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◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」

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千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
230 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:04:25.63 ID:4jpH7yO60
千歌「うわ〜…… やっぱりダイヤさんのおうちってこう、雰囲気ある〜……」

ダイヤ「スナック菓子やジュースなど常備していないものですからこんなものしか出せずに申し訳ありませんが……」コトッ

千歌「お饅頭とお茶!最高の組み合わせだね!ありがとうございます!いただきまーす!」パクッ

ダイヤ「あら千歌さん、ここ……寝癖がついていますわ」

千歌「えっ?あーでもそのうち戻るし」ムシャムシャ

ダイヤ「食べながら喋るなんてお行儀が悪いですわよ」サッサッ……キュッ

ダイヤ「ヘアピンで留めておきましたから、入浴の際は忘れずに外してくださいね」

千歌「わー!ありがとう!えへへ、お姉ちゃんがひとり増えたみたい」

ダイヤ「こんな手のかかる妹、ルビィだけで十分ですわ」

善子「……あの」

ダイヤ「どうかなさいましたか?」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
231 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:05:00.90 ID:4jpH7yO60
善子「私、変じゃない?」

ダイヤ「寝癖もありませんし、身だしなみも整っていますしいつものかわいい善子さんですわよ?」

千歌「善子ちゃんかわいいっていうより美人だよね」モグモグ

善子「そう?本当に?」

千歌「何度も褒めてもらいたい感じ?すっごく美人だよ!」

ダイヤ「ええ、少し元気のないところが気掛かりですがいつも通りですわ」

善子「そう……そうなの……いつも通りならいいのよ」

千歌「変な善子ちゃん!」

善子「やっぱり変なの!?」

千歌「変じゃないって」

善子「おどかさないでよ」

善子「変じゃなくて、いつも通りなら問題ないのよ、うん、私は大丈夫」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
232 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:05:28.19 ID:4jpH7yO60
善子「今日はダイヤが調べたことについて報告してもらう予定だけど、その前にウイルスについてもう少し詳しい話をしてもいいかしら?」

善子「昨日は曖昧な説明しかできていなかったから」

千歌「そうだっけ?」パクッ……ムグムグ

ダイヤ「説明すべきところはきちんとされていたと思うのですが」

善子「……ダイヤ、あなた本当に大丈夫?思った以上に相当頭が回ってないようだけど……ちゃんと寝られてる?」

ダイヤ「そこまで言われる程ですか」

千歌「ダイヤさん寝不足なの!?」

ダイヤ「ええ、まあ……それにつきましては後でお話ししますわ、善子さんにも」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
233 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:06:32.46 ID:4jpH7yO60
善子「いいの?……あまり知られたくない内容みたいだったけど」

ダイヤ「いいんです、ストレスを感じすぎて梨子さんのようになってしまってはいけませんし」

千歌「梨子ちゃん……」

ダイヤ「弱っているところをドッペルゲンガーに攻められたのか、精神的に参ってしまって幻覚を見てしまったのか、の二択でしょうが……千歌さんのお話を聞く限りでは後者でしょう」

ダイヤ「私までそのようになってしまっては、真相に辿り着くことが困難になってしまいます」

ダイヤ「少しでも人手は多い方がよいでしょう?」

善子「錯乱状態に陥っていたようだし……梨子が見た自分のドッペルゲンガーっていうのも本当に存在したのかあやしくなってきたわよね」

千歌「うん……」

ダイヤ「解決までの道のりが遠いのです、私の抱えている問題はきちんとお話させていただきます」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
234 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:07:00.22 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「さて、曖昧な箇所とは?」

善子「まず、本人とは別の肉体をもって出てくるものをA、ウイルス性のものをBとするわね」

善子「そしてこのAとBを別種と仮定する場合、AとBを同種と仮定とする場合とで、Bの性質は変わるものとする」

善子「Bタイプは保有者……ウイルスをばら蒔いている何者かから何らかの形で感染した場合、感染者の個体が増殖するんじゃないかって話を昨日したけど、どういうことかわかる?」

千歌「今はルビィちゃんがふたりに増えかけてるってことだよね?あっでも今はひとりしかいないし……体が増えかけてるってことなら見た目でわかるよね……頭がふたつになったり腕が四本になったりしてないし……?」

ダイヤ「ああ……確かに、病気にかかるとは一体どのような状態を指すのか理解していませんでしたわね……」

善子「私はね、AとBが別種のドッペルゲンガーだった場合は精神が増えるんじゃないかと思うの」

善子「本人とドッペルゲンガーが記憶や所持品を共有していたことから、新しい偽者の精神がウイルスによって生まれたと考えられるわ」

善子「病気にかかっているルビィの体には、本物の精神と偽者の精神が同居していて、本物と入れ替わることを目的としているドッペルゲンガーは本物の精神を壊して、肉体を完全に自身の支配下におくはずよ」

