- 金曜邦画劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 -劇場版II- 探偵事務所大爆破!私たちに明日はない」堂々便乗相当久々到頭完結[字][解][デ]
1 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:00:00.38 ID:xKuCKwSd - 2018年6月
夜 ビル ブチンッ! 女「えっ、なに? 停電?」 バァン! タッタッタッ パンッ! えみ「全員その場でうつ伏せになって。従わないなら頭を撃ち抜く」 女「な、なんなの……」 えみ「そこのおなご」 女「えっ、私!?」 えみ「このバッグにお金を詰めて。妙な動きをしたら……わかるよね?」 女「は、はいっ……」 ゴソゴソ…… 女「詰め終わりました……」 えみ「……よし。全員そのまま動かないで」スタスタ…… バタンッ! ―――――― ―――― ――
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2 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:02:00.36 ID:xKuCKwSd - みも宅
みも「ジングルベール、ジングルベール、ジングールベール♪」 じょる「なんでクリスマスと真逆の時期にそれ歌うの? あと歌詞」 みも「別にいいでしょう? 夏に広瀬香美歌うのも冬にTUBE歌うのも勝手じゃないですか」 じょる「まあそうだけど」 みも「あ、クリスマスといえば南條さんは今年のプレゼントなにくれるんですか?」 じょる「まだ考えとらんわ。そう言うみもちゃんは私にくれる気あるの?」 みも「もちろんあげますよぉ、とっておきのをっ」 じょる「とっておきねぇ……というかクリスマスの前にもうすぐみもちゃん誕生日だよね?」 みも「言われてみるとそんな気がしてきましたね」 じょる「気がするんじゃなくてさ、来るんだよ確実に」 みも「私今年で何歳になるんだっけ……たしか29歳でしたよね?」 じょる「いや32だろ」 みも「えー? にわかには信じがたいですね」 じょる「あのねぇ……」 みも「ま、四捨五入すればまだ30だし大丈夫か」 じょる「ん? 何が大丈夫なの? え?」
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4 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:04:00.39 ID:xKuCKwSd - 数日後 探偵事務所
みも「あれ〜? どこいったんだぁ……?」 くす「どうしたの?」 みも「くっすんさぁ、私の1/1へぇボタン知らない?」 くす「知らないけど……なんでそんなの事務所に置いてあるの? っていうかなにに使うの?」 みも「今すごくへぇボタン押したい気分なの。くっすんも時々押したくなるでしょ?」 くす「いや、全然ならないよ」 みも「おっかしいなぁ……どっかにあるはずなのになぁ……」 コンコンッ くす「ん? 誰か来たみたいだよ」 みも「くっすん出てくれる? 私はへぇボタン探さないとだから」 くす「はいはい……」スタスタ…… ガチャッ うち「宅配便です。サインか印鑑を」 くす「はーい……よっと」
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5 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:06:00.52 ID:xKuCKwSd - うち「どうもー」タッタッタッ……
バタンッ くす「探偵ー、なんか荷物届いたけど」 みも「んー? なんだろ……お、手紙がついてる」ピリッ みも「なになに……『爆弾です☆』? なんじゃこりゃ」 くす「イタズラかな?」 みも「誰がこんなこと……ん?」 くす「どうかした?」 みも「静かにっ……」 チッチッチッチッチッ…… みも「タイマー……あ、これ本物だ」 くす「え?」 みも「逃げるよくっすん! 走って!!」タタタタッ くす「嘘っ、ほんとに本物!?」タタタタッ
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6 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:08:00.67 ID:xKuCKwSd - 道
タッタッタッ…… みも「くっすん伏せて!」バッ くす「ひぃ〜……」バタッ みも「っ……」 シーン…… くす「あれ……? 爆発しないね」 みも「……おかしいな、やっぱ偽物だったの――」 ドガァーン!!!! くす「キャッ!」 みも「ああーっ! 私の事務所ぉ〜……!」 ヒュー……コトッ みも「ああ、私のへぇボタン……」 くす「えとえと、とりあえず消防車呼ばないと! 911番、911番……」 みも「ここ日本だよ……117番でしょ……」 くす「そ、そっか。117、117……」ピッ 電話『ピッピッピッポーン! 午前10時――』
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7 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:10:00.49 ID:xKuCKwSd - 夜 みも宅
じょる「みもちゃん、服脱いで。怪我してないか見るから」 みも「えっ、私は大丈夫ですよ? 事務所は消し飛びましたけど……」 じょる「ちゃんと確認しないと信用できないよ。ほら早く!」グッ みも「ちょっ、待ってください! そんなことしたらPG12になっちゃいますって!」 じょる「んなこと知るか! 嫌がるってことはやっぱ怪我してるだろ!」グイッ みも「わあ南條さんっ、ほんとやめ――」 ピンポーン みも「……だ、誰か来たみたいですけど」 じょる「私が出る。みもちゃんはここで待ってて」 みも「はい……」 じょる「……っ」ピッ じょる「誰?」 しか『その声は……南條警部補ですね?』 じょる「まずこっちの質問に答えて」 しか『警視庁公安部の久保です。少しお話ししたいことが』 ―――――― ―――― ――
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8 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:12:00.77 ID:xKuCKwSd - しか「はじめまして、探偵さん。私は久保といいます」
みも「はあ……どうも」 じょる「で、公安の人間がみもちゃんになんの用?」 しか「探偵事務所が爆破された件は、南條警部補もご存知ですよね?」 じょる「……まさかあれがテロだったとでも言うつもり?」 しか「いいえ。ですが犯人の目星はついています」 みも「えっ……」 じょる「誰なの?」 しか「先日発生した強盗殺人事件は覚えていますか?」 じょる「ああ、たしか一人銃殺されたってやつ?」 しか「はい。あの事件はとある犯罪グループによる犯行と推測されているんですが、そのグループはただの人間の集まりではないんです」 じょる「というと……元軍人とか?」 しか「違います。探偵さんと同じ、と言えばわかりますか?」 じょる「それって――」 みも「特殊能力者……」 しか「はい」 じょる「どうしてそのことを……」
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9 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:14:01.48 ID:xKuCKwSd - しか「この2年間、ずっと探偵さんのことを調査していました」
