよ..それ..ボウガンじゃない!!」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
43 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:52:21.93 ID:IHJb60Jp
??「........」

襲撃者は理亞の問いかけには応えず、これが返事だと言わんばかりに矢を装填したボウガンの銃口を理亞の心臓に向けた

理亞「やめて!!」

理亞の悲鳴を無視してトイレの中に2発目のドシュッ!という射撃音が鳴り響いた

理亞「きゃああ!!」

ボウガンの矢は理亞をわずかに逸れて、背後の水道管をぶち破り、ブシャー!という音を立てて水道管から水しぶきがトイレの中に飛び散った

理亞は襲撃者に背を向けてトイレの出口へと駆け出し、体当たりをするような勢いでトイレの扉をぶち破り廊下へと飛び出した
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
44 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:53:04.51 ID:IHJb60Jp
花丸「理亞ちゃん?どうしたの?トイレの中から大きな音が聞こえたけど..」

理亞「花丸!逃げるわよ!!」

花丸「え?どういうこと?」

理亞「いいから!!早く!!」

理亞は花丸の手を掴むと廊下を走りだす..ドン!!という大きな音を立ててトイレの扉が開け放たれて、中からボウガンを構えた襲撃者が現れた

花丸「ずら!?だ、誰あの人!?」

理亞「知るわけないでしょ!?ヤバい奴なのは見れば一発でわかるでしょ!!いいから逃げるわよ早く!!」

花丸「り..理亞ちゃん!!」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
45 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:53:50.90 ID:IHJb60Jp
戸惑いと怯えの声を出す2人をよそに..矢を携えるカチャンという金属音が鳴り..ダン!という矢を発射する音が再度響き渡り、銀色のアンテナのような弓矢が飛んできた

理亞「うわ!!」

理亞は弾かれるように空き教室の中に身を投げて矢を回避し、理亞に押し倒された机とイスがガラガラガッシャーンというけたたましい音を立てて床に倒れた

理亞「はぁ!..ハァ..!な..なに?一体なんなの!?」

理亞の足が恐怖でガタガタと震え、突然の事でパニックになった頭は状況を飲み込むことができずにいた

花丸「アグッ!!」

廊下から花丸のうめくような悲鳴が聞こえ、その直後に廊下に倒れ落ちるドサッという大きな音が響いた
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
46 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:54:36.74 ID:IHJb60Jp
理亞「花丸!?どうしたの大丈夫!?」

花丸「あ..足が..」

理亞「ヒッ!」

花丸の足にボウガンの矢が突き刺さり、矢が刺さった場所から血液がボタボタと滴り落ち、床の木目に赤い液体が伝うように流れて行った

理亞「は..花丸!!」

花丸「痛い..う..動けない..」

痛みに顔を歪める花丸をあざ笑うかのように..暗闇を切り裂いて銀色の矢が飛来し..
狙いを大きく外れた矢は廊下を風のように飛び去ってゆき..奥の壁にドガッ!!という大きな音を立てて突き刺さった
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
47 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:55:20.96 ID:IHJb60Jp
花丸「理亞ちゃん逃げて!!」

理亞「バカなこと言ってんじゃないわよ!!さあ早くこの手に捕まって!!」

花丸「理亞ちゃ..わッ!」

理亞は花丸の腕を掴むと渾身の力で引っ張り、教室の中へと引き寄せた

??「.......」

カチャン..ドシュッ!!

襲撃者はボウガンを構えると理亞達目がけて矢を撃ち放った

理亞「くっ!!」

花丸を教室の中に引っ張りいれたと同時に、床に銀色のアンテナが生えるように突き刺さった
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
48 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:56:02.90 ID:IHJb60Jp
花丸「理亞ちゃん..」

理亞「大丈夫..今矢を抜いてあげるから..」

理亞は花丸の太ももに突き刺さった矢を掴み、思い切り引き抜いた

花丸「アグッ!!」

アーチを描くように花丸の足から血が飛び散り、理亞の頬に雨水が飛び散るように血が付着した

理亞(よかった..思ったより傷は深くない..早く手当しないと..でも今はそれより..!!)

理亞「花丸逃げるわよ!!私の肩につかまって!!」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
49 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:56:53.97 ID:IHJb60Jp
花丸「マルに構ってたら理亞ちゃんまで殺されちゃうよ..マルのことはいいから一人で逃げて!!」

理亞「何言ってんの!アンタを置いて逃げられるわけないでしょ!?さあ早く!ヤツが来る前に早く!!」

理亞は花丸の腕を自分の肩に強引に巻きつけ、力づくで花丸を立ち上がらせた

花丸「ウッ!」

理亞「後で手当てするから..逃げるよ!」

花丸に肩を貸した状態で二人はベランダまで歩き、扉を開け放った..
夜風の心地よい冷たさが理亞の頬を弄ったとほぼ同時に..窓ガラスにボウガンの矢が突き刺さった

理亞「ヒッ..!」

ガシャーンという窓ガラスが粉々に砕け散る音が鳴り響き..粉々に砕け散ったガラス片がシャワーのように飛び散った
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
50 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:57:33.75 ID:IHJb60Jp
襲撃者は教室の出入り口にピストルクロスボウと呼ばれる、連射能力に秀でたボウガンを構えて立っており..獲物の様子を伺うように..理亞と花丸を見つめていた

理亞「なんなのよアンタ!!私たちが何をしたって言うのよ!?」

理亞は敵をキッと睨みつけ、腹の底から大声を出して怒鳴りつけた。
襲撃者は理亞の問いに応えることなく、淡々とした手つきでボウガンに矢を装填する作業に取り掛かる

教室の中に矢を継げ変える無機質な金属音が鳴り響いた

花丸「理亞ちゃん逃げよう!!話の通じる相手じゃないずら!」

理亞「クッ!しっかりつかまってなさいよ!!」
理亞「ルビィ..絶対助けにいくからね..」chapter3
51 :名無しで叶える物語(やわらか銀行)[]:2019/05/16(木) 23:58:18.48 ID:IHJb60Jp
理亞は花丸を肩に担ぎ上げると校庭目がけて全力で駆けた。襲撃者は矢をボウガンに装填すると、理亞の背中目がけて矢を射出した

バシッ!という大きな音の後に夜の闇を切り裂くように矢が飛来する..幸いにも矢は理亞達に刺さることはなく、グラウンドの土に生えるように突き刺さった

花丸「ウッ..痛い..」

理亞「我慢しなさい..どこか安全なところに身を隠さないと!!」

理亞は後ろを振り返り襲撃者の様子を伺うも、襲撃者はベランダに立ち尽くし、2人を追うようなそぶりは見せなかった
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