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名無しで叶える物語(茸)
善子「ダイヤがお見合い!?」

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善子「ダイヤがお見合い!?」
265 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 08:14:49.19 ID:sXoyMVjm
ルビィ「壊れちゃいけないものが」

ルビィ「壊したらだめなものが」

ルビィ「……壊れちゃうからだよ」

鞠莉「それって、なに?」

ルビィ「秘密」ニコッ

善子「……この後ダイヤは用事あるって」

ルビィ「えっ? そうなんだ」

善子「送っていくとか言ってるんだけど」

鞠莉「追いかける? って言いたいけど、私もそろそろお暇させて貰うわね〜」

善子「は?」

鞠莉「ソーリー!」

鞠莉「ちょっと用事が、ね?」

鞠莉「交際はお断りしたし、もう良いでしょ?」
善子「ダイヤがお見合い!?」
266 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 08:27:07.88 ID:sXoyMVjm
ルビィ「……もしかして、お姉ちゃん?」

鞠莉「ノンノン」

鞠莉「違うわよ、個人的な用事」

鞠莉「どうする? ここからならすぐそこにバス来るけど」

鞠莉「送っていく?」

ルビィ「……」チラッ

善子「用事あるんでしょ? バスがあるし良いわ」

善子「色々助かったわ、ありがと」

善子「お昼もご馳走になったし、感謝してるわ」

ルビィ「ありがとね、鞠莉ちゃん」

鞠莉「ええ」ニコッ

鞠莉「グッバイ」

鞠莉「……帰り道、ちゃんと気を付けてね」
善子「ダイヤがお見合い!?」
267 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 08:44:50.20 ID:sXoyMVjm
ルビィ「本当に追いかけなくて良いの?」

善子「鞠莉の車が無い以上無理でしょ」

善子「それに、ダイヤは断った」

善子「それならもう、大丈夫よ」

ルビィ「……そっか」

ルビィ「それにしても、鞠莉ちゃんは知ってるはずなのにあんまり聞いてこなかったね」

善子「なにあんた、鞠莉が様子見してるって気づいてたの?」

ルビィ「わかるよ〜」

ルビィ「ルビィのことは果南ちゃんが知ってるからね」

ルビィ「話してるに決まってるもん」

ルビィ「警戒してるのに聞き出そうとしてきて」

ルビィ「知ってるのになぁ……って思ってた」

善子「あんた、性格悪くなったわね……」

ルビィ「え〜? 変わってないよ?」

善子「それはそれでどうなのよ」

善子「むしろ、そっちの方が怖いわよ」

ルビィ「えへへ」ニコッ
善子「ダイヤがお見合い!?」
268 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 08:51:03.39 ID:sXoyMVjm
ルビィ「それじゃ、ここで解散しよっか」

善子「ん? 途中までは一緒でしょ?」

ルビィ「ルビィはもう少しゆっくりしていくよ」

ルビィ「ちょっと、疲れちゃったから」

善子「……そう」

善子「あんたは大丈夫だとは思うけど」

善子「帰りに気を付けなさいよ?」

ルビィ「それなら、一緒にいてくれても良いんじゃないかな」

善子「あんたねぇ……」

ルビィ「えへへ、うそうそ」

ルビィ「ちょっと寄り道したいんだ」

ルビィ「だから解散……心配してくれてありがとね」

善子「別に心配なんか……」

ルビィ「大丈夫だよ」

ルビィ「大丈夫、お姉ちゃんは男の人となんて付き合わないよ」

善子「……ええ、そうじゃなきゃ困るわ」
善子「ダイヤがお見合い!?」
269 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 08:58:50.30 ID:sXoyMVjm
ルビィ「……」

善子「……もし」

ルビィ「ん?」

善子「もし、あそこでダイヤがこれからも続けようとしてたら」

善子「あんたはどうしてた?」

ルビィ「……どうだろ」

ルビィ「あんまり考えてなかったよ」

ルビィ「断ってくれるって信頼があったからね」

ルビィ「でももし断らなければ」

ルビィ「男の人の車に乗り込んで」

ルビィ「……嘘つき」

善子「っ」ビクッ

ルビィ「とか、やってたかな」ニコッ

善子「そ、そう……」

善子(ダイヤ含めて後ろから刺し殺しかねないわね、ルビィは)