みも「私を? なんで?」 しか「来年度に新設予定の特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”の特別捜査官としてあなたを迎えるためです」 じょる「特対課って、そんな話初耳なんだけど」 しか「でしょうね。このことは庁内でもごく限られた人間にしか知らされていませんから、所轄の人間は知らなくて当然ですよ」 みも「えっと、シカちゃん――」 しか「久保です」 みも「久保さん。その特対課っていうのはどういう……?」 しか「その名の通り、特殊能力を使った犯罪を扱う部署です」 みも「……つまり悪い能力者を捕まえる部署?」 しか「まあ、簡単に言えばそうなりますね」 みも「でもどうして私がそんなとこに……」 しか「それはこれから説明します。まず事務所を爆破したのは、先日の強盗殺人事件の犯人と同一人物と考えて間違いありません」 じょる「なんで強盗犯が探偵事務所を爆破するの? みもちゃんがなにかしたわけじゃないよね?」 しか「……特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”は探偵さんの能力なしでは成り立たない部署です」 しか「南條警部補は探偵さんの能力がどんなものか知っていますか?」 じょる「手を握ると相手がレズかどうかわかる能力。だよね?」 みも「えっ、あ、はい……」
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10 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:16:00.44 ID:xKuCKwSd - しか「はぁ……どうやら南條警部補にも話していないようですね」
みも「な、なんのこと?」 しか「とぼけなくて結構。我々はあなたの本当の能力をしっかり把握していますから」 じょる「本当の能力って……みもちゃん、どういうこと?」 みも「それは、その……」 しか「彼女の能力は相手がレズかどうかではなく、能力者かどうかを見抜く能力です」 じょる「……本当なの?」 みも「はい……すみません、ずっと黙ってて」 じょる「いや……」 しか「とにかく、探偵さんさえいなくなれば特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”の新設を阻止できるということです」 みも「ん……? それってつまり爆弾で私を殺そうとしたってこと!?」 しか「その可能性が高いと我々は考えています」 みも「ええ〜……」 じょる「ひとつ聞きたいんだけど」 しか「はい?」 じょる「警察内部でも極秘にされてる特対課のことを、その犯罪グループはどうして知ってるの?」 しか「……部下のミスで情報が漏れたようです。しかし今の所そのグループにしか特殊能力犯罪対策課、略し――」 じょる「呆れた……そんなポンコツの集まりにみもちゃんが参加するわけないでしょ」
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11 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:18:00.33 ID:xKuCKwSd - しか「いえ、探偵さんには否が応でも特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”に来てもらいます。もし断るなら、代わりに刑務所行きです」
みも「それって刑務官になれってこと?」 しか「まさか。受刑者になってもらうという意味ですよ」 みも「はぁ!? 私なにも悪いことしてないじゃん!」 しか「これを見てください」スッ みも「……なにこれ?」 しか「あなたが今までしてきた違法行為のリストです」 じょる「貸して」スッ じょる「……どれもこれも心当たりがありすぎるっ」 みも「えぇマジですか?」 じょる「大マジだよ……でもどうして急に? 今まで見逃してきたのに……」 しか「見逃してきたのは今この時のためです。ちなみにあなたが上と掛け合わなくても、すべて目をつぶるつもりでした」 みも「掛け合うってなんの話?」 しか「南條警部補はこれまで――」 じょる「そのことは話さなくていいから」 しか「わかりました」 みも「……?」 じょる「とりあえず例の犯罪グループについて詳しく教えて」
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12 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:20:00.49 ID:xKuCKwSd - しか「彼女たちは“PUE's”と名乗る特殊能力犯罪グループです」
みも「それってあの使い捨てのブレーカーみたいな?」 しか「それはヒューズ。あなたを狙っているのはピューズ」 みも「ピューズね、わかったわかった」 しか「PUE'sのメンバーは3人。これまで何件もの強盗事件を起こしています」 しか「まず何らかの方法で、おそらく特殊能力を使って建物を停電させ――」 しか「中へ押し入り威嚇射撃を一発。それから鞄に現金を詰めさせて逃走するというのが共通する手口です」 しか「これまでは死者はおろか怪我人すら出ていなかったのですが……先日の事件でついにPUE'sは人を殺しました」 みも「今まで誰も殺してこなかったのに、どうして?」 しか「証言によるとPUE'sに抵抗したため殺されたのではないかと」 しか「それと……人を殺そうと思えば殺せる、というメッセージかもしれません」 しか「現に探偵さんは今日、PUE'sに殺されかけましたから。正直今の状況は最悪と言っても過言ではありません」 じょる「そいつらの写真ってないの? どんな顔かくらいは知っておきたいんだけど」 しか「残念ですが写真はありません。停電のせいで防犯カメラも作動していなくて」 しか「ただ似顔絵ならあります。私が目撃者の証言を元に一生懸命描きました」スッ じょる「どれ……こんなん参考になるか!」ポイッ しか「捨てないでください」ヒョイッ
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14 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:22:00.41 ID:xKuCKwSd - みも「あの、二三聞きたいことがあるんだけど」
しか「どうぞ」 みも「私のことを調査してたって言ってたけど、どんなことを調べてたの?」 しか「いろいろですよ。あなたの思想や趣味、生活リズムに下着の色など」 みも「なっ……!?」 しか「まあ最後のは冗談ですが」 みも「冗談言うんだこの人……というかどうやってそんなの調べてたの? もしかして毎日朝から晩までずっと監視してたとか?」 しか「さすがにそこまではしていませんよ。南條警部補のおかげで調査はかなり楽でしたから」 みも「それってどういう……まさか南條さんが私のことを調べてたんですか!?」 じょる「そんなわけないでしょ? 少し落ち着きなよ」 みも「すみません……」 じょる「でも私のおかげってどういうこと? 協力した覚えなんてないんだけど」 しか「実は南條警部補のそばには常に我々の仲間を置いているんですが――」 しか「彼女たちにはあなたが署内で話していた探偵さんとの惚気話をすべて録音させていまして」 じょる「へ!?」 しか「その録音から様々な情報を収集させてもらいました。なんというか……本当にぞっこんなんですね」 じょる「おい、それ以上言うな」 みも「シカちゃ――」 しか「久保です」
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15 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:24:00.42 ID:xKuCKwSd - みも「久保さんその録音私にも聞かせてもらえないかな?」
しか「構いませんが」 じょる「私は構うわ! つーか誰なのその録音してた奴って!」 しか「誰と聞かれてもひとりだけではありませんから。あなたの部下として共に行動していた者も何人かいましたよ」 じょる「マジか……」 みも「あ、ところでもし仮に私が特対課に入ったとして、くっすんはどうなるの? 一緒に仕事するの?」 しか「いえ、彼女は監視対象なので特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”に入ってもらっては困ります」 みも「は? 監視対象?」 しか「探偵さんもわかっていると思いますが、彼女は能力者予備群で逮捕歴もある危険な人物です」 みも「危険って、シカ――」 しか「久保です」 みも「っ、シカちゃんにくっすんのなにがわかるって言うの!?」 しか「ではあなたは彼女のなにをわかっているんですか?」 みも「え……あー、くっすんはぁ……ちょっとおバカで変態で、私よりほんの少しだけおっぱい大きくて――」 しか「ま、それはそれとしてくれぐれも特殊能力犯罪対策課、略し――」 じょる「いい加減くどい」 しか「……くれぐれも特対課のことは他言無用に願います」 みも「なんでさ」
