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名無しで叶える物語(もんじゃ)
曜「愛しの君と」3

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曜「愛しの君と」3
26 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:05:30.53 ID:BT+bKGo8
>>1さんありがとうございます
せっかくなので使わせていただきます
曜「愛しの君と」3
27 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:06:00.76 ID:BT+bKGo8
 ―ホテル客室―


曜(一人だ)

曜(函館まできて、ルビィちゃんが近くにいるのに、私はまた一人きり)

曜(……いや、もう忘れなきゃいけないのかもしれないけど)

曜(ネガティブな感情に心が埋め尽くされる)
曜「愛しの君と」3
28 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:06:37.23 ID:BT+bKGo8
曜「うぅ、うぅぅ」

曜(涙が、止まらない)


曜(私はいつからこんな人間だったんだろう)

曜(少し面倒な人間だって自覚はあった)

曜(きっと無理をしていたんだ)

曜(千歌ちゃんの理想の幼馴染でいようとして)

曜(でも無理をしたから溝が生まれてしまった、どこか自分自身もおかしくなってしまった)
曜「愛しの君と」3
29 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:07:42.59 ID:BT+bKGo8
曜「外、綺麗だな」

曜(ホテルからでも、函館の夜景は十分に美しい)

曜(真っ暗闇の中に灯る光)

曜(この中に飛び込むことができたら、どんなに楽しいんだろう)

曜(空を舞うみたいに、飛び上がって)

曜(何にも縛られない場所から世界を眺めて――)


 カチャ


曜(……このホテル、窓開くんだ)

曜(少し顔を出すと、風が気持ちいい)
曜「愛しの君と」3
30 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:08:35.43 ID:BT+bKGo8
 ガチャ――キィ


曜(扉の音? 千歌ちゃん早いな)

曜(もしかして、心配で早めに戻ってきてくれたのかな)

曜(涙拭いて、誤魔化さないと)


曜「千歌ちゃ――」

ルビィ「曜ちゃん!」


曜「……ルビィ、ちゃん?」

曜「どうしてここに?」

ルビィ「ち、千歌ちゃんにお願いして部屋を代わってもらって――じゃなくて!」
曜「愛しの君と」3
31 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:09:20.36 ID:BT+bKGo8
ルビィ「なにしてるの! 駄目だよ!」グッ

曜「へっ?」


 ボスン


曜(引っ張られて――ベッドに?)


曜「ど、どうしたのさ」

ルビィ「とぼけないでよ!」

ルビィ「ま、窓を開けて身を乗り出して」

ルビィ「と、飛び降りようとしてたんでしょ!」
曜「愛しの君と」3
32 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:10:05.28 ID:BT+bKGo8
曜「いや、私はただ夜景を観て――」

ルビィ「誤魔化さないで!」

ルビィ「そう言ってルビィを引き離したあと、また飛び降りようとするんでしょ」ギュッ

曜「だから違う――」


ルビィ「嫌だよ、ルビィを置いていくなんて」

ルビィ「できることがあれば何でもするから、考え直して……」


曜(駄目だ、全然話を聞いてない)

曜(思い込み、姉に似て激しいところがあるから、落ち着くのを待つしかないか)
曜「愛しの君と」3
33 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:11:29.71 ID:BT+bKGo8
―――
――



ルビィ「……ごめんなさい」

曜「あ、あはは」


ルビィ「なんか勝手に騒いじゃって」

曜「いいよ、気にしないで」

ルビィ「でも……」

曜「本気で心配してくれたんでしょ、私のこと」

ルビィ「……うん」
曜「愛しの君と」3
34 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:11:59.76 ID:BT+bKGo8
曜「だけど、どうして私が飛び降りようとしてるなんて思ったの」

ルビィ「だって、曜ちゃんが心配だったから」

曜「心配? どうして?」


ルビィ「曜ちゃん、久しぶりに会ったのに様子がおかしかったでしょ」

曜「……分かるんだ、やっぱり」

ルビィ「分かるよ、それぐらい」

ルビィ「数か月間、ずっと近くで一緒にいたんだもん」

ルビィ「周囲に気をつかって取り繕うとしていることなんて、お見通しだよ」
曜「愛しの君と」3
35 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:12:25.15 ID:BT+bKGo8
曜「そっか。そんなに分かりやすかったか」