善子(……でも)

善子(大丈夫……断ってくれたんだから)

ルビィ「あ、バス来ちゃうよ」

善子「え、あ……」

ルビィ「また、明後日? かな」

ルビィ「ばいばい」

善子「ん、また月曜日」タタタッ
善子「ダイヤがお見合い!?」
270 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 09:04:56.15 ID:sXoyMVjm
―津島家・夜―


善子「っはぁ……」ボスッ

善子「良かった……ほんと」

善子(結局手を繋ぐこともなかったし)

善子(ダイヤは綺麗なまま)

善子(あとは、うまく相談に乗って頼って貰って)

善子(そこで距離を詰めて、気持ちを伝えて……)

善子「それで駄目なら……壊そう」ギュッ

善子(私のものになってくれないなら)

善子(私のものになってくれるように)

善子(でも、出来るなら……普通に付き合いたい)

善子(だって、良い顔してた)

善子(男に向けたものだったけど)

善子(でも、あれを隣で向けられたいと心から思った)

善子「だから、お願い」

善子(私に、あんたを壊させないで)
善子「ダイヤがお見合い!?」
271 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 09:13:09.67 ID:sXoyMVjm
ヴィー  
   ヴィー

善子「ん……電話?」

善子「誰よこんな時間に……」チラッ

善子「……ルビィ?」

ピッ

善子「もしもし、あんた何か――」

ルビィ『善子ちゃん!』

善子「っ……」

ルビィ『お姉ちゃんが……』

善子「は? 何? ダイヤがなんなのよ」

ルビィ『お姉ちゃんが帰ってこないの!』

善子「……え?」

ルビィ『善子ちゃんじゃないの? 善子ちゃんが……』

善子「ま、待って……ごめん、意味解んないわよ」

善子「ダイヤが……え?」

ルビィ『お姉ちゃんが、いなくなっちゃったの!』

善子(あまりにも突然で、信じられなくて)

善子(受け入れるわけにはいかなくて)

善子(ルビィの言ってることが、理解できなかった)
善子「ダイヤがお見合い!?」
273 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 12:23:05.34 ID:sXoyMVjm
善子「意味解らない……」

善子「なに言ってんのよ……は?」

善子「っ……」

善子「いつもの場所!」

ルビィ『わ、わかった!』

ルビィ『花丸ちゃんにも連絡しておく!』ブツッ

善子「ダイヤ……!」

ガタンッ
    ガタッ
  ドンッ

ガチャッ

善子母「ちょっと! こんな時間に何――」

善子「邪魔!」

善子母「痛っ……こら!」

善子母「待ちなさい! 今何時だと思ってるの!」

ガチャッ
   タッタッタッタ…

善子母「なんなの一体……」

善子母「追いかけ――」

プルルルルッ
   プルルルルッ

善子母「次から次へと、なんなの?」

善子母「……国木田さん?」
善子「ダイヤがお見合い!?」
274 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 12:42:37.51 ID:sXoyMVjm
―――――
―――
――

ルビィ「善子ちゃん!」

善子「ルビィ……花丸も先に来てたのね」

花丸「うん、電話が来てすぐに来たから……でも、善子ちゃんほどじゃない」ジッ

花丸「パジャマで出てくるなんて、焦りすぎずら」

善子「形振り構ってられないでしょ……」

善子「ルビィ、状況を詳しく教えて」

ルビィ「えっと、お母さんから聞いた話だけど」

ルビィ「お姉ちゃんが帰ってくる予定だったのは、19時」

ルビィ「今は22時」

ルビィ「20時の時点で何かあったんじゃないかって」

ルビィ「警察に連絡はしてたんだ」

ルビィ「でも、たった一時間だからってことで」

ルビィ「連絡を忘れているだけでは? 少し落ち着きましょうって」

善子「……はぁ!?」

善子「そいつなに考えてんのよ!」

花丸「善子ちゃん黙って、話が進まないよ」

善子「っ」

ルビィ「で、警察が役に立たないから21時までお姉ちゃんに電話したりしながら待ってたんだけど」

ルビィ「そこから30分経っても音信不通」

ルビィ「だから、もしかしたらって……」

善子「私に電話してきたわけね」

ルビィ「うん」

ルビィ「一応、21時の時点で鞠莉ちゃんたちにもお母さんが電話済み」

花丸「でも、そこにはいない」

花丸「……確かに、行方不明ずら」

善子「最初からそう言ってるでしょ!」
善子「ダイヤがお見合い!?」
275 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 12:51:15.54 ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、まずは落ち着くずら」