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16 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:26:00.47 ID:xKuCKwSd - しか「特対課は関係者以外の人間、特に能力者に存在を知られることは好ましくありませんから」
じょる「……だったら私にも話しちゃまずいんじゃないの? 私だって特対課とは何の関係もない人間でしょ?」 しか「言い忘れていましたが南條警部補、あなたにも特対課に来てもらいます」 じょる「はい?」 しか「あなたの能力も特対課にとって必要不可欠なんですよ」 じょる「……!」 しか「そんなに驚かないでください。あなたが能力者であることも――」 しか「どんな能力の持ち主なのかも我々はずっと前から知っていましたよ?」 じょる「……そう」 しか「さてと、今日はもう遅いので私はそろそろお暇します。また後日、ゆっくりお話ししましょう」スクッ しか「それからこれは私の電話番号です。なにかあったら連絡を」スッ みも「はあ」 しか「特対課のこと、是非前向きにご検討ください。では」 スタスタ……ガチャッバタン みも「……南條さん」 じょる「なに?」 みも「なんかくすぐったいですね、あの喋り方」 じょる「……うん」
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17 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:28:00.42 ID:xKuCKwSd - 翌日 公園
みも「あー……私これからどうすりゃいいんだろ」 くす「別に事務所がなくても探偵のお仕事はできるでしょ? 実際前もなんとかなってたんだし」 みも「でもさぁ、爆発したせいでいろんな物がダメになっちゃったしさぁ……」 くす「まあそうだけど、落ち込んでてもしょうがないじゃん」 みも「それでも落ち込むよ……せっかくくっすんが買い戻してくれた事務所なのに……」 くす「探偵……でも誰が爆弾なんて送ってきたんだろうね?」 みも「あぁ、それなら――」 しか『探偵さんさえいなくなれば特殊能力犯罪対策課、略して“特対課”の新設を阻止できるということです』 しか『くれぐれも特対課のことは他言無用に願います』 くす「ん? なんか知ってるの?」 みも「いや……なんでもない」 くす「そっか」 みも「ところでくっすんはこれからのこととかって考えてる?」 くす「これからって?」 みも「なんというか、将来のこととかさ」 くす「うーん……私はずっと探偵の助手を続けるつもりだけど」 みも「じゃあ私が探偵を続けられなくなったらどうするの?」
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18 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:30:00.46 ID:xKuCKwSd - くす「えっ……?」
みも「あ、例えばの話ね!」 くす「例えばねぇ。そうだなぁ……実際そうなってみないとわかんないかも」 みも「なにそれー、ちゃんと考えてないでしょ?」 くす「だって探偵は探偵やめるつもりないんだよね?」 みも「あ、あったりまえじゃん!」 くす「だったら考えてもしょうがないよ」 みも「むぅ……」 くす「あー、なんか喉乾いちゃった。私飲み物買ってくるからちょっと待ってて」 タッタッタッ…… みも「はぁ……」 ぱい「こんにちはっ」 みも「んぇ? こんにちは……」 ぱい「隣、いい?」 みも「どうぞ……」 ぱい「えへへ」 みも「……あの、どっかで会ったことあるっけ?」 ぱい「ううん、はじめましてだよ。あっ、私はぱいるちゃんっていうの」 みも「へぇ。私はみもりんだよー」
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19 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:32:00.39 ID:xKuCKwSd - ぱい「その、今日はお散歩しに来たんだけど、探偵さんもお散歩? それともデートとか?」
みも「……私ぱいるちゃんに探偵だって言ったっけ?」 ぱい「あ……い、言ってたよ? うん、ものすごく言ってた」 みも「そうだったかな……で、なにか用事?」 ぱい「えっと、用事というかちょっとお話したくって」 みも「はあ……」 ぱい「…………」 みも「……ねぇ、なんか話したいんじゃなかったの?」 ぱい「あ〜、あのね、あのあの……」 くす「おーい!」タッタッタッ ぱい「あ! 私急用ができたからもう行かなきゃ! バイバイっ!」タタタタッ みも「……行っちゃったよ」 くす「おまたせー。今の誰?」 みも「さあ?」 くす「もー、ダメだよ? なんちゃん警部補がいるのにナンパなんかしちゃ」 みも「いや、向こうから声かけてきたんだよ」 くす「なんの用で?」 みも「わかんないけどたぶん私のファンだろうねぇ」 くす「えっ、ファンファン? 岡田眞澄か!」 みも「あーのーさー!」
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20 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:34:00.44 ID:xKuCKwSd - 警察署・鑑識係
じょる「見せたいものってなに?」 そら「これなんですけど……」 じょる「これって、例の爆弾?」 そら「はい。現場に散らばっていた爆弾の部品と思しきものを可能な限り元に戻してみたんですけどね」 じょる「なにか気になることでもあった?」 そら「南條さん、これなにかわかりますか?」 じょる「……時計」 そら「その通り、時計です。じゃあこっちは?」 じょる「うーん……受信機かなんか?」 そら「おお、さすがですね。これはリモコンで爆弾を起爆するための受信機です」 じょる「ん? おかしいな、私が聞いた話だと爆弾は時限式だったと思うんだけど……」 そら「それは南條さんの彼女がこの時計の音を聞いたから勘違いしただけですね」 じょる「彼女って言うなっ……彼女だけど」 そら「ふふっ。この時計安物だし特にいじったりした痕跡もないんですよ。ただ箱の中に爆弾と一緒に入ってただけだと思います」 じょる「ふむ……」
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21 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:36:00.39 ID:xKuCKwSd - そら「ああ、あとこの爆弾を配達した業者、まだ見つかってないみたいです」
じょる「となると個人を雇ったか、もしかすると犯人自身が直接届けたって可能性も……」 そら「どうなんですかねぇ……」 じょる「というかそんなにペラペラ話しちゃっていいの? 私その捜査からは外されてんだけど」 そら「んー、たぶん大丈夫ですよ」 じょる「たぶんって……」 そら「だって南條さんも気になるでしょ? この事件のこと」 じょる「まあそうだけど……」 ピリリリリ……ピリリリリ…… じょる「ん、電話だ」 そら「どうぞ」 じょる「ごめんね、話の途中で」 そら「いえいえ」 ピッ じょる「はい、携帯南條」
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22 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:38:00.33 ID:xKuCKwSd - 夜 みも宅
