トップページ > ラブライブ! > 2017年12月19日 > y3003WvU

書き込み順位&時間帯一覧

15 位/3175 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数000000000000000000000261027



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しで叶える物語(しうまい)
ダイヤ「最愛のあなたへ」

書き込みレス一覧

ダイヤ「最愛のあなたへ」
536 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:25:59.80 ID:y3003WvU
同、12月22日。内浦、山中


花丸「ぅ、あ……」

ダイヤ「……起きましたか。花丸さん」

花丸「ダイヤ、さん……。ここは」

ダイヤ「山小屋へ向かっています。あなたのスマホに、善子さんから連絡が入っていました。ルビィを含めた全員が、あの山小屋に集まっていると」

ダイヤ「と言いますかあなた、スマホを持ってきてしまったんですのね……追跡されたらどうなることやら……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
537 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:26:49.19 ID:y3003WvU
花丸「あ……オラ、ダイヤさんに背負われてたんだ……」

花丸「ごめんね、重いよね。もう降ろしてくれていいからっ」

ダイヤ「づ――!? ……す、すみません。肩を怪我しておりまして、あまり動かないで頂けると……」

花丸「えっ、ご、ごめんなさいっ!?」

ダイヤ「は、花丸さんは小柄ですから重さなんて気にしなくていいですわ。それに……ごめんなさい。もう少しこうしていたいですわ」

ダイヤ「あなたは、お嫌ですか? 人殺しにおんぶされるのは」

花丸「……ううん。あったかいずら」

ダイヤ「ありがとうございます」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
538 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:28:04.26 ID:y3003WvU
花丸「……ねえ、ダイヤさん」

ダイヤ「何でしょうか」

花丸「人を殺すって、どんな感じなの……?」

ダイヤ「……さて」

ダイヤ「あなたがそれを知る必要はありませんわ。未来永劫、絶対に」

ダイヤ「ただ、そうですわね。いい気分ではない、とだけ言っておきましょうか」

花丸「……そっか」

ダイヤ「しかし、それももう終わりました。終わったのです」

ダイヤ「私はもう、誰も殺さなくていい。それが今は、とても嬉しい」

ダイヤ「――変ですわよね。そんなの、当たり前のことなのに」クスッ

花丸「……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
539 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:29:38.23 ID:y3003WvU
ダイヤ「……さて、そろそろ降ろしますわね、花丸さん」

ダイヤ「着きましたわ、山小屋に。そして――」

ルビィ「……お姉ちゃん」

ダイヤ「感心しませんわね。病人がこんな時間に外を出歩くなんて。いえ、手間は省けましたが」

ルビィ「何で、こんなことをしたの」

ダイヤ「あなたに生きていて欲しい。そう願うからですわ」

ルビィ「ルビィはそんなこと、お願いしてない」

ダイヤ「ええ、そうです。これは他の誰でもない、私の願い。私が願い、私が成したこと」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
540 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:30:55.94 ID:y3003WvU
ダイヤ「あなたの意思など関係ありませんわ。あなたはただ、生きてくれればいい」

ルビィ「ルビィに、そんなものを背負わせるの。10人の命なんて、そんなものを」

ダイヤ「ええ。あなたが嫌と言っても縛り付けますわ。……いいでしょう? たまには」

ダイヤ「あなたは昔から我が侭ばかりで。習い事も辞めるし、私のプリンやアイスは勝手に食べるし」

ダイヤ「たまにはお姉ちゃんのお願いくらい、聞いてくれてもいいはずですわ」

ルビィ「……っ」

パシィン!!