善子「落ち着いてられるわけ――」

スッ...
    パンッ

善子「っ……」

花丸「慌ててもどうにもなら無い」

花丸「そんなことも解らないずらか?」

ルビィ「花丸ちゃん……」

花丸「二人は鞠莉ちゃんと尾行してたはず」

花丸「最後に見たのはどこ?」

ルビィ「えっと……海が見えるあの旧展望台のベンチのところ」

ルビィ「でもそのあと、お姉ちゃんは用事があるからって」

善子「……縁談相手に送ってもらってたわ」

善子「私達が見たのはそこまで」

花丸「追いかけなかったの?」

善子「鞠莉が用事があるって帰ったのよ」

善子「だから……」

花丸「そう、つまり縁談相手」

花丸「まずはその人に話を聞くずら」
善子「ダイヤがお見合い!?」
276 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 12:58:09.16 ID:sXoyMVjm
ルビィ「それならお母さんに聞いてみる!」

善子「……でも平気なの?」

善子「あいつが犯人だったら……」

花丸「それはそうだけど」

花丸「ダイヤさんを探すなら使えるカードは使うずら」

花丸「大丈夫、マルがどこにいくかはお祖父ちゃんたちに連絡しておく」

花丸「例え途切れても、マル達を見つけてくれるずら」

キキィー...

花丸「……?」チラッ

花丸「あ、あの信号のところの車!」

善子「え?」

善子「あ……ルビィ!」

ルビィ「へ?」

善子「あの車……間違いない」

善子「あの男のやつよ!」ダッ

ルビィ「えぇっ!?」

花丸「連絡が来て探しに出てるのか、なんなのか……」

花丸「会えばわかるずらよ」ダッ

ルビィ「っ……ルビィも行く!」
善子「ダイヤがお見合い!?」
277 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 14:52:48.99 ID:sXoyMVjm
ガンッ

「っ!?」ビクッ

花丸「善子ちゃんストップ!」

ガチャッ

「え、ちょっ」

花丸「開いてるずら」

花丸「こんばんは」ニコッ

「な、なんなんだ一体……」

「君たちは誰なんだ」

善子「誰? 黒澤ダイヤの知り合いって言えばわかるでしょ?」

「!」

グイッ

善子「ちょっと出てきなさい!」

「ま、待ってくれ!」

「危ない! 」

「停めるから、停めるから待ってくれ!」

ルビィ「善子ちゃん、一旦下がろ」

ルビィ「動いたら危ないよ」

善子「……」

善子「逃げたら殺すわよ」ジロッ

「わ、分かってる……逃げないから安心してくれ」

善子「さっさとしなさい」バンッ
善子「ダイヤがお見合い!?」
278 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 18:31:51.96 ID:sXoyMVjm
「……君達が黒澤さんの知り合いなら、詰め寄って来たのも察しがつくよ」

「黒澤さんがまだ帰宅していない件だろう?」

善子「なにその言い方、白々しい」

善子「あんたがダイヤを誘拐したんでしょ!」グィッ

「っ」

善子「返して……返しなさいよ!」

善子「ダイヤはあんたみたいなやつが一緒にいて良い存在じゃない!」

「待ってくれ!」

「私じゃない、私は彼女を誘拐なんてしていない!」

ルビィ「……フラれたから、とかじゃないんですか?」

「そ、そんなことしない……」

「確かに彼女にはフラれたよ」

「でも、そんなことは絶対にしない、していない」

善子「……ダイヤにフラれた後、あんた車でどこかに連れていってたわよね?」

「なっ……」

善子「どこに連れていったのよ」

「み、見てたのか?」

善子「どこに連れていったのかって聞いてるのよ!」
善子「ダイヤがお見合い!?」
279 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 18:45:28.78 ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、感情的になってても話は進まないずらよ」