みも「はぇー、リモコン式ですかぁ……」 じょる「うん。でさ、爆弾を届けたやつの顔って覚えてる?」 みも「あー、私見てないんですよ。あの時くっすんが荷物受け取ったんで」 じょる「そっか。じゃあ明日にでも聞くか……」 みも「爆弾届けた人が犯人なんですか?」 じょる「さあねぇ。ただあの爆弾、あんまり離れた場所からは起爆できないらしいから」 みも「近くにいた配達員も怪しいってわけですか」 じょる「そういうこと」 みも「でもちょっと変じゃないですか?」 じょる「ん?」 みも「犯人が私を殺そうとしたなら、起爆のタイミングが遅すぎると思いませんか?」 じょる「……たしかに。みもちゃんたちが表に出てから爆発したんだもんね」 みも「もしかして犯人はわざと私を殺さなかったとか……」 じょる「あるいは単に電波が悪くてラグが発生しただけかもしれないけど」 みも「う〜ん……どういうことなんですかね」 じょる「わからん。まあ犯人が捕まったら聞けばいいでしょ」
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23 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:40:00.44 ID:xKuCKwSd - みも「いつ捕まるんですか? 犯人」
じょる「私に聞かれてもねぇ。担当じゃないしなんとも」 みも「もー! そんなこと言ってないで南條さんが捕まえちゃえばいいじゃないですか!」 じょる「それができるならそうするけど、私には私の仕事があるからさ」 みも「むぅ……」 じょる「あぁ、あと明日なんだけど例の公安の女が来るって電話があったよ」 みも「公安? あっ、シカちゃんですか」 じょる「でもめんどくさいしすっぽかしてどっか遊びに行かない? デートしよデート」 みも「デートのお誘いは嬉しいですけどさすがにそれはまずいでしょう……」 じょる「はぁ〜やだなぁ。せっかくの休みなのに……」 みも「まあまあいいじゃないですか」 じょる「まったくよくないわ。みもちゃんだってよくないでしょうが」 みも「はい?」 じょる「特対課の件を断ったら逮捕されちゃうんだよ? それにくっすんはどうなるの? どのみち助手は続けられないし」 みも「……あ、そっか」 じょる「みもちゃんだけの問題じゃないんだから、もっとよく考えないと」 みも「はい……すみません」
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24 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:42:00.36 ID:xKuCKwSd - 翌日 くす宅
くす「爆弾を届けた人の顔?」 みも「うん。もしかしたらそいつが犯人かもしれないんだよ」 じょる「顔じゃなくてもなにか覚えてることがあったらなんでも話して」 くす「うーん……あんまりよく覚えてないけど、おっぱいは探偵より大きかったかなぁ」 みも「くっすんってすぐ女の人のおっぱい見るね」 くす「えー、そんなことないよ」 みも「いやいや、見てるって。隙あらば見てる」 くす「見ーてーまーせーんー」 じょる「ああもうそんなことどうでもいいから! 他に覚えてることは?」 くす「他にはー……えっとぉ……」 みも「頑張れくっすん、なんか思い出して!」 くす「ん〜……ダメだぁ! 全っ然思い出せない」 みも「マジで? おっぱいのことしか覚えてないじゃん!」 くす「あぅ……」 じょる「さすがにそれだけじゃ探しようがないな……」 くす「ごめんなさい……」
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25 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:44:00.32 ID:xKuCKwSd - じょる「まあしょうがないよ、爆弾を受け取った時はただの荷物だと思ってたわけだし」
くす「だよねっ! 覚えてなくてもしょうがないよね!」 じょる「お、おう……」 みも「くっすんさぁ……」 くす「あ、今日ってなんちゃん警部補お仕事休みなんだよね? 3人でゲームとかして遊ぼうよ!」 じょる「あー、休みなんだけど用事があるからごめん」 くす「そっかぁ。じゃあふたりで遊ぼ、探偵」 みも「いや、私も無理だよ?」 くす「え、そうなの? もしかしてデートとか? だったら私も連れてってよ!」 みも「ううん、デートじゃないよ。というかデートだったとしてもくっすんは連れてかないから」 くす「なんで?」 みも「なんでって、あのねくっすん。デートっていうのは――」 じょる「みもちゃん、そろそろ行かないと時間が……」 みも「おっと、そですね。じゃあ私たちはもう行くから」 くす「あれ? ふたりで行くの? やっぱデートじゃ――」 みも「だから違うってば。いいからくっすんはここでおとなしくしてて。じゃあね」 ガチャッバタン くす「……?」
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- 金曜邦画劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 -劇場版II- 探偵事務所大爆破!私たちに明日はない」堂々便乗相当久々到頭完結[字][解][デ]
26 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:46:00.49 ID:xKuCKwSd - みも宅
しか「探偵さん、今日はお返事を聞かせてもらえますか?」 みも「えっ、もう決めなきゃいけないの!?」 しか「いえ、ですがなるべく早く決めていただけると助かります」 じょる「あんまり急かさないであげてよ。そう簡単に決められることじゃないんだから」 しか「では南條警部補、あなたはどうですか?」 じょる「私!? えっと……ひとつ聞いてもいい?」 しか「なんでしょう」 じょる「もし断ったら私もムショ行きになったりするの?」 しか「まさか。嫌だと言っても人事異動で来てもらうことになります」 じょる「ですよねー……」 しか「探偵さんはなにか聞きたいことはありませんか? なんでも答えますよ」 みも「なんでも? じゃあシカちゃんのスリーサイズは?」 じょる「みもちゃん、ふざけないの」 みも「えへへ」 しか「えー、上から――」 じょる「答えんでいいわ!」 みも「んじゃ気を取り直して……どうして私に来てほしいの? 私以外に同じ能力を持った人はいないの?」 しか「……今はあなたひとりだけです」 みも「へー、そうなんだ……」
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27 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:48:00.39 ID:xKuCKwSd - じょる「“今は”って言ったけど、それって過去には他にもいたってこと?」
しか「はい。探偵さん以外にひとりだけですが。もともとは彼女に特対課で仕事をして貰う予定でした」 じょる「その人は今どうしてるの?」 しか「……亡くなりました。今から2年ほど前に」 みも「亡くなったって、事故に遭ったとか?」 しか「いいえ、事故ではありません」 みも「……殺されたの?」 しか「はい。特対課とは無関係の事件で、ですが」 じょる「どうして無関係だって言い切れるの?」 しか「どうしてって、その事件を解決したのはあなたですよ? 南條警部補」 じょる「私が?」 しか「おふたりは“ジョナさん”という人物を覚えていますか?」 みも「!」 じょる「ジョナさんって、たしかみもちゃんの……」 しか「ええ。あの事件の犯人は特対課のことはもちろん、能力者の存在すら知りませんでした」 みも「……じゃあジョナさんは私と同じ能力を持ってたってこと?」 しか「同じではありますが、彼女の能力はあなたよりも優れていました」 みも「どゆこと?」 しか「探偵さんの能力は今のところ相手が能力者かどうかがわかる程度ですが――」 しか「ジョナさんはそれだけではなく、どんな能力の持ち主かも判別できていました」 しか「探偵さんもそろそろ能力に変化が現れている頃だと思います。心当たりはありませんか?」 みも「うーん……あ、そういえば――」
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28 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:50:00.40 ID:xKuCKwSd - みも『大丈夫?』スッ