ルビィ「そもそも、最近は連絡すら来てなかったんだもん」

ルビィ「今日だって目も合わせようとしない、気づくなっていう方が無茶だよ」

曜「……形無しだなぁ、私の方が年上なのに」


曜「普段からそんなだし、飛び降りてもおかしくないって思われるよね」

ルビィ「うぅ、それは忘れて」

曜「うーん、それは無理だよ。インパクト強すぎたもん」

ルビィ「いじわるさんだ……」
曜「愛しの君と」3
36 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:13:11.53 ID:BT+bKGo8
ルビィ「でもなにがあったの、ルビィがいない間に」

ルビィ「連絡が無くなった時とか、その辺りで」

曜「いや……」

ルビィ「いいよ、どんな内容でも」

ルビィ「ルビィは受け入れられるはずだから」

曜「……」


曜(いいのかな、話しても)

曜(きっと何か言わないと納得はしてくれない)

曜(上手く、隠すべき部分だけ隠せばいいかな)
曜「愛しの君と」3
37 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:13:46.13 ID:BT+bKGo8
曜「……実はね」

ルビィ「うん」

曜「ダイヤさんに、私たちの関係がばれた」

ルビィ「えっ」


曜「本人から、直接言われたんだ」

曜「付き合っているんじゃないかと、はっきりと」

曜「最近、それで悩んでいたみたい」
曜「愛しの君と」3
38 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:14:27.35 ID:BT+bKGo8
ルビィ「ど、どうして」

曜「……分からない」

ルビィ「そんな……」

曜「どこかで気づかれる行動があったのかもしれないね」

曜「私が色々と軽率だったから、ごめん」


曜(間違いなく、出所は一つ)

曜(だけどこの子の前で、花丸ちゃんの名前は出せない)
曜「愛しの君と」3
39 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:15:29.11 ID:BT+bKGo8
ルビィ「ど、どうしよう」

ルビィ「お、お姉ちゃんに知られたら、もう……」

曜(震える声、青ざめた顔)

曜(その意味は家に知られたことによる恐怖?)

曜(それだけ、深刻なことなんだ、やっぱり)


曜「大丈夫、落ち着いて」

曜「今のところ、無理に別れさせられたりはしなさそうだから」

ルビィ「そ、そっか。今日も普通だったもんね」

曜「うん」
曜「愛しの君と」3
40 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:16:04.53 ID:BT+bKGo8
ルビィ「お姉ちゃんは、なんて言ってたの」

曜「ひとまずね、私たちの交際については認めてくれるらしいよ」

ルビィ「えっ!?」


曜「意外?」

ルビィ「う、うん」

ルビィ「正直、信じられないかも」

曜「そう?」

ルビィ「だって、そんなの」

曜「そんなもんなんだよ、きっと」
曜「愛しの君と」3
41 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:16:50.69 ID:BT+bKGo8
ルビィ「……曜ちゃん、まだ何か隠してるよね」

曜「隠してないよ」

ルビィ「嘘、分かるもん」

曜「気のせいだよ」

ルビィ「そんなことないよ、だって――」


 ギュッ


曜「ちょっと、なにを――」

ルビィ「曜ちゃん、凄くドキドキしてる。心が揺れ動いてる」

曜「それは、ルビィちゃんが抱きついてきたからで」
曜「愛しの君と」3
42 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:17:29.57 ID:BT+bKGo8
ルビィ「それなら、なんで泣いてたの」

ルビィ「泣いた痕、顔に残ってるよ」

ルビィ「それだけだったら泣かないよね、曜ちゃん」

曜「……」


ルビィ「そんなに話し辛いことなの?」

ルビィ「ルビィのこと、信じられないの?」

ルビィ「ルビィは曜ちゃんが一番大切だよ。いつも曜ちゃんを信じてるよ」

ルビィ「曜ちゃんは、違うの?」

曜「……そんな、ことは」
曜「愛しの君と」3
43 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:18:01.98 ID:BT+bKGo8
ルビィ「じゃあ話してよ」

ルビィ「心配しないで」

ルビィ「絶対にルビィが助けてあげるから」

ルビィ「曜ちゃんを肯定して、味方でいてあげるから」


曜(…………ああ、やっぱり駄目だ)

曜(この子には敵わない)

曜(固い決意をしても、僅かに触れ合うだけでだけで絆されてしまう)

曜(いいかな、無理しなくても)
曜「愛しの君と」3
44 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:18:39.06 ID:BT+bKGo8
曜「……ダイヤさんにね、言われたんだ」

曜「ルビィちゃんとの関係は遊びだって。私が本当に好きなのは千歌ちゃんだって」

ルビィ「!」


曜「隠していたのは千歌ちゃんにばれない為。一番は千歌ちゃん」

曜「そんな風に決めつけられて」

曜「私はそれに反論ができなかった」

曜「とっさに言葉が出なかった、それが悔しくて」


ルビィ「そ、それなら、気にしなくてもいいよ」

ルビィ「曜ちゃんの気持ち、ルビィはちゃんを理解してるよ」
曜「愛しの君と」3
45 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:19:10.62 ID:BT+bKGo8
曜「ありがとう」