ルビィ「ルビィは、お姉ちゃんにそんなことして欲しくなかった……!」

ダイヤ「……あなたに叩かれたのは、初めてですわね。――ふふ。大きくなった、本当に」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
541 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:32:27.46 ID:y3003WvU
ダイヤ「でも、まだ足りませんわ。だってあなたはまだ16歳ですもの。若すぎます」

ダイヤ「あなたはこれから、高校を卒業して、あるいは大学へ進んで、素敵な殿方と恋をして、結婚をして」

ダイヤ「子を授かり、幸せな家庭を築いて、いつか孫にも囲まれて。そうやって黒澤の家で生きていくのです」

ダイヤ「――そうでなくては、ならない」

ルビィ「……呪いだよ、そんなの」

ダイヤ「まさしく。10人殺した者の呪いです、そう簡単には解けませんわよ」

ルビィ「そんな呪いはいらないっ!」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
542 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:33:40.61 ID:y3003WvU
ルビィ「ルビィだって、死にたいわけじゃないよ、死にたくなかった本当は!」

ルビィ「でも違うの、そうじゃないの……。ルビィはただ、ただ……っ」

ルビィ「お姉ちゃんやみんなと一緒にいたかっただけなの、それだけだったの……!」

ルビィ「ぅ、ぅぅううう!」

ダイヤ「……」スッ、…

ダイヤ(撫でるために伸ばした腕を、引き留めます。私にもうその資格はない)

ダイヤ(血に濡れた私の腕に今、出来ることは)

ダイヤ「もう、泣いても意味などありませんわ。すべては終わってしまったのだから」

ダイヤ「さあ。儀式を受けてもらいますわ、ルビィ。それが私の、最後の仕事」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
544 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:35:55.55 ID:y3003WvU
ルビィ「嫌だ! 嫌だよ! そんな儀式はいらない、ルビィはそんなことをして生きたいわけじゃないっ!」

ダイヤ(私の腕に、出来ることは)

ダイヤ「あなたに自由意思などない。……無理にでも、受けてもらいますわ」グイッ

ルビィ「ぐっ!? や、め……離し、おね、ちゃ……」

ダイヤ「……」グッ、グググッ

ルビィ「か、――ぁ」ガクッ

ダイヤ(1日に3度も人の首を絞めるなど、そうそう経験できることではありませんわね)

ダイヤ(いえ。1日に3人殺すことと比べれば、そうでもありませんか)

ダイヤ(意識を失ったルビィをおんぶします。大きくなったとはいえ、まだまだ軽い。花丸さんよりも)
ダイヤ「最愛のあなたへ」
545 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:37:08.25 ID:y3003WvU
ダイヤ「……」ギィッ

ダイヤ「……こんばんは、みなさん。おそろいで」

善子「終わったのね」

ダイヤ「ええ。後は最後の仕上げだけですわ。いろいろとご協力、ありがとうございました」

ダイヤ「梨子さんも。差し入れ、もの凄く助かりましたわ」

梨子「……ううん。気にしないで」

果南「……ダイヤ」

ダイヤ「果南さん。腕の治療、ちゃんと受けられましたのね。良かったですわ」

果南「うん。鞠莉のホテルの人に来てもらって……」

果南「……殺して、来たの?」

ダイヤ「もちろん。3人の心臓が、このカバンの中にありますわ」

果南「……」

ダイヤ「そんな顔をなさらないでください。私はこれでも、満足しているのです」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
546 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:38:09.33 ID:y3003WvU
鞠莉「ダイヤ。恨むよ」

ダイヤ「構いませんわ。もう恨まれることしかない人生ですので」

鞠莉「……ファック」

ダイヤ「……さて。では、儀式を始めるとしましょうか」

梨子「手伝うこと、ある?」

ダイヤ「いえ。私が始めたことです、最後まで私の手で……。でも、そうですわね。ルビィをお願いしますわ」

梨子「うん。分かった」

ダイヤ(カバンの中から、用意しておいた魔方陣を取り出します。コピー用紙を貼り合わせて繋げた、人間1人が納まる大きさの魔方陣)

ダイヤ(次に、チェーンで巻いたクーラーボックス。南京錠を開け、鎖を解いて。中にあるのはジップロックに詰められた――7つの心臓)

千歌「ひっ……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
547 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:39:34.57 ID:y3003WvU
ダイヤ(ボックスの中で氷水に冷やされたこれらを、ひとつひとつ、魔方陣の円周に並べます)

ダイヤ(今日、蒐集した3つも加えて……これで、10)