ビリリッ! みも『ひっ……!』パッ みも(今の、なに? なんだかすごく危ない感じがしたけど……) みも「――もしかして、あれが?」 しか「やはりそうでしたか」 じょる「どうして変化があるってわかったの?」 しか「通常の場合、特殊能力は能力者になる条件を満たしている人間になにかしらのトリガーとなる出来事が発生した時に発現します」 しか「そしてどんな能力が発現するかはそのトリガーに左右されるのですが――」 しか「探偵さんやジョナさんの能力は、発現のタイミングに関係なく最初から確定しているんです」 しか「ただその能力が他の能力と異なる点はそれだけではありません」 しか「特殊能力は普通、発現した時すでに完全な状態なのですが、探偵さんの能力の場合――」 じょる「ちょっとストップ! みもちゃん、寝るな」トントン みも「んぇ? もう朝ですか……?」 じょる「あのねぇ……」 しか「話を続けても?」 じょる「あぁ、うん。みもちゃんもちゃんと聞いててね」 みも「はーい」 しか「……あれ、私どこまで話したんだ? しょうがない、もう一回最初から――」 じょる「それだけは勘弁して! この子また寝ちゃうからっ」
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29 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:52:00.43 ID:xKuCKwSd - みも「たしか能力は完全な状態で発現するのが普通とかどうとかって」
しか「そこだ!」 じょる「えぇ聞いてたの? 今絶対寝てたよね?」 しか「探偵さんの能力は、あることと比例して強力になっていくんです」 みも「あることってなんぞや?」 しか「同性との恋愛経験です」 みも「……つまり私は経験不足ってこと?」 しか「30過ぎてもキスすらしていなかったなんて、はっきり言って論外です」 みも「グサッ」 しか「もしジョナさんが生きていれば、もう少しマシな状態になっているはずだったんですが……」 みも「えっ?」 しか「彼女は探偵さんの能力をより完璧な状態にするために、あなたと交際しようとしていた矢先に殺されてしまいましたから」 みも「待って待って! あのジョナさんが私と? 嘘でしょ?」 しか「嘘ではありません。彼女が亡くなる少し前に恋人と別れたのがその証拠です」 みも「でもどうしてジョナさんはそんなこと……」 しか「もちろん特対課のためです。もしジョナさんの身になにかあっても問題がないように」 しか「そもそも彼女があなたを弟子にしたのもそのためなんですよ?」 みも「そんな……」 しか「あ、そういえば南條警部補は20代の頃探偵さんとは別の女性と付き合っていたとか」 じょる「それがなに?」
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30 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:54:00.49 ID:xKuCKwSd - しか「聞いた話によるとその元恋人はかなりのナイスバディーでとんでもない美女だったそうですね」
じょる「なんでそんな私の元カノ持ち上げんの? つーか今それ関係ないだろ」 しか「なぜ別れたんですか?」 じょる「さあね、もう忘れたよ」 しか「南條警部補、これは極めて重要な――」 ピリリリリ! しか「失礼」ピッ しか「はい……わかりました、すぐに向かいます」 しか「すみませんが急用ができたので私はこれで」 スタスタ…… ガチャッバタン じょる「なんなんだあいつ……みもちゃん? どうした?」 みも「……なんだか、裏切られた気分です」 じょる「えっ?」 みも「ジョナさんが私に良くしてくれてたのは、全部特対課のためだったなんて……」 じょる「うーん……本当にそうなのかな?」 みも「だってシカちゃんがそう話してたじゃないですか」 じょる「たしかにみもちゃんの師匠になったきっかけは特対課だったかもしれない」 じょる「でもそれだけの理由でジョナさんがみもちゃんの面倒を見てたと思う?」 みも「それは……」
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31 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:56:00.46 ID:xKuCKwSd - じょる「みもちゃんには話してなかったけど、実は私ジョナさんが書いたみもちゃん宛のメールを読んだんだ」
みも「メール?」 じょる「うん。下書きのまま削除された告白メール」 みも「そんなのどうせシカちゃんに書かされたメールですよ」 じょる「かもね。でも書いたのはジョナさん本人だよ」 みも「それがなんだって言うんですか?」 じょる「あのメールにはみもちゃんへの想いがたくさん綴られてたけど――」 じょる「その言葉のひとつひとつが全部本心なんだろうなって私は思ったよ」 じょる「たぶんジョナさんは、みもちゃんのことが本気で好きだったんじゃないかな」 みも「…………」 じょる「たとえきっかけがどうであれ、ジョナさんがみもちゃんにしてくれたことが消えてなくなるわけじゃないし――」 じょる「その全部が嘘になるわけでもない……みもちゃんは、嘘だったことにしたいの?」 みも「……いえ」 じょる「ジョナさんがあのメールを送らなかったのは、みもちゃんを巻き込みたくなかったからだと思うよ」 じょる「みもちゃんの能力が強くなれば、特対課は絶対に放っておかないだろうしね」 みも「だとしたら、私はどうするべきなんだろ……」 じょる「ん?」 みも「ジョナさんは私に特対課と関わってほしくなかった、それは南條さんの言う通りだと思います」 みも「でも特対課の設立に反対しているわけでもなかった。どちらかというと協力的だったはずです」 みも「なら私は、どちらの遺志を継ぐべきなんでしょうか……」
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32 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 21:58:00.68 ID:xKuCKwSd - 翌日 くす宅
くす「探偵さ、なにか隠し事してない?」 みも「しし、してないよ?」 くす「たーんーてー? 嘘はよくないと思うんだけど」 みも「嘘なんてついてないもんっ」 くす「じゃあ昨日なんちゃん警部補となにしてたの?」 みも「それは……くっすんには関係な――いやあるっちゃあるけど……」 くす「だったら話してよ。私だけ仲間はずれにしないで」 みも「仲間はずれとかそういうんじゃなくてさぁ」 くす「もしかして爆弾のことと関係あったりする?」 みも「あぇ!? ぜ、全然関係ないっす!」 くす「あるんだ……なんちゃん警部補とふたりだけで調べてるとか?」 みも「調べてるっていうか……とにかく話せるようになったら話すから」 くす「……今はまだ話せないの?」 みも「うん……ごめん」 くす「わかった、じゃあ待つよ」
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33 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:00:00.37 ID:xKuCKwSd - みも「待っててくれるの?」
くす「もちろん。どうせ探偵のことだから、私のために黙ってるんでしょ?」 みも「あはは……くっすんって意外と鋭いよね」 くす「探偵のことならなんでもわかるよ。初めて事務所のドアを叩いたあの日から、ずーっと助手やってきたんだから」 みも「え、ずっとじゃなくない? 長野にいた頃はほぼ助手やってなかったよね?」 くす「……い、いいじゃん細かいことはっ!」 みも「そういえばあの時って、どうして南條さんが長野にいるってわかったの?」 くす「えっ?」 みも「だって南條さんと超仲良しだった私ですら知らなかったのに、なんでくっすんは知ってたのかなーって」 くす「うーん……たしか警察の人がここに来て教えてくれたよ」 みも「警察? どんな人だった?」 くす「おっぱいが大きくて――」 みも(やっぱおっぱい見てるし……) くす「背が高くて、細くて……」 みも「ん? それってまさか……シカちゃん?」 くす「あれ、探偵知ってる人なの?」 みも「いや……ふぅむ……」