曜「でも、それだけじゃないんだ」


曜(ああ、馬鹿だな私)

曜(これは、ダイヤさんが用意してくれた逃げ道)

曜(それをみすみす、手放そうとするなんて)


曜「適当なタイミングで、別れるように言われた」

曜「ルビィちゃんは気の迷い、私は遊び」

曜「軽い関係なんだから、問題ない」

曜「そんな風に、言われて」
曜「愛しの君と」3
46 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:19:45.82 ID:BT+bKGo8
曜「なんでみんな私を否定しようするんだろう」

曜「誰も私の言葉を信じてくれない、嘘だと決めつける」

曜「ルビィちゃんが好きだと主張しても、好きなのは千歌ちゃん、ルビィちゃんはおまけ扱い」

曜「本当の気持ちを、誰も信じてくれない」

曜(花丸ちゃんも、ダイヤさんも)

曜(きっと他のみんなだって、同じように)


曜「どうして、私は……」
曜「愛しの君と」3
47 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:20:13.24 ID:BT+bKGo8
ルビィ「……ごめんね、ルビィの所為で」

ルビィ「ルビィが自分の都合で函館にいたから――」


曜「違うよ!」

ルビィ「っ」ビクッ


曜「ルビィちゃんは悪くない。悪いのは弱い私」

曜「私は、ルビィちゃんの重荷になりたくないの」

曜「お互いに、支え合える関係になりたいの」

曜「だから、だから――」
曜「愛しの君と」3
48 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:21:29.34 ID:BT+bKGo8
ルビィ「いいよ、その気持ちだけで」

曜「そんなわけには……」


ルビィ「ルビィは十分、曜ちゃんに助けられてる」

ルビィ「曜ちゃんが、好きな人が傍に居ることは、それだけで幸せなの」

ルビィ「好きな人に頼ってもらえる、それ以上に嬉しいことなんてないの」

ルビィ「曜ちゃんは、ルビィがいないと駄目」

ルビィ「ルビィをいつも、必要としてくれる」

ルビィ「ルビィはね、それが嬉しいんだ」

曜「ルビィちゃん……」
曜「愛しの君と」3
49 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:22:10.53 ID:BT+bKGo8
ルビィ「ルビィはずっと曜ちゃんを信じてあげる」

ルビィ「絶対に、一緒にいてあげる」

ルビィ「どんなことがあって、傍で支えてあげるから」

曜「でも、いつか離れ離れになるんだよ」

曜「それならいっそ、今のうちに――」


ルビィ「大丈夫だよ。どんなことがあっても、ルビィは曜ちゃんが望む限り離れない」

ルビィ「だからもう駄目だよ、無理をしたら」

ルビィ「今度から、泣きたくなったらルビィを呼んで」

ルビィ「大急ぎで駆けつけるから。どれだけ大事なことを投げ出してでも」
曜「愛しの君と」3
50 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:22:52.45 ID:BT+bKGo8
曜「それじゃあ、私はルビィちゃんの負担にしかなれない」

曜「やっぱりだめだよ、そんなの」

ルビィ「いいの、ルビィがそうしたいから」

ルビィ「むしろ頼ってくれない方が辛いの」

ルビィ「自分が否定されているみたいで、辛いの」


ルビィ「だから、お願い」

ルビィ「ルビィに依存して、利用して、ルビィだけを見て」

ルビィ「それが一番、黒澤ルビィにとっての幸せだから」
曜「愛しの君と」3
51 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:23:30.92 ID:BT+bKGo8
曜「……ありがとう」

曜「ありがとう、ルビィちゃん」

ルビィ「うん」


曜「……早速、一つだけいいかな」

ルビィ「いいよ」

曜「早いね、まだ聞いてもないのに」

ルビィ「聞くまでもないから」

ルビィ「曜ちゃんがこの状況で、考えること」

曜「……だよね」


ルビィ「好きなだけ甘えていいよ」

ルビィ「まだ時間は、たくさんあるから」
曜「愛しの君と」3
52 :名無しで叶える物語(もんじゃ)[]:2018/12/07(金) 04:27:57.84 ID:BT+bKGo8
ひとまずここまで
改めて新しいスレを立てていただきありがとうございました
また必要になったら、しっかり自分で立てられるようにします

現時点で内容的には折り返しぐらいで、次の投稿分から視点が変わる予定です


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