ダイヤ「……梨子さん。ルビィを、ここへ」

梨子「うん。善子ちゃん、手伝って」

善子「分かったわ」

ダイヤ(梨子さんと善子さんが、ルビィを魔方陣の中心へ。これで準備は整った……)

ダイヤ(これで。本当に、これで……)

ダイヤ「――はじめます」

曜「……」ゴクッ
ダイヤ「最愛のあなたへ」
548 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:40:22.02 ID:y3003WvU
ダイヤ「……我が声に応じよ。汝、地獄を統べし勇猛なる獅子。十つ、心の臓腑を対価に、我が求めに応じよ」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
549 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:41:03.50 ID:y3003WvU
ダイヤ「数多の恐怖を与えし者よ。この血、はらわた、魂を求めるのならば応えよ」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
550 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:41:58.64 ID:y3003WvU
ダイヤ「死にゆく肉塊に命を。死せる土嚢に魂を。――我、汝と契約を結ばん……!」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
551 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:43:21.81 ID:y3003WvU
花丸「ル、ルビィちゃんの身体が、光って……」

果南「なに、これ……」

ダイヤ「……ふぅ。終わった」

ダイヤ「これで、本当の本当に。全部が、終わった。やり遂げましたわ――最後まで」

善子「成功、したの……?」

ダイヤ「ええ。実験の時と同じですわ。あの並べた心臓が黒いススのようになった時。もうルビィの病は治っていることでしょう」

善子「本当に、本当なのよね……!?」

ダイヤ「今度ばかりは、嘘ではありませんわ」

善子「良かった……良かった、ルビィ……!」

ダイヤ「……本当に」

ダイヤ(これでもう、思い残すことはありませんわね。後は……)
ダイヤ「最愛のあなたへ」
552 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:44:22.82 ID:y3003WvU
ダイヤ「さて……」スッ

曜「ダイヤさん、どこへ……?」

ダイヤ「……お花摘み、ですわ。少しホッとしてしまったら、つい」

ダイヤ「この山小屋、水道も通っていませんし、ね?」

曜「あ、ああ。そっか。うん、ごめん」

ダイヤ「ふふ。失礼しますわね」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
553 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:45:02.89 ID:y3003WvU
ダイヤ「――ああ。空が白み始めている。夜が明けますわね……」

千歌「……ダイヤさん。どこへ行くの」

ダイヤ「……千歌さん」

ダイヤ「どこって、先ほど言いました。お花摘みですわ。さすがに恥ずかしいので、見ないで頂けると助かるのですが」ポリポリ

千歌「それ。嘘だよね」

ダイヤ「っ!? ……またクセが出ていましたか。もしかしてみなさんに知られていますか? 私のこのクセ」

千歌「ううん。クセのことは知らない。何のことか分からないよ」

千歌「ただ多分、いなくなるつもりなんだろうな、って」

ダイヤ「……カマをかけられましたか」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
554 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:45:59.96 ID:y3003WvU
ダイヤ「ええ、認めましょう。確かに私は姿を消そうとしていますわ。みなさんの前にはいられませんもの」

ダイヤ「それで、あなたはそれを知ってどうしようと? ただ黒澤ダイヤは勝手に消えてしまった、それで良かったのに」

千歌「そんなの、悲しいよ」

千歌「私はダイヤさんにいなくなって欲しくない」

ダイヤ「私は切裂き魔ですのよ? そんな殺人鬼がそばにいるのは怖くありませんか?」

千歌「ダイヤさんはダイヤさんだよ」

千歌「殺人鬼じゃなくてダイヤさんだよっ! ルビィちゃんのために無理をして、仲間のことをこんなにも想って!」

千歌「それが鬼なわけ、ないじゃん……!」

ダイヤ「ああ――どうしましょうか」

ダイヤ(千歌さんの言葉が胸に響いて。こんな私をまだ黒澤ダイヤと、仲間と呼んで頂いて)

ダイヤ(それが嬉しくて嬉しくて)