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34 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:02:00.50 ID:xKuCKwSd - 夜 みも宅
じょる「つまり私とみもちゃんを会わせるためにくっすんを利用したってこと?」 みも「そうなりますかね」 じょる「じゃあ私もその頃にはもう情報収集に使われてたのか……」 みも「でもそれって私と南條さんが付き合う前ですよね? もしかしてその時から惚気話を!?」 じょる「しとらんわ! 変な女に付きまとわれてる、みたいな話はしてたかもしれないけど」 みも「私のことストーカーみたいに言わないでくださいよっ」 じょる「実際あの頃はストーカーみたいなもんだったでしょ……」 みも「むぅ……南條さんだって嫌な気はしてなかったくせに」 じょる「はぁ!? そ、そんなことないし!」 みも「あ、図星でした? ひょっとしてもう私に惚れてたりー? うへへ」 じょる「いや、さすがにそこまでではなかった」 みも「……冷静に言われると傷つきますね」 じょる「私のことからかった仕返しだよ」 みも「はー、私ぐらいの美女にならコシヒカリ、もといとちおとめしてもおかしくないのになー」 じょる「それを言うならひとめぼれ。というかとちおとめは米じゃなくて苺だろ。めんどくさいボケやめて」 みも「とか言いつつちゃんとツッコんでくれる南條さん好きですよぉ。ながのま〜いながのまい、いっぺん食べたらやめられ米っ♪」
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35 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:04:00.36 ID:xKuCKwSd - じょる「……ところでなんか変わったこととかなかった?」
みも「はい? なんでですか?」 じょる「みもちゃん命狙われてるかもしれないんだよ? 怪しい人に声かけられたりとかしてない?」 みも「ん〜、とりあえず今日は特になにもありませんでしたよ」 じょる「ならいいけど気をつけてよ? またいつ狙われるかわからないんだから」 みも「わっかりました」ビシィ じょる「ほんとにわかってんのかね……」 みも「南條さんは心配しすぎですよ。私そんな簡単にやられるように見えます?」 じょる「みもちゃんいつか能力者に私の記憶消されてなかったっけ?」 みも「えー? そんなことありましたぁ?」 じょる「はあ……みもちゃんさぁ、私死ぬよ?」 みも「へ?」 じょる「もしみもちゃんが死んだら、私もみもちゃんのとこ行くから」 みも「えぇちょっとなに言ってんですか?」 じょる「わかってると思うけど冗談じゃないよ。それとも私に死んでほしいの?」 みも「バカなこと言わないでください! 私は死にましぇん! 南條さんが好――」
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36 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:06:00.60 ID:xKuCKwSd - 翌日 喫茶店
みも「うーん……くっすん遅いなぁ」 カランカラン…… みも「お、来たかな?」クルッ 店員「いらっしゃいませ、何名――」 えみ「あ、待ち合わせです」 みも「違ったか……」 スタスタ…… えみ「ここ、いいかな?」 みも「はい?」 えみ「よっと」スッ みも「ちょっ、私いいって言ってないんだけど」 えみ「助手の子ならまだ来ないよ」 みも「えっ……」 えみ「探偵さん、PUE'sって知ってるよね?」 みも「くっすんになにしたの!?」バンッ! えみ「大きな声出さないでよ。心配しなくてもあの子にはなにもしてないから」 みも「そんなの信用できると思う?」 えみ「すぐにわかることだよ。それより探偵さんにお願いがあるの」 みも「……なに?」 えみ「明日の夜、この場所に来てくれる?」スッ みも「どうして?」 えみ「あなたとゆっくり話がしたいから」 みも「……私を殺すつもり?」
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37 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:08:00.54 ID:xKuCKwSd - えみ「まさか、話をするだけだよ。あと必ず探偵さんひとりで来ること」
えみ「もし他の誰かと一緒だったら……あなたは私たちの敵になる」 みも「今は味方だって言うの?」 えみ「どうだろ? 少なくとも敵ではないよ、今のところはね」 みも「…………」 えみ「じゃあ、待ってるから」スクッ みも「え、ちょっと!」 スタスタ……カランカラン くす「あっ、探偵! ごめん遅くなって」 みも「くっすん! 無事だったの!?」 くす「はぇ?」 みも「約束の時間もうとっくに過ぎてるじゃん。どこでなにしてたのさ」 くす「あーなんかね、信号が止まっちゃって大渋滞しててね、それで遅れちゃった」 みも「だったら連絡くらいくれてもいいでしょ……」 くす「運転中だからムリムリ。ムリー・B.グッド。むりびぐー♪」 みも「はぁ……まあいいや。んじゃ行こっか」 くす「もう行くの!? 私喉乾いたー、ちょっと休憩したいー」 みも「はいはい、わかったよ。そのかわり私に一杯おごってね」 くす「おっけー」 みも「あらら、意外とあっさり」 くす「それくらい喉カラカラなの。屁に腹はかえられないって言うでしょ?」 みも「背ね、背に腹ね」 くす「さーて、どれにしよっかなー」
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38 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:10:00.47 ID:xKuCKwSd - 夜 みも宅
みも「南條さん南條さん、どうですかこの服。可愛いでしょー?」 じょる「……どしたのそれ」 みも「今日くっすんとお買い物したんですよ。似合ってますか?」 じょる「あー、みもちゃんが気に入ってんならいいんじゃない?」 みも「ふふふ、実はこれ南條さんの分も買っておいたんですよ。はいどうぞ」スッ じょる「うわ、いらねー……」 みも「あとあと、くっすんとプリクラ撮ってきたんで南條さんにあげますね」 じょる「う、うん……」 みも「それからこんなのも見つけたんですよ! 見てくださ――」 じょる「みもちゃんさ、なにかあった?」 みも「え?」 じょる「なんかやけにテンション高いというか、空元気にしか見えないんだけど」 みも「そ、そんなことないですよ。気のせいじゃないですか?」 じょる「……かもね。私そろそろ寝ようと思うんだけど、みもちゃんはまだ起きてる?」 みも「ん〜、じゃあ私も寝よっかなぁ」 じょる「そう。先に行ってるから、その散らかしたの片付けておいてね」 みも「はーい」
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39 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:12:00.36 ID:xKuCKwSd - 寝室
ガチャッ みも「あぁ、よかった。まだ起きてたんですね」 じょる「みもちゃんのこと待ってたからね」 みも「珍しいな……どういう風の吹き回しですか?」 じょる「さあね。たまにはそういう日もあるよ」 みも「ふーん……南條さんの胸にダイブッ!」バッ じょる「うわちょっ」 みも「ゴツッ」ボフッ じょる「あ? 今ゴツッつった? え?」 みも「……南條さん」 じょる「なに?」 みも「んっ」 じょる「んんっ……」 みも「んぅ……南條さん、んむっ」 ……………… ………… ……
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41 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:14:00.41 ID:xKuCKwSd - みも「南條さん……私、今すっごく幸せです」