ダイヤ「そうすると本物のルビィは消えてしまう、ということでしょうか」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
235 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:07:27.54 ID:4jpH7yO60
善子「また、AとBが同種だった場合のBは、物理的に肉体が増殖して、その増えた肉体がAとして観測されるんじゃないかしら」

善子「これはおそらく目に見えてわからない部分……例えば臓器から増殖していって、分離は本人が寝ている間かなんかに一瞬にして行われるんじゃないかしら」

善子「そうでなければさっき千歌が言ったように頭が二つあるような怪物ができて大騒ぎになるもの」

ダイヤ「SCP-1242によると、感染者がウイルス保有者より肉体が小柄な場合、異常な食欲を示して感染者の肉体が肥大化するとありましたね」

ダイヤ「それを元に考えますと、分裂を起こすためには人ひとり分の質量が必要となるわけですから、同種Bの場合も相当な食欲を抱くのでしょう」

ダイヤ「ですがルビィは最近少し……ストレスからか食欲を失い、痩せてしまったかと」

ダイヤ「むしろ私の方が少々過食気味ですね、深夜に調べものをしていたのでお腹も空きますし」

善子「痩せた……のなら、もしかしたらもうAとして分離したあとなのかも」

千歌「だ、ダイヤさんは大丈夫なの……?」

ダイヤ「常識の範疇の食欲です」

善子「なら大丈夫ね」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
236 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:08:10.25 ID:4jpH7yO60
千歌「えっと……ごちゃごちゃ言ってるけどつまり、AとBが別種の場合のBは一時的に二重人格になって最後には偽者が体を乗っ取る」

千歌「同種の場合のBは新しい体が増えてそれがAってことなんだよね?」

善子「ごちゃごちゃって……いやまぁごちゃごちゃ言ってたか……」

ダイヤ「いま私たちの考えていることは仮定の上になりたつ仮定を元に仮定をしているだけのことですし、説明が雑然としてしまうのは仕方のないことですね」

善子「その上で更に仮定を重ねてしまうのだけれど、これはAqoursにかけられた呪いか何かじゃないかと思うのよ」

千歌「呪い!?」

ダイヤ「それはまた……なんとも……オカルトな話ですね」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
237 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:08:45.12 ID:4jpH7yO60
千歌「でもどうしてそう思うの?」

善子「私たち以外に町中にドッペルゲンガーが出ているならきっとあっという間に噂が広がってるわよ、それがこの考えの根拠」

千歌「えー?そうかなぁ……みんなそういうのに興味ないだけって可能性は?」

ダイヤ「こんな下らない……表面上はなんの問題もなく思われる話、噂話にもならないのでは?」

善子「人ってね、不思議なことやこわいことが大好きなのよ」

善子「それが身近な話であればそれこそ一瞬にしてその話題が沸騰するはず」

ダイヤ「そういうものでしょうか……」

善子「以前、誰もいないはずの放課後の音楽室でピアノが勝手に鳴り出す……なんて噂が流れたこと覚えてない?」

千歌「ああ、梨子ちゃんが転校してきてすぐの話……梨子ちゃんがピアノ弾いてたのをみんなが勘違いしてたってやつだよね」

千歌「確かにあの話、あっという間に噂が流れて、梨子ちゃんが弾いてたっていうのがわかってもしばらくは噂が消えなかった……」

善子「人はそれだけ身近なオカルトに飢えてるのよ」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
238 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:09:13.45 ID:4jpH7yO60
善子「そういう噂が流れていない以上、これはAqours内のみで起こっている現象だと考えられるわ」

善子「となると、メンバーの誰かが触れてはいけない何かに触れたとか行ってはいけない場所へ行ったとか、そういう禁忌を犯した代償をみんなが受けているってことになるんじゃないかしら」

千歌「善子ちゃん、もっと……その、気取らない、分かりやすい言葉で言ってほしい」

善子「さっき言ったように、何かのきっかけでAqoursのみんなが呪われてるってこと」

ダイヤ「簡単に言ってしまえば、その呪いの原因を突き止めればよいということですわね」

善子「それから、別種Bと同種に関して言えば、ウイルス保有者を排除すれば問題解決じゃないかしら」

ダイヤ「呪いをかけている人物あるいは幽霊、化け物、妖怪と、ウイルス保有者は同一であると考えるべきなのでしょうか」

千歌「ウイルス保有者っていうのは……Aqoursにはいないよね?Aqoursじゃない人が呪いをかけてて、ウイルスで私たちを苦しめてるんだよね?」

善子「と、いうかね」

善子「私たち、本当に最初から9人で活動していた?っていう疑問が生まれ始めてるのよ」

千歌「えっなに言い出すの善子ちゃん……」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
239 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:09:41.23 ID:4jpH7yO60
善子「例えばよ?」

善子「私たちは最初、8人だったかもしれない」

善子「ある時誰かが何かの封印を解いて」

善子「封印を解かれた者……呪いをかける者がAqoursに9人目として最初からいたかのように振る舞っていたとする」

善子「その超常の者はそれ故に関わる者全ての記憶を書き換え、何食わぬ顔でAqoursに、学校に、町に溶け込んでいる」

善子「呪いでAqoursを壊しきるまで消えることはない」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
240 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:10:13.58 ID:4jpH7yO60
千歌「ベタなホラー……」