ダイヤ「私、泣いてしまいそうですわ……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
555 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:47:19.83 ID:y3003WvU
千歌「行っちゃ嫌だよ、ダイヤさん。これがお別れなんて悲しいよ……」

ダイヤ「……ありがとうございます。私は本当に幸せです」

ダイヤ「ですが、だからこそ。私はここにはいられない」

千歌「ダイヤさんっ!」

ダイヤ「私が認められないのですわ。10人もの命を奪った私が、のうのうと幸せを享受するなどと」

ダイヤ「到底、許されることではありません。それこそ私の気が狂ってしまう」

ダイヤ「私は罰が欲しいのですわ、千歌さん。幸せはもはや私にとって、劇薬以外の何物でもない」

千歌「じゃあ自首するとか! なにも千歌たちの前からいなくならなくたって!」

ダイヤ「自主、ね。出来ればそうしたいところです。ですが、お分かり? 私が逮捕されるとどうなるか」

千歌「どう、って……」

ダイヤ「Aqoursの評判は地に落ちますわ。切裂き魔の所属していたグループとして、多くの誹謗中傷がみなさんを襲うでしょう」

ダイヤ「地元住民、統廃合先の高校、その他もろもろ……腫れもの扱いで済めば良い方です。差別が始まってもおかしくない」

ダイヤ「そうすると間違いなく飛び火しますわ――旅館、十千万の評判にまで」

千歌「っ!?」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
556 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:48:13.51 ID:y3003WvU
ダイヤ「もちろん十千万だけではありません。鞠莉さんのホテルも、果南さんのダイビングショップも、花丸さんのお寺も」

ダイヤ「善子さんや曜さん、梨子さんの親御さんにだって世間の目はある。無論、黒澤家など言わずもがな」

ダイヤ「生活できなくなりますわよ。あなたのご家族も、みんな。みんな」

千歌「……ダイヤさんは、私を脅してるの?」

ダイヤ「結果的にはそうなってしまいますわ。申し訳ありません」

ダイヤ「ですが、私もそんなことは望んでいません。だからこそ、可能な限り証拠を残さぬよう犯行を重ねたつもりです」

ダイヤ「私は逮捕は怖くない。絞首台へ立てと言うなら喜んで立ちましょう。ですが――みなさんに迷惑をかけることだけが、怖い」

千歌「……酷いよ。酷すぎるよ。そんなの、いくら何でも我が侭だよ……」

ダイヤ「そうですわね。なんと虫の良いことをと、自分でも思いますわ。ですが、それが偽らざる本当の気持ち」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
557 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:49:44.47 ID:y3003WvU
ダイヤ「……さあ、答えを。あなたには自分の家族も、他の仲間をも犠牲にして、私を引き留める覚悟はおあり?」

ダイヤ「力ずくで引き留めることは簡単ですわよ。私にはもう、抵抗する気力も体力も、残ってはいないのだから」

千歌「……っ」

ダイヤ「――ふふ」

ダイヤ「ええ、それでいいのですわ、千歌さん。だって、私もそうしたんですもの」

ダイヤ「他者を犠牲にし。仲間を裏切り。ルビィすら傷つけて。ただただ己が願いのために、こんなことをやらかした」

ダイヤ「でも私には後悔なんて一欠けらもない。あなただって、きっとそう思えますわよ」

ダイヤ「あなたのその選択を、とても喜ばしく思います」

千歌「……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
558 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:53:43.75 ID:y3003WvU
千歌「ダイヤさんは、これからどうするの?」