じょる「……スッキリしたから?」 みも「そうじゃなくって! 南條さんが、隣にいるから……」 じょる「へえ、みもちゃんにとってはそれが幸せなんだ」 みも「南條さんは違うんですか?」 じょる「いや、一緒だよ。私も今、幸せだからさ」 みも「えへへ……」 じょる「この幸せがずっと続くんだって、思ってもいいんだよね?」 みも「えっ?」 じょる「……私はそう信じたいな」 みも「南條さん……」 じょる「ごめん、変なこと言って」 みも「いえ……私だって、南條さんとずっと……」 じょる「そっか……おやすみ、みもちゃん」 みも「おやすみなさい……」
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42 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:16:00.40 ID:xKuCKwSd - 翌朝
じょる「んっ……ふあぁ〜」 みも「おはようございます、南條さん」 じょる「ん、おはよ……あっ」 みも「どうかしました?」 じょる「みもちゃん、ちょっと目瞑ってくれる?」 みも「はあ……なんですか?」 じょる「……よし、取れた」 みも「あれ、なんかついてました?」 じょる「あー、うん。ちょっと口元に毛がね」 みも「毛? 私のですか?」 じょる「いや、たぶん私のだけど……」 みも「ほーう……ちなみにぃ、どこの毛――」 じょる「ふんっ!」ボカッ! みも「ぼ、暴力反対……」 じょる「ちゃんと手加減してるからいいでしょ」 みも「でも女の子の顔面はさすがに――」 ピンポーン みも「ん? こんな朝から誰だろ……」
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43 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:18:00.71 ID:xKuCKwSd - リビング
しか「PUE'sが昨夜、また強盗事件を起こしました」 じょる「……それで?」 しか「探偵さん、どうか今ここで決断してください。これ以上PUE'sを野放しにするわけにはいきません」 みも「…………」 しか「探偵さん!」 じょる「ちょっと待っ――」 しか「私は今探偵さんと話しているんです。そろそろ家を出ないと遅刻しますよ」 じょる「そうやって私を追い払えばみもちゃんを丸め込めると思ってるの?」 しか「決めるのは探偵さんです。さあ、答えを聞かせてください」 みも「……その、一日待ってもらえるかな」 しか「はい?」 みも「一日だけ私に時間をください。そしたら……」 しか「わかりました、明日まで待ちましょう。いい返事を期待しています。それでは」スクッ スタスタ…… ガチャッ……バタン
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44 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:20:00.38 ID:xKuCKwSd - じょる「……どうする気?」
みも「PUE'sと会って話をします」 じょる「会うって……どうやって?」 みも「実は今夜待ち合わせしてるんですよ、PUE'sと」 じょる「えっ!?」 みも「昨日くっすんと会う前に、メンバーのひとりが現れたんです。それで話をしたいって言われて」 じょる「行くつもりなの?」 みも「はい。ひとりで来いって言われたんで、南條さんはここでお留守番しててください」 じょる「ひとりで行かせられるわけないでしょ。私も行く」 みも「なら手錠を持ってきてくれませんか? 爆弾の件は特殊能力とは関係ないはずだから、逮捕できると思うので」 じょる「言われなくてもそれくらい持ってくよ。で、PUE'sとはどこで会うの?」 みも「……立ち入り禁止の波止場の第三倉庫です」 じょる「わかった。じゃあ夕方うちの署の前で待っててね」 みも「了解です」 じょる「安心して、みもちゃんのことは私が守るから。仕事行ってくる」 みも「はい。いってらっしゃい、南條さん」
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45 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:22:00.29 ID:xKuCKwSd - くす宅
ピンポーン くす『はーい』 ガチャッ みも「やっほー」 くす「あれっ、探偵。今日来るって言ってたっけ?」 みも「言ってないけど、まずかったかな?」 くす「ううん、大丈夫。まあ入りなよ」 みも「うん。おじゃまーす」 バタンッ くす「それで、なにか用事?」 みも「ちょっと話をしにね」 くす「もしかして、この間の? 思ったより早いね」 みも「もうちょっと黙ってようと思ったんだけど、事情が変わってさ」 くす「そうなんだぁ。じゃあ聞かせてよ、探偵の話」 みも「えっとね……実は私、かなりヤバい事件に巻き込まれてるみたいなんだよ」
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46 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:24:00.32 ID:xKuCKwSd - くす「かなりヤバいってどれくらいヤバいの?」
みも「目覚めたら見知らぬ部屋にいて近くにテープレコーダーが落ちてたときくらいヤバい」 くす「それってエッチしないと出られない部屋?」 みも「……違うけどまあ似たようなもん」 くす「そいつはヤバいねぇ」 みも「だからね、私東京を出ようと思うの」 くす「えっ、嘘でしょ?」 みも「嘘じゃないよ、今夜出発する予定」 くす「ええっ!?」 みも「で、もしくっすんも一緒に来てくれるって言うなら、今から荷物まとめておいてよ」 くす「待って待って、いきなりすぎない?」 みも「それくらい切羽詰まってるんだよ。夜迎えに来るからそれまでにどうするか決めておいてね」 くす「そんなこと言われても……」 みも「私さ、これからもくっすんと一緒に探偵やりたいんだよ。もしくっすんも同じ気持ちなら、私についてきてほしいな」 くす「探偵……」 みも「それと……くっすんは私にとって最高の相棒だよっ」
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47 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:26:00.42 ID:xKuCKwSd - 夕方 警察署前
じょる「おまたせ」 みも「南條さん……少し遅かったですね」 じょる「あー、ちょっとね」 みも「じゃ、早速行きましょっか」 じょる「うん」 道 じょる「PUE'sと話をして、その後はどうするつもりなの?」 みも「……PUE'sを止められれば、特対課の設立を急ぐ必要はなくなると思うので――」 みも「しばらくは今のまま探偵を続けられるようシカちゃんにお願いしてみようかな、と」 じょる「とりあえず決断は先延ばしにしようってことか」 みも「やっぱり考える時間は必要ですからねー」 じょる「ま、ゆっくり考えるといいよ」 みも「……ところで南條さん、手錠は持ってきましたか?」 じょる「ちゃんと持ってきたから安心して」 みも「じゃあ見せてください。一応確認しておかないと」 じょる「いいけど……はい」 みも「おー、本物だー」カチャッ
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48 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:28:00.30 ID:xKuCKwSd - みも「ヤバッ、うっかり自分に手錠かけちゃった……」
じょる「えぇ……なにしてんの? ちょっと待って、今外すから……」カチッ みも「えへへ……すみません」ガシッ じょる「ん?」 みも「えいっ!」カチャッ じょる「え?」 みも「とうっ!」カチャッ じょる「えっ?」 みも「あ、鍵もらいますね」ヒョイ じょる「ちょっ……待て待て、なにしてんの?」 みも「南條さんと標識のポールを手錠で繋いだだけですけど」 じょる「はぁ!?」 みも「鍵は……そのへんに捨てときます」ポイッ じょる「あっ……みもちゃん! これどういうつもり!?」 みも「PUE'sには私ひとりで会います。南條さんはここでおとなしくしててください」 じょる「……こんなことしていいと思ってるの?」 みも「いいなんて思ってません。でもこうするしかないんです」 じょる「なにそれ……ちゃんと説明して!」