ダイヤ「私たちの中に、元は存在しなかった人物がいる……ということでしょうか?」

善子「そういう可能性も考えておきたいってこと」

千歌「そんなにたくさんいろんなこと考えてるのに、なんでもっと早く教えてくれなかったの?」

善子「いや……私だって早く言いたかったんだけど……その、入れ替わってる鞠莉が本部メンバーにいたから……」

ダイヤ「言いたくても言えなかったのですね」

善子「ま、私が説明したかったのはこれくらい」

善子「結構話しちゃったわね」

ダイヤ「キリもいいところですし、お菓子とお茶のおかわりを持ってきますわね」スクッ
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
241 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:10:45.40 ID:4jpH7yO60
善子「あのね、千歌、果南に聞いてほしいことがあるんだけど」

千歌「うん?」

善子「前にも言ったじゃない?果南が……自分のせいで梨子たちがケガをしたって言ってたって」

千歌「うん」

善子「果南に直接その……梨子を突き落としたりしちゃったのか聞いてほしいの」

千歌「何かの勘違いだと思うけどねぇ」

善子「私だって疑いたくないけど、本人がそう言ったんだもの……」

千歌「これ、ダイヤさんに聞かれたくないの?」

善子「ん、別にそういうわけじゃ」

ダイヤ「私がどうかしましたか?」

善子「いえ、果南のこと、千歌に聞いてもらおうと思って」

ダイヤ「?」

善子「自分が梨子たちをケガさせたって言ってた理由」

ダイヤ「ああ……その発言は気になりますものね」

善子「ダイヤ、本当にルビィと自分の調べものだけでいっぱいいっぱいって感じね」

千歌「お茶とお菓子のおかわりいただきまーす!」ハムッ
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
242 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:11:15.26 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「さて、善子さんのお話も終わりましたし、私の話をしようかと思うのですが」

ダイヤ「先に最近私の抱えている問題について始めましょうか」

千歌「なにか病気だったりするの?」

ダイヤ「いえ、私自身には問題はないのですが」

ダイヤ「……他の方には、言わないでくださいね」

ダイヤ「私以外にあまり気遣われるとルビィも居心地が悪いでしょうから……」

千歌「ルビィちゃん?」

ダイヤ「実は過去にルビィは、ストーカー被害にあっていたのです」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
243 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:11:48.83 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「ルビィが小学生の時でした」

ダイヤ「最初はつきまといや待ち伏せなどだったらしいです」

ダイヤ「自分をつけまわすストーカーへの恐怖から、気のせい、勘違い、と、そう思いたかったルビィはこのことを家族に相談することができず、ひとりで不安を抱え続けました」

ダイヤ「それがおよそ一年ほど続いたのち、犯人は別のアクションを起こすようになったのです」

ダイヤ「その内容の詳細は伏せさせていただきますが、端的に言いますと封書を投函され始めたのです」

ダイヤ「ルビィの様子がおかしいとは思いつつも、ストーカー被害にあっていると気付けなかった私たち家族も、その封書をきっかけにようやく知ることができました」

ダイヤ「犯人は捕まり、接見禁止を言い渡すこともできましたが、ルビィは心に深い傷を負いました」

ダイヤ「ひとりで行動することを異常にこわがり、常に誰かに見られているかのような、付きまとわれているかのような感覚に悩まされ、不眠症、突発的なパニック障害や、他にも名前のつく精神病などにより、外出もできず家に引きこもっていた時期がありました」

ダイヤ「お医者様や私たち家族、なによりルビィ自身の努力によりその症状は落ち着いたものと思われたのですが」

ダイヤ「この度のドッペルゲンガーの件で不安障害が再発しはじめているのです」
千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
244 : ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ)[sage]:2019/03/15(金) 01:12:16.34 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「それによりルビィに付きっきりでいるので、私も少し寝不足気味、という程度です」

ダイヤ「ルビィの苦しみに比べればなんでもないことなのですが、パニック状態がいつ起こるともわからないので常に気を張っているので少しばかり気疲れをしているのです」

善子「さっきから少し少しって……無理してるのは顔色見れば明らかなんだから変な見栄張らないの」

千歌「そうだよ……もっと私たちを頼ってほしいな……」

ダイヤ「お心遣いありがとうございます」

ダイヤ「ひとりで秘密を抱えるのにも限界がきたので打ち明けましたのに……いらない意地を張ってしまいました」

ダイヤ「しかし、お話をするだけでこんなにも胸が軽くなるものなのですね」

千歌「無理しないでね、本当に……」ナデナデ

善子「私たちにできることならなんだってサポートするからね!」

ダイヤ「ふふっありがとうございます」ニコッ

ダイヤ「それでは満を持して、私の見つけた情報についてお話ししましょう」


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