ダイヤ「ご安心ください、自分で命を絶ったりはしませんわ。死んで赦される罪などとは、思っていませんもの」

ダイヤ「可能な限りは生きて。でもあえて生きようとはしないで。どこかで野垂れ死にすることが、私にふさわしい最期でしょう」

千歌「……悲しいよ」

ダイヤ「ふふふっ。――そう、まだ私を悼んでくれるのですね。とても幸せです。幸せで、胸が痛い」

ダイヤ「ああ、ですが。あえて自殺する気はありませんが、警察が私を犯人として追っていると判断した時点で、命を絶ちます」

ダイヤ「みなさんのご迷惑にはなりませんわ」

千歌「……それも、脅しだよ。通報するなって言ってるよね」

ダイヤ「ふふっ。こんな私の命など、何の脅しの材料にもなりはしないと思いますが。……あなたにとっては、そうではないのですね」

ダイヤ「好都合と、思っておきましょう。そうでないと。あなたが私を想って頂ければ頂けるほど、苦しいのですわ」

千歌「……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
559 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:54:33.83 ID:y3003WvU
ダイヤ「では、私はそろそろ行きますわ。これ以上の長話は、みなさんに勘付かれてしまいますもの」

ダイヤ「さようなら、千歌さん。私を新しいAqoursへ導いてくれたあなたには、感謝してもし足りません」

ダイヤ「もはや白々し過ぎて祈ることなど出来ませんが――ええ。あなたの幸せを、心より願っていますわ」

ダイヤ「私が今日まで、みなさんのおかげで幸せであれたように。あなたにも幸あれ――さようなら」スタスタ

千歌「……分からないよ」

千歌「どうすれば良かったのか、千歌には分からないよ。ダイヤさん……」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
560 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:55:20.07 ID:y3003WvU




ダイヤ「……」グルグル ギュッギュゥッ

ダイヤ「凶器はまとめて紐で縛る。この紐を遠心力で振り回して、このまま――)ヒュンヒュンヒュンヒュン

ダイヤ「――ふっ!」ヒュン!

――ボチャン

ダイヤ(凶器の束を投げ入れると、海面に夜光虫が煌めきます)

ダイヤ(果南さんや鞠莉さんと遅くまで遊んだとき、よく見た光景……その後、お母様に叱られましたっけ)
ダイヤ「最愛のあなたへ」
561 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:56:16.51 ID:y3003WvU
ダイヤ「さて、後は……髪が邪魔ですわね。目立ちますし」

ダイヤ(いつから伸ばし始めたのでしょう。自慢の、長い黒髪)

ダイヤ(誰もが私の髪を、綺麗だと褒めてくださいました。髪は女の命とはよく言ったもので、本当に、大切にしていましたが)

ダイヤ「とすれば尚のこと、ここに供養しなければなりませんわね。私の過去を、今までの誇りを」スッ

ダイヤ(片手で髪を後ろに束ね、残しておいたナイフを当てる。刃を立て、そのまま、真横一文字に――)

ダイヤ「……」パサッ

ダイヤ(掴んだ手に残る髪の束が、指を離すと潮風にさらわれて海へと還る)

ダイヤ(愛する故郷、内浦の海へと。黒澤ダイヤの象徴である黒髪が)

ダイヤ「さようなら、内浦。さようなら、みなさん。さようなら、お母様。さようなら、ルビィ」

ダイヤ「さようなら――黒澤ダイヤ」
ダイヤ「最愛のあなたへ」
562 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 21:57:14.77 ID:y3003WvU
ダイヤ「……」

ダイヤ「さあ。どこへ行きましょうか。悲しいことに時間はいくらでもありますわ。どこへでも行ける」

ダイヤ「せっかくですし、秋葉原でも目指しましょうか。東京ならホームレスも生き易いでしょう」

ダイヤ「ああ――陽が昇り始めた。今朝は雲一つない、いい天気で――」グラ、フラフラフラ…

ダイヤ「なんて眩しい陽の光――とても空を見上げては、歩けませんわ――」


  ――ダイヤ「最愛のあなたへ」――
    第二部“愛にすべてを”了
ダイヤ「最愛のあなたへ」
564 :名無しで叶える物語(しうまい)[sage]:2017/12/19(火) 22:00:11.74 ID:y3003WvU
いろいろと感想やご声援、保守くださいましてありがとうございます

ダイヤVS果南はどうしても書いてみたかったシーンなのです
最高に格好いいダイヤさんを書くつもりが、果南ちゃんが強すぎて無理でしたが

ともあれ次の第三部“手をとりあって”が最後になります
もうしばらく、お付き合いください


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。