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49 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:30:00.37 ID:xKuCKwSd - みも「安心してください、PUE'sのことなら私がなんとかするので」
じょる「どうする気?」 みも「PUE'sを説得します。私と同じ能力者なんだから、話をすればきっとわかってくれるはずですよ」 じょる「そんな簡単にいくわけないでしょ! 失敗したら殺されるかもしれないんだよ?」 みも「そうですね……でも大丈夫だと思います。南條さんもそう思ってるんじゃないですか?」 じょる「どうして?」 みも「どうせ警察署の人たちに波止場へ来るようお願いしてあるんでしょう?」 みも「相手は3人もいる上に全員能力者ですからね。それくらいの対策はして当然ですよ」 じょる「……驚いたな、まさか見抜かれてるなんてね」 みも「南條さんが私を大切に思ってくれてることはわかってますから。でも……ごめんなさい。私、嘘つきました」 じょる「嘘?」 みも「待ち合わせの場所、波止場じゃないんです。だからそこにPUE'sは現れません」 じょる「なっ、私を騙したの!? なんでそんなこと!」 みも「南條さんを守るためですよ。私と一緒にPUE'sのところに行けば、きっとふたりとも殺されちゃいます」 じょる「死ぬのは自分だけで十分、とか言うつもり?」 みも「PUE'sは私を殺したりしませんよ。本人にそう言われましたから」 じょる「バッカじゃないの! 犯罪者の言うことを信じるわけ!?」 みも「わかってます、自分がバカなこと言ってることも……死ぬかもしれないってことも」
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- 金曜邦画劇場「三十路探偵・みもりんの事件簿 -劇場版II- 探偵事務所大爆破!私たちに明日はない」堂々便乗相当久々到頭完結[字][解][デ]
50 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:32:00.33 ID:xKuCKwSd - じょる「だったら今すぐこの手錠を外して」
みも「それはできません」 じょる「なんでっ!」 みも「南條さんにはこれからもずっと立派な刑事でいてほしいんです」 じょる「……だったら私だって、みもちゃんに探偵を続けてほしい」 みも「それなら心配いりませんよ。私は探偵やめるつもりはないんで」 みも「PUE'sの説得が済んだら、そのままくっすんと一緒にどこか遠くへ行こうと思ってるんです」 みも「私はそこで探偵を続けようと思います」 じょる「待ってよ、どうして遠くに行く必要なんか……」 みも「このまま東京にいれば、私はいずれ特対課に行くことになります」 みも「PUE'sの件を片付けて返事を先送りにしても、そう長くは待ってもらえないはずです」 みも「だけど私は……これから先もずっと探偵を続けたい」 じょる「……みもちゃんがそこまで探偵にこだわる理由ってなんなの?」 みも「探偵というより、くっすんですよ。私にはあの子が必要なんです、絶対に」 じょる「だったらこうしよう。たしかくっすんって来年30だったよね?」 じょる「もしくっすんの能力が特対課にとって有益なものなら――」 みも「そんなの希望的観測じゃないですか。逆に危険な能力が発現すれば、私とくっすんは敵同士になるんですよ?」 じょる「みもちゃんの計画だって同じだよ……失敗してみもちゃんが死んだら、私とくっすんはどうなるの?」 みも「それは……」
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51 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:34:00.55 ID:xKuCKwSd - じょる「それに成功したって、結局みもちゃんは私の前からいなくなるんでしょ?」
みも「……ごめんなさい」 じょる「謝らないでよっ! お願いだから……謝ったりしないで」 みも「南條さん……最後に私の話を聞いてください」 じょる「やだ! 聞きたくない! あーあー!!」 みも「あの……片耳塞がってませんけど。手錠してるから」 じょる「じゃあ外してよこれ!」 みも「ダメです。いいから黙って聞いててください」 じょる「嫌だっつってんじゃん!」 みも「わがまま言わないでくださいよ!」 じょる「わがまま言ってんのはみもちゃんでしょうが!」 みも「……大切な話なんです。聞いてもらえませんか?」 じょる「…………」 みも「南條さんと初めて出会ったのは、警察署の取調室でしたね」 みも「あの時の私はジョナさんが殺されたばかりで、おまけにその犯人だと疑われて……人生のどん底にいました」 みも「やっぱりこの世界に私の味方はひとりもいないんだって、本気で思っちゃうくらい……」 みも「だから南條さんに『あなたはやってない』って言ってもらえた時、すごく嬉しかった」 みも「私のことを信じて、怪我をしてまで真犯人を見つけてくれて……」
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52 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:36:00.57 ID:xKuCKwSd - みも「私のためにここまでしてくれる人がいるんだって思ったら、生きる希望が湧いてきたんです」
みも「私が今こうしてここに立っているのは、全部南條さんのおかげなんですよ?」 じょる「……大げさだなぁ」 みも「大げさなんかじゃありません。きっと私と南條さんの出会いは、それだけで意味のあるものだったんだと思います」 みも「でも私は欲張りだからそれだけじゃ飽き足らず、南條さんのことを好きになって――」 みも「ついには恋人にまでなって……これ以上幸せをもらったら罰が当たっちゃいますよ」 じょる「罰なんて当たらないよ……私がみもちゃんにあげたい幸せはこんなもんじゃない」 じょる「今よりもっともっと幸せになってもらわなきゃ。だって私たちは、まだ始まったばかりでしょ?」 みも「……そうかもしれませんね。だけどここまでなんです、私と南條さんは」 じょる「そんなこと、言うな……ずっと隣にいてほしいって言ったの、みもちゃんじゃん……」 みも「…………」 じょる「頼むからそばにいさせてよ……私をひとりにしないで……」 みも「南條さん……私、今までもこれからも、南條さんのことが大好きですっ!」 じょる「みもちゃ――」 みも「んっ」 じょる「んん……」 みも「じゃあ……行ってきます」 じょる「待って、行くな! みもちゃんっ!!」
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53 :名無しで叶える物語(笑)[sage]:2019/04/12(金) 22:38:00.41 ID:xKuCKwSd - 廃工場
えみ「ようこそ、探偵さん」 みも「約束通りひとりで来たよ」 えみ「みたいだね。話のわかる人でよかったよ」 みも「それで、話ってなに?」 えみ「とりあえず自己紹介しよっか。私はPUE'sのリーダーのえみつん」 えみ「それからこの子がうっちーで、こっちがぱいるちゃん」 うち「よろし」 ぱい「くね」 みも「なんで分担して言ったの? というか公園で会った子じゃん!」 ぱい「覚えててくれたんだ〜」 うち「私のことは覚えてない?」 みも「う〜ん……はじめましてじゃないの?」 うち「やっぱり覚えてないかー。探偵事務所に配達に行ったんだけどなぁ」 みも「配達……? まさか、爆弾届けたのって」 うち「せいかーい! いやぁ、あれ結構重くて――」 みも「なんで私の事務所爆破したの!? せっかくくっすんがプレゼントしてくれたのにっ!」 えみ「えっ、プレゼント?」 みも「私が売っぱらった事務所を助手のくっすんがわざわざ買い戻してくれたの! それをよくもぉ……!」 えみ「そうだったんだ……そんなに大切なものだったとは知らなくて、ごめん……」 みも「謝られたって事務所はもう戻ってこないよ!」 えみ「うん……本当にごめんなさい。事務所は返せないけど、ちゃんと弁償はするから」
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