善子「うるさい!」

善子「あんたは居なかったからそんなこと言えるのよ!」

ドンッ

花丸「っ」ドサッ

善子「私は――」

花丸「だとしても!」

善子「!」

花丸「……だとしても、頭に上った血が答えを出してくれるわけじゃない」

花丸「冷静になるずら、善子ちゃん」

花丸「怒鳴っても、ダイヤさんは帰ってこないよ」

善子「………」

善子「くっ……」ジャリッ

ガンッ
   ガンッ
      ガンッ!

善子「はぁ……はっ……はぁ……」フルフル

ガンッ

善子「……どこに連れていったのか、教えて」

「う、浦の星女学院手前のバス停だよ」

「そこで降ろして欲しいって言われたんだ」

花丸「証拠は? 目撃者はいるずらか?」

「いや、時間も時間だったから……ない」

ルビィ「………」

「でも信じてくれ! 私はなにもやってない!」

善子「とかいって、車で逃げてたんじゃないの?」

「違う……これから黒澤さんを降ろした場所に行くんだ」

「警察にも伝えてある」
善子「ダイヤがお見合い!?」
280 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 18:56:37.06 ID:sXoyMVjm
花丸「この時間であの場所だと捜索は明日になる」

花丸「……それを狙った、とか」

花丸「色々言いたいことはあるけど、わかった」

花丸「今はそれを信じておくずら」

善子「花丸!」

花丸「いずれにしても、明日になれば何かが分かる」

花丸「それに、今からマル達に出来ることは何もないよ」

善子「なに言って――」

キキィー……バタンッ

善子母「善子!」

善子「なっ……」

花丸「どうせ連絡行くと思ってた」ハァ

善子「花丸……!」ジロッ

善子「私もいること伝えたわね!?」

花丸「それはそうだよ」

花丸「誰がいるのか確実につたえないと二次被害まっしぐらずらよ」
善子「ダイヤがお見合い!?」
281 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 19:04:41.54 ID:sXoyMVjm
善子「このっ――」

グィッ

善子「!」

善子母「いい加減にしなさい!」

善子「放して! ダイヤが……だって!」

善子母「話は聞いてるわ……残念だけど貴女達に出来ることはないのよ」

善子「っ……こいつが!」

善子「こいつがダイヤを誘拐したのよ!」

善子「私いたんだから……見てたんだからっ!」ジタバタ

善子「私がっ……私は……」ポロポロ...

善子「私……が……」

善子「私……っ」

ガクンッ

善子母「!」

善子「うぅ……」

善子「いたのに……!」

善子「ちゃんと、ちゃんと追いかけてれば……」

善子「追いかけてればダイヤは……」

善子「ぁぁぁぁあああぁぁぁああっ!!」ダンッ
善子「ダイヤがお見合い!?」
282 :名無しで叶える物語(茸)[]:2019/04/16(火) 19:14:56.56 ID:sXoyMVjm
―――――
―――
―国木田家・翌朝―


花丸「……」

花丸(結局あの後、糸が切れた人形のようになってしまった善子ちゃんとマル達は)

花丸(善子ちゃんのお母さんにそれぞれの家に送り届けられた)

花丸(お見合いの男の人は言ってた通りに向かったらしく)

花丸(善子ちゃんの騒ぎもあってか)

花丸(自分から任意聴取を申し出て警察署にいると言う話)

花丸(マルが思っていた通り、ダイヤさんの捜索はつい一時間ほど前から始まっているみたいだけど)

花丸(めぼしい手がかりはまだ見つかってない)

花丸「善子ちゃん、大丈夫かな……」

花丸(マル達子供はとりあえず普段通りに。と言われたけれど)

花丸(何者かによる誘拐が濃厚で)

花丸(当然ながら1人や子供だけの外出は厳禁となってる)

花丸(……まぁ、マルはこれからお祖父ちゃんと一緒に学校の本を取りに行くけど)

花丸(お祖父ちゃんの予定もあるし、早い方がいいからね。仕方がない)


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